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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

虫たちの親子⑨ トホシテントウとイタドリハムシ

完全変態をする虫たちは、成虫と幼虫で、
食べ物や移動手段、生息場所などが全く異なり、
当然、その全く姿かたちも全く異なる。

だから、野外で、それぞれを見つけたときには、
独自に名前を覚えておかないといけない。

覚えるべき種類が、2倍になるのである。

 

 

今回は、そんな「ちょっとだけ不思議な2組の親子」である。

 

 

まず、トホシテントウ幼虫から・・・・・

 


トホシテントウ幼虫(テントウムシ科)

2011年1月15日 渡良瀬遊水地・栃木

何か幼稚園児の感想のようであるが、
この子のトゲは、ちょっとだけ面白い。

・・・トゲにトゲが生えているのだ・・・


これだけ見事なトゲだと、近づくのも躊躇するほどである。


とりあえず、何らかの外敵に対する物理的な防御手段なのだろうが、
テントウムシの場合は、不味成分を体内に持っているので、
野鳥類は、(トゲがなくても!!)食べないようである。

 

 


こんな「やりすぎ幼虫」の親は、
一体、どんな姿をしてるのだろう。

 

 

トホシテントウ成虫(テントウムシ科)

2010年8月12日 だんぶり池・青森


何だ!・・・・・・普通のテントウムシじゃないか!!!


でも、毎度おなじみの赤黒模様は、
緑色の葉っぱにいると、非常に良く目立つ。

体内の不味成分に裏付けされた、典型的な警戒色なのだ。

 

 


続いて、成虫が同じ色彩のイタドリハムシ・・・

最初は、お気に入りの写真!!

 

 

イタドリハムシ幼虫の食痕

2012年7月19日 梵珠山・青森

でも、これほど見事に、葉っぱだけを葉脈を残して、
完璧に食べているのは、あまり見かけない。

しかも、これは、ちょっとだけアートだ!!

 

 


イタドリハムシ幼虫(ハムシ科)

2012年7月20日 八幡平・秋田

このアートの製作者は、この子だ。

そして、この写真をよく見れば、
葉脈部分を決して食べていないのがわかる。

この状態がさりげなく続くと、
葉っぱは、上の写真のようになるのである。

ただし、これだけ食べ物の量と、虫の数が、
見事に一致することは、滅多にないようであるが・・・

 

 


こんな芸術家の親は、どんな姿なのだろうか?

 

 


イタドリハムシ成虫(ハムシ科)

2012年5月14日 だんぶり池・青森

この赤黒模様も、緑の葉っぱの上では、良く目立つ。

日本には、ほぼ同じ時期に同じ場所で見られる、
同じイメージの色彩を持つ様々なグループの虫がいる。

類縁関係のほとんどない虫たちが、同じような姿になるのは、
非常に興味深いことである。

それらが有毒成分を持たないベイツ型擬態なのか、
あるいはミュラー型擬態なのかは、さらに興味深い。
↓   ↓   ↓
虫たちの防御戦略⑥ Ⅱ(5). ベイツ型擬態


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虫たちの親子⑧  サカハチチョウ

完全変態をする虫たちは、成虫と幼虫で、
全く異なる姿かたちをしている。

サカハチチョウも例外ではない。


まずは幼虫から・・・・・

 サカハチチョウ幼虫(タテハチョウ科)


2012年8月3日 白布温泉・山形

これだけ見事なトゲがあると、思わず触ってみたくなる。
よく見ると、2本のツノにも刺がある。

とりあえず、何らかの外敵に対する防御手段なのだろう。

カエルやカナヘビは、ちょっと躊躇するかも?


 

 

こんな「やりすぎの幼虫」の親は、
一体、どんな姿をしてるのだろう。



 

 

サカハチチョウ成虫(タテハチョウ科)

2011年6月5日 だんぶり池・青森

サカハチチョウの成虫は、春と夏の年2回出現するが、
両者は、まるで別種のように見えるのだ。
上の写真は、5~6月に見られる春型で、
オレンジ色の複雑な模様がよく目立つ警戒色である。

幼虫の食草は、イラクサ科のコアカソであるが、
有毒で、シカが食べないという報告例があるので、
カバマダラ類と同じような関係なのかもしれない。

しかし、不思議なことに、サカハチチョウ成虫の場合には、
野鳥類が食わないという観察例が報告されることはないようだ。


サカハチチョウ成虫(タテハチョウ科)

2010年7月26日 だんぶり池・青森

こちらは、7~9月に見られる夏型で、
焦げ茶の地色に、多分名前の由来の「逆さの八の字」がある。

むしろ、イチモンジチョウに似た目立たないタイプだ。

幼虫時代の日長条件によって、成虫の色彩が変化するようで、
成虫に蓄積される有毒成分に、何か変化がおきているのだろうか?

 

まだまだ、不思議なことが多いのだ!!!!!

 

 

 

 

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ミラクル擬態 キタスカシバ交尾シーン

虫たちの親子シリーズ、ちょっと中断。


大学時代のサークル(昆虫研)のOB会が、
6月8日に、多分初めて開催されたので、
友人と、さりげなく出席した。

何十年ぶりにお会いできた人たちとも、沢山話が出来た。


しかし、今回の出会いの話は、その前日のことである。


ふと出かけた息子の家の近くの公園で、
不思議な光景(虫)に、初めて遭遇したのだ。

それは、今年になって、初めての感動の一瞬だった。

 

 

おやっ~!?

2013年6月7日 東海村・茨城

こんなところに、スズメバチがいる?

しかも、何故か、交尾してる?

 

でも、ちょっと様子がおかしい!?

 

 


キタスカシバ(スカシバガ科)

2013年6月7日 東海村・茨城

用心しながら、近づいてみる。

確かに、交尾はしているが、スズメバチではない!!!

スズメバチに良く似た蛾(キタスカシバ)だ。


どうやら、交尾直後のようで、
よく見ると、下側のオスが翅を震わせている。

 

 


キタスカシバ(スカシバガ科)

2013年6月7日 東海村・茨城

しばらくして、オスが羽ばたくのを止めると、
完全にメスがオスをぶら下げている状態になった。

もう少し、早い時間に通りかかっていれば、
交尾の瞬間を見ることができたのかもしれない。

 

 


キタスカシバ(スカシバガ科)

2013年6月7日 東海村・茨城

旅行中で手元に資料がないので、
この蛾が、キタスカシバであることを、
スカシバ類に詳しい青森県のK氏に確認していただいた。

以前このブログで、ミラクル擬態の好例として、
何度か紹介したセスジスカシバの近似種だ(注)

 

 


キタスカシバ(スカシバガ科)

2013年6月7日 東海村・茨城

実は、こんな感じの生態写真を撮れたのは、
かなりラッキーだと思う。

大勢のお年寄り(?)たちが、ランニングしたり、
歩いたりしている場所(都市公園)と時間(朝9時)だ。

写真を撮っていると、数人の人が、声をかけてきたが、
みんなハチの写真を撮っていると思っていたようだ。

(特に、説明はしなかったが・・・)

 

 

 

キタスカシバ(スカシバガ科)

2013年6月7日 東海村・茨城

それにしても、この角度から撮ると、
やっぱりオオスズメバチと間違えそうである。


おそるべし、ミラクル擬態!!!!

 


(注)過去記事はこちら
   ↓   ↓   ↓
これがミラクル擬態だ セスジスカシバ
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110926/1/

虫たちの防御戦略⑥ Ⅱ(5) ベイツ型擬態
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130211/1/


 

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虫たちの親子⑦ ホタルガとホシナカグロモクメシャチホコ

完全変態をする虫たちは、成虫と幼虫で、
全く異なる姿かたちをしている。

極論すれば、それ以外にも、
生息場所、食べ物、移動手段などが違って、
通常の分類方法でからすると、全くの別種である。

だから、野外で、それぞれを見つけたときには、
独自に名前を覚えておかないといけない。

覚えるべき種類が、2倍になるのである。

 

今回は、ちょっとだけ不思議な蛾の2組の親子である。

 

 

まず、ホタルガ幼虫から・・・・・

下の写真、一体、どこが不思議なのか?

(⇒不思議だと思ってるのは、私だけ?)

 

 

ホタルガ幼虫(マダラガガ科)

2012年5月25日 東海村・茨城


幼虫はサカキやヒサカキの葉を食べる害虫とされる。
前回紹介したのフクラスズメ幼虫のように、
よく目立つ黄色と黒の派手な模様である。

不思議なのは、写真のように、静止しているときには、
どっちが頭か尻尾か、ほとんど見分けが付かない姿かたちだ。
動いていれば、小さな黒い頭部が少し伸びるので、
簡単にわかるのだが・・・

これは、イモムシ界では、異例の姿だと思う!!!!

以前紹介したように、頭と尻尾を逆に見せて、
捕食者の攻撃を急所でない部分に向けさせる例は多いが、
前後の見分けがつかないようにするタイプは、比較的珍しい。


虫たちの防御戦略⑫ 目玉模様(小)、自切その他
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130301/1/

 


こんな「ちょっとお茶目な幼虫」の親は、
一体、どんな姿をしてるのだろう。

 

 


ホタルガ成虫(マダラガガ科)

2010年7月11日 筑波山・茨城

例によって、成虫の特徴から付いた和名のホタルガ。

見た感じは、有毒種のホタルに擬態しているようだ。

しかし、本種に限らずマダラガ科の成虫は、
食虫性の鳥獣が敬遠するような体液を持っている。

だから、この場合は、擬態の対象となろ種が、
お互いに良く似ているという、ミュラー型擬態の範疇になるだろう。

 

 


次に、シャチホコガの親子。

 


ホシナカグロモクメシャチホコ幼虫(シャチホコガ科)

2012年8月22日 十石峠・長野

とりあえず、上のホタルガ幼虫とは違った意味で、
どっちが頭だか、ちょっとだけ迷ってしまう。

体の後部を少し持ち上げて、写真のように、
長い触角のように見える突起を広げるので、
まるで、左側が頭のように見えるからだ。

実は、触角のように見える突起は、尾脚が特殊化したもので、
この子は、お尻を持ち上げて、頭のように見せているのだ。

 

 

ホシナカグロモクメシャチホコ幼虫(シャチホコガ科)

2012年8月22日 十石峠・長野

角度を変えた写真で見ると、お尻の偽の触角を閉じて、
本物の頭部を、少し持ち上げている。

たぶん、この子の名前の由来となったシャチホコのポーズだろうか?

 

 

こんな「ちょっとお茶目な幼虫」の親は、
一体、どんな姿をしてるのだろう。

 


ホシナカグロモクメシャチホコ成虫(シャチホコガ科)

2011年8月8日 裏磐梯・福島

白と黒のツートンカラー(?)の良く目立つ美しい蛾だ。
僅かに見えるオレンジ色も、なかなか良い味を出している。

このような色使いは、白樺の幹にも似ている。
もしかしたら、と思って幼虫の写真を見直してみると、
やっぱり、幼虫はシラカバの葉を食べるようだ。

この子が、シラカバの白い幹に止まっているところを想像するだけで、
保護色な効果があると確信してしまう???


 

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虫たちの親子⑤ ベニスズメ

完全変態をする虫たちは、成虫と幼虫で、
全く異なる姿かたちをしている。

極論すれば、それ以外にも、
生息場所、食べ物、移動手段などが違って、
通常の分類方法からすると、全くの別種である。

だから、野外で、それぞれを見つけたときには、
独自に名前を覚えておかないといけない。

覚えるべき種類が、2倍になるのである。

 

 

今回は、ベニスズメ親子である。

 

まず、幼虫から・・・・・

 

ベニスズメ幼虫(スズメガ科)

2010年10月20日 白岩森林公園・青森

この姿だけ見ると、普通のイモムシで、
我々人間は、それほどヘビ似てるとは思わない。

 

 

ベニスズメ幼虫(スズメガ科)

2010年10月20日 白岩森林公園・青森

ただ、頭部を空中において、ゆっくり振ると、
背中の目玉模様と、爬虫類によくある不気味な色が、
十分すぎるほど、ヘビを連想させる。

ただし、このように小型のヘビに似ることが、
生存の上で、どれほどの意味を持っているかは、
詳細な検討が必要であると思うが・・・

 

 

ベニスズメ幼虫(スズメガ科)

2010年10月20日 白岩森林公園・青森

小鳥たちが、自分の卵やヒナがいる巣に向かって、
恐ろしいヘビが近づいてくるのを経験すると、
ちょっと小さいが、蛇のような姿や色を見て、
どんなに恐怖心を掻き立てられるのか、十分想像できる。

 

 


そして、この子の親も、独特の雰囲気をもっている。

虫の名前は、当然成虫(親)の特徴で付けられる。
だから、何故ヘビに似た幼虫が、ベニスズメなのか?
と思う人もいるかもしれない。

⇒ヨモギの花穂そっくりのハイイロセダカモクメ幼虫も、
 その(幼虫の)姿かたちにちなんだ和名は、
 残念ながえら付けられていない

 

実は、この子の親は、蛾の世界でも、
あまり類を見ないピンク色なのだ。

 

 

ベニスズメ成虫(スズメガ科)

2011年7月7日 豊浦森林公園・北海道

グロテスクなヘビそっくりの幼虫が、
成虫になると、こんな綺麗なピンク色の
ジェット機になるとは・・


これが、典型的なショッキングピンク!!!!??






 

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