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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

金属光沢の甲虫類② 多分スキバジンガサハムシ


生物が、非生物のような金属光沢を持つ意味について、
様々な分野の人たちが、色々と考えてきた。

捕食者と被食者との関係に限ってみれば、

① 捕食者は、非生物のような金属光沢を、食べ物と認識しない。
② まわりの葉っぱや水面がキラキラ反射すると、保護色になる。
③ 逆に、そのキラキラがよく目立ち、警戒色となる。
④ 飛翔中にキラキラ光ると、小鳥をおびえさせる。

  
というように、説明されることが多い。
もちろん、その他の機能としては、

⑤ 太陽光を反射して体温上昇を防ぐ。
⑥ 交尾相手を発見しやすくする。

なども考えられる。

 


マイナーな金属光沢の虫たち、2回目は、
金色のスキバジンガサハムシ・・・・(多分?)

 

以前紹介したカメノコハムシに似ているが、
ジンガサハムシの方が、金属光沢は強く出る。
↓  ↓  ↓
虫たちの親子⑮ イチモンジカメノコハムシ
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130803/1/

⇒幼虫も良く似た行動が見られ、脱皮すると、
 そのまま抜け殻を背中に背負って、
 外敵から隠れている(つもり?)のだ。

 

 

 

ジンガサハムシ???

2013年7月15日 ベンセ沼・青森

食草であるヒルガオの葉っぱに、
金色に輝くジンガサハムシを発見。

でも、何か、触角の位置が変????

 

 


スキバジンガサハムシ(ハムシ科)

2013年7月15日 ベンセ沼・青森

近づいて良く見たら、下にもう一匹いた!!!

さりげなく、交尾中だったのだ。


この子たちは、多分スキバジンガサハムシだろう。

ジンガサハムシとの違いは、ま横から見たとき、
スキバの方が、背中(小楯板の後端付近)が、
隆起せず、なだらかであることで区別できるようだ。

 

 

 

スキバジンガサハムシ(ハムシ科)

2013年7月15日 ベンセ沼・青森

それにしても、見事な金色(ゴールド)だ。

まるで、透明なプラスチックの容器の中に、
虫がいるように見える。

この透明な部分は、一体何のためにあるのだろうか?


⇒今回の写真では、交尾中なので、わかりにくいが、
 葉っぱに、隙間なくピタッと張り付いていると、
 カマキリやクモのような捕食者が、
 掴もうとすると、ツルッと滑ってしまう感じで、
 うまく捕獲できない可能性は十分あると思うのだが・・・

 

 

 

スキバジンガサハムシ(ハムシ科)

2013年7月15日 ベンセ沼・青森

多くの場合、ハムシの仲間は、捕食者(人も含めて?)が、
近づいてくるのを察知すると、ポロッと下に落ちてしまうが、
ジンガサハムシの仲間には、そんな行動は見られないようだ。

私のあまり多くない経験上からも、こんな習性は、
何かしらの「防御手段」を持つ虫たちに多く見られる。


⇒有毒植物とされるヒルガオが食草なので、
 上記③のように、よく目立つ金色は、
 警戒色と考えるのが自然である。

 


別の機能として、もし仮に、
何かに擬態しているとしたら、
やっぱり、鳥の糞なのだろうか?


⇒このブログで、何度も紹介しているように、
 鳥の糞は、緑の葉っぱの上で、良く目立つが、
 捕食者は、「即座に食べ物ではない」と判断して、
 擬態者を食べようとしない(上記①)。

 

 

・・・このように、

スキバジンガサハムシは、幼虫時代も含めて、
実に様々な防御手段を持っている。

当然、これらの防御手段を、
「捕食者の種類によって、使い分けている」
とも言えるのだ。

   

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金属光沢の甲虫類① アオカミキリ


太陽ギラギラの熱帯だけではなく、
日本国内にも、さらに北国にも、
さりげなく鮮やかな金属光沢を持つ虫たちがいる。

有名なのは、タマムシ、キンカメ、ゼフィルスなどだが、
よりマイナーな金属光沢の虫たちもいる。


今回から数回に分けて、あまり有名でない、
身近な金属光沢の虫たちを紹介したい。

 


最初は、アオカミキリ・・・・


 

最近、捕虫網をあまり持たなくなったので、
カミキリに出会う機会が減ってきたのだろうか?

ミズキやカエデの花に集まるカミキリを、
ネットで捕獲することがなくなった。


高い木の花に集まるカミキリは、当然、
なかなか写真には撮ることができないのだが・・・

 

 


アオカミキリ(カミキリムシ科)

2013年8月15日 白岩森林公園・青森

結構低い位置にあるリョウブの花に、
珍しくキラッと光るカミキリを見つけた。

体全体が、鮮やかな緑~青緑に輝いて、
タマムシのようなイメージもあるカミキリだ。


 

 

アオカミキリ(カミキリムシ科)

2013年8月15日 白岩森林公園・青森

おそらく、日本のカミキリムシの中では、
大型で金属光沢のある種類は少ないはずで、
こんな間近で見ると、なかなかの迫力である。

 

 


アオカミキリ(カミキリムシ科)

2013年8月15日 白岩森林公園・青森

しかも、こんな恐ろしい顔をしながら、
さりげなく、花の蜜を舐めている?

この違和感が、何ともいえず不気味だ。

 

 


アオカミキリ(カミキリムシ科)

2013年8月15日 白岩森林公園・青森

これ、もしかしたら、花を食べている?

虫たちの中には、タマムシやゼフィルスのように、
金属光沢を持った種類が少なくない。

このような金属光沢は、よく目立つので、
警戒色としての役割がありそうだが・・・

 

 


アオカミキリ(カミキリムシ科)

2013年8月15日 白岩森林公園・青森

しかし、防御手段に裏打ちされない警戒色は、悲惨である。

以前紹介したように、こんなことになってしまう。
↓  ↓  ↓
不思議な金属光沢
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20101130/1/

この目立つ色は、捕食者が学習すると、
格好のサーチングイメージとなってしまうのだ。


アオカミキリも含めて、カミキリの仲間が、
有毒成分を持っているとは考えにくいので、
少なくとも、この色は、警戒色ではなさそうである。

 

(次回以降で、こんな金属光沢の役割を考えてみたい)

     

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早春の美しい虫たち⑦/⑧

私だってタマ: シロオビナカボソタマムシ

 
タマムシというと、多くの人が、
キンキラキンのヤマトタマムシを思い浮かべ、
さらに、法隆寺にある「玉虫の厨子」を連想すると思う。

ところが、日本のタマムシは、ほとんどの種類が、
本日紹介するシロオビナカポソ夕マムシのように、
約1cm足らずの小さな虫である。

 


シロオビナカボソタマムシ(タマムシ科)
 
2011年5月31日 だんぶり池・青森

だんぶり池の林道で、キイチゴの葉の上に、
何だか・何だか、虫が集まっているのが目にとまった。

 
 

シロオビナカボソタマムシ(タマムシ科)
 
2011年5月31日 だんぶり池・青森

交尾中のカップルに、別の(多分雄?)が近寄っているようだ。
昆虫の世界では、まぁ、よくあることであるが・・・


 

シロオビナカボソタマムシ(タマムシ科)
 
2011年5月31日 だんぶり池・青森

本種は、タマムシの中では、最も普通に見られる種類である。
だんぶり池で、キイチゴの葉っぱを探すと、たまに見かける。

個体数が多いとはいえ、腐ってもタマムシである。
イタドリハムシの発見個体数を100とすると、
この子は、0.1位である。

 
 

シロオビナカボソタマムシ(タマムシ科)
 
2011年5月31日 だんぶり池・青森

サイズ的にも、こんな感じに見える。

 


シロオビナカボソタマムシ(タマムシ科)
 
2011年5月31日 だんぶり池・青森

最初は、目立たない地味な色のイメージがあったが、
よく見ると微妙な金属光沢があり、なかなか美しい。

さすが、タマムシである。

 

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早春の美しい虫たち⑤/⑧

金色のバランス: ウスベニヒゲナガ


今回の蛾は、ちょっとだけ不思議である。
比較的目立ちやすい金属光沢の体に、
雄は体長の2倍以上ある長い触角を持っている。

昨年、同じ仲間のホソオビヒゲナガガを紹介した。
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20100920/1/

このときもそうだったが、正式和名には、
最後のガが、いらないらしい。
したがって、ホソオビヒゲナガウスベニヒゲナガが正しい。

しかし、ネット上では、ほとんど人が、
科名が「ヒゲナガガ科」である影響か、
ガが一つ多いタイトルのような和名を用いているようである。


今回は、雌の写真も撮れた。、
触角は、まあ普通より、やや長いかという程度である。

どうやら雄の長い触角は、
交尾行動に関係している可能性がありそうである。

 

ウスベニヒゲナガ雄(ヒゲナガガ科)
 
2011年6月1日 志賀坊森林公園・青森

最初に、見つけたときには、こんな感じで、
白くて必要以上に、長い長い触角が目立っていた。

 
 

ウスベニヒゲナガ雄(ヒゲナガガ科)
 
2011年6月1日 志賀坊森林公園・青森

もちろん長い触角は、風の影響か、
あるいは自分で動かしているのか、
ゆらゆら微妙に、揺れていた


 

ウスベニヒゲナガ雌(ヒゲナガガ科)
 
2011年6月1日 志賀坊森林公園・青森

すぐ近くで、雌を見つけた。

こちらは、雄の触角の半分以下の長さで、
根元の半分ほどは、真っ黒だった。




ウスベニヒゲナガ雌(ヒゲナガガ科)
 
2011年6月1日 志賀坊森林公園・青森

別の角度から見ても、明らかに丈夫そうな触角である。

 
 

ウスベニヒゲナガ雄(ヒゲナガガ科)
 
2011年6月1日 志賀坊森林公園・青森

最初に、雌雄の触角の長さの違いから、
交尾行動に何らかの関与をしている可能性があると書いた。
 

いつか、それを確かめてみたい。
 

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早春の美しい虫たち③/⑧

ルージュの伝言: ハネビロアカコメツキ

早春の美麗種の三番目は、多分珍品です。
しかし・・・・・タイトルがちょっと古いか?

 

ハネビロアカコメツキ(コメツキムシ科)
 
2011年5月25日 だんぶり池・青森

だんぶり池のフキの葉の上で、偶然に、しかも幸運にも、
ハネビロアカコメツキ【注1】を見つけた。

おそらく、近くの朽木から羽化して、飛んできたのだろう。

 

ハネビロアカコメツキ(コメツキムシ科)
 
2011年5月25日 だんぶり池・青森

実際のサイズは、こんな感じで、
写真では地味な赤い色であるが、
太陽の光に当たると、上翅がまさに紅色に輝く。

 

ハネビロアカコメツキ(コメツキムシ科)
 
2011年5月25日 だんぶり池・青森

拡大した写真で見ると、微妙な黒い縦線が入っている。
これが何ともいえず、良い!!

 

ハネビロアカコメツキ(コメツキムシ科)
 
2011年5月25日 だんぶり池・青森

この写真が一番分かりやすいが、
この子は明らかにベニボタル類に擬態していいる。
6月2日のブログでも、取り上げたが、
おそらくベイツ型擬態であろう。

 

ハネビロアカコメツキ(コメツキムシ科)
 
2011年6月3日 だんぶり池・青森

約10日後、別な場所で、別の個体を発見。
一枚だけ、マクロレンズで撮影できたが、
あっという間に飛んで行ってしまった。

 

【注1】種名不詳の甲虫類は、例によって、
    当ブログの唯一のリンク先の記野直人氏にお願いしたが、
    近似種が多く、しかも標本がないので、
    種名は「確定」ではないとのことです。

    ここでは、一番近い(?)とされたハネビロアカコメツキとしておきます。



 

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