虫を食べる野鳥類③ アオゲラ
野鳥類が、どんな種類の虫たちを食べているかは、
直接観察しなくても分かる良い方法がある。
ちょっと残酷な気がするが、
捕獲した野鳥類を解剖すれば、
胃の中に残っている残骸から、
虫の種類を特定することができる。
鳥の場合には、獲物を丸呑みすることが多く、
虫たちは堅い外骨格があるからだ。
・・・その例は、最後に
第3回目の虫を食べる野鳥類は、
キツツキの仲間、アオゲラである。
日本各地の山地から平地まで、
森の中でも、林縁部でも、比較的よく見かける。
アオゲラ(キツツキ科)
2012年5月13日 志賀坊森林公園・青森
赤色の丸印の中に、アオゲラが後ろ向きに写ってる。
日本だけにに、留鳥として生息する固有種である。
志賀坊森林公園の遊歩道はあまり人がいない。
不思議と、一人で林道を歩いていると、
キツツキが、連続して木を叩く特徴的な音が聞こえる。
何となく、懐かしいが、ちょっとだけ寂しげな音である。
アオゲラ(キツツキ科)
2012年5月13日 志賀坊森林公園・青森
これが、よく見かけるキツツキ類が、
木を叩くときの、典型的な止まり方である。
頭の後ろは赤いし、羽根は黄色っぽい。
何故、アオゲラという名前なのだろうか?
アオゲラ(キツツキ科)
2012年5月13日 志賀坊森林公園・青森
キツツキ類は、樹木の内部にいるカミキリの幼虫などを、
幹を上下しながら、探し出して食べるという印象が強い。
しかし実際には、木の枝に止まって、
そこから見つけることができる虫たちを食べることも多い。
さらに、地表でも採食を行い、アリも採餌することが観察されている。
もちろん、果実も食べることもあるようだ。
それでは、実際にアオゲラは、自然状態で、
どんな虫たちを食べているのだろうか?
昔、虫たちの様々な防御手段の実際の効果を確認するため、
野鳥類の胃の内容物を調べた報告書を、必死に調べたことがあった。
その文献によると、アオゲラは、
アリ類、スズメバチ、ハバチ幼虫、コメツキ幼虫、イタドリハムシ、
アカボシキクスイ、コゴモクムシ、アオハラアカゴミムシ、アカヘリサシガメ、
クサギカメムシ、アブラムシ類、ゴキブリ類、クモ類などを食べていた。
(⇒虫の名前は原著のまま)
上のリストの中で、興味深いのは、以下の3種である。
スズメバチ(武器:警戒色)
イタドリハムシ(不味成分:警戒色)
クサギカメムシ(防御物質:保護色)
このブログで、過去に何回も紹介してきたような、
擬態のモデルになっている種や、
体内に不味成分(?)を持つ警戒色の虫たちが、
さりげなく食べられていたのである。
もちろん、このことで、虫たちの防御戦略が、
完全に否定されるわけではない。