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  • 2017.05
擬態??①/④ 心霊写真


このブログで、何度か取り上げているように、
虫たちが創り出した様々な模様の中に、
我々人間が見ると、人や動物の顔が写し出されることがあり、
まるで、心霊写真のように見える。
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110806/1/
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20121119/1/

人や動物の顔?
 
左上: エゾシモフリスズメ 登別温泉・北海道(20110719)
右上: ヒメサザナミスズメ 酸ヶ湯温泉・青森(20100815)
左下: ヒメクチバスズメ  酸ヶ湯温泉・青森(20120608)
右下: スジモンヒトリ   遠軽・北海道(20110716)


上の写真は、全て蛾の体の一部に、
鱗粉で創り出された人や動物の顔である。

もちろん、この模様は、見る側が勝手にイメージしたもので、
個体ごとに完成度(?)は、微妙に異なる。





さらに、・・・


ほとんどの人がイメージできるほど完成度が高く、
比較的有名なのは、名前の一部にもなっているこの子だ。
 
 
  クロメンガタスズメ(スズメガ科)
 
2011年10月1日 酸ヶ湯温泉・青森

背中の模様が、誰が見ても、人の顔のように見える。

ただし、これは、樹皮の模様や天井の汚れなんかにも、
我々が「何か」を見出してしまうのと同じであり、
おそらく虫たちにとっても、何の意味もないだろう。

 

もっと、言えば・・・


以前紹介した昆虫アルファベットも、同じジャンルになると思う。
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110213/1/
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110217/1/
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110220/1/
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110224/1/
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110227/1/



昆虫アルファベット
 
(詳細な種名は、上記ページでご確認ください)

こんなイメージの模様も、我々人間が勝手に創り出したもので、
上の心霊写真と同じように、虫にとって、特に適応的な意味はない。


まあ、虫マニアの遊びのようなものである。

 

 

しかし、外敵に対する防御効果に関して、
もう少し完成度の高い模様もある。


もしかしたら、適応的意味があるかもしれない例だと思う。
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130824/1/
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20140915/1/

立体的な蛇の模様?
 
左: ウスベニアヤトガリバ 城ヶ倉・青森(20130727)
右: アヤトガリバ     木賊峠・山梨(20140819)

 
一体どうやったら、こんな模様が出来上がるのだろうか?
もちろん、これは、何らかの淘汰圧が働いた結果だと思う【注1】


最初は、体の一部の模様が、最初に示したような、
心霊写真のイメージだったはずだが、
その完成度には、格段の差がある。

明らかに、蛇の模様は、立体的に縁どられた枠の中にあり、
見る角度によって、立体が微妙に変化するのだ。

このようなヘビの模様(絵)が、何かのキッカケ(?)で、
その模様を有する個体の方が、ちょっとだけでも、
生存に有利な状況が、有ったのかもしれないのだ【注2】

 

という訳で、今回紹介した模様は、現時点では、
実際の防御効果に関して「????」だろう。


しかし、次回【②/④】紹介する例は、
体全体のイメージであり、多少とも、
外敵に対する防御効果がありそうだ。

 

 

【注1】このヘビは、鱗粉の微妙な色合いと、濃淡によって、
    前翅に描かれた模様なのである。

    ムラサキシャチホコの枯れ葉の模様と同じ手法(?)である。

    良く見ると、中に見えるヘビは、
    下の方が、蛾の胴体とピッタリ繋がっているので、
    描かれた絵の完成度は、かなり高い!!!

 


【注2】このような模様が、心霊写真的なものではなく、
    より鮮明に見えるようになった背景は、
    一般的には、捕食者との関係から考えるのが普通だ。

    もしかして、・・・・いや間違いなく、
    このようなヘビに見える模様を、
    本能的に嫌う外敵がいるはずなのだ。

    ただ、捕食者の方も、じっくり見れば、
    偽物だとすぐに分かるはずなので、
    その防御効果は、ほんの一瞬であると思う。

    捕食者の攻撃を、ちょっと躊躇させるだけで、
    逃げ延びることが出来る状況は、結構あるだろう。


    もちろん、実際の外敵に対する防御効果については、
    慎重に考察すべきである。

    最大の問題点は、実際の外敵とのサイズの違いだ。
    虫のような小さな獲物(?)が、捕食者の実際の天敵とは、
    サイズの違いがありすぎるからだ。

    この点については、④/④で考えてみたい。

 

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【2014/12/01 06:15 】 | 防御行動 | 有り難いご意見(0)
春の珍事?! ⑥ イチモンジカメノコハムシ


このシリーズも、6回目となって、
そろそろ「ネタ切れ」か?
と、言うような雰囲気が漂っている。


しかし、春の珍事は、さりげなく続く・・・


今回は、以前に、幼虫を紹介したことのある、
ちょっとだけ不思議なイチモンジカメノコハムシだ。
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130803/1/

自分の糞を背中に、半分隠れる状態で背負って、
まあ、笑えるくらい中途半端に隠れていた子である。

 


実は、成虫も、やっぱり、さりげなく・・・

 

 

イチモンジカメノコハムシ(ハムシ科)

2014年4月25日 ひたちなか市・茨城

体全体を、すっぽりと丸いカバーで覆っているのだが、
これが、また中途半端に半透明である。

どうして、わざわざ、こんな手の込んだ(?)ことをするのか?

 

 


イチモンジカメノコハムシ(ハムシ科)

2014年4月25日 ひたちなか市・茨城

普通に歩いているときは、このように、
触角も、脚も、カバーからはみ出している。

 


ところで・・・

多くのハムシの仲間は、捕食者(人も含めて?)が、
近づいてくるのを察知すると、ポロッと下に落ちてしまうが、
この子には、そんな行動は、全く見られない。

逆に、人が近づくと、本物のカメのように、
全く動かなくなってしまうのだ。

 

 

 

イチモンジカメノコハムシ(ハムシ科)

2014年4月25日 ひたちなか市・茨城

こうなると、葉っぱを軽くゆすっても、動こうとしない。

すぐに擬態とか言い出すという人もいるかもしれないが、
何かに擬態しているとしたら、やっぱり鳥の糞だ。

 

 

 

イチモンジカメノコハムシ(ハムシ科)

2014年4月25日 ひたちなか市・茨城

おそらく野鳥類は、こんな姿を見たら、
餌にしようとは、思わないだろう。


もちろん、獲物が動いた瞬間に捕獲するタイプの捕食者、
カマキリやハエトリグモとも、我慢くらべが続くのだろう。



 


そして、この半透明カバーには、
信じられないほどの重要な役割があるのだ

 

 

イチモンジカメノコハムシ(ハムシ科)

2014年4月25日 ひたちなか市・茨城

名前どおりに、触角と全ての脚を、
半透明カバーの部分に隠して、カメのようになってしまうと、
葉っぱとの間に、全く隙間がなくなり、
ピッタリと張り付いたようになるのだ。


もし仮に万が一、この「鳥の糞」を捕獲しようとしても、
ツルッと滑ってしまう感じで、
全く、物理的にも、捕まえることはできないだろう


・・・と言う、掴みどころのない春の珍事でしたemojiemojiemoji

     

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【2014/05/21 06:14 】 | 防御行動 | 有り難いご意見(0)
君はミノムシ? クサカゲロウ幼虫??


いきなりですが・・・

 


枯れ葉?

2013年9月7日 白岩森林公園・青森

緑色の葉っぱの上に、小さな枯れ葉の塊(=塵)がある。

 

 


枯れ葉??

2013年9月7日 白岩森林公園・青森

でも、よく見ていると、かすかに動く。

 

 

クサカゲロウ幼虫(クサカゲロウ科)

2013年9月7日 白岩森林公園・青森

もっと、よく見ると、下に足や腹部が確認できる!!

クサカゲロウ(種名不詳)の幼虫が、
自分の体に、【その辺に落ちている】枯れ葉などの塵を、
さりげなく付着させているのだ。

 

 

さらに・・・

 

 

枯れ葉?

2013年10月7日 弘前市・青森

緑色の葉っぱの上に、小さな枯れ葉の塊(=塵)がある。

 

 


枯れ葉??

2013年10月7日 弘前市・青森

でも、よく見ていると、かすかに動く。

 

 


ニトベミノガ幼虫(ミノガ科)

2013年10月24日 弘前市・青森

もっと、よく見ると、前方に小さな頭部がある。

これは、ニトベミノガの幼虫が、
多分【自分で切り取った?】枯れ葉や枯れ枝などで、
さりげなくミノを作って隠れているのだ。

 


このように、本物の枯葉や枯れ枝を、
うまい具合に、身に付けていれば、
このブログで今まで紹介してきた「擬態する虫たち」のように、
苦労して自分の体そのものを、変化させる必要はないのだ。

 

 


ここで、ミノムシとクサカゲロウの違いについて、
もう一度、詳しく見てみよう。

 

クサカゲロウ幼虫(クサカゲロウ科)

2013年9月9日 だんぶり池・青森

これは、どうみても、葉っぱの上のゴミだ!!

 

 


クサカゲロウ幼虫(クサカゲロウ科)

2013年9月13日 だんぶり池・青森

だんぶり池では、時間が沢山ある場合が多いので、
結構熱心に(?)虫を探すのだが、
枯れ葉(?)が動かなければ、多分私も見逃していただろう。

 

 

今度は、ミノムシ・・・

 

 

ニトベミノガ幼虫(ミノガ科)

2013年10月21日 弘前市・青森

ミノムシの方は、クサカゲロウより、多少探しやすい。


理由はお分かりだろうか?


ミノムシには、必ず葉っぱに食痕が残るのだ。

捕食者であるクサカゲロウ幼虫には、
当然、葉っぱに食痕は見当たらない。

 


というわけで、以下も元記事もご覧ください。


擬態よりすぐれているのか? フタモンクサカゲロウ
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110107/1/


擬態より完璧??? ニトベミノガ
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20131029/1/

 

         

拍手[17回]

【2013/12/05 06:14 】 | 防御行動 | 有り難いご意見(0)
擬態より完璧??? ニトベミノガ幼虫

このブログで何度か紹介したように、
自分自身の姿かたちを、枯れ葉や枯れ枝に似せて、
外敵から身を守っている虫たちは、少なくない。


マエグロツヅリガ 保護色から隠蔽的擬態へ
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20120729/1/


 
隠蔽的擬態? 非食物擬態?? ムラサキシャチホコ
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130818/1/



しかし、これから紹介する子の考え方は、
ミラクル擬態するムラサキシャチホコの斜め上を行くのだ。

苦労して、自分自身の体を、
枯れ葉や塵に似せるなら、
最初から本物を体に付着させれば、
それに勝る隠れ蓑はないし、
より現実的で良いじゃないか?

その代表が、クサカゲロウの幼虫である。

擬態よりすぐれているか? クサカゲロウ幼虫
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110107/1/


 

そして・・・・・もっと有名な虫がいる。

 

 

ん!!! 枯れ葉? 枯れ枝??

2013年10月7日 弘前市・青森

シロシキブの葉っぱの上に、枯れ葉が落ちている。
よく見ると、枯れ葉だけでなく、枯れ枝もある。

でも、葉っぱの表面に、何かにかじられたような痕跡が・・・

 

 


ニトベミノガ幼虫(ミノガ科)

2013年10月7日 弘前市・青森

別のとこにも、枯れ葉の固まりがあるが、
同じように、葉っぱの表面がかじられている。


この枯れ葉は、ミノムシのようだ(注)


ただ、良く知られているオオミノガは、
弘前にはいないので、どうやら、この子は、
ニトベミノガという別種の幼虫のようである。

 

 


ニトベミノガ幼虫(ミノガ科)

2013年10月7日 弘前市・青森

となりのハマナスの葉っぱにも、2匹発見。

こちらは、あちこちに食痕があって、
庭木が害虫に食害されている状況である。

このように、ミノムシは、
樹木の葉や果実の表面を食べて、
外観を損なわせるため、
昔から植木や果樹の害虫として良く知られている。

 

 


ニトベミノガ幼虫(ミノガ科)

2013年10月24日 弘前市・青森

この写真は、半月ほど経過してから撮ったのだが、
やっぱり、枯れ葉が落ちているようにしか見えない。

そして・・・・、
ハマナスにいるミノムシは、
枯れ枝を使用していないことに、
写真を見て、初めて気が付いた。

シロシキブにいるときには、
扱いやすい小枝も利用するようだ。


 


ニトベミノガ幼虫(ミノガ科)

2013年10月24日 弘前市・青森

ミノムシ(ミノガ幼虫)は、
落ち葉や枯れ枝のごみの中に、
隠れるのではなくて、自らの体に、
それをくっつけてしまうのである。

こうすれば、自由にどこでも歩き回ることができるし、
もし・仮に・万が一、捕食者に見つかってしまっても、
蓑の中に隠れていれば、蓑ごと食われてしまうことはない。

これは、2重に防御効果を持つことになるので、
枯れ葉に擬態するよりも、ほぼ完璧に、
捕食者から、自分の身を守ることができるだろう。

ちなみに、ニトベミノガは、若齢幼虫で越冬するので、
この写真のミノムシは、春に成虫が脱出した後の蓑である。


(注)ミノムシ(蓑虫)は、
   ミノガ科のガの幼虫の総称であるが、
   一般には、その中でもオオミノガの幼虫を指す。

   オオミノガの分布北限は、
   山形県(日本海側)と岩手県(太平洋側)とされており、
   仮に植木などについて運ばれたとしても、
   弘前での越冬は難しいと思われる。

   オオミノガを含めて、昔から日本では、
   ミノムシの存在は、広く知られていて、
   その蓑を加工した和風の財布やしおりが、
   民芸品として売られていた。

   ところが、1990年代後半からオオミノガは激減した。

   原因は、オオミノガにだけ寄生する外来種のオオミノガヤドリバエである。

   その寄生率は、5割~9割に達すると言われており、
   ミノムシは、各地で絶滅危惧種になってしたったのである。

   

     

 

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【2013/10/29 07:25 】 | 防御行動 | 有り難いご意見(0)
虫たちの防御戦略⑮/⑮ 防御行動の進化

この地球上に存在する捕食者と被食者が、
それぞれ生き残っていくために、様々な工夫をしていることは、
数枚の写真を見るだけで、何となく想像できる。

いや、たった1枚だけの写真でも、
生き物たちが、食べるものと、食べられるものに、
分かれてしまう宿命のようなものを感じるし、
その関係の中で、一体どんなことが起こっているのかを、
さりげなく考えさせてくれるのだ。


虫たちは、これまで連続で紹介してきたように、
捕食者に対する様々な防御手段を進化させてきた。

しかし、そのどれをとってみても、個体が行なう防御行動は、
絶対的な効果のあるものではなかった。


これは、捕食者の側からみても、全く当然のことであり、
彼らも生きるために、あるいは子孫を残していくために、
他の生物を、食物源(餌)としなければならない。

だから、被食者の行う様々な防御行動に打ち勝つために、
捕食者も、それそれの対抗手段を、進化させてきたのだ。

 

私が、個人的に非常に興味を持っているのは、
自分の姿かたちを、他のものに似せることによって、
外敵を騙して身を守る「擬態」という戦略である。

小さな虫たちが、何か別のものに似せるというやり方は、
「捕食者に食べられないようにするための手段」としては、
手っ取り早く行える最も簡単な方法なのかもしれない。


でも、この方法にも、その完成度(?)は、
ピンからキリまであり、程度の差があるにもかかわらず、
みんな生き残っているのだ。

その中で、最も興味深いのが、ミラクル擬態である。
捕食者側の視覚による識別能力が、よりシビアになればなるほど、
やり過ぎとも思えるミラクル擬態出現の可能性が出てくる。

ハイイロセダカモクメやアケビコノハの擬態を見ると、
そのような虫たちには、中途半端な妥協を許さない、
視覚に優れた捕食者の存在が、見え隠れするのだ。

 

では、何故、みんながミラクル擬態にならなくても、
生き残ることができたのだろうか?

一見、中途半端に見える擬態者は、これからも、
本当にそのままで良いのだろうか?

 

今回は、虫たちの防御戦略⑮として、蛇足ではあるが、
そんなことを考えてみたいと思う。


目立たなくする隠蔽的擬態【Mimesis】の場合には、
あまり葉っぱや枯れ枝に似てなくても、
基本的には、目立たなくする方に向かっているので、
中途半端(未完成?)なものでも、
捕食の機会を、少しは減らすことができるのだろう。


この場合には、何となく理解できるような気がする。

枯れ葉に見せかけた蛾を例に、その擬態の完成度を比較してみよう。


クロズウスキエダシャク(シャクガ科)

2010年9月8日 白岩森林公園・青森

色彩と模様が、やや枯れ葉を思わせる程度で、
輪郭は、葉っぱというより、蛾である。

 

オビカギガ(カギバガ科)

2012年6月26日 道の駅万葉の里・群馬

もう少し枯れ葉の色彩に近づき、しかも、
翅の両端がとんがって、葉っぱの葉柄を思わせる。

 

クロホシフタオ(ツバメガ科)

2010年9月8日 白岩森林公園・青森

翅に深い切れ込みが入って、より枯れ葉に似てくる。

 

マエグロツヅリガ(メイガ科)

2012年7月21日 白岩森林公園・青森

さらに、翅が内側に巻き込み、頭部が葉柄にみえる。
ここまでくると、どう見ても枯れ葉である。

ミラクル擬態と呼んでよいレベルであると思う。

 

アカエグリバ(ヤガ科)

2007年10月5日 徳島市・徳島

これは、どうみても枯れ葉である。

多分、本物の落ち葉の中にいれば、
誰も見つけ出すことはできないだろう。

 

このように、枯れ葉に擬態する虫たちにも
様々な程度のものが混在している。


そして、あまり完成度が高くない場合でも、
全く問題なく生き残っているのだろう。

 

 

しかし、目立たせる標識的擬態【Mimicry】の場合には、
あまりモデルに似ていないと、中途半端に目立つようになって、
捕食者に発見されやすくなり、その目立つだけの姿かたちは、
むしろ逆効果になってしまう可能性がある。

 

今度は、ハチに似せた蛾を例に、その擬態の完成度を比較してみよう。


トンボエダシャク(シャクガ科)

2010年8月1日 だんぶり池・青森

ごく初期の段階のハチ擬態である。
まあ、このようなハチもいることはいるが・・・

 

コスカシバ(スカシバガ科)

2010年7月27日 だんぶり池・青森

翅が透明になり、胴体の感じも、ハチに近づいた。

 

ホシホウジャク(スズメガ科)

2010年11月10日 新木場公園・東京

飛んでいる格好は、ハチであるが、
静止状態では、蛾である。

 

クロスキバホウジャク(スズメガ科)

2011年7月3日 白岩森林公園・青森

こちらは、止まっていてもハチを思わせる。

より、ハチの姿に似てきている。

 

セスジスカシバ(スカシバガ科)

2011年9月8日 白岩森林公園・青森

これで、ハチ擬態の完成だ。

初めて見た人は、これが蛾であるとは思わないだろう。

 

何故、このような良く目立つ標識的擬態者の場合にも、
ほぼ完全なハチ擬態者がいる一方で、
不完全に目立つ擬態者が、生き残っているのだろうか?


考えられる一つの理由は、捕食者にとってみれば、
人間が毒キノコを、見分けるのと同じように(?)、
それを食べるか食べないかは、命がけの選択なので、
ちょっとでも怪しいと思えば、手を出さないのかもしれない。

多分、Ⅲ(2).で少し考えたように、カトカラ類が飛び立つ直前に、
突然見せる後翅の模様が、赤系統の目立つ色以外にも、
青や白、黒色まで、様々なタイプがあり、みんなそれぞれが、
立派に生き残っていることと関係するのかもしれないのだが・・・・


もう一つの理由として、最もありがちな回答であるが、
擬態者の数と、モデルの数のバランスなのかもしれない。

モデル種の数の方が圧倒的に多い場合には、
過去のモデル種での嫌な経験を覚えていて、
擬態者があまり似ていなくても(不完全でも?)、
捕食者は擬態者を避ける傾向が強まるだろう。

だから、一般的なハチの仲間に似せているエダシャクやホウジャク類は、
モデル種の数の方が、擬態者の数より(多分)かなり多いので、
あまり似ていなくても良かったのかもしれない。

一方で、特定のハチの種がモデルになっているセスジスカシバの場合には、
どうしても、数のバランスが微妙である。

セスジスカシバ(擬態者)とキイロスズメバチ(モデル)を比較した場合、
実際に野外で見かける個体数は、どちらが多いのだろうか?

そんなことはありえないだろうが、
もし、モデルの数より擬態者の数の方が多ければ、
捕食者は、危険なモデルよりも、無害な擬態者に遭遇する頻度が高くなって、
擬態者の発する信号は、あまり意味がなくなり、
逆に捕食されやすくなる可能性さえあるのだ。

⇒隠蔽的擬態のように、枯れ葉がモデルの場合には、
 どう考えたって、枯れ葉の方が多いに決まっている。
 だから、枯れ葉にあまり似てなくても、大丈夫なのかもしれない。

 

全ての擬態者が、ミラクル擬態を目指す必要がない、
3番目に考えられる理由がある。

姿かたちが有毒あるいは危険なモデルによく似ること以外にも、
擬態者の行動(動き方)が、重要な意味を持っているのだ。

例えば、ハチに擬態するトラカミキリ成虫は、
細かく触角を振りながら、ハチのような歩き方をするし、
有毒のベニモンアゲハに擬態するシロオビアゲハのメスは、
モデルと同じようにふわふわと飛ぶ。

この動き方まで似せることは、特に遠くから獲物を見つける捕食者には、
有効な手段であり、姿かたちの類似性が不十分であることを、
かなりカバーすることができるのだ。

逆に言うと、モデルが動く場合には、当然その行動まで似せなければ、
形状がどれだけ似ていても、その効果が薄くなってしまうことも意味している。

 

もちろん、この3つの理由以外に、重要なことががあるのかもしれない。

もっと言えば、完成度の違う擬態者がいることは、別に何の意味もなし、
不思議でもなんでもないのかもしれない・・・・・

 


最後に、ちょっとだけ遠目に撮った3枚の写真を、ご覧ください。

このような写真は、普段あまり目にすることはないと思うが、
実際に獲物を探す野鳥類が見ると思われる景色(?)を想定したものである。

⇒いつもより大きい画像です。
 写真をクリックして、ミラクル擬態を実感してください。

 


マエグロツヅリガ(メイガ科)

2012年7月21日 白岩森林公園・青森

ちょっとした風でも、今にも落ちてしまいそうな枯れ葉。
(蛾に見えるが、やっぱり枯れ葉だろうな・・・)

 

セスジスカシバ(スカシバガ科)

2011年9月8日 白岩森林公園・青森

遠くに、怖い怖いスズメバチ。
(危ないから近づくのはよそう・・)


ヒトツメカギバ(カギバガ科)

2012年9月13日 芝谷地湿原・秋田

落下してきた直後の鳥の糞。
(あんなもの食べ物ものではないよ・・・)

 

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【2013/03/10 06:57 】 | 防御行動 | 有り難いご意見(0)
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