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さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。 従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。
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虫たちの中には、人間の想像をはるかに超えて、
大集団を形成する種類がいる。
最初は、なんでそんなに大きな集団になるのか、
なかなか説明がつかなかったようだ。
しかし、最近では(とは言っても半世紀ほど前だが)、
天敵からのエスケープと呼ばれる明快な説明がなされている。
アメリカには、周期ゼミと呼ばれる数種のセミがおり、
17年周期のセミが3種、13年周期の4種が確認されている。
(⇒当然のことながら、それぞれ、生息する地域と発生する年が異なる)
最も有名な有名な17年ゼミは、世界で最も長生きするとも言われている。
何と17年間も地中で過ごした幼虫が、特定の年に一斉に羽化するのだ。
このセミは捕まえるのが容易で、有毒成分や武器を持たないため、
野鳥などの捕食者の餌食にされやすい。
しかし、ある地域に、何万匹というセミが一斉に出現した場合には、
とても、そこにいる捕食者が、食べきれるものではない。
この現象を「天敵からのエスケープ」と呼ぶのだ。
そして、この話には続きがある。
十分すぎるほどの餌があると、その年の捕食者の数は、必然的に急増する。
しかし、捕食者にとって不幸なことに、大発生した年の翌年以降は、
17年も好適な餌であるセミの姿は、全くなくなってしまうのだ。
そのため、急増した捕食者は、急激な餌不足となり、
再び17年間にわたって、細々と(?)生活しなければならないのだ。
アメリカには、もうひとつ、ものすごい数の集団がいる。
これも、今ではすっかり有名になったオオカバマダラの集団越冬である。
夏の間、北米カナダなどで発生を繰り返したオオカバマダラは、
8月下旬に蛹から羽化した成虫が、そのまま交尾もせず、南へと移動を始める。
各地からやってきた小集団は、南へ移動するにつれて、
次々に、さりげなく合流していく。
そのため、目的地に近づくと、空を覆うばかりの大集団になるという。
そして、最後の目的地は、カリフォルニア州の太平洋沿岸の数か所と、
メキシコの2か所だけが、現在知られており、おそらく他にはないだろう。
不思議なのは、その場所でも、越冬に選ばれた木は限られており、
その木は、(写真で見る限り)オオカバマダラに埋め尽くされるのだ。
何故、こんなことが起こるのだろうか?
おそらく、オオカバマダラは、
北米の繁殖地でそのまま冬を越すよりも、
暖かい地域に移動して、バラバラに越冬するよりも、
大集団になって移動した地域の限られた数本の木で集団越冬する方が、
より生き残りやすかったのだろう。
今回は、写真がない!?・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・あります!
アメリカのセミやチョウほど、大きなスケールの話ではないのだが、
日本で見られる虫たちの中にも、多分それに近いことが起こっている。
かなり効率よく並んでいるオビカレハ幼虫。
多分鳥が来ても、食べきれるものではないだろう?
アメリカシロヒトリが、日本で大発生したのも、
幼虫が、集団で営巣し、天敵からのエスケープが、
その理由のひとつと言われている。
同じ日の同じ場所には、こちらも整然と並んで、
適度な密度で集団吸汁するアブラムシの仲間がいた。
この中の数匹が、テントウムシに食われても、
全く影響はないのだろう。
こちらのアブラムシは、整然と並んではいない。
あえて表現すれば、メチャクチャである。
増えすぎて(?)足の踏み場もないほど、重なり合っている。
右の拡大写真を見ると、アリがその上を歩いているのがわかる。
こんな状態のところに、天敵のテントウムシなんかが来るのか?
まあ、アリが守ってるのかもしれないが・・・
ジュウジナガカメムシ幼虫集団は、十石峠の林道で、
合計3か所で見つけている。
限られた範囲で、数個の大きな集団が見られたということは、
天敵からのエスケープというだけではない、何か別の説明が必要だろう。
その中で、一番考えやすい説明が、
「捕食者から見ると、同じような餌が沢山あり過ぎて、
特定の個体に注意を払えずに、リスクが分散する」
というものである。
もちろん彼らは、1匹が攻撃されると、アラームフェロモンを放出し、
バラバラになったり、地面に落下したりする。
さらに言えば、大集団になるということ自体が、
視覚で獲物を探す捕食者に対して、かなりの違和感を持たせ、
攻撃を躊躇させるような効果がありそうだ。
少なくとも、妻と娘は、毛虫やアブラムシの集団を見ただけで、
気持ち悪いと言って、それ以上近づくことはない。
虫を食べる捕食者が、それが大集団になっているのを見て、
「気持ち悪い」だとか、「こわい」とかの感情を持つかどうかは別にして、
おそらく「普段と違う!!」というビックリさせる効果である。
最後にまた、虫の話ではないのだが、こんな写真は有名である。
水族館のイワシの群れ。
多分これは、集団になって、
一匹の大きな魚に見せかけている(?)
虫たちの中には、食べ物ではないものに似せることにより、
捕食者の視覚を欺いて、身を守ろうとするものがいる。
Ⅱ(3)で紹介したように、枯れ葉や枯れ枝に擬態する虫たちは、
背景を間違えてしまったときに、捕食者が見つけても無視する。
だから、食べ物以外に擬態していると言えるのかもしれないが、
彼らは、基本的には目立たないタイプの隠蔽的擬態者なはずだ。
もっと積極的に、自分を目立たせ、捕食者に発見されやすいが、
すぐに興味を失うものに擬態する虫たちがいるのである。
キンキラキンの金属光沢の虫たちは、その名のとおり自分は金属で、
食べ物(生き物)ではないことを、訴えている可能性がある。
(⇒金属光沢は虫の体色であり、定義上は、Ⅱ(4)の警戒色かもしれない)
普通に考えれば、「金属のような生物」がいるのは、不思議だ・・・(注1)
この写真のように、アカガネサルハムシは、まさにメタリックである。
これだけ目立つのに、有毒種でもない(多分)し、武器も持っていない。
本当に、捕食者は、生物でないと判断して、
タマムシやルリハムシを食べないのだろうか?
実は、この戦略には、大きな落とし穴があったのである。
鳥類のような視覚的に獲物を探す捕食者の多くは、
獲物に対して、サーチングイメージができるので、
直前に食べた虫たちを狙う習性があるのだ。
もし、すごく目立つ金属光沢の虫たちが、
偶然に一度でも、捕食者に食べられてしまうと、
彼らは嫌な味も匂いも持っていないので、今度は逆に、
捕食者は、そればっかりを狙って食べるようになってしまう。
その証拠が、下の写真である。
これは、北海道で見つけた、多分クロテンの糞である。
実は、これとよく似た写真を1年後に、同じ北海道内で撮っているのだ。
これは、次の年に発見した糞を、少し崩してみたところである。
もしかしたら、収集家が見たら、目を覆いたくなるような、
もの凄い光景なのかもしれないが・・・
素人が、2年連続で、キンキラ糞を発見できるほど、普通にあるのだろうか?
ちょっとだけ不思議な気がする(注2)。
続いて、つながり良く(!)、鳥のフンに擬態する虫たちを紹介する。
地面に水平に広がっている大きな葉っぱの上には、
枯れ枝や花の残骸など、色々なものが落ちて来ている。
確かに、その中に紛れ込んでいると、
鳥のフンのような虫は、隠蔽的擬態であるような気もする。
しかし一方で、少なくとも、虫を探しながら歩く人間には、
葉っぱの上の鳥のフンは、よく目立つ。
同じく、虫を探しながら飛ぶ(歩く)鳥や動物にも、
よく目立つのだろうが、おそらく関心を引くことはないだろう。
つまり、捕食者が必死で探す虫(餌)のリストから、
食べられない鳥のフンとして、とりあえず外されていることは、
被食者にとっては、かなり大きい防御手段になっているはずだ。
おそらく蛾の幼虫だろう。
朝露に濡れて、まさに鳥のフンである。
すぐ近くには、越冬前のアマガエルが沢山いたが、
この幼虫は、全く食べられる気配がなかった。
この幼虫も、どう見ても鳥のフンである。
いつも、こんな感じで静止しているのだろうか?
それにしても、リアルである。
オジロアシナガゾウムシである。
どうも、白と黒のまだら模様があると、
鳥のフンに見えるようである。
これが、緑色の葉っぱの上にあると、
かなり良く目立つ。
これは、トリノフンダマシというクモの仲間である。
灰色の微妙な模様の腹部とのバランスは、明らかに、
鳥のフンを意識(?)しているのだろう。
思いきり近づいてみると、上の方に黄色く見えるのが、
見事に折りたたまれた脚である。
一番目立つ場所で、必死に演技しているようだ!!!
最後にひとつだけ、素晴らしい例を示そう。
遠目でみたときには、確かに鳥の糞であった。
近づいて見ると、多少違和感があるが、
ヒトツメカギバという蛾が、確かに交尾していた。
もちろん、違和感を感じたのは、
普通の蛾の交尾の状態ではないからである。
虫たちが、どんなに上手に擬態しようと、
左右対称の形態まで変えることはできないのだ。
ところが、この子たちは、明らかに、交尾することによって、
左右対称の本来の蛾の輪郭を消しているのだ!!!
こっちは、驚くべきことに、交尾は終わっているようだ。
(⇒時間的に、交尾前とは考えにくい?)
しかし、このように、ある程度重なったまま離れようとしない。
交尾が終わって、ただ名残を惜しんでいるわけではないのだ。
冷静に観察すると、この役者カップルの迫力のある演技(!)が理解できる。
このような、全体の輪郭を細長く見せるような重なり方は、
鳥の糞が、垂直に近い葉っぱの上に落ちて、
下の方に垂れ下がったような雰囲気を出しているのだ。
これは、偶然とは思えないし、見事というしかない!!!!!!
これが意識的に(?)演技しているのだとすると、
逆に言うと、最初のカップルの重なり方も、また見事である。
ほぼ水平の葉っぱの上で交尾する場合には、鳥の糞が、
水平の葉っぱの上に落ちて、隙間なくぴったりと葉っぱに密着して、
均等に広がった状況を、再現(?)していることになる。
ヒトツメカギバのオス成虫は、自分が止まっている葉っぱが、
水平に近いのか、あるいは垂直に近いのかを分かっていて、
雌雄の重なり方を変えているのだ。
是非、下の元記事をご覧ください。
↓ ↓ ↓
20120918 これは交尾擬態か? ヒトツメカギバ
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20120918/1/
(注1)生物が非生物特有の金属光沢を持つ意味は、色々考えられる。
捕食者と被食者との関係に限ってみれば、
① 単純に、キラキラ光るものを、捕食者は食べ物と認識しない。⇒Ⅱ(6)
② まわりの葉っぱや水面がキラキラ反射すると、保護色になる。⇒Ⅱ(2)
③ 逆に、そのキラキラがよく目立ち、警戒色となる。⇒Ⅱ(4)
④ 飛翔中にキラキラ光ると、小鳥をおびえさせる。⇒Ⅲ(2)
というように、説明されることが多い。
もちろん、その他の機能としては、
体温調節や交尾相手の発見なども考えられる。
(注2)このことは、ベイツ型擬態者にも言えることで、
捕食者が危険なモデル種を経験する前に、
味の良い擬態者を食べることがあるはずで、
そんなときには、目立つ色のサーチングイメージによって、
擬態者が、連続的に食べられてしまう可能性もあるのだ。
自分の姿かたちを、他の危険な種に似せて、
外敵からの攻撃から逃れる虫たちは、結構沢山いる。
よく目立つ危険な種は、過去に嫌な経験をした捕食者からは、
2度と攻撃されないからである。
だから、そのような種に似せることによって、
捕食者を欺いて、攻撃を止めさせることができるのだ。
このような擬態を、ベイツ型擬態と呼ぶ。
今回も、できるだけ沢山の例を、写真で紹介したい。
まずは、危険なハチに擬態する虫たち3種を紹介しよう。
これは、セスジスカシバという蛾である。
このブログを開設するキッカケになった種のひとつであり、
典型的なミラクル擬態(そんなに似せなくても大丈夫だよ擬態!)である。
この子の擬態は、蛾なのに、本当にここまでやるか!!
というレベルだと思う。
このキンケトラカミキリというカミキリも、
遠くで見れば、スズメバチである。
もちろん過去に、ハチで一度でも嫌な経験をした捕食者は、
遠くで見て避けるので、近づいて確かめる(?)こともしないだろう。
写真に撮って、冷静に見れば、全くのカミキリなのだが・・・
これは、アブの仲間で、ヨコジマナガハナアブという。
まあ、アブがハチにそっくりでも、もともとの体型が似ているので、
あまりインパクトはないのだが・・・・
でも、この子たちを見つけたときは、何を隠そう、
何で花の上で、スズメバチが交尾してると思ってしまったのだ。
ところで・・・・
前回紹介したベニボタルの仲間は、頭と胸が黒く、胴体(前翅)が赤い。
同じような色の擬態種は多く、ベイツ型擬態とミュラー型擬態が、
入り混じっている印象がある。
ここでは、科の異なる以下の4種だけ紹介する。
取りあえずは、撮影日に注目してほしい。
いずれも、モデルとなったベニボタルが出現するのと同じ時期、
弘前市周辺では、雪解け直後の5月から6月にかけての撮影である。
早春の明るい林道で、良く見かけるアカハネムシ。
カメラを近づけても、逃げないことが多いので、
擬態には自信があるのだろうか?
ベニヒラタムシという名前から想像できるように、
かなり扁平な虫であり、樹皮の隙間に難なく入り込むが、
このように、目立ってもかまわないのである。
このハネビロアカコメツキも、林縁部で見られる。
目立たない種が多いコメツキの中で、特異な存在である。
ヘリグロベニカミキリの仲間も、良く似た感じで、
黒い斑紋が微妙な位置にあり、???という感じではあるが、
おそらくベニボタルに擬態しているのだろう。
その他にも、まだまだ、危険な生き物に擬態する虫たちがいる。
セグロベニトゲアシガという蛾の仲間だ。
危険なアカヘリサシガメに似ているのだろうか?
初核と前脚のバランスが、何らかの演技をしてるようだ。
マツシタトラカミキリは、ミラクル擬態だろう!!!
容姿やサイズもそうだが、細かく触角を振りながら、
少し歩いては止まるような歩き方まで、
ムネアカオオアリを真似ているのである。
この他にも、アリに擬態する虫たちは多い。
アリの仲間は、警戒色ではないが、蟻酸を持っているので、
捕食者は避けるようだ。
ベニスズメという蛾の幼虫である。
前方を空中において、ゆっくり振ると、
ヘビの動作にも、何となく似てくる。
これが、アゲハモドキという蛾の仲間である。
何に擬態しているのかというと、
全体が黒っぽく、後翅表面の赤い模様が、
ジャコウアゲハに似ているようだ。
この写真で、少しだけ見えるお腹の部分にも、
ジャコウアゲハのような赤い模様があるし・・・
しかしながら、特に上の2例(ベニスズメ幼虫とアゲハモドキ)の場合、
写真では分かりにくいが、擬態種とモデル種のサイズの違いが、結構あるのだ。
このことについては、捕食者は、基本的に両種を同時見ることはないので、
捕食者が(遠近法で?)見たときに、過去の嫌な記憶の虫と、
同じ大きさ(?)に見える可能性が高く、半分くらいの大きさまでならば、
おそらく、捕食者は区別できないはずである。
最後にひとつだけ、面白い例を示そう。
この子の名前は、キカマキリモドキという。
確かに、上半身だけ見るとカマキリに似ている。
しかし、前脚(カマ)の折りたたみ方が、
普通のカマキリとは、明らかに違う。
面白いのは、何と、このキカマキリモドキ君は、
ムモンホソアシナガバチにも似ているのである。
カマキリとアシナガバチ両方に擬態するというミラクル擬態なのだ。
元記事はこちらです
↓ ↓ ↓
20110926 セスジスカシバ これがミラクル擬態だ!
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110926/1/
何らかの防御手段を持っている虫たちは、
一般的に、捕食者から攻撃されることはなく、
比較的よく目立つ赤や黄色の体色をしていることが多い。
そのような体色は、警戒色(標識色)と呼ばれる。
どうせ捕食者に食われることがないのなら、
別に体色は、どんな色でも関係ないと思われがちであるが、
実際には、武器を持った種や有毒種は、ほとんどが警戒色である。
その理由は、次のように考えられる。
有毒種とはいえ、捕食者から攻撃を受けたとき、
獲物を直接口の中に入れてしまうような捕食者の場合には、
あわてて吐き戻されたとしても、死んでいるか、
あるいはケガをしている可能性が高い。
だから、一度ひどい目にあった鳥やカエルなどの捕食者が、
次回からその色や模様を学習して、2度と攻撃しなくなるように、
より目立つ色をしている方が理にかなっているのだ。
そして、良く目立つ警戒色には、必然的(?)に、
ミュラー型擬態者が出現する可能性がある。
有毒昆虫は、独自に別々の警戒色を持っているよりも、
同じような形態・色彩であった方が、捕食者の学習の回数が増えて、
より効率的に、攻撃を避けることができるからである。
今回は、そんな警戒色の虫たちの写真を紹介したい。
黄色と黒の独特の縞模様のキイロスズメバチは、別項で紹介するように、
他の非力な虫たちが擬態するモデルになっているほどである。
人間でさえも、近づくのをためらうほどの迫力である。
雪解け直後から、見かけるカクムネベニボタル。
早春の明るい開けた林道で、よく見かけるが、
カメラを近づけても、逃げないことが多いので、
多分「自分は、不味くて食べられないぞ!!」と、言っているようだ。
ベニボタルの仲間は、甲虫とはいえ、体は比較的軟らかく、
外敵に襲われたときに、不味い体液が外に出やすいのだ。
このタイプの色彩を持つ有毒種は多く、
典型的なミュラー型擬態の色彩パターンになっている。
これは、ヨツボシヒラタシデムシという良く目立つムシである。
普通、シデムシの仲間は、体は真っ黒で、
死体を食べる掃除屋として知られているが、
この子は、目立つ姿形で、樹上生活をして、
チョウや蛾の生きた幼虫を攻撃する。
外敵に襲われると、防御物質を放出する。
如何にも不味そうな(?)カメノコテントウ。
体内の有毒成分を滲み出させるので、下手に掴むと手が黄色くなる。
ナガメは、成虫になってからは、防御物質を放出しない。
だから、カメムシの匂いはしないが、
植物起源の有毒成分を体内に持つので、鳥は食べない。
オオキンカメムシは、大型のキンカメムシである。
限られた場所で、集団越冬する習性を持つ。
警戒色ではないカメムシは、隙間や落ち葉の下で、
隠れて、集団越冬する。
同じく南方系のアカギカメムシ。
こちらも、特定の樹木で、集団越冬する。
防御物質よりも、体内に持つ不味成分により、
捕食者が避けるようだ。
白い十字模様が特徴的なクロジュウジホシカメムシ。
黒地に白い十字があり、しかも赤い縁取りがある。
この組み合わせも、非常に目立つ警戒色の典型だろう。
やはり、体が比較的柔らかく、有毒成分を含んだ体液が出やすい。
アカヘリサシガメは、有毒種ではなさそうであるが、
次回紹介するセグロトゲアシガがベイツ型擬態をする。
間違いなく有毒種のホタルガであるが、
同じ有毒種の本物のホタルに似ているので、
ミュラー型擬態だろう。
良く目立つ場所で、交尾中のミノウスバ。
マダラガ科の蛾は、多分ほとんどが有毒種である。
同じく南方系の大型のチョウで、
幼虫時代に蓄積した有毒成分を体内に持つオオゴマダラ。
毒チョウの特徴である、ゆっくりした飛び方で、
現地では、新聞チョウとも呼ばれる。
民家の周辺を悠然と飛ぶ姿は、本当に、
新聞紙が風に舞っているように見える。
西表島の旅館の窓から、ずっと眺めていた記憶がある。
まあ、この白黒パターンも、警戒色なのだろう?
ここまでは、有毒種である。
しかし・・・・
最初のスズメバチにみられるような黄色と黒のしま模様は、
もしかしたら、その色彩パターンそのものの情報に、
全く意味がないとまでは、言い切れない部分もあるのだ。
オニヤンマも、典型的な黄色と黒色の警戒色である。
大型の強力な捕食者であり、素早い動き方をするので、
鳥などの捕食者は、最初から諦めて攻撃しないのだろうか?
ジョロウグモも、状況は全く同じで、
いかにも強そうなイメージではあるが、
有毒種ではないだろう。
では、下の写真の子はどうだろうか?
この写真のハンノケンモンという蛾の幼虫は、
有毒植物を食べているわけではなく、
特に、Ⅱ(5)のベイツ型擬態とは考えられないのに、
このような黄色と黒のしま模様なのである。
おそらく、多くの捕食者は、オニヤンマやジョロウグモと同様に、
ハンノケンモンの幼虫を、食べることはないのだろう。
だから、生物がこのような色の組み合わせを、
本能的に嫌うということも、考えられないわけでもない。
その証拠に、この色の組み合わせは、
何も学習していない幼稚園児にでも良く目立つように、
道路の危険個所や、工事現場などで、
注意を促す視覚信号として使用されているのだ。
虫たちの中には、自分の体の色や模様を、
普段いる背景に合わせるだけでなく、
姿かたちまで似せている種類もいる。
この防御方法の完成度の高い場合には、古くから、
昆虫マニアたちを虜にしてきた。
それどころか、全く虫に関心のない人たちにも、
自然の不思議さを伝えることのできる良く知られた現象で、
しばしば、その関連の写真集も出版されている。
ここでは、体の色や模様だけで隠蔽するのを【保護色】とし、
姿かたちまで似せるのを【隠蔽的擬態】と呼ぶ。
保護色と隠蔽的擬態の概念は、ほとんど同じように思ってしまうが、
実は、ちょっとだけ機能が異なっており、
あまり知られていないが、かなり重要な問題なのである。
体の色や模様だけを背景に似せた保護色は、
静止する場所を適切に選べなかった場合には、
元の輪郭がくっきりと表れて、逆に良く目立ってしまうのだ。
Ⅱ(2)で、静止する背景を間違えたとして紹介した、
シロシタバやキシタミドリヤガの前翅表面の模様は、
苔の生えた樹皮そのものであった。
だから、彼らが苔の生えた大木の樹皮に静止していれば、
視覚で獲物を探す捕食者は、見つけることができないし、
私に写真を撮られることもなかったろう。
ところが、色や模様だけでなく、姿かたち(輪郭)まで、
葉っぱや枯れ枝に似せた隠蔽的擬態であれば、
背景を間違えても、やっぱり葉っぱや枯れ枝にしか見えないのである。
隠蔽的擬態の例としては、昔から、木の枝そっくりなナナフシや、
まるで葉っぱのようなコノハムシなどが、良く知られている。
実物は、動物園でしか見たことがないのであるが、
枯れた部分や虫食いの跡まで作ったコノハムシである。
実際に展示室の前では、若いお母さんが、指さしながら、
「あそこの陰にぶら下がってるでしょ!!」とか言って、
一生懸命に子供に説明しているが、初めて見た子供たちは、
なかなか発見できないし、最後には、虫でも葉っぱでも、
どっちでも良いみたいな雰囲気になっていた。
確かに、これが虫だと言われても、子供心が傷つくだけだ!!!
それほど、葉っぱそっくりなのである。
そして、これらのおどろくべき精密さを持った色や形が、
単なる偶然の結果で出来上がったものではないことは、
その行動と考えあわせてみればよくわかる(注)。
まず、下の2枚の写真の子たちは、ほぼ同じ姿勢で下を向いている。
もちろん、普通の虫たちは、頭を上にして静止することが多いのだが・・・
トビナナフシの体は、多種に比べてややずんぐりしている。
それでも、若い緑色の枝にそっくりで、触角を前方に揃えて静止する。
また、Ⅲ(4)で紹介予定のであるが、脚を自切して逃げることもできる。
偶然にも、ちょうど2年後の同じ場所で見つけた外来種アオマツムシ。
緑色の背中が平らで、縁取りの黄色ラインが入っているおり、
しかも、お尻の先が細くなっているので、まるで葉っぱのように見える。
トビナナフシやアオマツムシは、保護色をより完璧にするために、
このように、姿かたちまで変形させ、それに合わせて、
触角を揃えて前方に伸ばし、下向きに静止するのだ。
ここで、注目すべきは、よりコストをかけて、形状まで変えたことにより、
適切な背景を選べば完全に背景に溶け込み、運悪く背景を選べなくても、
予想以上の生存のための効果が、得られる場合があるのだ。
まず、下の写真の蛾の幼虫は、どうなんだろうか?
昔だったら、典型的な、居場所を間違えた例として、
紹介してしまったかもしれない。
本当に、この子は、空気の読めないドジな子なのか?
それとも・・・・・
この自信たっぷりのポーズは、食えるものなら食ってみろ!!!
と、言わんばかりの凛とした雰囲気で、決して、
背景選択を間違ったのではないことを強調しているのかもしれない。
さらに、次の4枚の写真も、典型的な隠避的擬態の例である。
いずれの場合も、完全に背景選択を間違えているので、
私ごときに写真を撮られてしまったのだが、もし仮に、
彼らが適切な環境にいたら・・・と想像すると、
頭がクラクラするほどである(?)
これは、ツマキシャチホコという蛾(成虫)であるが、
緑色の葉っぱの上にいても、枯れ枝にしか見えない。
こちらも同様に、マエグロツヅリガというメイガ科の蛾であるが、
緑色の草の上にいても、枯れ葉が落ちているとしか見えない。
まるで、木の芽が葉っぱに落ちてるように見えるが、
オオヤナギサザナミヒメハマキというハマキガの仲間である。
これは、もちろん植物の種子ではない。
このブログでも時々出てくるベッコウハゴロモの幼虫である。
彼らの選んだ背景が、このように間違っているにもかかわらず、
彼らは餌となることは、多分ないだろう。
それは、良く目立ってしまう背景にいても、
枯れ葉も、枯れ枝も、木の芽も、種子も、みんな、
肉食の捕食者が、食べ物とは認知しないからである。
最後に、このブログ開設のキッカケともなった
ミラクル擬態:ハイイロセダカモクメ幼虫を紹介する。
この子は、日本に生息する隠蔽的擬態をする虫たちの中で、
本当に、特筆すべき存在だと思う。
ハイイロセダカモクメは、蛹で越冬する。
普通は、蛹で越冬する虫たちは、春になると新しい成虫が出てくる。
しかし、この子は、春になっても、羽化してこないのである。
夏がそろそろ終わるかという季節になって、ようやく羽化し、
それから交尾・産卵をするのである。
だから幼虫は、この時期にしかないヨモギの花穂を餌とするのだ。
ヨモギの花穂は、葉っぱと違って、隠れるところが少ない。
しかも、花穂を食べてしまうと、ますます、隠れるところがなくなってしまう。
そんな中で、彼らは鳥に捕食されないように、
あっと驚くミラクル擬態を完成させたのだ。
何と、彼らは、食べてなくなったもの(花穂)そっくりなのである。
しかし!!!!!
2011年10月4日 だんぶり池・青森
茎を歩いて獲物を探すクチブトカメムシに対しては、
このように、いとも簡単に捕獲されてしまう。
ある捕食者に対して、どんなに完璧な防御手段であっても、
(例えそれが、やり過ぎとも思われるミラクル擬態であっても)
全ての捕食者の攻撃を避けることは出来ないのだ。
基本的に、保護色(分断色も!)や隠蔽的擬態は、
比較的離れた場所から獲物を視覚的み見つける捕食者(主に鳥)を、
対象にした防御法なのである。
(注)偶然出来上がったという証拠は、実はあるのだ。
コノハムシの近縁種が、化石で発見されているのだが、
その年代には、広葉樹はまだ存在していなかったのである。
広葉樹が出現するまでの間、多分針葉樹やシダ植物の中で、
細々と暮らす普通の虫(?)だったのだろう。
元記事をご覧ください。
↓ ↓ ↓
20120729 マエグロツヅリガ 保護色から隠蔽的擬態へ
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20120729/1/
20111007 ハイイロセダカモクメ幼虫 これがミラクル擬態だ
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20111007/1/
20111018 ハイイロセダカモクメ幼虫 衝撃の瞬間
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20111018/1/