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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

虫たちの親子-42 ヨツボシカメムシ

    
全国に分布するヨツボシカメムシだが、
関東以西では、むしろ珍品扱いで、
昔住んでいた四国では、見かけた記憶がない。


ただ、何故か、弘前周辺では普通に見られる【注】


非常によく似た名前のヨツモンカメムシと、
全く同じ状況であることが、ちょっとだけ不思議だ。


【昔は珍品だった?? ヨツモンカメムシ】
 ↓   ↓   ↓
 http://kamemusi.no-mania.com/Date/20131117/1/

 

 

 

・・・まずは、幼虫から!!

 

 


ヨツボシカメムシ幼虫(カメムシ科)

2010年8月19日 梵珠山・青森

淡褐色を基調にしたカメムシ科の幼虫は、
みんな雰囲気が似ており、同定が難しい。

しかも、出会いが初夏の頃に集中する。

 

前回のブチヒゲカメムシ幼虫と、
見た目はかなり似ているのだがが、
以下の3点の特徴で、さりげなく同定できた。


 ① 前胸側角の形状が成虫と同じ。
  ⇒下の写真が分かりやすい!

 ② 触角先端部付近の黄色の部分。
  ⇒これは、成虫と全く同じ!

 ③ 脚の色が白っぽい。
  ⇒前回のブチヒゲカメムシとは、明らかに違う!

 

 

 

 

ヨツボシカメムシ幼虫(カメムシ科)

2010年8月1日 だんぶり池・青森

腹部背面に、目立つ黄色の紋が4個あるが、
このホシ(?)が、和名の由来ではない。

 ⇒カメムシ類の幼虫の腹部背面には、
  悪臭成分の放出孔(臭腺の開口部)があって、
  この雰囲気の模様が見られることが多い。


この子は、マメ科植物上で発見されることが多いので、
ギリギリ同定のヒントにもなっている。

 

 

 

・・・そして、成虫!!

 

 

 

ヨツボシカメムシ成虫(カメムシ科)
 
2015年7月12日 だんぶり池・青森

偶然見つけた交尾中のカップルで、
マメ科植物上で発見することが多い。

ちょっとだけ分かりにくいが、成虫の胸部には、
4個の紋(ホシ?)が一列に並んでおり、
こちらの方が、和名の由来だと思う。

ただ、分かりにくい和名であることは間違いない。

 

 

 

 

【注】ヨツボシカメムシ Homalogonia 属には、
   2004年に、新たに2種が確認されて、
   日本産の種類は、3種に増加したようだ。

   ただ、新たな2種は、産地が限られ、
   発見個体数も、かなり少ないようなので、
   なかなか、手持ちの標本や写真を、
   再検討する気にはならない??

 


   

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虫たちの親子-34 ニシキキンカメムシ


このブログの親子シリーズでは、親子(成虫と幼虫)で、
姿かたちが劇的に変化する虫たちを紹介している。

だから、蛹の時期がある完全変態の虫たちが、
必然的にメインに取り上げられる。


ただ、例外もあって、不完全変態のトンボやセミも、
親子で大きく見た目が変化するが、残念ながら、
幼虫のステージが水中や土中で、素人には写真は撮れない。

 

そんな中で、ほとんどのカメムシの仲間は、
成虫と幼虫の生息場所が同じで、しかも、
蛹の時期がないのに、微妙に「見た目」が変化する。

 

 

・・・という訳で、

今までこのシリーズに一度も登場していないカメムシを、
この際だから、いっぱい取り上げてみたい。

 

 


最初は、日本のベスト10に入るほどの超美麗種で、
発見場所が限られる極めて稀な(極珍!)カメムシから・・・

 

 

 

ニシキキンカメムシ5齢幼虫(キンカメムシ科)

2005年5月4日 古処山・福岡

この撮影場所は、ニシキキンカメの有名な産地だ。

私の普段からの撮影スタンスでは、
「○○○へ△△△を、わざわざ採りに行く」
というようなことはしないのだが、
このときだけは、妻と車で九州旅行中に、
さりげなくニシキキンカメに会いたくて、
少し遠回りして、古処山に行ってみた。


食草のツゲは、山頂付近に散在しているので、
他の植物には目もくれず、さりげなく探し始めた。


そして、私の普段のこころがけが良いからだろうか、
ビジターセンターの駐車場からから歩き始めて、
僅か2時間後には、もう終齢幼虫に出会っていた。

 

 

 

 

ニシキキンカメムシ5齢幼虫(キンカメムシ科)

2005年5月4日 古処山・福岡

少し登山道を登っていくと、さりげなく2匹目も発見。

幼虫でさえ、この金属光沢である【注】

成虫は、一体どんな輝きを見せてくれるのだろうか?


 

 

・・・ところがemoji

 

 

その日は、最終的に5匹の幼虫を見かけたのだが、
成虫の姿を見ることはなかった。 

そこで、今回だけは特別に、2匹の幼虫を、
自宅(当時)のある徳島まで持ち帰ることにした。

 

 


そして、・・・

 

 


ニシキキンカメムシ幼虫と成虫(キンカメムシ科)

2005年5月8日 徳島市・徳島

当時は、現在のように暇ではなかったので、
羽化の瞬間に立ち会うことはできなかったが、
偶然、幼虫と成虫のツーショットが撮れた。


 ⇒幼虫には、しっかりピントが合っているが、
  ほぼ同じ位置の成虫は、ピンボケのように見える。

 

 

 


ニシキキンカメムシ幼虫と成虫(キンカメムシ科)

2005年5月6日 徳島市・徳島

キンカメ類の美しさは、白い背景の方が引き立つ。

ただ、上の写真と同様に、ニシキキンカメムシ成虫には、
カメラのピントを惑わすような、独特の雰囲気がる。


・・・と、自分の撮影テクニックの無さを白状する?

 

 

【注】美麗種の定義は難しい。   
   ・・・と言うか、個人の主観であると思う。

   普通は、金属光沢の虫を想像するのだろうが、
   チョウのスミナガシや、ハチのセイボウなんかを、
   思い浮かべるマニアックな人もいるだろう。
   

   学生の頃、虫仲間の友人たちと、
   「昆虫類の最美麗種は何か?」
   と言う酒の席で、議論(?)をしたことがある。

   そのときは、私だけが酔っていなかったのだが、
   タマムシ、ハンミョウ、ルリセンチコガネ、
   アカガネサルハムシ・・・などの甲虫類の名前の挙がる中で、
   「幼虫時代も含めれば、ニシキキンカメしかいない!」
   と主張したとき、一瞬みんなの顔が・・・




      

 

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虫たちの親子-32 ナミテントウ


テントウムシの4種目となるナミテントウは、
日本全国どこへ行っても、全くの普通種だ。


ナミ○○○○と付く虫たちは、結構多いのだが、
おそらく、属以上の分類群を表わす名前と、
特定の種名が同じである場合に呼ばれるようで、
最近の子供用図鑑などにも、採用されている。


【ちょっとだけ不思議なムシの名前【3】 何でナミなの?】
 ↓   ↓   ↓
 http://kamemusi.no-mania.com/Date/20120726/1/


 ⇒まあ、ナミアゲハやナミハンミョウなら分かるが、
  ナミカブトムシとは、絶対呼ばないだろう。

 

 


まずは、ナミテントウの幼虫から・・・

 

 

 

ナミテントウ幼虫(テントウムシ科)

2015年9月6日 弘前市・青森

赤と黒のよく目立つ色彩の幼虫で、
写真では分かりにくいが、身体の表面にトゲがある。

テントウムシ科の多くのテントウは、
成虫・幼虫ともに、アブラムシを食べる肉食性だ。

 

 

 


ナミテントウ幼虫(テントウムシ科)

2015年9月6日 弘前市・青森

こちらは、かなり珍しい4匹の縦列歩行だ。

付近に餌であるアブラムシの姿がないので、
一体何が起こっているのか、不思議な光景だ。

 

 

 


ナミテントウ成虫と幼虫(テントウムシ科)

2015年9月6日 弘前市・青森

たまたま、成虫と幼虫が一緒に写っている写真があった。

良く知られているように、ナミテントウの翅の模様には、
大別して4種類の斑紋パターンがある。


【玉川ダムのナミテントウ(2014)】
 ↓   ↓   ↓
 http://kamemusi.no-mania.com/Date/20141107/1/


 ⇒上記ページで、ナミテントウの不味成分(防御物質)と、
  警戒色の斑紋パターンについて、若干考察しています。
  
  興味ある方は、是非ご覧ください。

 

 

 

この際なので、ナミテントウの話題を!!!

 

ナミテントウは、ハウス野菜の重要な害虫であるアブラムシ類を
大量に捕食する能力があるので、天敵製剤として注目されていた。

しかし、施設内に沢山放飼しても、徐々に飛び去ってしまうので、
定着しにくいという致命的な欠点があった。

そこで、研究機関では、自然界に存在する様々な個体の中から、
飛翔能力の低いナミテントウを選んで、それらを交配することで、
遺伝的に飛翔能力を欠くナミテントウを育成した。


 ⇒こんなことが、本当に出来るのか!!!

 
そして、ついに「飛ばないナミテントウ」は、
大量飼育した幼虫の段階で製剤化することで、
脱皮して成虫になった後も施設内に留まり、
防除効果が持続する生物農薬として販売されたのだ。

 

 

   

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虫たちの親子-31 ナナホシテントウ


もう半世紀以上も前の話なのだが、
私が小学生のころは、東京の下町にも、
沢山の池や雑草地が残っていた。

そこには、結構沢山のトンボやバッタがいた。

中でも、ギンヤンマトノサマバッタは人気者で、
まず雌を捕まえて、飛べるようにうまく糸で結んで、
近づいてくる雄を捕まえる遊び(?)に夢中だった。


 ⇒最近の子供は、人工的なゲーム機に夢中で、
  おそらく、自然の中で遊ぶことなどは、
  場所も機会もなく、ちょっとだけ可哀そうだ。

 

ある雨の日、傘をさして雑草地を歩いていたとき、
得体のしれない奇妙な動かない虫を見つけた。

トンボとバッタしか知らない子供にとって、
それが、当時の子供向けの図鑑には載っていない、
ナナホシテントウの蛹であることを知ったのは、
ずいぶん後のことだったと思う。

 

 

・・・今回は、そんな懐かしいナナホシテントウ。

 

 


ナナホシテントウ幼虫(テントウムシ科)

2015年9月6日 弘前市・青森

灰色に薄いオレンジ色の斑紋で、
よく見ると(!)小さな突起が沢山ある。

この配色は、基本的には警戒色なのだが、
どちらかと言うと、地味な雰囲気もある。


成虫・幼虫ともに、危険を感じると、
疑死(死んだふり)をすることがあり、
さらに物理的な刺激によって、
関節部から体液(黄色の液体)を分泌する。

この液体には、異臭と苦味があるので
食べようとしてひどい目にあった捕食者は、
次からは、その体色を覚えて、攻撃することはない。

 

 

 


ナナホシテントウ幼虫(テントウムシ科)

2015年9月6日 弘前市・青森

手前が若齢幼虫で、奥が終齢幼虫だが、
斑紋のパターンは同じだ。


 ⇒若齢幼虫の方が、クッキリ鮮やかな理由を、
  想像するのは、ちょっとだけ楽しい。

 

 

 

 

ナナホシテントウ成虫(テントウムシ科)

2015年6月21日 弘前市・青森

あまり良い写真とは言えないが・・・

成虫はおそらく、日本人が知ってる虫の名前、
ベスト10には入っているだろう【注】

 
 ⇒実は、超普通種のナナホシテントウの写真は、
  ほとんど撮っていなかったが、
  今回、さりげなく判明したのだ

 

 


【注】昔、結婚式でよく歌われたチェリッシュの
   てんとう虫のサンバという曲がある。

   そこに出てくるテントウムシは、とくに根拠はないが、
   ナナホシテントウのようである。

   絵本やイラストでも、てんとう虫として、
   ナナホシテントウが描かれることが多い。


   どうでも良いことであるが、
   虫マニアは、普通にテントウムシというと、
   ナミテントウのことを指すようだ。

 

 

   

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虫たちの親子-30 ハンノケンモン


このシリーズの写真を見てお気づきのように、
私の基本的なスタンスとして、歩きながら、
目についた虫だけを撮っている。

自然状態での虫たちの姿を、ありのままに、
できるだけ妨げないように撮りたいからだ。


そうすると、緑色の葉っぱの上にいる虫たちが、
被写体になることが多いことになる。


 ⇒しかも、その被写体は、緑色の葉っぱの上で、
  どちらかというと、目立ちやすい虫たちだ。

 

 

 


ハンノケンモン幼虫(ヤガ科)

2012年8月8日 白岩森林公園・青森

この黄色と黒の縞模様は、かなり目立つ。

だから、我々人間も、道路の危険個所や、
工事現場などの特に注意を促す視覚信号として、
さりげなく使用している。


さらに、この子は、何故か「?」マークの姿勢で、
葉っぱの表面に静止していることが多い。

こんな不思議な格好で静止するイモムシは、
そんなに頻繁に見ることはない。


 ⇒鳥の糞に似せたカギバ類の幼虫も、
  こんなイメージで静止していることがある。

 

 

 

 

ハンノケンモン幼虫(ヤガ科)

2012年8月8日 白岩森林公園・青森

さらに、ちょっとだけ不思議なことなのだが、
黄色と黒の色彩になるのは、終齢幼虫のみである。

若齢幼虫期では、アゲハ類と同じように、
鳥の糞のような色と模様のようだ。


ネット情報では、ハンノケンモンの食草は、
ブナ科、クルミ科、バラ科など、何でも食べるらしいが、
その中に、いわゆる有毒植物は含まれていない。

このような、良く目立つ色彩の幼虫は、
毒草を食べていることが多く、捕食者に対して、
自分は「不味いぞ!!」と警告している。

しかし、ハンノケンモンの幼虫は、
不味成分などの防御手段を持っていないようなのだ。

   
【これは警戒色なの? ハンノケンモン終齢幼虫】
 ↓   ↓   ↓
 http://kamemusi.no-mania.com/Date/20120816/1/

 

 

 

・・・この不思議な幼虫の親は?

 

 


ハンノケンモン成虫(ヤガ科)

2013年6月16日 矢立峠・秋田

あらためて、コメントを書くのが辛くなるような、
いたって普通の、どこにでもいそうな蛾だ。

 ⇒幼虫が、特異な姿かたちでなければ、
  当然、このブログでは、単独で、
  取り上げられることはなかっただろう。

  (もの凄い独断と偏見!!)

 

これだけでは、あまりに可哀そうなので、
もうひとつだけ・・・・

写真を見て気付いたのだが、この子の特徴と言えば、
身体全体にある「U」字型の黒い線だろう。


昔、虫たちの翅や体の一部にある模様の中に、
数字やアルファベットを探していたことがあった。

【昆虫クイズ【その7】の答 昆虫アルファベット】
 ↓   ↓   ↓
 http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110213/1/


今は、再探索する情熱は、なくなってしまったが・・・

 

   

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