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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

ちょっとだけ珍しいカメムシ【2】

もう、何十年も前の話であるが、
「昆虫採集マニアによって、貴重な昆虫が絶滅してしまう」
と言われて、全国各地の国立公園などで、昆虫採集が禁止されたり、
捕虫網を持っているだけで、白い目で見られたりしたことがあった。

⇒(もちろん、現在でも、国立公園内では、基本的に採集禁止である)


そんな時代に成立したのが、
以前にも紹介した「革命的昆虫採集者同盟(略称:革昆同)」であった。
↓ ↓ ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Category/5/

組織のメンバーは、貴重な生物種(珍品?)が絶滅する原因が、
お役所やマスコミが言うような「昆虫マニアによる採集が原因」ではなくて、
当時の「日本列島改造論」などに関連した大規模な環境破壊、
たとえば森を切り崩して、ゴルフ場建設や宅地造成を行う方が、
その影響は、遙かにひどいものであると主張した。

おそらく、貴重な生物種(珍品?)が、
捕虫網を持った昆虫マニアによって、絶滅した例はないと思う。


それでも、今風に言う「RDB」や「絶滅危惧種」に高い関心が集まり、
昆虫を採集をして、それを標本箱に入れて楽しむという人は、
少なくとも私の周りでは、減ってきている。

今は、上記で紹介したように、
デジタルカメラを武器にした「運昆同」の時代なのである。

多くの昆虫マニアが、珍品でも写真に撮るだけであれば、
あらぬ疑いをかけられずに済むのではないだろうか?


当然、ここに紹介する写真の虫たちは、99%以上、標本になることはない。

 


セグロヒメツノカメムシ(ツノカメムシ科)
 
2010年6月15日 だんぶり池・青森

小型のツノカメムシの仲間では、発見される個体数が、
(特に、青森県内では)極端に少ないと思う。

でも、さすが、だんぶり池である。

この写真の1匹だけが目撃された。

 
 

ツノアカツノカメムシ(ツノカメムシ科)
 
2010年8月22日 白岩森林公園・青森

ツノカメムシの仲間は、種によって、なかなか見かけないものが多い。

ツノアカツノカメも、そのうちの一種であるが・・・・

なかなか、フトハサミツノカメムシに出会わない。

 
 

オオクモヘリカメムシ交尾中(ヘリカメムシ科)
2011年6月16日 東海村・茨城

中々出会うことがなかったカメムシではあるが、
今年、東海村の公園のアカシアの木で、
合計10数個体がパラパラと見つかった。

これで、個人的には、希少種ではなくなった。


 

ヨツモンカメムシ交尾中(クヌギカメムシ科)
2011年6月26日 だんぶり池・青森

今シリーズ3種目の「日本原色カメムシ図鑑」には、
掲載されていない種である。

前回のナシカメムシと同様に、クヌギカメムシ科に属するが、
大型のなかなか風格のある種である。


 

ヨコヅナサシガメ(サシガメ科)
 
2011年6月18日 東海村・茨城

名前負けするほどの普通のサシガメであるが、
中部地方以西には、ときどき見つかる。

分布域を、北に広げているようで、
東海村でも、さりげなく目の前に現れた。

 

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ちょっとだけ珍しいカメムシ【1】

あらゆる生物は、ちょっとだけ不思議なことに、
その種類に属する個体数が比較的多い種類と、少ない種類が存在する。

昆虫マニアにとっては、この事実は、必要以上に重大で、
「採集品の価値(価格ではない!)に差がついてくる」
という意味のない差別化の原因となっている。

もちろん、それ以外の人(!!)にとっても、この問題は重要で、
種類によっては、害虫と呼ばれたり、絶滅危惧種と言われたりする。

カメムシの場合も例外ではなく、
個体数の非常に多い種類と、非常に少ない種類が当然いる。

今回は、非常に少ない種(発見しにくい?)のカメムシを紹介する。

 
 

トホシカメムシ(カメムシ科)
 
2011年6月29日 白岩森林公園・青森

間違いなく偶然だと思うが、発見したとき、
イネ科植物の葉に静止していた。

これでは、まるでエビイロカメムシではないか?
本当に、一瞬、そう思った。

何と、富士山で出会って以来、10数年ぶりの再会である。
この子は、関東以西では、ある程度の山地で発見される希少種なのである。

でも、北海道では、普通種との噂もある・・・

 
 

アシアカカメムシ(カメムシ科)
 
2003年8月12日 青荷温泉・青森

ブナ林で発見される大型のカメムシで、
以前紹介したツノアオカメムシと同じPentatoma属である。

灯火採集すると、ときどき飛来するので、個体数は少なくないと思われるが、
樹上に生息するので、なかなか採る(撮る?)ことができない。

 


イシハラカメムシ(カメムシ科)
 
2011年5月29日 だんぶり池・青森

まさか、イシハラカメムシがだんぶり池で撮れるとは?

学名【Brachynema ishiharai Linnavuor】が示すとおり、
愛媛大学の故石原保教授の名前が付いたカメムシである。

石原先生とは、四国に住んでいた頃、
昆虫学会の四国支部大会の採集会で、何度かお会いしたが、
「目にすることのできる昆虫類は、全て名前が分かるのではないか」
という何か特別のオーラを感じたものである。

 
 

ズグロシラホシカメムシ(カメムシ科)
 
2011年6月26日 だんぶり池・青森

ちょっと油断していると、「またシラホシカメムシか?」と、
思ってしまうような目立たない珍品である。
しかし、よく見ると、背中の黒と白の配色が強烈で、
他のシラホシカメムシ類には見られないインパクトがある。

前種イシハラカメムシと同様に、「日本原色カメムシ図鑑」には、
掲載されていない種である。

 
 

ナシカメムシ(クヌギカメムシ科)
 
2010年8月8日 郡山・福島

これは、梨や桜の害虫扱いされているが、
個体数は、かなり少ないと思う。

だから、個人的には「珍品害虫」であると思っている。

この言葉は、私の造語であるが、
一時イネの大害虫ニカメイガも、その仲間であった。


(つづく)
 

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日本のキンカメムシ

日本国内で、普通に見ることができるキンカメムシは、
以下の6種類である。
いずれも、南方系の種で、キンキラキンで、
宝石のように輝く、綺麗なカメムシである。

キンカメムシは、死後は色あせてしまうので、
標本を作るより、写真で残しておきたい種類である。


ニシキキンカメムシ

2005年5月8日 福岡・古処山

おそらく日本最美麗種だと思う。
古処山に行けば、多分見られるはずとの噂を聞き、
夫婦で訪れたが、幸運なことに、
初めて行って、見つけることができた。
 


アカスジキンカメムシ

2010年9月24日 茨城・東海村

日本国内で、比較的よく見かけるキンカメである。
写真は終齢幼虫で、不思議なことに、ヒノキの毬果で見つかる。
このまま越冬するようである。

 

アカギカメムシ

2004年1月13日 沖縄・石垣島

冬の石垣島では、特定のアカメガシワの木で集団越冬する。
オレンジ色をベースにしたキンカメムシであるが、
良く見ると、青緑色の金属光沢もある。

 

オオキンカメムシ

2006年2月12日 高知・室戸岬

比較的南方系のキンカメムシであるが、
高知県室戸岬で、やはり集団越冬する。

 

ナナホシキンカメムシ

2003年4月6日 沖縄・与那国島

南西諸島に生息するキンカメムシ。
金緑色の美しい金属光沢をしており、
腹部全体を覆う小楯板には7個の濃紺色の紋がある。
本種は触れても悪臭を放つことはない。

 

ミヤコキンカメムシ

2003年4月5日 沖縄・与那国島

沖縄の固有種といわれている。
前種に似ているが、一回り小さいキンカメムシである。

 

この他に、南西諸島にハラアカナナホシキンカメムシ、
ミカンキンカメムシが確認されている。

おっと忘れていた! キンカメムシ科に属するが、
キンカメという名前が付かないチャイロカメムシという、
非常に(!)目立たないヤツがいた。

大変失礼しました。

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だんぶり池のカメムシ 匂いの不思議

だんぶり池で見つかるカメムシ類

関東以西では、山地性のカメムシが簡単に見つかる。


しかも、比較的珍しい種類がいる!!!

ナガメ以外・・・・・・

 

 

 
2010年8月1日【ツノアオカメムシ】だんぶり池

よく知られているように、多くのカメムシ類は、
体内の臭腺【scent gland】で生合成された臭気成分(液体)を、
幼虫期には、腹部背面の開口部から、
成虫期には、後胸部腹面の後脚の碁部付近の開口部から、
様々な方法で体外に放出することができる。

 

 
2010年10月8日【オオトゲシラホシカメムシ】だんぶり池

大半の人間が、悪臭と感じる臭気成分の種類は、
炭素数6~10個の直鎖アルデヒド類と、その類縁化合物であり、
さらに、無臭の飽和炭化水素類を、溶媒的な役割として含んでいる。

ちなみに、緑色植物に含まれている青葉アルデヒド (E)-2-Hexenal も、
主成分のひとつである。

 

 
2010年9月14日【ヨツボシカメムシ】だんぶり池

これらの臭気成分の放出行動は、主として外敵に出会ったときに起こり、
放出の方向を変化させて狙い打ちができる種や、
自らの体表に流れ出させる種などが知られている。

だから、静止状態のカメムシが匂うことはない!

 

 
2010年8月21日【クチブトカメムシ】だんぶり池


そして、臭気成分の直撃を受けたアリなどの小型の捕食者は、
以後の攻撃を躊躇したり、その場から離れたりすることがあるので、
カメムシ類の放出する臭気成分は、一般的に、
外敵から身を守るための防御物質であるとみなされている。

しかし、アリ以外の捕食者(クモ、カマキリ、鳥など)は、
平気でカメムシを喰ってしまう。

 


 
2010年8月3日【ナガメ】だんぶり池

ナガメの成虫は、臭気成分を放出しない。
幼虫時期は人並み(?)に、かなり強烈な匂いを発するのに・・・・

でも、ハエトリグモやカマキリは、ナガメを食べない。

ナガメ成虫の体色は、明らかに警戒色である。

 

何か、不思議なことが沢山あるぞ!!!

 近日公開予定: カメムシの匂いの不思議【5回シリーズ】

 【1】実際の防御効果
 【2】アリに対する防御効果
 【3】ビックリ効果
 【4】警報フェロモン
 【5】警戒色と不味成分

乞うご期待
↓ ↓ ↓

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私のカメムシコレクションの原点 ツノアオカメムシ

 
2005年8月18日 【ツノアオカメムシ】山形・月山



何としても、このカメムシ特集をしてみたかった。

  ツノアオカメムシPentatoma japonica

 日本のカメムシという学名のついたこのカメムシは、
その名のとおり、最もカメムシらしいカメムシと言って良いと思う。
金属光沢の緑色が微妙に綺麗な、比較的大型のカメムシだ。


 
2008年10月8日 【ツノアオカメムシ】青森・浅瀬石ダム



私が、カメムシが好きになったキッカケのひとつが、
このカメムシとの出会いだった。

小学校6年のときに、北軽井沢の照月湖の湖畔で、
白樺の葉っぱの表面にいる大型の綺麗なカメムシを見つけた。

それまでは、トンボばかり採っていた。
(ギンヤンマやオニヤンマも、それなりにカッコ良かったが・・・)

こんなに、カッコ良い虫がいるのかと、
ものすごいショックを受けたことを覚えている。


実は、何を隠そう昨年、照月湖がなくなっているのを知って、
再び、ものすごいショックを受けた。

ナビに載っていなかったので、おかしいとは思っていたが、
ぐるぐる探し回った挙句、近くの農家の人に尋ねると、
さりげなく

「照月湖はずっと前に、埋め立てられて、乗馬クラブになったよ!」

と、かなり衝撃的な答えが返ってきた。

どうしたんだ、一体。

 

 

ツノアオカメムシは、関東以西では山地に見られるが、
比較的個体数は少なく、これまで、数回しか出会うことはなかった。

しかし今年は、何故か豊作(?)で、
青森・岐阜・福島の3か所で見ることができた。


 
2010年8月1日 【ツノアオアカメムシ】青森・だんぶり池


いましたね、10月7日に紹介した、あの「だんぶり池の林道」に!!!
自宅から車で10分のところに!!!

 

 
 


 
2010年9月27日 【ツノアオカメムシ】岐阜・新穂高温泉

 足湯のそばの河原で、アイン君(16歳の愛犬)を散歩中に発見!!!





 
2010年9月30日 【ツノアオカメムシ】福島・岳温泉


同じく、アイン君と散歩中の岳温泉、ふと見ると桜の木に!!!

  ⇒ ⇒ ⇒ 愛犬アイン君については、別の機会に紹介します

 

 

ダムサイト採集旅行から、帰ってきました。
しかし、フトハサミツノカメムシには、出会えませんでした。

まあ、楽しみは後に・・・・・さらに後に・・・
 


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