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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

華麗なる吸血鬼 アオクチブトカメムシ

カメムシ目の昆虫は、成虫・幼虫を問わず、
ストローのような吸うための「口器」を持っている。

多くの種類が、植物の汁を吸って栄養源としているが、
生きた昆虫などから直接体液を吸うように進化したカメムシもいる。

そのような肉食のカメムシ目の昆虫は、
タガメやサシガメに代表されるように、
いかにも獰猛な殺し屋という雰囲気を持っているものが多い。


ところが、外観は普通の典型的なカメムシなのに、
実際には、イモムシなどから吸血する肉食の種がいる。

以前紹介した、ミラクル擬態のハイイロセダカモクメを、
ゆっくり捕獲したクチブトカメムシの仲間である。
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20111018/1/


しかし、これから紹介する子は、少なくとも見た目には、
そんな雰囲気を、少しも感じさせない美しいカメムシである。

 

 

アオクチブトカメムシ(カメムシ科)
 
2011年10月31日 玉川ダム・秋田

ちょっと見ると、過去に何度も紹介した美麗種ツノアオカメムシと、
色彩や大きさなどが、非常によく似ている。

というか、私も最初はツノアオカメムシだと思って、カメラを構えた。

そして、数枚撮るまで、アオクチブトカメムシとは気付かなかった。

 

別のダムサイトで撮った下のツノアオカメムシの写真と比較すると、
信じられないほど良く似ているかがわかるだろう。

↓   ↓   ↓   ↓   ↓
 

今回はわき役ツノアオカメムシ(カメムシ科)
 
2011年9月25日 浅瀬石ダム・青森

何よりも、この2種は、大きさがほぼ同じなのである。

このように大型で、金属光沢を持つカメムシは、
この2種以外に、日本にはいない。

 

 

立派すぎるツノ(?)アオクチブトカメムシ(カメムシ科)
2011年10月31日 玉川ダム・秋田

良く見ると、鋭く突き出たツノ(?)が圧巻であり、
メタリック緑胴色の前翅と、それに続く光沢のある膜質部と、
両サイドにわずかに覗く赤黒の縞模様の腹部と、
さらに、赤い脚のコントラストが、
この世のものとも思えないほど素晴らしい。

⇒(これは、いくらなんでも誉めすぎたか?)

 

 

比較されるアオクチブトカメムシ(カメムシ科)
2011年10月31日 玉川ダム・秋田

この子のサイズや優雅さに関しては、気の毒だが、
隣にいるクサギカメムシと比べると明らかである。

写真が下手くそで、金属光沢がうまく撮れていないが・・・

 

 

金属光沢が渋いアオクチブトカメムシ(カメムシ科)

 
2011年10月31日 玉川ダム・秋田

この子のもうひとつの不思議なところは、
他の虫から吸血するだけでなく、
クヌギなどの植物からも吸汁するらしい。

進化の途中で、肉食と草食のふたつを、
うまく両立させたのだろう。

肉食には、もちろんメリットとデメリットがある。

食糧(イモムシ?)が簡単に入手出来ないような環境では、
草食も可能という食性をもっていれば、
大型種でも、かなり楽に暮らせる・・・・(?)。

 

 

左半分が見えにくいアオクチブトカメムシ(カメムシ科)
2011年10月31日 玉川ダム・秋田

そして最後のこの写真は、今回の目玉である。

金属光沢の緑色が、太陽光を反射する葉っぱに溶け込んで、
輪郭を微妙に隠す保護色的役割を持っていると言われている。

こんなキラキラの虫が、どうして目立たせない保護色なのか?

よく聞かれる質問であるが、この証拠写真がその答えである。

左半分が太陽光を反射して、同じように光を反射する葉っぱの中に、
微妙に紛れ込んでいるのが鮮明に撮れている。

⇒(自画自賛の典型!!!!)。

 

 

(番外編)

この際だから、ついでに、他の「美しき殺戮者」の写真もどうぞ!!


ハンミョウ(ハンミョウ科)
 
2011年8月11日 東海村・茨城

日本国内で見られる昆虫の中で、
10本の指に入る程の美麗種だとは思う。

この子の方が、「美しき殺戮者」のイメージが強いか?


しかし、こんな綺麗な恰好で、ミミズ食っててもなぁ~。

 


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玉川ダム もう一度カメムシ

玉川ダムのカメムシ、番外編として、
ちょっとだけ面白い光景を紹介する。

ダムの遊歩道の手すり部分は、ピカピカの金属製で、
真夏には、太陽の熱で触れなくなるほど熱くなるらしい。
⇒(あちこちの看板にも注意書きがある!)


ただ、今の時期には、この部分が、
ダム本体のコンクリートより温度が高くなるので、
虫たちにとって絶好の無料暖房機になるようだ。

越冬場所探すために飛び立ったカメムシが、
つかの間の温かさを求めて、ここに集まってくる。

 


クサギカメムシ(カメムシ科)

2011年10月31日 玉川ダム・秋田

これが、典型的な光景である。

カメムシ自身に、多少の集合性があるので、
こんなことになるのだと思う。

 


クサギカメムシ(カメムシ科)
 
2011年10月31日 玉川ダム・秋田

たまに、支柱にもいることがあるが、
この部分は、鏡のようにつるつるで良く光るので、
まるで、2匹いるように見える。

 


クサギカメムシ(カメムシ科)
 
2011年10月31日 玉川ダム・秋田

うまく繋ぎ目にいると、三面鏡のようになり、
まるで、クサギカメムシが3匹いるように見える。

 


オオトビサシガメ(サシガメ科)

2011年10月31日 玉川ダム・秋田

この写真は、ちょっとだけ自画自賛であるが、
ダムの上から多少身を乗り出して、撮ったものである。
⇒(高所恐怖症のK氏やH氏には、絶対無理であろう。)

 

 

アオクチブトカメムシ(カメムシ科)
 
2011年10月31日 玉川ダム・秋田

今回の玉川ダムの目玉商品であるアオクチブトカメムシも、
腹部の模様が、鏡に映って、はっきり撮れている。


そうだ!

これをうまく利用すれば、腹部の模様で同定するような種を、
鏡をうまく使って写して、同定の証拠写真にすることができる!!!

 

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玉川ダム カメムシばっかり【2】

比較的寒い日が続いた後の小春日和の日には、
カメムシたちが、まるで申し合わせたように(?)、
ダムサイトに、(多分)いそいそと集まってくる。

太陽熱で温められたコンクリート製のダムには、
越冬前の虫たちが、ちょっと寄り道しに来るのだろう。

ビーティングや灯火採集では、なかなか見られないカメムシに、
この時期だけは、比較的簡単に出会うことができる。
これが、カメムシマニアの間では、有名なダムサイト採集法である。

 


オオトビサシガメ(左)とクサギカメムシ(右)
 
2011年10月31日 玉川ダム・秋田

ダムサイトならではのツーショットである。
当然のように、クサギカメムシが一番多かった。

 


ヨツモンカメムシ(クヌギカメムシ科)
 
2011年10月31日 玉川ダム・秋田

大型のドキッとするような美麗種である。
山地性の比較的少ない種類だが、
ダムサイトでは普通に見られる。

 


トホシカメムシ(カメムシ科)
 
2011年10月31日 玉川ダム・秋田

この子も、山地性の希少種であるが、
ダムサイトだと、たまに見かける。


 

スコットカメムシ(カメムシ科)
 
2011年10月31日 玉川ダム・秋田

昔は、希少種だったと思うが、
今では、家屋に浸入する不快害虫である。

 


アオクチブトカメムシ(カメムシ科)
 
2011年10月31日 玉川ダム・秋田

大型のツノアオカメムシに似た肉食の美しいカメムシであるが、
越冬前でややくすんだ色になっている。

やはり山地性で、ダムサイトでは、初めての出会いであった。

この子は、別に改めて紹介したい。

 

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玉川ダム(秋田) カメムシばっかり【1】

カメムシを撮るなら、紅葉の頃が一番である。

この時期は、先月紹介したように、場合によって、
カメムシしか見られないような「ちょっとだけ不思議な現象」が起こる。
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20111010/1/


もうひとつ、この時期の楽しみは、ダムサイト採集である。

このとき、普段は滅多に見られないような、
珍品カメムシに出会うことができる。


ダムサイト採集法を知ってから、20数年・・・・
10月になると、毎年数回、お目当てのダムサイトに出かける。

しかし、なかなか条件が微妙に合わない場合が多く、
珍品カメムシの大乱舞状態にはならない。

今年も、諦めかムードが漂っていたとき、
東海村からの帰り道、最後の最後に、秋田県の玉川ダムで、
珍品カメムシ集団に出会うことが出来た。

珍しく、妻とアイン君が一緒だったかもしれない。


まずは、ツノカメムシ類から・・・・・・・

 

セグロヒメツノカメムシ(ツノカメムシ科)
 
2011年10月31日 玉川ダム・秋田

この日は、数頭発見。
動きは活発で、よく飛び回っている。

 


ヒメハサミツノカメムシ(ツノカメムシ科)
 
2011年10月31日 玉川ダム・秋田

何故か、この日は雌ばかり。
やっぱり、雄のハサミが良い!!

 


セアカツノカメムシ(ツノカメムシ科)
 
2011年10月31日 玉川ダム・秋田

まるで、フトハサミツノのような雄だった。
普通種のセアカツノであるが、今回は、この子のみに遭遇。

 


ツノアカツノカメムシ(ツノカメムシ科)
 
2011年10月31日 玉川ダム・秋田

下のミヤマツノカメににているので、
遠めに見るとと間違えそうになる。
普段は、滅多に出会うことはないが・・・


 

ミヤマツノカメムシ(ツノカメムシ科)
 
2011年10月31日 玉川ダム・秋田

今回は、クサギカメムシについで、個体数が多かった。
別の、浅瀬石ダムでは、この子ばっかりのときもある。

 


多分クロヒメツノカメムシ(ツノカメムシ科)
2011年10月31日 玉川ダム・秋田

もしかしたらヒメツノカメムシの黒化型かもしれないが・・・

 

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蔦温泉の遊歩道 カメムシしかいない!!!

10月9日(日)は、珍品カメムシデーだった。

久々の晴れ間と、3連休と、紅葉の見ごろが、
見事に重なって、十和田・八甲田は、大混雑!!!

その中で、穴場的な存在の蔦沼周辺は、中混雑!!!


そして、奇跡は、さりげなく起こった

何と、蔦温泉駐車場から蔦沼までの遊歩道で、

わずか30分ほどの間に、連続で
1種を除いて
比較的珍しいカメムシ7種類に遭遇。

普通なら、チャバネアオカメ、トゲカメ、エゾアオカメ、セアカツノカメなど・・・
もちろん、甲虫類やチョウは、全くいない時期ではあるが・・・・

 

以下、経過時間とともに、発見順に紹介する。

 


アカアシクチブトカメムシ(カメムシ科) 11:03
 
2011年10月9日 蔦沼遊歩道・青森

以前紹介した、比較的珍しいカメムシであるが、
遊歩道に入って、わずか数分で発見。

これが、この幸運な日のスタートだった。

⇒当初、イシハラカメムシとしていましたが、Nabita氏のご指摘により、
  アカアシクチブトカメムシに訂正しました。

 

 

 

キバラヘリカメムシ(ヘリカメムシ科) 11:06

2011年10月9日 蔦沼遊歩道・青森

写真を数枚撮って、歩きだした直後に、2種類目を発見。
鮮やかな黄色のお腹が良く目立つ。

このカメムシの匂いは、かなり上品である。

 


ヒメハサミツノカメムシ(ツノカメムシ科) 11:14
 
2011年10月9日 蔦沼遊歩道・青森

少し歩いたところで、予定していた(?)ツノカメムシを見つけた。

今回だけで、雌も含めて、約10個体ほどに出会った。

 

 

セグロヒメツノカメムシ(ツノカメムシ科) 11:16
2011年10月9日 蔦沼遊歩道・青森

2種類目のツノカメは、比較的珍しい種類であり、
今回出会ったのは、この個体のみであった。

かなり小さいツノカメである。

 


クサギカメムシ(カメムシ科) 11:16
 
2011年10月9日 蔦沼遊歩道・青森

すぐとなりの葉っぱで、今シリーズの例外種(果樹害虫!)を発見。
当然、発見個体数は、このカメムシが一番多かった。

そして、帰りに立ち寄った浅瀬石ダムでも、
佃煮にするほどの個体に遭遇した。

 

 

スコットカメムシ(カメムシ科) 11:34
 
2011年10月9日 蔦沼遊歩道・青森

蔦沼周辺で、同行のアイン君と妻の写真を撮ったりして、
しばらく時間が経過した。

6種目のカメムシは、珍品かどうか、微妙である。

最初、普通種ツマジロカメムシに見えたが、
よくみると、スコットカメムシであった。

残念ながら、家屋内に侵入する不快害虫に属する・・・

 

 

チャイロクチブトカメムシ(カメムシ科) 11:39
2011年10月9日 蔦沼遊歩道・青森

そして、本日最後に、やや珍品発見。

最初は、ああまたクサギかと思ったが、微妙に色が違う。

良く見ると、チャイロクチブトカメである。

普段あまりお目にかかれない種類に出会うと、
やはり、ちょっとだけ興奮する。

写真を撮りまくった・・・・

 

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