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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

昔は珍品だった?? ヨツモンカメムシ

今月は、「カメムシ写真強化月間」です。
頑張って、不定期にブログ更新します。

 

日本産クヌギカメムシ科の最大種ヨツモンカメムシ。
Urochela quadrinotata Reuter,1881

クヌギカメムシ科特有の楕円形のカメムシで、
日本原色カメムシ図鑑第3巻によると、
体長は12.5-16.5mmとされる。

体は赤褐色で、背面に明瞭な4つの黒色小紋があり、
名前の由来となっている。

 


ヨツモンカメムシ(クヌギカメムシ科)

2010年7月4日 厚真林道・北海道

もともと寒冷地のカメムシであるが、関東以北でも、
越冬期前後の移動時期にしか目に触れないとされ、
タイトルにあるように、本当に珍品だと思っていた。


 

 

ヨツモンカメムシ(クヌギカメムシ科)

2012年6月13日 梵珠山・青森

しかも、日本原色カメムシ図鑑(第1巻?)には、
掲載されていないこともあって、
かなりの希少種であるとう噂さが広まっていた。



 


ヨツモンカメムシ(クヌギカメムシ科)

2010年10月22日 浅瀬石ダム・青森

ところが、弘前市周辺では、秋も深まってくると、
晴れた日のダムサイトに行けば、
越冬のために移動している本種を、
いとも簡単に見ることができるのだ。


このように、夏場は樹上生活している発見困難な虫たちが、
寒くなってくると、樹上から降りて、
越冬場所に移動するときに立ち寄るダムサイトは、
珍品を撮る最高の舞台である。

 


 


ヨツモンカメムシ(クヌギカメムシ科)

2012年6月19日 白岩森林公園・青森

でも、お気づきだろうか?

ひとつ上の写真以外は、みんな、
発見しにくいという噂(?)の夏に撮影された写真なのだ。
(⇒これを、通常、自画自賛という!)

 


 


ヨツモンカメムシ交尾中

2011年6月26日 白岩森林公園・青森

成虫で越冬した個体が、翌春のこの時期、
ハルニレの芽吹きに合わせて活動を再開し、
交尾を行う様子が、このように運が良ければ観察される。

この写真も、比較的希少価値があると思う。
(⇒この表現は、通常、・・・・という!)

 

     

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ちょっとだけ大きい! オオトビサシガメ

今月は、「カメムシ写真強化月間」です。
頑張って、不定期にブログ更新します。

 

今日は、大型カメムシの3種目、
日本産サシガメ科の最大種オオトビサシガメである。
Isyndus obscurus Dallas,1850

茶褐色で、体長20-27mmの大型のサシガメ。

脚や触角が長く、まあスマートではあるが、
頭部分は、やはりサシガメ特有の口吻である。

 


オオトビサシガメ(サシガメ科)

2010年9月14日 だんぶり池・青森

真上から見ると、サイズと色は、
オオヘリカメムシ(前々回)の雄に、よく似ている。

思わず、手で掴んでしまいそうになるが・・・

 

 


オオトビサシガメ(サシガメ科)

2010年9月14日 だんぶり池・青森

この角度からみると、強力な口器がはっきり見える。

同じ肉食性のクチブトカメムシ類とは違って、
いかにも「血ぃ~、吸うたるで~」という雰囲気満載のサシガメ。
(何で関西弁なのかは、多分・・・・・!!!)

こんなのを見ると、むやみ手で掴もうとは思わない。

 

 


オオトビサシガメ(サシガメ科)

2013年10月14日 矢立峠・秋田

光に集まる虫たちを狙って、
多くの肉食系(?)の虫たちも、
光に集まってくる。

そんな中に、オオトビサシガメも、さりげなくいる。


この場所に来れば、確実に獲物にありつけるのだ!!!

 

 

 

オオトビサシガメ(サシガメ科)

2010年10月31日 玉川ダム・秋田

獲物が沢山いるダムサイトにも、集まってくる。

越冬場所を探す途中、ここは一石二鳥の場所なのだろう。

金属面に映った姿は、獰猛な吸血鬼そのものの姿である。
はっきりと見える口器で、獲物につき刺して、体液を吸うのだ。

 

 


オオトビサシガメ(サシガメ科)

2012年10月22日 浅瀬石ダム・青森

今回の犠牲者は、同じカメムシの仲間だ。
長い冬の時期に備えて、最後の食事なのだろう。

当然彼らは、獲物となったクサギカメムシの強烈な匂いを、
全く意に介さないようだ。

カメムシの匂いの不思議1/5 アリに対する防御効果
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20101107/1/

 

     

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さりげなく大きい?! オオクモヘリカメムシ

今月は、「カメムシ写真強化月間」です。
頑張って、不定期にブログ更新します。

 

今日は、さりげなく大きい(長い!)オオクモヘリカメムシ。
Homoeocerus (Anacanthocoris) striicornis Scott,1874

見た目で大きさが伝わらないのは、体が細長いからだろうか?
緑色と黒褐色のコントラストがはっきりして、なかなか美しい種だ。


ちょっとだけマニアックであるが、
一見間違えやすいミナミトゲヘリカメムシというのがいる。

でも、南方系の種なので、少なくとも関東から北では、
別によく見なくても、大丈夫だ。

 

 


オオクモヘリカメムシ(ヘリカメムシ科)

2011年6月16日 東海村・茨城

公園のネムノキで見かけることが多い普通種であるが、
一般の人は、視界には入っていても、気づかないのだろう。

一度、撮影中に声をかけられたが、しばらく撮影対象が、
カメムシであることが、分からなかったようだ。

 

 


オオクモヘリカメムシ(ヘリカメムシ科)

2012年5月24日 東海村・茨城

名前の由来は、害虫として有名なクモヘリカメムシに似ていて、
それよりずっと大きいことによるのだろう。

確かに良く似ているのだが、個人的は、別の名前の方が・・・

 

 


オオクモヘリカメムシ(ヘリカメムシ科)

2011年6月11日 東海村・茨城

交尾中のカメムシ類の写真は、他の虫たちと違って、
ネット上でも、比較的簡単に見かける。

多分交尾している時間が、比較的長いという理由だけで、
被写体になりやすいからなのだろう。

 

 


オオクモヘリカメムシ(ヘリカメムシ科)

2013年6月4日 道の駅みわ・茨城

では、何故カメムシ類の交尾時間は長いのだろうか?

カメムシ類の雌は、交尾後、すぐに他の雄との再び交尾することができる。
その場合は、後から交尾した雄の精子と受精するのだ。

だから、雄たちにとっては、つがい相手の雌が、自分と交尾した後、
すぐに別の雄と交尾させないような、何らかの対策が必要だったのだろう。

それが、長時間交尾を続けて、この写真のように、
雌をしっかり拘束しておくことなのだ(注)

 

 


オオクモヘリカメムシ(ヘリカメムシ科)

2013年6月4日 道の駅みわ・茨城

それにしても、結構落ち着いている感じがするし、
近づいても、まったく逃げる気配がない。




(注)もちろん、ほかの昆虫類も、状況はよく似ているのだが、
   何故カメムシ類が長いのかについては、
   過去に紹介したことがあるので、以下の記事をご覧ください。

   カメムシ交尾中【2】 何故カメムシの交尾時間は長いのか?
   ↓  ↓  ↓
   http://kamemusi.no-mania.com/Date/20111212/1/


   カメムシ交尾中【3】 何故、虫たちは交尾するのか?
   ↓  ↓  ↓
   http://kamemusi.no-mania.com/Date/20111215/1/


    

 

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大~きすぎるよ!! オオヘリカメムシ

今月は、さりげなく「カメムシ写真強化月間」です。
頑張って、不定期にブログ更新します。

 

今日は、多分日本産ヘリカメムシ科の最大種オオヘリカメムシ(注)
Molipteryx fuliginosa Uhler,1860

褐色で、前胸部側面が前方に張り出している大きなヘリカメムシ。

脚が太く、いかにも頑丈そうな雰囲気がある。

 


オオヘリカメムシ(ヘリカメムシ科)

2012年5月31日 南会津・福島

定番のアザミに葉っぱにいて、よく目立つ。

この写真でみると、葉っぱとのサイズ比較から、
オオヘリカメムシの大きさの想像がつく。

 

 

オオヘリカメムシ(ヘリカメムシ科)

2010年6月15日 だんぶり池・青森

北方系・山地性の種類なので、
徳島に住んでいるころは、まあ珍品扱いしていたが、
だんぶり池周辺では、結構、頻繁に見つかる。

 

 


オオヘリカメムシ(ヘリカメムシ科)

2011年9月15日 白岩森林公園・青森

この子は、上の写真の子と比べて、
真っ黒で、体も細いので、
まるで別種のように見える個体である。

 

 

 

オオヘリカメムシ(ヘリカメムシ科)

2011年6月7日 白岩森林公園・青森

こちらは、交尾中の比較的珍しい写真。

上の方で見た、体の太さ(幅)の違いは、
明らかに、雌雄による差によるものだったようだ。

 

 


オオヘリカメムシ(ヘリカメムシ科)

2010年9月2日 だんぶり池・青森

この子の行先には、恐ろしい(?)アリがいるが・・・

他のカメムシ類と同じように、
この子は、体に触れるような刺激に反応して、
強烈な匂い成分を放出する。

しかし、実際に野外で観察していると、
カマキリや、造網性のクモなどに、簡単に捕獲されてしまう。

だから、匂い成分の防御効果は、
野鳥類を含めた多くの捕食者に対して、
ほとんどの場合、有効でないようである。

しかし、何故かアリに対しては、
ほぼ完ぺきな防御効果を示すのは、
しばしば観察されるのだ。


この写真撮影の後、数分してから戻ってきてみると、
アリの方が居場所を変えていた(逃げた?)。

カメムシの匂いの不思議2/5 アリに対する防御効果
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20101108/1/

 


(注)日本原色カメムシ図鑑第3巻によると、
   2006年に記載されたミナミオオヘリカメムシ
   【Molipteryx asahinai Kikuhara,2006】という種が、
   九州・四国・本州の温暖な地域で見つかるようだ。

   その体長は【19.9~26.3mm】とされており、
   オオヘリカメムシ【18.8~25.2mm】より、
   わずかだが、大きいことになる。

 

       

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背中のハートが!? エサキモンキツノカメムシ

今月は、さりげなく「カメムシ写真強化月間」です。
頑張って、不定期にブログ更新します。

 

今日は、人名のついたエサキモンキツノカメムシ。
Sastragala esakii Hasegawa,1959

背中に、大きな黄色のハートがあるツノカメ。
雌成虫は、卵や幼虫を保護する習性があるらしいが、
もちろん私は、まだ見たことがない。


   

 

エサキモンキツノカメムシ(ツノカメムシ科)

2012年8月4日 五色沼・福島

背中のハートマークは、遠くからでもよく目立つ。

これは、珍しく右側の触角が写っていない希少写真。
もちろん、下の写真と同一個体なので、
まるで手品師のように、自分の触角を隠しているのだ。

 

 

 

エサキモンキツノカメムシ(ツノカメムシ科)

2012年8月4日 五色沼・福島

ちなみに、背中の黄色の紋がハート型になっていない、
ただのモンキツノカメムシという種類がいる(注)

残念ながら、こっちは珍品のようで、
手持ちの写真がなく掲載できないのが、ご愛嬌である(?!)

 

 


エサキモンキツノカメムシ(ツノカメムシ科)

2012年8月4日 五色沼・福島

実は、ハートでないモンキツノカメムシの方が、
最初に記載されていた種である。

今から50年以上前であるが、長谷川仁先生が、
黄色の三角形が、ハート型になっている近似種を発見し、
エサキモンキツノカメムシという和名がついたのだ。

 

 


エサキモンキツノカメムシ(ツノカメムシ科)

2013年9月17日 ひたちなか市・茨城

エサキという名前は、結構色々な虫についており、
もちろん、戦前に活躍された江崎悌三博士に由来する。

以前このブログで紹介したイシハラハサミツノカメムシと、
良く似た発見の経緯と和名だと思うので、この機会にもう一度!!

新種イシハラハサミツノカメムシ
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20121113/1/

 

 


エサキモンキツノカメムシ(ツノカメムシ科)

2013年9月17日 ひたちなか市・茨城

この写真を撮ったひたちなか市内の公園は、
市街地にある本当に小さな公園なのに、
予想外に虫の種類の虫が多いので、ちょっとお気に入り・・・

 


(注)実は、黄色の紋が「ハート紋」か「まる紋」かだけでは、
   厳密に両種を識別することはできない。
   まる紋なのに、エサキモンキツノカメの場合があるのだ。
   (多分逆のパターンはない)

   基本的には、前胸背側角(ツノ)の形状で見分けるようで、
   モンキツノの方が、エサキモンキより長く張り出している。
   先端部の形状は、逆に、短いエサキモンキの方が尖っており、
   長く突出するモンキの方が、丸みを帯びている。

   私は、前胸背の色が褐色の場合は、エサキモンキツノカメ、
   緑色の場合は、モンキツノカメとしているが、
   これは、どうも正式な同定法ではないらしい。

   さらにマニアックな同定法がある。
   触角第1節と2節の長さが等しいか、
   わずかに1節の方が長いのが、エサキモンキツノカメムシで、
   第2節の方が明らかに長いのが、モンキツノカメムシである。


 
    

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