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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

アケビコノハ 擬態の帝王

日本語で単に【擬態】という場合には、
目立たなくさせるような【隠蔽的擬態 Mimesis】と、
よく目立つようにする【標識的擬態 Mimicry】の、
相反するふたつの概念を含んでいる。

つまり、枯れ葉のようなコノハムシも、
ハチのようなカミキリムシも、英語では、
【Mimesis】と【Mimicry】と区別されるのに、
日本語ではいずれも【擬態】と呼ばれる。

日を改めて、詳しく紹介する予定であるが、
それらは、明確に区別される用語なので、
使用の際は注意が必要である。

アケビコノハの場合には、不思議なことに、
これらのふたつの機能を、
幼虫と成虫で見事に使い分けている。

この子は、とてつもなく素晴らしい役者なのである!!

 

成虫の写真が撮れたので、約束通り再登場!!

アケビコノハ君です。

 
2010年10月13日 アケビコノハ終齢幼虫 弘前市
 
アケビの葉っぱを食べているときや、
歩いているときはこんな感じで、
よくみられる普通の蛾の幼虫である。。

 

 
2010年10月08日 アケビコノハ終齢幼虫 弘前市

ところが、静止しているとこは、こんな状態で、
背中だけを持ち上げ、目玉模様を強調した、
典型的なこの子の静止パターンである。

 

 
2010年10月08日 アケビコノハ終齢幼虫 弘前市

鳥のような捕食者が見ると、こんな感じになるのか?

いずれにしても、目玉模様が強調され、
ヘビに似せた【標識的擬態 Mimicry】の典型とされる。



 

しかし、成虫は全く違う。

 
2010年11月27日 アケビコノハ成虫 福島

まるで枯れ葉が落ちているようである。
こちらは、【隠蔽的擬態 Mimesis】の典型である。


そして、この後がすごい!

 
2010年11月27日 アケビコノハ成虫 福島

写真を何枚か撮っていると、突然飛び立った。
11月下旬の夕方で、かなり気温がさがっているのに、
元気に飛び去ってしまった。

着陸した付近の芝生を懸命に探したが、
本物の枯れ葉に混ざって、再発見は困難であった。

そして、数分後、突然飛び立つ寸前のワンショットである。
あわててシャッターを切ったので、
下手糞な写真であるが・・・

突然、翅を広げて、鮮やかな目玉のような模様が見える。

こちらは、典型的な目玉模様の提示パターンである。

何故、君は、こんなことができるんだ。

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君はヘビか? ベニスズメ幼虫

以前(http://kamemusi.no-mania.com/Entry/17/)に
紹介したアケビコノハの幼虫は、目玉模様を強調しすぎて(?)、
ヘビというイメージは少なかった。


しかし、今回紹介するベニスズメの終齢幼虫は、
どう見ても小型のヘビだ!



 
2010年10月12日 ベニスズメ幼虫 白岩森林公園

普通に葉っぱを食べているときは、
どこにでもいる蛾の幼虫である。
 


 
2010年10月12日 白岩森林公園

頭部を上に持ち上げると、
ちょっとヘビに似てくる。
 


 
2010年10月12日 白岩森林公園

しかし、この子を前から見ると、
まるでヘビである。



 
2010年10月12日 白岩森林公園

前方を空中において、ゆっくり振ると、
ヘビの動作にも似てくる。

このように、小型のヘビに似ることが、
この子の生存の上で、
どれほどの意味をもっているのかは、
詳細なな検討が必要であると思うが・・・

 

しかし、下の写真の擬態の神様、アケビコノハ君と比べると、
ヘビに似ている点では勝っているが・・・

 
2010年10月9日 アケビコノハ幼虫 弘前市

やはり、どうしても、

擬態のスケールの違いを感じてしまう!!!

 

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これはかなり不思議: ミューラー型擬態


ミューラー型擬態とは、
何らかの防御手段を持った別の種同士が
互いに良く似ている現象をいうが、
アシナガバチやスズメバチのように、
近縁種が、同じような色彩と形態を持っていても、
あまり面白くない。

やはり、ミューラー型擬態の醍醐味(?)は、
近縁関係にない種同士が良く似ていることにあると思う。


手持ちの写真の中から、
ミューラー型擬態の当事者を抜き出してみる。

撮影した時には、あまり擬態種とは意識せずに撮っているので、
それぞれ別角度からの違った雰囲気の写真になっているが・・・

 

2010年8月30日【ヨツボシモンシデムシ(シデムシ科)】青森・だんぶり池

このような、赤と黒の模様は、人間にも非常に良く目立し、
とりあえずシャッターを切って、後でパソコンの画面で確認すると、
別種であったりすることもある。

  

2010年7月7日【モンキゴミムシダマシ(ゴミムシダマシ科)】青森・だんぶり池

毒を持っている種類が、それぞれ別々の警戒色をしていると、
捕食者が経験した不味い種の色彩を、
何種類も覚えきれなくなることが予想される。

 

 

  2010年5月30日【イタドリハムシ(ハムシ科)】青森・白神

捕食者が覚えられる種類の数は、なるべく少ない方が、
被食者が生き残る上では有利になるはずで、
必然的に、互いに似たような色の種類になったものと考えられる。

お互いが毒を持っており、どちらかが一度犠牲になれば、
その後は、他の種類も守られることになるからである。

 

  2010年6月22日【カメノコ(テントウムシ科)】青森・梵珠山

つまり、同じ警戒色の仲間が多ければ多いほど、
捕食者の学習する機会が増えて、
個々の被食者にとって、食べられてしまう確率が減るということになる。

⇒当初、ナミテントウとしていましたが、Nabita氏のご指摘により、
 カメノコテントウに訂正しました。

 

ここが、ミューラー型擬態の進化の素晴らしさだ!!

 

 

2010年7月11日【ヨツスジハナカミキリ(カミキリムシ科)】茨城・筑波山

ちょっと待て!!   ヨツスジハナカミキリ君

ちょっと似てるような気がしないでもないが、
君は違うだろ!!!

 

(蛇足)
カミキリ類は、不味成分を持っていないとされている。
したがって、この場合は、ベイツ型擬態の範疇であるが、
やはり不完全である。

ベイツ型擬態の場合は、ミューラー型擬態と違い、
モデル種しか毒を持っていないので、
もし捕食者が先に毒を持たない擬態種の方を食べると、
毒を持つ方もおいしいと勘違いされてしまい、
襲われる可能性が高くなってしまう。

ベイツ型擬態の場合は、擬態を行う種類が増えれば増えるほど、
そのモデル種は損をすることになってしまう。

 

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ハイイロセダカモクメ君 再登場!!!

ハイイロセダカモクメ、君は忍者【NINJA】か?
    ⇒ ⇒ (ブログ管理会社に、ちょっと気を使ったりする?)

今回、好評につき、もう一度、
ハイイロセダカモクメ君に登場してもらいます。

    
今年の秋、青森県内の数か所で、必死に探して、
合計10匹前後の幼虫を見つけた。

多少興奮して、写真を撮りまくった。
 

下の3枚の写真、是非クリックして大きくしてから、ご覧ください。



 
2010年10月8日【ハイイロセダカモクメ幼虫】だんぶり池

この写真は、比較的探しやすい方だが、
ほぼ完璧な隠蔽的擬態の例になるだろう。

外国産の昆虫では、コノハムシやハナビラカマキリが有名だが、
この子は、それに匹敵するものだと、個人的には思う。

 

 

 
2010年10月14日【ハイイロセダカモクメ幼虫】弘前市

この写真が、我々が歩きながら、肉眼で探すイメージに一番近い。

しかし、一度見つけても、撮影現場では、
カメラのレンズ交換などで、ちょっと目を離すと、
すぐに視界から飛んでしまう!!!

そして、再び見つけるまでに、どうしても数十秒はかかる・・・・

 


 
2010年10月8日【ハイイロセダカモクメ幼虫】だんぶり池


この写真には、偶然2匹のハイイロセダカモクメ幼虫が写っている。
左側の1匹はすぐに分かるが、右側先端近くに2匹目が・・・・・

実際に、撮影現場では、しばらくしてから、

あれ! 嘘ぉ~!! もう一匹いるじゃん!!! 信じられない!!!!

・・・と、いう感じだった。


それにしても、
これだけの厳しい選択圧をかけ続ける(元)天敵は何だったろうか?

おそらく、視覚的に獲物を探す捕食者の方にも、
中途半端な擬態は許さない、厳しい条件があったのだろう。

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ここからは、全くの想像であるが、
その(元)捕食者は、
満腹状態で北の国に帰らなければならない渡り鳥かもしれない。

あるいは、この時期に、沢山の子供の子育てに追われ、
どんどん獲物を巣に運び込まなければならなかった野鳥類だったのかもしれない。

そして、食べられる方も、ここまでやったのだから、
ヨモギの生活環とに、完全に同調して発生しなければ意味がない。

年1化で、(おそらく)蛹で越冬し、(おそらく)そのまま夏眠して、
秋に交尾・産卵する生活環になったのだと思う。

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最後に、もう一度ハイイロセイタカモクメ君をご確認ください。


 







 

彼(彼女)にもう一度拍手お願いします
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意外と漫画チックな目玉模様 アケビコノハ幼虫





自宅のアケビの葉に、変なイモムシを見つけたので、
ちょっと、カラーマジックでいたずら書きしてみました。

キャンバスが小さくて、しかもピクピクよく動くので、
線が曲がってしまって、
きれいな目玉模様になりませんでした。

本当に、描くのに苦労しました。

良い子は絶対にマネしないでください!!




 


・・・って、すいません。 

・・・・です。



これは、まぎれもなくアケビコノハの5齢幼虫の目玉模様なんです。

黒い瞳の中に、キラリと光る部分も、ちゃんとあります。

ちょっと怖いけど、まるで、少女漫画の主人公の目でしょう!!

 


 
2010年10月8日【青森・弘前市】

同じ個体の正面から見たところです。
やっぱり、漫画チックです。

普通の昆虫の目玉模様といわれているものは、
同心円状の丸い模様が多く、普段は隠されていて、
外敵が接近すると、突然見せます。

この子の目玉模様は、静止状態でいつも見せているので、
模様はリアルになったのかもしれません。

 



同じく、真横から見たところです。

目玉模様は、お腹にあり、
それを強調するように、腹部を持ち上げています。

本物の目玉は左端の頭部です。

 
 


2010年10月8日【青森・弘前市】

これは、別の個体です。

瞳の中のキラリも、全く同じようにあります。

このように、お尻を上げて、目玉模様を強調するようなポーズは、
驚いたて固まってしまったときのものです。

 

 

そして、この子達の親も、かなりユニークな姿をしています。

自宅の庭に3匹の終齢幼虫を確認しているので、
彼らが、無事に羽化したら、また成虫の写真を紹介します。


アケビコノハ君に拍手!!
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