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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

目玉模様の進化【1】

当ブログで、過去に2回、シリーズものとして、
『カメムシの防御物質』『擬態の進化』について、
ほぼ文章だけの記事を書いた。

それに対して、親しい友人と家族(次女)から、
「そんなもん誰が読むんじゃい!」と、一喝された。

それにもめげず、今回、第3のシリーズとして、
『目玉模様の進化』について、考えてみたい。

(でも、ちょっとだけ、写真を入れて、文章も少し柔らかく  

是非、最後まで読んでください

 

昨年10月14日に、アケビコノハ幼虫のマンガのような目玉模様を紹介した。

そのときは、そんな目玉模様を見て、
私自身が、まるで捕食者のようにビックリしてしまったので、
外敵に対する防御効果進化については、
何も書くことができなかった

今回改めて、少し冷静(?)になって、
目玉模様の進化や実際の防御効果について、考えてみたい。

 

まず、下の写真をご覧ください。


クスサン成虫(ヤママユガ科)
 
2008年9月22日 碇ヶ関・青森 

このように、少なくとも我々人間にとっては、
適度な間隔で二つ並んだ同心円状の模様は、
フクロウなどの眼に見える。

しかし、クスサンは、いつもこの格好をしているわけではない。
普段静止しているときは、下の写真のように、
目玉模様は、前翅に覆われて見えない。


クスサン成虫(ヤママユガ科)

2008年9月22日 碇ヶ関・青森

この子が目玉模様を見せるのは、危険を感じたり、
外敵に襲われた際に、前翅を開いたときである。

したがって、これらの一連の行動は、
外敵に対する何らかの特別なシグナルとして、
十分機能していると考えられている。


でも、本当に、そうなのだろうか?


一見賢そうな(?)クスサンさんは、自分の後翅の表面に、
フクロウの眼に似た目玉模様を持っていることを、
さらに、それを突然見せつけると外敵が驚くことを、
本当に、知っているのだろうか?

ただ単に、外敵から逃れようとして飛び立つ寸前に、
後翅の表面が見えてしまうだけじゃないのか?


(ここで、ちょっと冷静になる)


もう一度、上の写真を見てください。
お分かりのように、その模様がフクロウのように見えるには、
『木の幹に逆さに静止している状態』か、または、
『外敵がいる方向に頭が向いているとき』だけである。

当然、これらの場合には、飛び立つ(逃げる?)と、
飛んでいく方向が、捕食者がいる側になるので、
より近づくことになってしまうだろう。

まあ、ビックリする方から見れば、フクロウが遠くへ飛び去るより、
自分の方へ向って飛んでくる方が、怖さ100倍かもしれないのだが・・・


(そして、さらに冷静になる)


子供向けの本などにも、よく紹介されている有名なフクロウチョウは、
大きな目玉模様があり、翅の裏面全体がまるでフクロウのように見える。

しかし、中南米の森に住むこのチョウは、残念ながら、
展翅して標本箱に裏向きに、しかも上下逆さにならべた場合にのみ、
フクロウの顔のように見えるのである。

自然状態では、フクロウチョウは、翅を閉じて静止する。

これでは、どうやっても、目玉模様は1個しか見えないので、
よく見る写真のような正面から見たフクロウの顔には、
絶対に見えないのだという。

実際に、クスサンの場合にも、木の幹に逆さに止まるのだろうか?

残念ながら、その可能性はかなり低いと思われる。
私自身も、ヤママユガの仲間が、
頭を下に向けて静止しているのを見たことはない。

もしかして、脚の先端の爪(附節)の部分の構造が、
あの重そうな胴体を、下向きに支えにくくなっているかもしれない。


人間は、何であれ、自分に都合よく解釈しすぎるのだろうか?


(つづく)
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110309/1/

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擬態の不思議【3】 隠蔽的擬態

(前項【2】を先にお読みください)

コノハチョウ、ナナフシ、コノハムシ等にみられるように、
自分が他の動物から捕食される可能性がある動物は、
周囲の植物や地面の模様にそっくりな姿をすることで、
攻撃者から発見されにくくすることができる。

このような場合は、【2】で述べた標識的擬態に対して、
目立たなくするための【隠蔽的擬態 Mimesis】と呼ばれる。

しかし、【1】の用語の混乱のところで検討したように、
隠蔽的擬態という用語は、あまり一般的ではないのかもしれない。

一方で、不思議なことに、日本語で単に「擬態」というと、
目立たせるタイプのカバマダラに似せたアゲハチョウや、
ハチに似せたセスジスカシバよりも、
木の葉や枝に似せ、目立たなくするコノハチョウや、
ナナフシの方を思い浮かべる人が、多いのではないだろうか。


ここでは、手持ちの写真の中から一枚だけ、
隠蔽的擬態の見事な例を紹介する。

 
2010年10月8日 ハイイロセダカモクメ だんぶり池 

当然のことであるが、隠蔽的擬態に関しても、
外見が背景によく似ることは必須であるが、
擬態者の行動も重要な意味を持っている。

写真でお分かりのように、ヨモギの花穂に平行になるように静止して、
ようやく【隠蔽的擬態 Mimesis】が機能するのだと思う。

つまり、上のハイイロセダカモクメの幼虫が、
どれだけヨモギの花穂に似ていても、
下の写真のように、葉っぱの上に静止していたのでは、
あまり効果的ではない。

 
2010年10月8日 ハイイロセダカモクメ だんぶり池 

しかし、ここまで過剰な擬態をしなくても、良さそうな気がする。

コノハムシやカレハカマキリも全く同様であるが、
「何でそこまで似せなければならないの?」と思う。

ハイイロセダカモクメのやりすぎ(?)とも思える擬態は、
単純に、突然変異と自然淘汰という図式からは、
ちょっと違った説明が必要な気がする。

実際、全く同じ場所には、下の写真のような、
かなり不完全な擬態をする別種の蛾の幼虫が見つかる。

 
2010年10月14日 種名不詳の蛾の幼虫 だんぶり池 


さらに、近縁種には、よく目立つ蛾の幼虫(毛虫)もいる。

 
2010年10月14日 種名不詳の蛾の幼虫 だんぶり池 

いずれにしても、ハイイロセダカモクメ以外の
すべての幼虫が鳥に喰われてしまうことはないはずである。

このような状況の中では、擬態の効果を確認するには、
やはり統計学的な解析が不可欠であり、
ハイイロセダカモクメ幼虫が、ヨモギの花穂上で、どのような生存率であるのか、
あるいは、同時に発見されるその他の蛾の幼虫はどうなのかを、
詳細に検討しなければならないと思う。《注6

隠蔽的擬態に関しては、あまりにも似すぎているために、
我々は早とちりをして、安易な判断がなされている場合も多い。

本当にそれが擬態として作用しているのかどうかには、
しっかりした観察に基づく慎重な論議が必要であると思う。

一つの例を示そう。

鳥の糞に擬態するクモや昆虫を良く見かける。
これが、【隠蔽的擬態 Mimesis】なのか【標識的擬態 Mimicry】なのか、
議論の分かれるところである。

鳥の糞に似た外見は、それに興味を示す動物はごく稀であり、
普通は【隠蔽的擬態 Mimesis】であるとされている。《注7

これに対し、ハエトリグモの仲間で鳥の糞に似せた場合には、
【標識的擬態 Mimicry】の中の攻撃型擬態と考えられる場合もある。

ある種のチョウやハエは、鳥の糞の汁を吸うために、
糞を目当てに近寄ってくることがあり、
クモが鳥の糞に似た外見を持つことによって、
そのような習性を持つ昆虫をおびきよせて捕まえている、
と考えられたのである。

しかしながら、これは有名な話であるが、
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このクモは、昔は、糞だと判断してよってきた昆虫を食べる、
攻撃的擬態であるとみなされていた。
しかし、現在では、このクモは夜間に網を張って獲物を捕えることわかった。
それでも糞に擬態している可能性は残るわけだが、
実はこのクモは、多くの場合葉の裏側に止まるのである。
------------------------------------------------------------------
さらに言えば、
木の葉に似た昆虫の化石が見つかった時期(ジュラ紀後期)には、
まだ広葉樹は出現していないとのしてきもあり、
擬態者がモデルよりも新しいとは限らない。
 
広葉樹の葉がモデルで、コノハチョウが擬態者であることは、
間違いないと思うが、これもちょっとだけ不思議である。


以上のように、残念ながら日本では、用語の混乱も含めて、
擬態は、博物学の範囲で語られることが多かった。

しかし最近になって、ようやく擬態を、
生物学の問題として扱う人も増えてきて、
擬態の起源、擬態の効果、進化のしくみ、視覚信号の意味等、
生物進化を知る上で、貴重な実験材料の一つになりつつあるように思う。

 

注6》イギリスの工業黒化したオオシモフリエダシャクを用いた
    ケトウェルの実験が有名である。


注7》鳥のフンに似た昆虫の写真は、日を改めて掲載する予定である。
 

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擬態の不思議【2】 標識的擬態(Mimicry)

(前項【1】を先にお読みください)

自分を視覚的に目立たせることによって、
外敵からの攻撃から逃れる方法がある。

自らを、よく目立つ危険な動物に似せると、
過去に嫌な経験をした学習能力のある捕食者を欺いて、
その攻撃を躊躇させることができるからである。

このような擬態を、【標識的擬態 Mimicry】と言うが、
上記のような場合、さらに分類して、
一般的に【ベイツ型擬態】と呼ばれる。


ベーツ型擬態が機能していることを証明するためには、
以下の5点を、すべて確認する必要がある。

①モデル種は、まずくて(毒があって)、
 鳥などの捕食者からあまり食べられない。
②モデル種は、比較的目立つ形態・色彩をしている。
③擬態種は、本当は味が良い(毒がない)のに、
 まずい(有毒の)モデル種に似ている。
④捕食者は、生まれつきモデル種がまずい(有毒)ことを、
 知らないので、一度はモデル種を攻撃する。
⑤捕食者は、基本的に、両者を見分けることができない。

この中で、①③⑤はよく見かける条件であるが、
②と④も、ベイツ型擬態の必須項目であるはずである。

アメリカのブラウワー博士が、見事に実験的に証明した。

集団越冬でも有名なオオカバマダラを用いた論文を、
学生時代に英文を苦労して読んで、
擬態という(ややもすると)博物学的な分野でも、
その手際のよい科学的な証明方法に、感動したことを覚えている。《注4


オオカバマダラは、幼虫時代の食草がトウワタ(ガガイモ科)で、
それに含まれる毒成分(カルデノライド)を、
成虫になっても体内に蓄積していることを確認し、
そのために、鳥はオオカバマダラ成虫を食べない【条件①】。

オオカバマダラ成虫は、オレンジ色の地に、
黒と白の比較的派手な色彩をしている【条件②】。

オオカバマダラ幼虫を無毒のキャベツで飼育すると、
毒のないオオカバマダラ成虫を作ることができるが、《注5
これを研究室で雛から育てられて、
一度もオオカバマダラを経験していない鳥(ノドジロアオカケス)は、
喜んで食べる【条件③】。

しかし、通常の毒のあるオオカバマダラ成虫を与えて、
まずい味を経験させると、鳥は、
二度とこれを食べることはないので、
生まれつき毒があるチョウを知っているわけではない【条件④】。

こうして、通常のオオカバマダラ成虫を食べなくなった鳥は、
キャベツで育った無毒のカバマダラも、
擬態者であるカバイロイチモンジも食べなくなる【条件⑤】。

ブラウワー博士は、これらの一連の実験の中で、
擬態種はゆっくりした進化の過程で、
類似がまだ完全な状態ではない段階でも、
ある程度の効果を持っていることを示唆した。


また、複数の有毒な種が同じような形態になると、
より効率的に捕食者を学習させることができる。

この場合は、【ミューラー型擬態】と呼び、
以前に日本国内で見られる例を紹介した。

http://kamemusi.no-mania.com/Date/20101114/1/

さらに、メルテンス型擬態、ベッカム型擬態(攻撃擬態)、
アリ擬態、種内擬態などの特別な擬態に細分されるが、
非常に面白い不思議な現象でもあり、
これらについては、別の機会に紹介したい。

 
ベイツ型擬態に関しては、隠蔽的擬態と同様に、
もうひとつ重要な条件がある。

外見が有毒あるいは危険なモデルによく似ることは当然であるが、
擬態者の行動も重要な意味を持っている。

モデルが動く場合には、当然その行動まで似せなければ、
外見がどれだけ似ていても、その効果が薄い。
例えば、ハチに擬態するトラカミキリ成虫は、
細かく触角を振りながら、ハチのような歩き方をするし、
有毒のベニモンアゲハに擬態するシロオビアゲハのメスは、
モデルと同じようにふわふわと飛ぶ。


一方、捕食者の方にも、いくつかの重要な条件がある。

無害な動物が、有害な生物をモデルとしたベイツ型擬態の場合、
捕食者が、モデルを攻撃したときのいやな記憶を、
できるだけ長く保っていることが必要である

もしもスズメバチに刺されたことがある動物が、
次の日には、ハチのことをすっかり忘れてしまえば、
次に(ハチに擬態した)セスジスカシバを見つけたとしても、
全くためらわずに捕食するだろう。

 
2010年9月8日 セスジスカシバ 白岩森林公園

従って、ハチの模様と刺された痛みを、
関連づけて覚えていることが必須条件である。

これは、脳神経系と視覚などの感覚器がある程度発達した、
学習可能な捕食者に限られることを意味する。

そしてもう一つ、考慮しなければならない条件がある。
それは、擬態者とモデルの数のバランスの問題である。

もし、モデルより擬態者の数の方が多ければ、
捕食者は、危険なモデルよりも無害な擬態者に遭遇する頻度が高くなる。
そうなると、擬態者の発する信号は、無意味になり、
逆に捕食されやすくなる可能性さえある。

ただし、どう見ても、例えばセスジスカシバ(擬態者)が、
アシナガバチ(モデル)よりも沢山いるとは、到底思えないが・・・・

 
注4》ブラウワー博士が女性であることを知ったときは、
    さらに感動したような記憶がある。

注5》このブラウワー博士の手法も素晴らしい。
    無毒のオオカバマダラ成虫を実験的に作り出し、
    あの独特のオレンジ色と黒と白の模様が、
    先天的に鳥が嫌うものではないことを見事に証明した。
    
(つづく)   

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擬態の不思議【1】 用語の混乱

昆虫類が何らかの手段によって、
外敵をだまして身を守るという仕組みについては、
古くから多くの研究者や昆虫マニアの興味の対象となってきた。

特に、自分自身の体の色や形を、他の何かに似せて、
外敵を視覚的にあざむくという例は多く、
一般には「擬態」とか「保護色」とか言われている。

しかし、子供向けの写真集や、インターネット上でも、
これらの用語の使用に関して、昔ほどではないが、
多少の混乱・誤用が見られる。


最初の混乱が、この「擬態」という言葉そのものだと思う。《注1

さりげなく複雑な「擬態」という現象を、詳細に定義するのは、
騙される方(信号受信者)から見るのが一般的である。

とりあえず、体色に関しては、
外敵から、目立たなくさせるような【保護色】と
良く目立つようにする【警戒色】と、
目的によって、明確に区別されている。《注2

しかし、擬態に関しては、不思議なことに、
目的による用語の区別は、一般的ではない。

つまり、日本語で単に【擬態】という場合には、
目立たなくさせるような【隠蔽的擬態 Mimesis】と、
よく目立つようにさせる【標識的擬態 Mimicry】と、
相反するふたつの概念を含んでしまう。


これでは、以前紹介したような、
枯れ葉に見えるアカエグリバも、
まるでハチのようなカノコガも、
英語では、一つの単語で、【Mimesis】と【Mimicry】と、
明確に区別されるにもかかわらず、
日本語では両方とも【擬態】と呼ばれてしまう。

われわれは、まず最初に、
体の色や形で「視覚的に欺くこと」に関して、
目立たないように欺くのか、
目立つように欺くのか、
これらの相反する二つの状況を、
明確に区別して使用しなければならない。

ということで、これで「すべて解決した」と言いたいところだが、
さすが不思議な昆虫の世界である!

そう簡単にはいかないのだ。


もうひとつ、よく見かける混乱がある。

亜熱帯に住むハナカマキリやカレハカマキリのような捕食者は、
周囲の植物(花弁や枯れ葉)に似せることにより、
気付かずに近づいてくる獲物を、
簡単に捕獲することができると言われている。

この場合を攻撃擬態と呼び、隠蔽擬態と対比させることもある。《注3

しかし、これは誤解を招きやすく、間違いであると思う。
【隠蔽的擬態】に対比する用語は、上記に述べたように、
目立たせるような【標識的擬態】であるはずである。

最近ペットショップなどでも販売されるようになった
ピンク色のハナカマキリは、
当然ピンク色のランの花に静止しているときには、
目立つことはない【隠蔽的擬態 Mimesis】そのものなのである。

この状況で、たまたま本物の花を蜜を吸うために訪れた獲物を捕えても、
それは攻撃擬態の範疇には入らない。

攻撃擬態【ベッカム型擬態】とは、海底にいるアンコウが、
自分の鼻先に、虫のようなものをユラユラさせて、
餌と思って近づいてくる小魚を捕える場合など、
積極的に獲物を欺いて近寄らせて、捕獲する場合を言う。

しかし、もし仮に、ハナカマキリが、
緑色の葉っぱや枝に、花びらのように静止していて
蝶や蛾が花の蜜を吸うために、近づいてくるような状況があれば、
それは、攻撃擬態の範疇に入れることができる。

南アフリカにいるハナカマキリの一種(Idolum diabolicum)は、
花に似ているが、彼らは花に止まって身を隠すことはない。

中・後肢のみで、木の枝に止まって、前肢の内側の模様は、
まるで花であり、中心部に向かってネクターガイドさえもある。
そして、実際に蜜を吸うために、
多くの虫(チョウやハエなど)がカマキリの花の近くに、
獲物として集まってくるのだ。

これならば、攻撃的擬態(=ベッカム型擬態)の典型である。

まさに、ハナカマキリによるこの現象が、
擬態に関する用語の混乱を、
如実に物語っているのかもしれない。


注1》多分、よく調べれば分かることであるが、
    日本で一番最初に擬態という言葉を使用した人は、
    英語のMimicryを和訳した可能性が高い。

注2》そうは言っても、どちらともとれる、
    ややこしいのがいることはいるが・・・

    警戒色の典型である赤と黒の縞模様のアカスジカメムシは、
    緑色の葉っぱに止まっていれば、当然よく目立つ。
    しかし、晩秋にセリ科植物の種子上でもよく見かけるが、
    このときには、この縞模様はほとんど目立たない。

注3Wikipediaの「擬態」の項目をみると、以下のように、
    擬態を二分している。

    Wikipedia(2011.01.15)より引用:
   **********************************************************
         擬態は目的によって隠蔽擬態(いんぺいぎたい)、
         攻撃擬態(こうげきぎたい)、の2つに分けられる。
         ただし隠蔽擬態と攻撃擬態については両方を兼ねる生物もおり、
         明確な線引きは難しい。
        **********************************************************

(つづく) 

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擬態より優れているのか? フタモンクサカゲロウ

このブログで何度か紹介したように、
自分自身の体や模様を葉っぱや枝に似せて、
外敵から身を守っている種類は多い。

そして、彼らは、昆虫カメラマンの刺激的な被写体となり、
さらには昆虫少年たちに過剰な感動を与え、
また、出版社やテレビ局を、なやましく誘惑し続けている。

しかし、これから紹介する子の考え方は、少しばかり違っていた。

苦労して、自分自身の体を微妙に枯れ葉や塵に似せるなら、
最初から本物を体に付着させれば、
それに勝る隠れ蓑はないし、より現実的で良いじゃないか?

 

 
2010年10月5日 だんぶり池

こうして、この子は、
体の表面に刷毛状の剛毛をはやすだけで、
その部分に塵や枯れ葉をひっかけて、
いとも簡単に隠蔽的擬態(?)が完成した。

 

 
2010年10月5日 だんぶり池

塵の下に、少しだけ上半身(?)が見える。

この子の名前は、(多分)フタモンクサカゲロウの4齢幼虫。
もしかしたらカオマダラクサカゲロウの幼虫かもしれないが・・・・

(ちなみに、クサカゲロウの幼虫には、この行動は見られない)

 


 
2010年10月5日 だんぶり池

塵が動くので、かろうじて中に虫がいることが分かる。

こうしていれば、外敵(主としてテントウムシ?)から、
十分身を守ることができるだろう。

背中に背負う塵の種類は、
食べカスや脱皮殻、枯れ葉などで、
好みは種類によって異なるとされている。

 

 
2010年10月5日 だんぶり池

ちょっと失礼して、ひっくり返させてもらった。
容姿は、まさにクサカゲロウの幼虫だ!!

 

 

ちなみに、成虫はこんな形だ。

 

 
2010年8月20日 青森・酸ヶ湯温泉

幼虫と成虫の種類が,
合致していないかもしれないが、
どっちにしても、よく似ている種ので、ご容赦・・・


先輩ミノムシ君は、かなりまじめに蓑を作る。
君の生き方も、なんとなく共感できるが、
良い子はマネしない方が良いかも・・・
 

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