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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

キカマキリモドキ これがミラクル擬態だ!!

このシリーズ最後のミラクル擬態の例は、
ちょっと笑ってしまうようなキカマキリモドキ君です。

セスジスカシバ君や、ジョウザンナガハナアブ君とは、
一味違うミラクル擬態です。

 

キカマキリモドキ(カマキリモドキ科)
 
2011年8月31日 酸ケ湯温泉・青森

アミメカゲロウ目カマキリモドキ科に属する昆虫である。

この子の所属は、我々古い人間は、脈翅目の方が良かったが、
最近では、アミメカゲロウ目と呼ばれ、
全く違う分類群のただのカゲロウ目とまぎらわしい。

多少分かりにくい呼び方になってしまったのか?



 

キカマキリモドキ(カマキリモドキ科)
 
2011年8月31日 酸ケ湯温泉・青森

このように、上半身だけ見るとカマキリ似ているので、
この名が付いたのだろう。

しかし、前脚(カマ)の折りたたみ方が、
普通のカマキリとは、明らかに違う。

同じ獲物を狩るための道具として、
進化してきたのだろうが、ちょっとだけ不思議である。


 


キカマキリモドキ(カマキリモドキ科)

2011年8月31日 酸ケ湯温泉・青森

改めて、下半身だけを見てみると、
これは、もともとの分類群のウスバカゲロウそのものである。



 

そして、問題はここからである。

何と、このキカマキリモドキ君は、下の写真のように、
ホソアシナガバチにも似ているのである。 


ムモンホソアシナガバチ(スズメバチ科)

3527 2011年6月5日 だんぶり池・青森

 この黄色と黒のツートンカラーは、良く目立つ警戒色の典型である。

おいおい、君はカマキリに擬態しているのではなかったのか?

・・・・・

・・・・・

・・・・・

そうなんです。

カマキリとアシナガバチ両方に擬態するというミラクル擬態なのです。


でも・・・・・このカマキリにしても、ホソアシナガバチにしても、
何となく、か細くて、強そうにはとても見えない・・・・?!


このように、「あまり意味がない」とも思えるような擬態が、
何故進化してきたのか?

これが、ミラクル擬態なのかもしれないのだが・・・・

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ジョウザンナガハナアブ これがミラクル擬態だ!!!

ちょっとだけ油断しているうちに、
さりげなくブログ開設一週年が過ぎてしまった。

それだけ「あっという間」だったのかもしれない。


前回のセスジスカシバは、
蛾がハチのように見えるミラクル擬態の好例であった。

今回のミラクル擬態は、アブである。
もともと、アブはハチのような体型であり、
「ハチ擬態」とは言え、あまりインパクトがない。

ところが下の写真のナガハナアブは、
その想像のちょっとだけ上を行く。

 

ジョウザンナガハナアブ(ハナアブ科)
 
2011年7月3日 白岩森林公園・青森

ちょっと引いたこの写真は、どう見てもハチである。

恥ずかしながら、私も、他の捕食者と同じように(?)、
ちょっと黄色が目立つ小さめのスズメバチと思っていた。

そして、パソコンのハチのフォルダーに入れて、
後で正確な名前を調べようとしていた。

 


ジョウザンナガハナアブ(ハナアブ科)
 
2011年7月3日 白岩森林公園・青森

ところが、スズメバチやアシナガバチの図鑑には、
この雰囲気のものは、出てこない。

そこでやっと気がついたのである。

これはアブだ!!!

 


ジョウザンナガハナアブ(ハナアブ科)
 
2011年7月3日 白岩森林公園・青森

拡大して見ると、頭の部分はアブそのものである。

ネットで調べると、この種はかなり少ないらしい。

 

 

ジョウザンナガハナアブ(ハナアブ科)
 
2011年7月3日 白岩森林公園・青森

本州では、福井県、奈良県、埼玉県、岩手県などで、
わずかな記録があるだけらしい。

もしそうだとすると、
青森県で初めて確認されたものかもしれない。



不覚にも、最初ハチと思って、
パソコンのハチのフォルダーに入れさせるほどの、
ミラクル擬態である。

・・・・・ただ単に、私が未熟者なだけか・・・・




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セスジスカシバ これがミラクル擬態だ!!!

セスジスカシバという蛾がいる。

普通の人は、この名前(和名)を聞いても、
背中にスジがあるスカシバとしか想像できない。


しかし、

・・・・

・・・・

・・・・


この蛾は、こんな容姿をしているのである。

 

 

セスジスカシバ(スカシバガ科)
 
2011年9月8日 白岩森林公園・青森

これは、どう見てもハチである。

私は、これを「ミラクル擬態」 【注】と勝手に名付けた。


この蛾を、わずか30分ほどの間に、
何と6個体も見ることが出来たのである。

 

 

セスジスカシバ(スカシバガ科)
 
2011年9月8日 白岩森林公園・青森

ミラクル擬態(奇跡の擬態)とは、やりすぎ擬態とも言える。
つまり、そんなにまでしなくても、捕食者は間違えてくれるよ!
というようなレベルに達しているものである。

 

 


セスジスカシバ(スカシバガ科)
 
2011年9月8日 白岩森林公園・青森

3匹目は、飛んできて葉っぱに止まったが、
飛び方は、どちらかと言うと、やはり蛾である。

 


セスジスカシバ(スカシバガ科)
 
2011年9月8日 白岩森林公園・青森

4匹目は、歩きまわっていたが、冷静に見ると、
全身に細かい毛があり、触角は間違いなく蛾である。

 


セスジスカシバ(スカシバガ科)
 
2011年9月8日 白岩森林公園・青森

少し、引いた写真であるが、何と、3匹同時に写っている。

一番奥に見えるのが、4匹目の個体である。
これで、手前に見える2個体を含めて、
今日だけで、6個体をほぼ同時に、見たことになる。

これも、ミラクルである!!!

 

 

【注】以前紹介したハイイロセダカモクメも、ミラクル擬態の範疇である。
   

       その他に、まだ写真を撮れてはいないが、
   枯れ葉そっくりのムラサキシャチホコという蛾も、
   「そこまでやらなくても!」というレベルである。

   ミラクル擬態を、現在の進化理論で説明出来るかについては、
   多くの議論があると思う。
   懐疑論者の共通の主張のひとつは、ネットで見る限り、
   「ある個体が捕食されるかどうかは、多くは偶然であり、
   そこまで精巧に擬態する必要はないのでは?」というものである。 

      

   


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警戒色の無毒昆虫?

オニヤンマジョロウグモの模様は、
下の写真のように、基本的に黒と黄色の縞模様で、
遠くからでもよく目立つ。

 

オニヤンマ(オニヤンマ科)
 
2011年8月26日 だんぶり池・青森

この色の組み合わせは、典型的な「警戒色」と言われ、
ホバリング中でも、なかなか良く目立つ。

この色の組み合わせは、我々人間も、
道路の危険個所や工事現場などで、
特に注意を促す視覚信号として、使用している。

 


ジョロウグモ(アシナガグモ科)
 
2010年10月9日 弘前市・青森

何故、無毒で防御物質も持たない彼らが、
わざわざこんな目立つ模様をしているのだろうか?

 

オニヤンマもジョロウグモも、
基本的には無毒・無害の虫であり、
捕食者である小鳥たちに対して、
何の対抗手段も持っていないはずである。

ベイツ型擬態の可能性もないとは言えないが、
両者とも、ハチとかなり形状が異なっており、
彼らを、ハチと間違えて、
捕食をためらう小鳥は、おそらくいないだろう。


やはり、普通の捕食者にとってみれば、
大型のオニヤンマとジョロウグモは、
ある程度、危険な存在である可能性はある。

 

しかし、下の写真のヒメバチは、どうだろうか?

 

オオホシオナガバチ(ヒメバチ科)
 
2011年8月23日 酸ケ湯温泉・青森

か細いイメージがあるヒメバチの仲間で、
こんな色の種類がいるなんて!

しかし、これは、どう見ても典型的な警戒色である。

 

また、こんな中途半端なやつもいる。
 

ヨツスジハナカミキリ(カミキリムシ科)
 
2010年7月15日 だんぶり池・青森

このカミキリ場合は、ハチに擬態してるとも思えるが・・・・

しかし、ベイツ型擬態ではないとすると、警戒色というのは、
有毒であるとか、不味いとか、武器を持っているとか、
その背景となるものがあって、初めて意味を持つ。

もし、何でもなく、ただ目立つだけであるならば、
捕食者にとって、それは良いカモでしかないだろう。

 


ただ、黄色と黒の警戒色そのものの情報に、
全く意味がないとまでは、言い切れない部分もある。

もしかしたら、生物は、黒と黄色の縞模様を、
本能的に嫌うのかもしれない・・・・


というのが、今回の陳腐な結論である。

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本当に親子なの?

昆虫は、変態をするので、
成虫と幼虫の見た目が全然違う場合が多い。

特に、完全変態をする蛾の場合には、
成虫と幼虫のイメージのギャップが大きい。

当ブログでも、成虫と幼虫が、別々のジャンルで登場した3種について、
もう一度、親子一緒に紹介するので、さりげなくご覧ください。




ベニスズメ幼虫(スズメガ科)

2010年10月20日 白岩森林公園・青森

グロテスクなヘビそっくりの幼虫であるが、
成虫になるとピンクのジェット機になるとは・・・・



ベニスズメ成虫(スズメガ科)

2011年7月7日 豊浦・北海道

何を隠そう、最初は全く信じられなかった。
このギャップは凄い!

君は、エルビス・プレスリーか? (いくらなんでも、古すぎる!)





クスサン幼虫(ヤママユガ科)

2011年7月24日 だんぶり池・青森

別名シラガタロウというが、クリなどの害虫扱いされる。
身体の横にある青い目玉模様が多少カッコいい!?

しかし、以前紹介した
 【1】外敵を驚かす効果も、
 【2】外敵の攻撃をそこに向けさせる効果も
ありそうもない目玉模様である。




クスサン成虫(ヤママユガ科)

2008年9月22日 碇ヶ関・青森

幼虫時代の目玉模様とは明らかに違って、
まるでフクロウの目のように見える。

これならば、外敵をビックリさせる効果は十分ありそう。




アケビコノハ幼虫(ヤガ科)

2010年10月12日 弘前市・青森

この子も、衝撃の幼虫時代である。

マンガのような目玉模様と、
独特の静止ポーズで、一世を風靡した(?)。
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20101224/1/




アケビコノハ成虫(ヤガ科)

2010年11月27日 三春PA・福島

幼虫時代に、外敵をビックリさせるのは、
ベニスズメと同じであるが、
成虫がまったく違って、全くの枯れ葉である。

幼虫は目立つ標識的擬態、
成虫は目立たない隠蔽的擬態の典型である。

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