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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

ハセモを探せ! ハイイロセダカモクメ幼虫

今年も、ハイイロセダカモクメ幼虫の季節がやってきた。

どこへ行っても、ヨモギの花穂を見つけると、
さりげなく探しているが、今年は、
なかなか見つけることができなかった。

いつも、数匹は見つかるだんぶり池周辺でも、
何故か今年は、林道の草刈りが丁重に行われて
ヨモギそのものが、あまり残っていない。

 


そして、ついに・・・

 


ハイイロセダカモクメ幼虫

2012年10月6日 だんぶり池・青森

この日が最後という決心をして、雨上がりの早朝にチャレンジした。

僅かに残っているヨモギを、かなりしつこく探して、
ようやく1匹だけ見つけることができたのが、この子である。

 

・・・・・・・


 
立ち止まって、必死にヨモギの花穂を探しているときに、
昔読んだ絵本「ウォーリーを探せ」を、ふと思い出した。

これは、多分10年以上前に流行ったもので、
沢山の同じような漫画の人物が、小さく描かれたページの中から、
主人公のウォーリーを見つけ出す「頭の体操」シリーズだ。


今回、せっかくなので、これを軽くパクッて、
「ハセモを探せ」というシリーズは、どうでしょうか?

もちろん、ハセモとは、ハイイロセダカモクメの幼虫の
(このブログだけの)新しい呼び名である。

 


とりあえず、下の写真で、サーチングイメージを作ってから、
本番にチャレンジしてください。



2010年10月8日 だんぶり池・青森

分かりやすい背景に、人為的に置いたものです。

 

 

まずは、初級編です。

 

試しに、下の2枚の写真で、ハセモ君を見つけてください。

 


2010年10月8日 だんぶり池・青森

 



2010年10月13日 弘前市・青森

 

 


これで目が慣れてきたら、中級編です。

 



2010年10月8日 だんぶり池・青森

 



2010年10月14日 だんぶり池・青森

 

 


そして、最後に・・・・・・やや上級編。

 

 


2010年10月14日 だんぶり池・青森

 

 

全部みつかりましたか?


 

・・・・・お疲れさまでした。

ヒント: 基本的に、すべて真ん中に写っています。




 


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隠蔽的擬態のアオマツムシ

今回は、有名なマツムシではなく、アオマツムシである。
(⇒ただのマツムシは、昔から歌になるほどだが・・・)


比較的高い木の上で鳴いていることが多く、
鳴き声はよく耳にするが、簡単にはその姿を見ることはできない。

私も、特にメスの写真を撮りたいとずっと思っていたが、
なかなかその機会がなかった。


今回、東海村の公園のベンチに座っていたとき、
全く偶然に、すぐ目の前にいたメスを発見した。

もちろん、鳴き声が聞こえたからではないので、
こんなラッキー(古い!!)な瞬間は、年に数度しかない。
 

 

アオマツムシ(マツムシ科)

2012年9月24日 東海村・茨城

どこにいるか、わかりますか?

⇒若葉のように見える・・・・

 

 

アオマツムシ(マツムシ科)

2012年9月24日 東海村・茨城

このように、触角を揃えて前方に伸ばして静止していると、
お尻の先が、細くなっているので、まるで葉っぱである。

しかも、背中が平らで、縁取りの黄色ラインが入っている。

 

 


アオマツムシ(マツムシ科)

2012年9月24日 東海村・茨城

この姿勢で静止していたら、おそらく目の目にいても、
簡単には、見つけることはできないかっただろう。

多分、私だけでなく、捕食者(鳥?)も・・・

アオマツムシの姿は、このように、バッタの仲間では珍しく、
姿かたちまで葉っぱに似せた隠蔽的擬態の範疇に入る。

普通は、いわゆる保護色だけで、身を守っているバッタの仲間より、
ちょっとだけ上を行くのだ。



 


アオマツムシ(マツムシ科)

2012年9月24日 東海村・茨城

この子は、今から100年以上も前に、
日本にやってきた外来種という説が一般的である。

初記録は、東京の赤坂とのことで、私が学生のころは、
東京近郊でしか、鳴き声が聞かれなかったはずである。

近頃は、茨城の東海村でも、住宅地の公園や街路樹で、
昼夜を問わず普通に鳴き声が聞こえるようだ。

 

 


アオマツムシ(マツムシ科)

2012年9月24日 東海村・茨城

桜の木にいる外来種というとアメリカシロヒトリが有名であるが、
アオマツムシの場合は、大きな害を与えていることはなさそうで、
薬剤散布などで駆除するような話も、あまり耳にしない。


いつか、弘前市でも、鳴き声が聞こえるようになるんだろうか?

 

(追記)

ふと、思い出したのがこの子!!


オオアオゾウムシ(ゾウムシ科)

2008年7月18日 霧ヶ峰・長野

ゾウムシとマツムシが、何となく似てる気がする。

色と形と模様が・・・・
 


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ちょっとだけ不思議な虫たち ビークマーク

ビークマーク(beak mark)という専門用語がある。

日本語では【くちばしの跡】という意味だが、
チョウが、鳥に襲われたときに出来た、翅が破れた部分のことを言う。

以前このブログで、色々な虫たちの持つ目玉模様について、
予測されるその役割を、5回に分けて細かく検討した。
その中で、このビークマークについても、疑問点も含めて紹介した。
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Entry/73/

ただこのときは、自分で撮った写真がなかった。


それ以来、注意深く探してはいたが、ようやく、
翅が破れているチョウの写真を、数枚撮ることができた。

普段は(多分?)絶対シャッターを押すことのない被写体である。

でも、子供のころに、昆虫採集したことのある人なら、
このような翅の破れたチョウは、誰でも見たことがあると思う。

 

 


ヒカゲチョウ(タテハチョウ科)

2012年9月27日 東海村・茨城

後翅の半分近くが破れてなくなったヒカゲチョウ。
おそらく、鳥のくちばしで突かれて出来た破れ跡である。

この部分には、目玉模様があったはずである。


こんな写真は、ビークマークを意識して撮らない限り、
あまり公開されることはないと思う。

 

 

クロヒカゲ(タテハチョウ科)

2012年8月28日 小泉潟公園・秋田

こちらは、典型的なV字のビークマークを付けたクロヒカゲ。

2枚の翅の同一場所が、きれいに破れているので、
おそらく、翅を閉じて静止しているところを、
少し大きめの鳥が、そこにあった目玉模様を狙って、攻撃したのだろう。

 

 

クロヒカゲ(タテハチョウ科)

2012年8月28日 小泉潟公園・秋田

そして、このような状態になって、生存しているということは、
翅の端っこにある(胴体から離れた場所!)目玉模様が、
鳥の攻撃をその部分に誘導し、見事に攻撃から逃れた結果である。

 

 

クロヒカゲ(タテハチョウ科)

2010年7月22日 酸ケ湯温泉・青森

正常なクロヒカゲには、これは、別の場所で撮った写真であるが、
まさにV字型に破れた位置に、目玉模様があるのだ。

この眼状紋が、間違いなく、この子の命を救ったのだ。

翅は、みすぼらしくなってしまったが・・・・・

 


ただ、この写真のように、左右対称にビークマークが付いた個体は、
一体どのような状況で、鳥の攻撃を受けたのだろうか?

この位置に左右対称のビークマークが付くのは、
くちばしで攻撃する鳥が、チョウが翅を閉じて静止しているときに、
アタックした場合に限られる。

はたして、どのような鳥が、翅を閉じて静止しているチョウを、
背後から攻撃するのだろうか?

一般的には、チョウが小鳥に襲われるのは、飛んでいるときだと思う。
翅を閉じて静止しているチョウを、小鳥が背後から襲うことは、
あまりないような気がするのだが・・・・

 

 

というわけで、
9月のブログ開設2周年記念で、連続9回(隔日!?)に渡って、
さりげなく行ってきた「ちょっとだけ不思議な虫たち」シリーズは、一応終わります。


ただ、不思議だと思ってるのは、私だけ??!?!


 


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ちょっとだけ不思議な虫たち アゲハモドキ

昨年も訪れた白馬岳山麓の林道で、少し小さめのアゲハを見つけた。

ジャコウアゲハにしては、明らかに小さすぎるが・・・

 

この子は、近づいても全く逃げる気配がない。

 


アゲハモドキ(アゲハモドキ科)

2012年6月27日 白馬岳山麓・長野

これが、アゲハモドキという蛾の仲間である。

全体が黒っぽいチョウで、後翅表面の赤い模様が、
やはりジャコウアゲハそっくりである。

 

 

アゲハモドキ(アゲハモドキ科)

2012年6月27日 白馬岳山麓・長野

この写真で、少しだけ見えるお腹の部分にも、
ジャコウアゲハのような赤い模様がある。

アゲハモドキは、擬態に自信があるのか、このように、
目立つところに止まっていることが多いようである。

 

とりあえず、本家のジャコウアゲハは、こんな感じである。

 


ジャコウアゲハ(アゲハチョウ科)

2003年4月5日 与那国島・沖縄

もし両種が、モデルとその擬態種の関係にあるとすれば、
擬態種(アゲハモドキ)は、ほぼ完璧な仕事をしたことになるだろう。


ジャコウアゲハの幼虫は、ウマノスズクサという有毒植物を食べて育ち、
その毒を体内に蓄積しているので、鳥などの捕食者から身を守っている。

だから、アゲハモドキも、ジャコウアゲハと同様に、
捕食者に食べられる頻度はかなり減っているはずである。

 

 


アゲハモドキ(アゲハモドキ科)

2012年8月1日 白岩森林公園・青森

しかし、今度は、青森県の白岩森林公園でも見つけた。

南方系のチョウであるジャコウアゲハ類が生息していない青森県でも、
アゲハモドキは、目立つ場所で普通に見られる。

だから、このベイツ型擬態については、疑問視する考えもある。


ただ、渡り鳥などが、南国にいるとき、ジャコウアゲハで嫌な経験をして、
その記憶が残ったまま、北国へやってくる可能性も指摘されている。

 

 


アゲハモドキ(アゲハモドキ科)

2008年9月1日 白石市・宮城

午後から夕方にかけて飛ぶ昼行性とされるが、
アゲハモドキは、高速道路のSAのトイレでも見かけたことがあり、
やはり「君は蛾なんだ!!」と思う。

少なくとも、このような状況にいるときには、
ジャコウアゲハに、擬態している意味は全くない???

 

やっぱり、いろんな意味で、ちょっとだけ不思議な虫だ・・・
 

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これは交尾擬態か? ヒトツメカギバ

今回の発見は、ちょっとだけではなく、かなりの衝撃だった。


オスとメスが、互いに協力(?)した新しいタイプの擬態のようである。

少なくとも私は、過去にこのような例を知らない!!!

 

仮称として、交尾擬態(または協力擬態?)ではどうだろうか?

 

 

ヒトツメカギバ(カギバガ科)

2012年9月13日 芝谷地湿原・秋田

葉っぱの上に、全く隠れようとせずに止まっている白い蛾!!

この状態でも、鳥の糞のように見えなくもない。


でも、やっぱり、輪郭は間違いなく蛾である。

緑の葉っぱの上にいると、かなり目立つ!!

 


・・・と、ここまでは、良く見る光景である。

 


ところが!?
 

衝撃は、ここから始まった。

 



2012年9月13日 芝谷地湿原・秋田

写真の真ん中に、鳥の糞が写っている。

 

 

えっ~?!

 

 

ヒトツメカギバ(カギバガ科)

2012年9月13日 芝谷地湿原・秋田

もう少し、近づいてみると、ちょっとだけ、様子がおかしい??


何と、白い蛾が交尾しているようだ。

 

 

輪郭が、全く蛾ではない!!!

 

 


ヒトツメカギバ(カギバガ科)

2012年9月13日 芝谷地湿原・秋田

さらに近づいて、別角度から見ると、

多少違和感があるが、ヒトツメカギバが、確かに交尾している。

もちろん、この違和感というのは、
普通の蛾の交尾の状態ではないからである。

明らかに、交尾することによって、
左右対称の本来の蛾の輪郭を消しているのだ!!!

 

 

そして!!!!

 

 


ヒトツメカギバ(カギバガ科)

2012年9月13日 芝谷地湿原・秋田

10mほど離れたところに、別のカップルがいた。

こちらも、なんと交尾中・・・・

同じように、2匹が合わさると、普通の蛾の輪郭ではなくなっている。


まさにこれは、鳥の糞である。

 

 


さらに!!!!

 

 

ヒトツメカギバ(カギバガ科)

2012年9月13日 芝谷地湿原・秋田

近くで、また3組目のカップル発見!!

こちらも、微妙に左右対称の状態にはなっていない。

このカップルは、まあ、蛾が交尾してるように見えなくはないが・・・

 

 

最後に、新たな衝撃!!!!!

 

 


ヒトツメカギバ(カギバガ科)

012年9月13日 芝谷地湿原・秋田

また別の場所で、4組目のカップルを発見!!!


こっちは、驚くべきことに、交尾は終わっているようだ。
(⇒時間的に、交尾前とは考えにくい?)

しかし、このように、ある程度重なったまま離れようとしない。
交尾が終わって、ただ名残を惜しんでいるわけではないのだ。
冷静に観察すると、この役者カップルの迫力のある演技(!)が理解できる。

このような、全体の輪郭を細長く見せるような重なり方は、
鳥の糞が、垂直に近い葉っぱの上に落ちて、
下の方に垂れ下がったような雰囲気を出しているのだ。


偶然とは思えないし見事というしかない!!!!!!


これが意識的に(?)演技しているのだとすると、
逆に言うと、最初のカップルの重なり方も、また見事である。
ほぼ水平の葉っぱの上で交尾する場合には、鳥の糞が、
水平の葉っぱの上に落ちて、均等に広がった状況を、
再現(?)していることになる。

ヒトツメカギバのオス成虫は、自分が止まっている葉っぱが、
水平に近いのか、あるいは垂直に近いのかを分かっていて、
雌雄の重なり方を変えているのだ。


こんなことが、本当にあるのか!!??

 

 

今回、ほぼ同じ場所で、いずれも、当然よく目立つ葉っぱの上で、
4組のカップルを連続で発見したことになる。

このように、次々に、いとも簡単に見つけることができたということは、
少なくとも、視覚的に獲物を探す捕食者(おそらく鳥類)の目を、
完璧に欺くほどの保護効果があった証拠だろう。

 


虫たちが色々なものに似せて、外敵の目を欺く防御戦略には、
彼らがどうしても変化させることができない宿命的な欠点がある。
それが、左右対称の姿かたちなのだ。

このブログで何度も紹介しているように、保護色を持った虫たちが、
自分がいる背景を間違えてしまう(?)と、そこでは、
本来のその虫たちの(蛾やセミの)外観が、むしろはっきりと表れてしまう。

ほぼ完璧に枯れ葉に擬態したマエグロツヅリガが、枝の部分まで創っても、
残念ながら、左右対称の姿かたちを、変えることはできなかったのである。
だから、目立っても大丈夫な「枯れ葉」に擬態したのだろう。
↓  ↓  ↓  
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20120729/1/

もちろん、コノハムシやカレハカマキリでも、全く同じで、
左右対称の外観は、それが虫たちの宿命なのである。


しかし、今回のように2匹が協力(?)し合えば、話は別である。

ヒトツメカギバの成虫が、どんなに精巧に鳥の糞に擬態しても、
単独でいるときに輪郭を見れば、明らかに蛾だと分かってしまうが、
交尾中に、うまく重なっている場合には、左右対称ではなくなり、
蛾の輪郭は、完全に消されてしまうのだ。

そして、このような不規則な外観は、より鳥の糞に似てくるのである!!


もちろん、他の種類の蛾が交尾するときには、普通にお尻とお尻が繋がるので、
左右対称の輪郭は、そのまま残ってしまうが、
このような左右対称にはならないような交尾姿勢は、
鳥の糞に擬態するヒトツメカギバにだけ(?)特別に進化してきた行動なのだろう。

 

ヒトツメカギバが成虫になってから、交尾するまでに、
どの程度の期間があるのか、現時点では全く不明であるが、
少なくとも単独でいる時間より、交尾している時間の方が、
外敵に対して、保護されている状況にあると仮定すると、
交尾終了後も、雌雄が離れずに、そのままでいる方が良いことになる。

それが最後の写真に、見事に表れているような気がするのだが・・・

 

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