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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

これって擬態なの???  (原画)

虫たちの体の一部に、まるで心霊写真のように、
人や動物の顔が描かれている(ように見える)場合がある。


以前、下のように、2回に分けて紹介した。
↓   ↓   ↓
20110806これは心霊写真か?
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110806/1/

20121119心霊写真【2】
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20121119/1/


まあ、空に浮かぶ雲の形や、ぼ~とみてる樹皮の模様にも、
同じように、「何か」を見出すことができるのだが・・・・


しかし、今回(前回も!)紹介する虫たちは、全く違う!!!

体の一部ではなく、全体(輪郭!)で表現しているのだ。
だから、心霊写真のようなイメージは、全くない。

 

 

コマバシロコブガ(コブガ科)

2013年6月16日 矢立峠・秋田

この蛾は、もしかしたら、真面目に(?)、
犬の顔のように見せたいのかもしれない。

背中(?)にある黒い膨らみが、
まさに犬の鼻のように見えるのだ!!!

しかも、目のように見える部分も、少し膨らみがある。

 

 

 

ニワトコドクガ(ドクガ科)

2013年6月12日 安曇野・長野

こっちは、むしろ、猫か?

凄く優しい顔をしている。

完全な大人の娘たちも大好きな「キティちゃん」に、
何となく、似てるのか?

次女は、この子は、30点位と言っていたが・・・・

 

 


アオセダカシャチホコ(シャチホコガ科)

2012年6月27日 乗鞍高原・長野

乗鞍高原には、乗馬クラブがあるようで、
ときどき、馬に乗って散歩する人たちに出会う。

必死に虫の写真を撮ってるときに、
ふと見上げるとすぐ近くに、馬の顔があったときは、
ちょっとだけ、びっくりした。

そんなときの馬の顔を、思い出すような蛾である。

 

 


フタオビキヨトウ(ヤガ科)

2013年6月12日 安曇野・長野

これは、朝の5時過ぎの撮影。

どうやら、かなり変な姿勢で、交尾中のようである。

何見てんだよ! と言う雰囲気がありありで、
絶対に、少しイラッとしている顔で、こちらを見てるようだ。

 

 

 

ウチキシャチホコ(シャチホコガ科)

2011年8月31日 酸ケ湯温泉・青森

この写真は、白状すると、撮ったときには全く気付かず、
家に帰って、パソコンで見たときに、
「何か動物の顔のようだ!」
と思った程度である。

 

 

ハナグモ(ハナグモ科)

2011年5月31日 だんぶり池・青森

これは、間違いなく、幼いころの記憶にある
懐かしい「火星人の顔」である。

もしかしたら、テレビでやってたウルトラマンに、
さりげなく出てきた顔かもしれない。

 

 


コゲチャオニグモ(コガネグモ科)

2013年6月7日 七ツ洞公園・茨城

この写真は、ズーム撮影時に、
「ぷっ!」
と笑ってしまったほどの「何処にでもいるお爺さん」の顔である。

 

 


多分ヤマシロオニグモ(コガネグモ科)

2012年8月22日 十石峠・長野

ちょっと苦しいが、これもお爺さん。

もしかしたら、お婆さんかもしれないが・・・・

(人間の場合、年齢に比例して、性別が分かりにくくなる傾向がある)

 

・・・・

 

ところで、この8枚の写真に隠された秘密とは、
何だか、分かりましたか?

 

・・・・

 

そうです。

 


正解は、全ての虫たちがしていたんです。

ということは、彼らは、自分をどう見られてるのか分かってる??? ⇒(注1)


飛んできた蛾が、垂直面に止まるときには、
体重を支えるためか、横向きに静止することは、少ないようだ。

だから、上向きに止まるか、下向きに止まるか、二者択一である。

多分、次に飛び立つ(逃げる)ことを前提とすると、
上向きに止まる方が、有利のような気がするのだが・・・


にもかかわらず、上の写真に写った彼らは、みんな垂直面に下向きに静止していた。

下向きに静止することによって、近づいてくる捕食者に、
一瞬の間でも、動物の顔を連想させることができるならば、
逃げる時の多少のハンデを上回る利益があることになるからだ。 ⇒(注2)


  
    
(注1)このような書き方をすると、また友人から怒られそうであるが、
    正確に表現すると、「下向き静止の方が、捕食者に襲われる確率が、
    上向き静止より、ほんのわずかだけ低かった」ので、
    長い年月の間に、下向きに静止する個体の方が、
    少しずつ増加していった可能性がないとな言えないのだ。


(注2)おそらく、視覚的に獲物を探す捕食者からの淘汰圧が、
    上向き静止より、下向き静止の方が低くなっていれば、
    このような動物の顔擬態(仮称)は、進化し続けるだろう。

    もちろん、その防御効果は、捕食者を一瞬だけ躊躇させるだけである。
    だから「カメムシの匂い成分のようなビックリ効果」しかないのだ。
    ↓  ↓  ↓
    20101109 カメムシの匂いの不思議【03】びっくり効果
    http://kamemusi.no-mania.com/Entry/30/ 

    20130304 虫たちの防御戦略⑬ 化学的防御手段
    http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130304/1/

   

 

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これって擬態なの???

突然ですが、以下の8枚の写真は、
全て、日本国内で、私が撮った写真です。


もし、お近くに、1~3才くらいまでのお子様がいましたら、
是非、下の写真を見せてあげてください。
(クリックすると大きくなります。)

おそらく、真正面から見た犬や猫の顔を、
すでに認識していると思います。

小さい子が、下のような写真を初めて見て、
犬(ワンワン?)や猫(ニャンコ?)と言うかどうか、
是非、確かめてみてください。

これが、擬態の最初のステップかもしれません。

⇒もしよろしければ、記事の最下段「有り難いご意見」欄から、
 その結果をコメントしてください。

 

 

 


やさしい子犬




 

 

 

かわいい子猫

 




 

 

かなしい仔馬




 

 


ちょっと怒ってる馬




 

 


ホラー馬

 




 


びっくり火星人

 





 


となりのお爺さん

 




 

 

そのとなりのお爺さん



 

 

これは、もちろん全部、虫です。


詳細な種名、撮影場所、撮影日は、次回です。


そして、この8枚の写真には、
撮影者(私)しか知らない重要な秘密があります。

その秘密の内容も、次回です。!!!

 

 

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ミラクル擬態? ハグロケバエ

お互いに、類縁関係の全くないのに、
目(もく)を超えて、非常に良く似ている虫たちがいる。

多くの場合、その良く似た虫たちは、
擬態者とそのモデルの関係にあるようだ。

 

 

この子は、まるで、サシガメだ。

 


ハグロケバエ(ケバエ科)

2011年6月7日 志賀坊森林公園・青森

遠くからでは、サシガメにしか見えない。

 

 


ハグロケバエ(ケバエ科)

2011年6月7日 志賀坊森林公園・青森

近づいても、(私には)サシガメに見える。

でも、よく見ると、触角がカメムシではない???


 

 

ハグロケバエ(ケバエ科)

2011年6月7日 志賀坊森林公園・青森

前方からみると、何となく違うか?

「君は何組なの?」と言う雰囲気ではあるが・・・・




ハグロケバエ(ケバエ科)

2013年5月29日 芝谷地湿原・秋田

今年になって、別の場所でも見つけた。

やっぱり、サシガメと間違えた。

 


しかし・・・・今までの写真は、全て雌だったのだ。

 

 

ハグロケバエ雄(ケバエ科)

2013年5月29日 芝谷地湿原・秋田

これは雄で、普通に、ハエの仲間に見える。

この写真のように、ハグロケバエの雄の複眼は、
大きい(普通のハエと同じ?)ので、
まさに、ハエやアブなのだ。

一方の雌の複眼は、雄に比べて、はるかに小さかったので、
当然、頭部も小さく、サシガメのように見えたのだ。

雌雄で複眼の大きさが違うのは、
交尾行動に関係してるのだろうか?

 

 

しかし、これって、もしかして???

 

 

雌雄で見た目がかなり違う現象は、
カブトムシやクワガタの例を出すまでもなく、
他の虫たちにも、しばしば見られる。

多くは、配偶行動に関係する性的2型であるが、
中には、ベイツ型擬態に関係する場合もある。


有名なのは、ツマグロヒョウモンやその他チョウで、
雌だけが、鳥が食べない味の不味い種に、擬態している。

(ブログ)ちょっとだけ不思議な虫たち ツマグロヒョウモン
↓   ↓   ↓ 
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130319/1/

 

ハグロケバエの複眼サイズの違いも、
配偶行動に関係する可能性もあるが、
まさに、雌だけのベイツ型擬態の例に、
入れても良いのかもしれない。

 


 

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ミラクル擬態? マルウンカ

お互いに、類縁関係が全くないのに、
目(もく)を超えて、
姿かたちがが非常に良く似た虫たちがいる。
 
多くの場合、その良く似た虫たちは、
擬態者とそのモデルの関係にあるようだ。
 
 
 
 
 
この子は、まるで、テントウムシだ。

 


マルウンカ(マルウンカ科)

2013年6月7日 御前山自然公園・茨城

最初に見つけたときには、珍品テントウだと思った。

 

 


マルウンカ(マルウンカ科)

2013年6月7日 御前山自然公園・茨城

かなり近寄っても、マルウンカだと気付かなかった。

でも、何か歩き方が、ちょっと違っていた。

 

 


マルウンカ(マルウンカ科)

2013年6月7日 御前山自然公園・茨城

少し前方から、写真を撮って、
ようやくマルウンカだと分かった。

テントウムシとは、顔が違う?

 

 


マルウンカ(マルウンカ科)

2013年6月7日 御前山自然公園・茨城

雲の切れ目から、直射日光が当たった。

マルウンカであることが、分かっているのに、
ますます、テントウムシに似てきた感じがした。

 

もちろん、他のウンカ類は、体が細長いのが特徴である。

だから、この子たちは、テントウムシに似せるために、
もの凄い努力をしてるのだと思う!?     ⇒(注)

 

テントウムシの仲間は、体液が不味いようで、
良く目立つ色(警戒色)をしており、
多くの捕食者は攻撃しないようだ。


ちなみに、下の写真が、手持ちの写真の中で、
一番良く似ていると思われるシロホシテントウである。

 


シロホシテントウ(テントウムシ科)

2010年9月15日 白岩森林公園・青森

でも、よりによって、何で、
シロホシテントウがモデルになったのだろう。

もっと普通種(個体数の多い!)のテントウがいるはず・・・

 

ただ、ネット情報では、斑紋の変異もかなり大きいようで、
全身真っ黒のマルウンカも、しばしば発見されているようだ。

ある地域で、実際にその場所で見つかるモデル種と、
同じくその場所にいる擬態者の数(出現頻度)を観察すると、
擬態の効果を考える際の重要なヒントになりそうである。

 
(注)記事の掲載直後に、大学時代の友人から、このような書き方は、
   現代の進化論(総合説)に反する「誤解を招く表現」である、
   というような趣旨の指摘がありました。

   もちろん私は、いわゆるラマルキストではないし、
   創造論(デザイナー説?)やウィルス進化論などの進化説とは、
   基本的に一線を画して、理解しているつもりです。

   だから、文中でさりげなく使用した「ものすごい努力」という言葉は、
   現代進化論(総合説)の枠組みの中での「擬人的な表現」であることを、
   ご理解いただければと思います。   
   
   
   

 

 

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ミラクル擬態? アリグモ

お互いに、類縁関係が全くないのに、
目(もく)を超えて、
姿かたちがが非常に良く似た虫たちがいる。

多くの場合、その良く似た虫たちは、
擬態者とそのモデルの関係にあるようだ。

 

 

この子は、まるで、アリだ。

 


アリグモ(ハエトリグモ科)

2013年6月7日 七ツ洞公園・茨城

遠くからは、アリにしか見えない。

 

 


アリグモ(ハエトリグモ科)

2013年6月7日 七ツ洞公園・茨城

近づいても、(私には)アリのように見える。

前脚をまるで触角のように動かして、
アリのように、セカセカと歩いているからだ。

 

 


アリグモ(ハエトリグモ科)

2013年6月7日 七ツ洞公園・茨城

少し前方からみると、何となく違うか?
と、いうような雰囲気ではあるが・・・・

 

 


アリグモ(ハエトリグモ科)

2013年6月7日 七ツ洞公園・茨城

非常に残念ながら(?)、写真の子は雄なので、
上顎が太くて、長くなっている。

雌ならば、こんなに上顎が発達しないので、
もっともっと、アリに見えるのだ。

 

でも、この子、本当にクモなの?

 


・・・・・・・・・・・・・・・・・

 


アリに、ベイツ型擬態(注1)して、身を守る虫は、意外と多い。

ただし、アリに似ている程度は、千差万別というか、
ピンからキリまで、様々である。

どの程度の完成度で、捕食者が騙されるかは、
個々の捕食者の餌の探し方、視力、空腹度などによって、
変わってくるに違いない。

以前、ムネアカオオアリに良く似たカミキリを、
やはりミラクル擬態の好例として紹介した。

マツシタトラカミキリ? ムネアカオオアリ??
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20120704/1/


おそらく、アリグモは、これを超えたミラクル擬態(注2)だろう。

 


(注1)アリは、最強の捕食者とも言われ、かなり攻撃的で、
    お尻近くの毒腺から蟻酸を吹きかけたり、
    集団で生き物を襲ったりする。

    だから、アリを食べる捕食者は、限られており、
    アリに擬態することで、捕食を免れる可能性は高い。

 

(注2)これまで、なかなか良い専門用語が見つからなかったので、
    便宜上「ミラクル擬態」として、区別している。
    もちろん、このブログ内だけで通用する新しい「言葉」だ。
    
    現代進化論【総合説】のワクを、多分超えて(?)、
    そこまで似せなくても、捕食者は騙されてくれるよ!!
    と、いうような「やりすぎ感のある擬態」を指す。

    一部の虫たちだけが、何故、ミラクル擬態になったのかは、
    非常に興味深い問題である。
    (⇒昔、赤の女王仮説というものがあった!!!)

    ⇒日を改めて、ミラクル擬態については、紹介したいと思う。


  
    このブログで紹介したミラクル擬態の例:

    ハイイロセダカモクメ幼虫【隠蔽的擬態】
    ↓   ↓   ↓
     http://kamemusi.no-mania.com/Date/20121012/1/

    ムラサキシャチホコ成虫【枯れ葉擬態】
    ↓   ↓   ↓
     http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130626/1/
 
    セスジスカシバ成虫【ベイツ型擬態】
    ↓   ↓   ↓
    http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110926/1/
     
               

 



 

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