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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

ついに撮れた!!! ルリタテハ幼虫

今年は、ムラサキシャチホコに続いて、
ずっと撮りたいと思っていたルリタテハ幼虫にも、
さりげなく出会うことができた。

場所は、休日の家族連れでにぎわう「ひたちなか海浜公園」である。


しかも、最も衝撃的な終齢幼虫・・・・

 


ルリタテハ幼虫

2013年9月22日 ひたちなか市・茨城

遠くからでも、すぐ分かる「姿かたち」である。

不気味なオレンジ色の線が交差する胴体に、
触るな!オーラ満開の真っ白な棘が恐ろしい。


・・・・・・誰も、触らないよ!!!

 

 

 

ルリタテハ幼虫

2013年9月22日 ひたちなか市・茨城

それにしても、何なんだ!!  

この人を寄せ付けない毒々しい姿は!!!

 

 

 

ルリタテハ幼虫

2013年9月22日 ひたちなか市・茨城

遠目には良く分からなかったが、拡大してみると、
赤、黄白、黒の3色が、幾何学的(?)に配置されていて、
黄色の線は、体節の境目にある。

しかも、白い棘の先端部は、不気味に黒くなっていて、
触ると毒液が出てきそうな雰囲気である。

 

 

 

ルリタテハ幼虫

2013年9月22日 ひたちなか市・茨城

実は、この棘には毒針毛はなく、触ってみると、
多少弾力があるゴムのような感じで、全く問題ない。

また、サルトリイバラやホトトギス類などが幼虫の食草で、
これらは、特に有毒植物と言われる種類ではない。

だから、体液に不味(有毒)成分は持っていない。

 

 

 

ルリタテハ幼虫

2013年9月22日 ひたちなか市・茨城

ということは、何かに擬態して、捕食者を騙している??

タテハチョウの仲間には、幼虫時代に棘があるものが多くいるが、
いずれも棘に毒はないので、おそらく、
毒針毛を持つイラガ類の幼虫に擬態しているのだろう。


虫たちの親子⑧ サカハチチョウとキアゲハ
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130617/1/

 

 

過去の親子シリーズのようになってしまうが、
最後にルリタテハ成虫の写真を・・・

 

ルリタテハ成虫(タテハチョウ科)

2010年8月10日 東海村・茨城

ルリタテハの翅の裏面は、捕食者である鳥に対して、
このように、樹皮や落ち葉に似た保護色として機能する。

 

 

しかし、表面には、強烈に目立つ金属光沢の輪がある。


ルリタテハ成虫(タテハチョウ科)

2010年8月22日 ひたちなか市・茨城

このように翅を開いた状態のルリタテハを見つけた捕食者が、
捕獲しようと近づいて来たとき、突然、翅を閉じたらどうだろうか?
(⇒突然見せる目玉模様とは、全く逆の状況である)

おそらく、それまで見せていた派手な色の表面が、
突然なくなって、すぐ上の写真のように裏面の隠蔽的な効果が、
そのコントラストの大きさによって、より強調されるだろう。

近づいてきた捕食者は、マジックでも見てると感じだろうか?

 

また、ルリタテハは、力強く羽ばたいて、かなり機敏に飛ぶ。

そうすると、鳥のような飛びながら獲物を捕獲する捕食者には、
翅の表と裏が交互に見えることになる。

ある瞬間には翅の表面だけ、ある瞬間には翅の裏面だけが見える。

だから、良く目立つキラキラ表面が、
途切れ途切れに移動しているように見えるので、
捕食者は、正確に後を追うことができなくなる可能性もあるのだ。

 


成虫も、幼虫も、ちょっとだけ不思議なルリタテハでした。

     

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再びセスジスカシバ 飛行と産卵

北国は、9月に入ると、さりげなく秋の気配が・・・

そんなとき、白岩森林公園の林道を歩くと、
スズメバチのようなセスジスカシバが見られる。

 


セスジスカシバ(スカシバガ科)

2013年9月4日 白岩森林公園・青森

本物のハチが飛び回る中、注意深く探しながら歩くと、
比較的簡単に、遠くからでも見つかる!!!!


こんな雰囲気の写真は、過去に紹介した。
↓  ↓  ↓
20110926セスジスカシバ これがミラクル擬態だ!!!
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110926/1/

 

 


セスジスカシバ(スカシバガ科)

2013年9月4日 白岩森林公園・青森

今回は、空気を読んでくれたのか?
別の場所に飛んだりして、少し、動きが見られた。

どうやら、クマイチゴ(多分)の葉っぱの裏に、
産卵しているようである。

このあと、そっと葉っぱの裏をめくってみると、
小さな褐色の卵が、一個だけ見つかった。

 

 

 

セスジスカシバ(スカシバガ科)

2013年9月4日 白岩森林公園・青森

数秒後、また飛んだ。

この場所は、産卵植物であるクマイチゴ(?)が、
ところどころに見られる。

 

 


セスジスカシバ(スカシバガ科)

2013年9月4日 白岩森林公園・青森

適当な産卵場所を探しながら飛び回る雌成虫は、
大きさ、色彩、飛び方、いずれも(!)、
キイロスズメバチそっくりである。

  ⇒しかも、よく見ると、折りたたまれた前脚が、
  ハチの大あごのように見える。

 

 

セスジスカシバ(スカシバガ科)

2013年9月4日 白岩森林公園・青森

どうやら、適当な葉っぱの裏に、
一粒ずつ産卵しているようである。

この葉っぱの裏側も、ひっくりかえしてみると、
卵が一個だけ見つかった。

 

 


セスジスカシバ(スカシバガ科)

2013年9月11日 白岩森林公園・青森

一週間後、同じ場所に、もう一度行ってみた。

今回は、なかなか見つからなかったが、
少し離れた場所で、ようやく1匹だけ現れた。

 

 


セスジスカシバ(スカシバガ科)

2013年9月11日 白岩森林公園・青森

やはり、クマイチゴの葉裏に、
一個ずつ産卵しているようである。

 

 


セスジスカシバ(スカシバガ科)

2013年9月11日 白岩森林公園・青森

結構な時間、観察し続けていると、
なんとなくスズメバチとの違いが、
飛んでいるときでも、分かるようになってきた。


ときどき、本物のハチが飛んでくるのだが・・・


やはり、腰のくびれ、翅の色、腹端の形状が、
少なくとも、観察する人間には、微妙に違うのがわかる。


しかし、獲物を探して飛んでいる野鳥類には、
区別がつかないだろう、というか、
紛らわしいものには、近寄らないのだろう。

        

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ハチに擬態する蛾 スカシバ類4種発見!!

今年は、スカシバの仲間を4種類も、
写真に撮ることができた。

普段は、あまり見ることがない珍しい蛾の仲間である。

 


今回は、既出分2種を含めて、
日付順に4種をまとめて紹介する。

 

 

キタスカシバ(スカシバガ科)

2013年6月7日 東海村・茨城

まさに、「こんなところに、スズメバチがいる!!」
という状態であった。

しかも、何故か、交尾してる?

散歩中の人が沢山いる公園の通路で、写真を撮っていると、
数人の人が、声をかけてきたが、
みんなハチの写真を撮っていると思っていたようだ。


詳細はこちら・・・【ミラクル擬態 キタスカシバ交尾シーン】
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130613/1/

 

 

 

シラホシヒメスカシバ(スカシバガ科)

2013年8月7日 安曇野・長野

これは、ハチか?   シリアゲか?

 

 

 

シラホシヒメスカシバ(スカシバガ科)

2013年8月7日 安曇野・長野

そんな感じで、近づいて行ったら、

蛾だった?!

 

 


シラホシヒメスカシバ(スカシバガ科)

2013年8月7日 安曇野・長野

写真で同定していただいた、青森県の工藤忠氏によると、
最近まで、生態が全く分からなかった種であるとのこと。

撮影地の松本市周辺では、比較的採集例が増えてきて、
シソ科のアキチョウジに産卵することも、
最近になって、確認されたようである。

 

 


セスジスカシバ(スカシバガ科)

2013年9月4日 白岩森林公園・青森

こちらは、このブログ開始以来、何度も紹介した、
ミラクル擬態の蛾である。

今年は、飛行中や産卵中の写真を含めて、
生態写真が沢山撮れたので、次回、まとめて紹介したい。

 

 


キクビスカシバ(スカシバガ科)

2013年9月4日 白岩森林公園・青森

最初に見つけた時には、例によって、
ハチだと思っが、すぐにスカシバだと分かった。

 

 


キクビスカシバ(スカシバガ科)

2013年9月4日 白岩森林公園・青森

しかし、あまり見かけない種であることに気付いた。

本当に、「まさか?!」という感じだった。

 

 

 

キクビスカシバ(スカシバガ科)

2013年9月4日 白岩森林公園・青森

写真で同定していただいた、青森県の工藤忠氏によると、
かなりの珍品のようで、青森県では、撮影地近辺でしか、
採集記録がないとのことであった。

 

というわけで、今年は、スカシバの当たり年?

       

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典型的な保護色 エゾシロシタバ

前々回のブログの回答、
エゾシロシタバ編です。


この子も、写真で見つけるのは、
慣れないと、かなり難しいようでした。

多分、実際の撮影現場では、
我々は、アングルを変えながら探せるので、
意外に、見つけやすいのかもしれません。

 

 

 

エゾシロシタバ(ヤガ科)

2013年9月4日 志賀坊森林公園・青森

黄色丸の中に、やや大きめに写っていました。

分かりますか?

 

 


この写真で、サーチングイメージを作ってから

もう一度、下の写真を見てください。

 

 

エゾシロシタバ(ヤガ科)

2013年9月4日 志賀坊森林公園・青森

ほぼ中央に、下向きに止まっています。

 

 


エゾシロシタバ(ヤガ科)

2013年9月4日 志賀坊森林公園・青森

この写真では、背景(樹皮)の模様が微妙に違いますが、
それに合わせた(?)色の蛾が、左上に、下向きに止まっています。

 

 


エゾシロシタバ(ヤガ科)

2013年9月4日 志賀坊森林公園・青森

ちょっと目を離すと、再発見が難しい場合があり、
このように、近づきすぎると、
それまでのイメージが飛んでしまって、
逆に、見つけにくくなる場合があります。

 

 


エゾシロシタバ(ヤガ科)

2013年9月4日 志賀坊森林公園・青森

この写真には、偶然2匹同時に写っています。

もしかしたら、下向きに静止するのは、
何か意味があるのかもしれません。


昔、酸ヶ湯温泉の常夜灯の柱に、
ゴマシオキシタバというエゾシロシタバによく似た蛾が、
数十匹すべて、下向きに並んで静止しているのを、
見たことがあります。

その姿勢が、脚に負担がかからず、
一番安定して静止できるのかもしれませんが
もしかしたら、影ができにくいので輪郭がぼやける、とか
飛び立つときに、後翅の模様が効果的に見える、とか、
他にも、いろいろな理由が考えられそうです。

 

    

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これは、ミラクル保護色か? ヤマトマダラバッタ

前回のブログの回答、ヤマトマダラバッタ編です。


やっぱり、慣れないとかなり難しいようでした。

 

 

ヤマトマダラバッタ(バッタ科)

2013年7月15日 七里長浜・青森

紫色丸印の中に、小さく写ってました。

分かりますか?

 

 

この写真で、サーチングイメージを作ってから

もう一度、下の写真を見てください。

 

 

 

ヤマトマダラバッタ幼虫(バッタ科)

2013年7月15日 七里長浜・青森

今度は、写真のちょうど真ん中にいます。

完全に砂粒の中に、溶け込んでいます。

 

 


ヤマトマダラバッタ幼虫(バッタ科)

2013年7月15日 七里長浜・青森

近づくと、こんなバッタです。

背景の砂粒と、全く同じ模様なのが、
偶然とはいえ、かなり不思議です。

 

 


ヤマトマダラバッタ幼虫(バッタ科)

2013年7月15日 七里長浜・青森

写真のフォーカスの関係で、
今度は、よく分かります。


実際の捕食者の目には、
どう見えているのでしょうか?

 

 


別の場所で、また見つけました。

 

 

ヤマトマダラバッタ幼虫(バッタ科)

2013年7月15日 中泊町・青森

この写真も、真ん中にいます。

上の写真の個体とは、微妙に模様が違います。

 

 


ヤマトマダラバッタ幼虫(バッタ科)

2013年7月15日 七里長浜・青森

ぎりぎりまで近づくと、こんな感じです。

 

 


ヤマトマダラバッタ幼虫(バッタ科)

2013年7月15日 七里長浜・青森

今度は、よく分かります。

 

 

もちろん、この模様が効果的なのは、
バッタが粒の粗い砂地にいる場合だけです。

もっと細かい同じ色の砂地や、
緑色の葉っぱの上にいたら、
輪郭(姿かたち)が、バッタそのものなので、
逆に、良く目立ってしまいます。


これが、保護色(分断色)の限界なのです。


保護色と分断色については、以下の過去記事をご覧ください。
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130205/1/




 

また、目立っても構わない保護色もあります。


体の輪郭が、捕食者の食べ物でないものに、 似せている場合です。

たとえば、鳥の糞や枯れ葉にそっくりな虫たちです。
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130213/1/

 

       

 

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