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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

糞擬態!! オカモトトゲエダシャク幼虫


今月は、ブログ開設時の原点に戻って、
想定読者は、虫好きの高校生!!!


前回のキアゲハ幼虫の糞擬態は、
サイズ的に3齢幼虫までで限界だった。

だから、大きく成長した4齢幼虫以降は、
ガラリとその生き方を変えなければならなかった(?)。

 

 

ところが・・・・

 

 

今回紹介する子は、さりげなく頑固である。
(どこかの国の首相に似ている?)

 

 


オカモトエダシャク幼虫(シャクガ科)

2002年4月26日 徳島市・徳島

この子は、多分終齢幼虫なのだが、
結構大きな鳥の糞のように見える。


前回のキアゲハの若齢幼虫と比較すると、
擬態の完成度は、雲泥の差があるようだ。


 ⇒色の感じと、模様のリアルさ、さらに、
  身体の微妙な凹凸の具合など、
  サイズ的に無理があるという欠点を、
  補って余りある完成度だと思う。

 

 

 

オカモトエダシャク幼虫(シャクガ科)

2014年6月4日 猿羽根山・秋田

このように、遠目に見ると、葉っぱの上で普通にく見かけるような、
ちょっとだけ大きな鳥の糞である。


右側に、飛行直前の多分ジョウカイが偶然写っているので、
サイズの比較が可能だが、「大きすぎて糞に見えない」、
ということはなさそうだ。

普段は、こんな風に身体を丸めている場合が多いので、
自分の姿が、何に見えるのかを知っているようだ。

 

 

 


オカモトエダシャク幼虫(シャクガ科)

2012年6月14日 白岩森林公園・青森

移動や食事のときなどには、身体が伸びることがあるが、
それでも鳥の糞の模様なので、問題ないのかも?

偶然かもしれないが、身体が伸びきっているときは、
このように、葉っぱの裏側にいることが多い???

 

 

 

オカモトエダシャク幼虫(シャクガ科)

2014年6月4日 猿羽根山・秋田

ちなみに、鳥の糞が白っぽく見えるのは、
糞と一緒に排泄されるオシッコ成分の尿酸を含むからだ。

どうでも良いことではあるが、
鳥は、フンとオシッコを、同時に排泄するのだ。

 

 

 


オカモトエダシャク幼虫(シャクガ科)

2014年6月4日 猿羽根山・秋田

この角度から見ると、サイズ的にも、
全く問題なく、鳥の糞に見える。


この子は、若齢幼虫から終齢幼虫まで、
一点の迷いもなく、糞擬態なのだ。

 

そして、糞擬態は、このように良く目立つので、
一般的な隠蔽的擬態の範疇には入らないのが、
十分理解できる。
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130213/1/

 

     

 

 

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糞擬態?! キアゲハ幼虫


今月は、ブログ開設時の原点に戻って、
想定読者は、虫好きの高校生!!!


前回、数種のカメムシ目の虫たちが、
鳥の糞に擬態している例を紹介した。

糞擬態は、隠蔽的擬態ではなく、
目立ちやすい非食物擬態の範疇に入る。
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130213/1/


有名なのは、その名前にもなっている、
トリノフンダマシというクモの仲間で、
どう見ても鳥の糞にしか見えない。
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20120821/1/


また、個人的に非常に興味深い交尾擬態の例でもある、
ヒトツメカギバという蛾の成虫も、糞に擬態しているが、
この子たちは雌雄が合体して、蛾の輪郭を消している。
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20120918/1/

 


もっと身近に見られる「鳥の糞擬態」の例は、
アゲハ類の若齢幼虫だろう。

 

 

キアゲハ3齢幼虫(アゲハチョウ科)

2010年8月3日 だんぶり池・青森

この写真で見る限り、確かに鳥の糞に似ている。

ただし、幼虫が鳥の糞に似るのは、3齢までである。


幼虫が成長して、体が大きくなると、
さすがに糞に擬態するのは無理があるのだろうか?

鳥の糞で、そんなに大きなものはなさそうだ(多分)。

 

 

 

キアゲハ4齢幼虫(アゲハチョウ科)

2011年7月30日 だんぶり池・青森

だから、4齢幼虫になると、色彩はがらりと変わり、
白地に黄色と黒の斑点模様のよく目立つ色となる。

家で幼虫飼育中に、朝起きて見たら別の虫になっていた、
と思ってビックリするだろう?
 ⇒いまどき、そんな素直な人はいない!!


セリ科植物の有毒成分を体内に蓄積するため、
おそらく幼虫は、野鳥類に食べられることはない。

 

 

 

キアゲハ5齢幼虫(アゲハチョウ科)

2013年7月12日 だんぶり池・青森

5齢幼虫では、さらに黄緑と黒のしま模様に変化し、
黒いしまの部分には、橙色の斑点が目立つようになる。

ただ何故4齢幼虫と5齢幼虫の色彩・模様に、
微妙な違いがあるのかは不明である。

もしかしたら、3齢から4齢への急激な変化に、
対応しきれない、単なる中間型なのかもしれない。

 

 


キアゲハ若齢と4齢幼虫のツーショット

2011年6月29日 だんぶり池・青森

幼虫齢期の違いで、これだけの色彩を変えるには、
多分相当のコストがかかっているだろう。

こんな感じで、セリ科植物上に、
2種類のキアゲハ幼虫を、同時に見つけた野鳥類は、
一体、どのような反応を示すのだろうか?

 


⇒次回は、サイズ的な問題を、
 そのリアルさで見事にカバーした、
 オカモトトゲエダシャク幼虫である。

 我々の予想の斜め上を行くミラクル擬態・・・

 

    

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かなり不思議なナナフシモドキ


ナナフシモドキという色々な意味で不思議な虫がいる。

ナナフシの仲間は、コノハムシと並んで、
隠蔽的擬態の代名詞ともなっているのだが・・・


ん?  何で、モドキ・・・・??

 

アゲハモドキやカマキリモドキなど、
○○モドキと付く虫たちは、結構沢山いる。

多くは、もともとの○○と言う名前の虫がいて、
あまり類縁関係のない虫が、その本家(?)に、
姿かたちが良く似てる場合に付けられる名前だ。


普通に考えれば、ナナフシという名前は、
ナナフシ目に属する昆虫の総称なので、(ややこしいが)
ナナフシモドキは、ナナフシ目以外の虫に付けられる名前である。

もちろん、近縁種に付けられる場合もあるのだが、
ナナフシ科の「ナナフシモドキ」だけ(?)は例外で、
ただのナナフシという種が、別にいる訳ではないのだ。


ん! カミキリモドキ??

⇒(話がややこしくなるので?)

 


 

ナナフシモドキとバッタ目の幼虫

2003年4月5日 与那国島・沖縄

ナナフシの仲間は、緑色型と褐色型があるようで、
この子は、どちらかというと褐色派なので、
枯れ枝にいた方が、より目立たなかったようにも見える。

しかし、その色とサイズ(太さ!)が絶妙で、
写真のように、緑色の葉っぱにいても、姿かたちは、
やや黄色っぽく見える葉脈と、見事に一致しているのだ。


だから、体の色が緑色ではなくても、このように、
背景の葉っぱに、完全に溶け込んで見えるのだ【注1】

 

 

 


ナナフシモドキ(ナナフシ科)

1999年6月19日 与那国島・沖縄

こちらが、普通の良くある光景だ。

この写真も、昔、与那国で撮ったものだが、
個人的に、擬態する虫たちの姿を、
自然のままに、撮りたくなったキッカケの1枚である。

ただ、ナナフシモドキが、このような状態でいるところを、
歩きながら見つけられる自信は、全くない。


最初の写真と、背景の状況を比較すると、
何か、ナナフシモドキの驚くべき底力を感じるのだ。


 

 

 

ナナフシモドキ(ナナフシ科)

2014年7月18日 笹子峠・山梨

この子は、本州で見つけたナナフシモドキである。

残念ながら、青森県には、分布していないようだが、
ネット情報では、日本特産種であるらしい。


この遠目に見た写真で、どこにいるか、お分かりだろうか?

・・・・・・2匹!!



 

 


ナナフシモドキ(ナナフシ科)

2014年7月18日 笹子峠・山梨

斜めから、アップで撮ると、こんな感じだ。

しかし、何度見ても、不思議な虫だ。

枝に擬態する「こだわり」のために、
逆に多くのものを失っている感じがするのだ。


まず、翅を取り払って、飛翔能力を失い、
あまりにも痩せた体型にしたので、
筋肉が発達せず、動きも遅い。

内部の消化管や神経系、呼吸器系の配置も、
大きな制約を受けているはずだ。

そして何よりも、体が弱々しくなって、
脚などが切断され易くなったのだが、
これはポジティブに考えよう。

防御手段の一つとして、敵に襲われた際に、
脚を自ら切り離すことが出来るからだ【注2】

 


 

 

ナナフシモドキ(ナナフシ科)

2014年7月18日 笹子峠・山梨

この子は、一体どうしたのだろうか?

こんな感じで静止していれば、良く目立つが、
脚がうまく重なって、まるで枝である。

残念ながら、緑色で枝には見えないのだが・・・

 

 

もうひとつナフシモドキには、不思議なことがある。

ナナフシの仲間は、単為生殖を行う事が知られており、
オスは非常に稀で、ほとんど出会うことはない。

何故こんなことになったのか?

まさか、この体型では、
「雌雄が出会っても、交尾しにくい」
なんてことは、ないだろう?

 


  それでは・・・良いお年を

 

 

【注1】この写真は、思い出深い。
 
    実はこの写真、真ん中のナナフシを狙ったものである。
    ようやく、デジカメが普及してきたころ、 
    直接フロッピーディスクに保存する機種で、
    カメラのモニター画面の性能はちょっと?マークだった。

    後で、パソコンの画面で確認したときに、
    すぐそばに、バッタ目の幼虫が、
    さりげなく写っていたという訳である。


    それにしても、このバッタ目の幼虫!!
    隠蔽的擬態の代表であるナナフシよりも、
    撮影者(私)が、見つけられなかったことに、
    ちょっとだけ、不思議な驚きを感じる。

 

【注2】失われた脚は、若齡幼虫時であれば、
    脱皮とともに再生可能であるが、
    終齡幼虫・成虫の自切は、再生されない。

    ただし、終齡幼虫・成虫の場合でも、
    脚は簡単に外れてしまうようだ。


 

     

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擬態?? モモブトスカシバ


完全に季節外れ・時期外れの話題であるが・・・

観光シーズン真っ最中の北海道・富良野、
広大なラベンダー畑に隣接する雑木林を見つけた。

個人的には、当然こっちの方が、面白そうだ。


有料のハーブ園には、全く興味がないので、
いそいそと入園する妻と娘と、しばし別れて、
さりげなく雑木林の中へ!!


そして、誰とも出会うことのない踏み分け道を歩くと、
すぐに、ササの葉っぱに止まっている不思議な虫を見つけた。

 

 

ん! 何だ?!

2014年7月4日 富良野・北海道

最初は、何組かも分からなかった。


羽化失敗のセセリチョウ?

これで飛べるの??


ハチ? アブ?? 蛾???

 

 

 

モモブトスカシバ(スカシバガ科)

2014年7月4日 富良野・北海道

という訳で、これはモモブトスカシバという、
北海道ではあまり珍しくない蛾の仲間であった。

とりあえず、ハチに擬態してるのだろうか?

 

 


モモブトスカシバ(スカシバガ科)

2014年7月4日 富良野・北海道

体の横に、試験管を洗うブラシのように見えるのは、
翅ではなく、沢山の直立した毛が生えた後脚である。

本物の翅は、その内側に見える毛のない部分であり、
この翅だけを見れば、確かにスカシバの仲間である。


ブラシのような毛は、多くのハナバチ類が、
後脚に沢山の花粉をつけている姿に似せているのだろうか?

 

 

 

モモブトスカシバ(スカシバガ科)

2014年7月4日 富良野・北海道

真横から見ると、確かにスカシバのような体型で、
何となく蛾のようなイメージはある。


この子は、ウリ科のアマチャヅルの茎に、
虫えい(ゴール)を作って、幼虫時代を過ごす。

生きた植物の内部に潜り込んで成長すれば、当然、
外敵に見つかって、捕食されることはないはずだ。

しかも、成虫になってからは、ハチに似たこの容姿で、
外敵の攻撃から身を守るのだ。




・・・・・・・・

 

図鑑の写真を見れば、ほとんどのスカシバ類は、
ハチに擬態しているようだが、種ごとに、
そのモデルとなるハチの種類が異なるようだ。


過去にこのブログで紹介したような、
「そんなに似せなくても、外敵は騙されてくれるよ!」
という典型的なミラクル擬態の例を、もう一度ご覧ください。

セスジスカシバ(左)とキタスカシバ(右)



下が、元の記事です。

 

ミラクル擬態 キタスカシバ交尾シーン
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130613/1/


再びセスジスカシバ 飛行と産卵
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130920/1/



 

     

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例外的な美麗種? アカアシカスミカメ


カスミカメムシの仲間は、分類が難しいこともあって、
あまり好きになれないのだが、数は少ないが、
ハッ!!とするような美麗種もいる。


今回のアカアシカスミカメは、人気投票すれば、
カスミカメムシ科の部門(?)では、ベスト3に入るだろう。

 ⇒個人的には、ベスト1なのだが・・・

 

 


アカアシカスミカメ(カスミカメムシ科)

2013年9月10日 梵珠山・青森

言葉で表現するのは、なかなか難しいのだが、
「6本の脚は、赤と緑と白に塗り分けられ、
 頭部と胸部は、黒褐色が主体ではあるが、
 前翅の周辺部は緑色で、中心部分には、
 黒色と赤色と白色のの三角形を主体とした、
 ステンドグラスのような、幾何学的模様がある」
と、写真をみながら、図鑑にはない書き方をしてみた。


まあ、「生きたステンドグラス」と書けば、
その一言で、話は終わるのだろうが・・・

 

 

 

アカアシカスミカメ(カスミカメムシ科)

2012年8月4日 裏磐梯・福島

一般的に、赤・緑・黒の模様は、かなり目立つので、
捕食者に発見されやすくなっているはずなのだが、
なかなか、その裏付けが取れない。

 ①体液に不味成分を持つことによる警戒色?

 ②それとも、何かに擬態している??

 ③もしかしたら、分断色???

 ④このブログの最終行(?)に記載????

 

 

 

アカアシカスミカメ(カスミカメムシ科)

2013年8月7日 安曇野・長野

この写真の子は、赤色がほとんど見えないが、
もちろん、別種でもなく、雌雄の差でもないようだ。

分類の厄介なカスミカメ類の中で、
この子のOnomaus属は、世界に4種しかいない。

当然日本には、アカアシカスミカメしか分布しないため、
誰も、他の種と間違えることはないだろう。


写真を見ると、体の外縁が背景の葉っぱの色に溶け込んで、
輪郭が分かりにくくなっているので、③の分断色説も有りなのか。

 

 

 

アカアシカスミカメ(カスミカメムシ科)

2013年9月9日 だんぶり池・青森

また、例によって、和名について一言・・・

確かに足が赤いカスミカメなのではあるが、
これだけ特徴的な背中の模様にちなんだ名前の方が、
もっともっと、人気が出たかも???


まさか、ステンドグラスカスミカメ!!????

 


・・・以下、追記??

 

ヤマジノホトトギス(ユリ科)

2014年8月14日 奥入瀬・青森

今年の夏、家族7人で奥入瀬渓流をワヤワヤ歩いていたら、
3才の孫がヤマジノホトトギスの花を見つけた。

何も考えずに、さりげなく写真を撮ったのだが、
直後に、モニター画面を見て、かなりビックリ。


さりげなく、アカアシカスミカメが写っている!!!

 


そこで、もう一枚・・・

 


アカアシカスミカメ(カスミカメムシ科)

2014年8月14日 奥入瀬・青森

シャッターを押しても、気が付かなかったくらい、
完全にヤマジノホトトギスの花に負けてしまった、
美麗種アカアシカスミカメ・・・・

この子も、赤色がほとんどない!!

 

⇒これは、目立たなくする保護色の範疇(⇒④)では?

 

 

      

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