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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

枯れ葉擬態 アシベニカギバ


枯れ葉に隠蔽的擬態する蛾は、多くのグループ(科?)で、
独自に進化してきたようだ。

今回のアシベニカギバは、常夜灯に来ているのを良く見かける。

 


アシベニカギバ(カギバガ科)

2011年8月23日 酸ヶ湯温泉・青森

でも、こんな感じで、建物の壁に止まっているのを見ても、
「本当に枯れ葉に擬態してるの???」と思うかもしれない。

 


それでも、枯れ葉が沢山ある場所に、静止していたら、
私ごときには、絶対に見つけることはできないだろう。


しかし、緑色の葉っぱの上では、簡単に見つかる。
・・・・と言うか、偶然見つけると、ちょっとだけ感動!!

 

 

 

アシベニカギバ(カギバガ科)

2014年6月21日 志賀坊森林公園・青森

この子を見つけたときは、いったん通り過ぎてから、
「えっ!!」という感じで、引き返したのだ。

真昼間に葉っぱの上で堂々と静止しているのを見つけると、
少なくとも、目立ちにくくする隠蔽的擬態の範疇には入らない。
むしろ、良く目立つ「非食物擬態」とした方が良いかもしれない。

 

 

 

アシベニカギバ(カギバガ科)

2014年6月21日 志賀坊森林公園・青森

確かに、こんな色合いの枯れ葉は、
緑の葉っぱの上に、沢山落ちている。

アシベニカギバの体型は、左右対称ではあるが、
翅の先端が細くなって、微妙に曲がっている。

だから、この子のサイズや形状は、
今、まさに止まっている葉っぱにそっくりなのだ。

 

 

 

アシベニカギバ(カギバガ科)

2014年6月21日 志賀坊森林公園・青森

枯れ葉に擬態する蛾は、前回紹介したキンイロエグリバや、
前々回のツマアカシャチホコのように、翅を閉じて止まることが多い。

明らかな蛾の形状である左右対称の姿を見破られないためだ【注】


しかし、アシベニカギバは違う。

左右対称であるが、この形状ならば、どこに止まっていようと、
野鳥類には、枯れ葉にしか見えないだろう。


次回、もう1種、翅を閉じて止まるタイプの枯れ葉のような蛾を紹介したい。

 


【注】保護色と隠蔽的擬態の概念は、ほとんど同じように思ってしまうが、
   実は、ちょっとだけ機能が異なっており、
   あまり知られていないが、かなり重要な問題なのである。

   体の色や模様だけを背景に似せた「保護色」は、
   静止する場所を適切に選べなかった場合には、
   元の輪郭がくっきりと表れて、逆に良く目立ってしまう。

   ところが、色や模様だけでなく、姿かたち(輪郭)まで、
   葉っぱや枯れ枝に似せた「隠蔽的擬態」であれば、
   背景を間違えても、やっぱり葉っぱや枯れ枝にしか見えない。

   だから、このような隠蔽的擬態をする種は、
   むしろ平気で背景選択を間違え、自分は蛾でないことを誇示する??


   さらに驚くべきことに、自分の輪郭を変化させるため、
   雌雄が微妙に位置を変えて交尾する種もあり、
   彼らも、非常に目立つ位置で静止しているのだ。
   ↓   ↓   ↓
   http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130120/1/

 

    

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枯れ葉擬態 キンイロエグリバ


枯れ葉に隠蔽的擬態する蛾は、多くのグループ(科?)で、
独自に進化してきたようだ。

今回のキンイロエグリバは、常夜灯に来ているのを良く見かける。

 

 

キンイロエグリバ(ヤガ科)

2013年8月31日 矢立峠・秋田

でも、こんな感じで、建物の壁に止まっているのを見ても、
初めて見た人は「本当に枯れ葉に擬態してるの???」と思うかもしれない。

 

 

それでも、枯れ葉が沢山ある場所に、静止していたら、
私ごときには、絶対に見つけることはできないだろう。


しかし、緑色の葉っぱの上では、簡単に見つかる。
・・・・と言うか、偶然見つけると、ちょっとだけ感動!!

 


キンイロエグリバ(ヤガ科)

2013年9月9日 矢立峠・秋田

赤丸の中にある枯れ葉が、実は、キンイロエグリバなのだ。

真昼間に葉っぱの上で堂々と静止しているのを見つけると、
目立ちにくくする隠蔽的擬態というよりも、むしろ、
良く目立つ「非食物擬態」としか思えない。
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130818/1/

 

 


キンイロエグリバ(ヤガ科)

2013年9月9日 矢立峠・秋田

確かにこんな色合いの枯れ葉は、
緑の葉っぱの上に、沢山落ちている。

多分捕食者(野鳥類?)も、人間(私?)も、
この子たちを、普通に一度は見つけるのだ。

だが、少なくとも捕食者は、すぐに無視して通り過ぎる。
(人間は、シャッターを雄のだが・・・・)

 

 


キンイロエグリバ(ヤガ科)

2013年9月9日 矢立峠・秋田

でも、ここまでパーフェクトに似せるなら、
緑の葉っぱに擬態(⇒普通の隠蔽的擬態)して、
しかも、正しく緑の葉っぱの上にいる方が、
より捕食者に発見されにくくなるはず??


??

??


いやいや、そうではないと思う。

緑色の葉っぱに完璧に擬態する虫たちは、
静止する背景を間違えてしまうと、逆に、
よく目立って、捕食者の餌食となる可能性が高いのだ。

緑色の葉っぱが1枚だけ、目立つ場所に落ちていることは、
枯れ葉の場合とは違って、自然状態では基本的にないからだ!!

捕食者は、1枚だけ落ちてるそんな状況を、決して見逃さないだろう。

 

緑の葉っぱの上で、より目立ってしまう枯れ葉に擬態する方が、
 1)いったん捕食者が発見するが、
 2)それが食べ物でないことを認識して、
 3)無視して通り過ぎる、
ことになるので、擬態の完成度はかなり高くなければならない。

だからこそ、より食べられにくくなっているのだと思う。

捕食者が、上記1)、2)、3)の段階を全てクリアしてこそ、
それが「非食べ物擬態」「ミラクル擬態」になる理由なのだ。





 

   

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枯れ葉擬態 セグロシャチホコ


枯れ葉に隠蔽的擬態する蛾は、多くのグループ(科?)で、
独自に進化してきたようだ。

今回のセグロシャチホコは、常夜灯に来ているのを良く見かける。
 

 


セグロシャチホコ(シャチホコガ科)
 
2011年9月15日 城ヶ倉・青森

でも、こんな感じで、ガラス面に止まっているのを見ても、
初めて見た人は「本当に枯れ葉に擬態してるの???」と思うかもしれない。

 

 

それでも、枯れ葉が沢山ある場所に、静止していたら、
私ごときには、絶対に見つけることはできないだろう。


しかし、緑色の葉っぱの上では、簡単に見つかる。
・・・・と言うか、偶然見つけると、ちょっとだけ感動!!

 

 

 

セグロシャチホコ(シャチホコガ科)

2014年6月9日 だんぶり池・青森

ムラサキシャチホコでもあったように、
真昼間に葉っぱの上で堂々と静止しているのを見つけると、
目立ちにくくする隠蔽的擬態というよりも、むしろ、
良く目立つ「非食物擬態」としか思えない。
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130818/1/

緑の葉っぱの上には、見た目がこんなイメージで、
枯れ葉が、沢山落ちているからだ。

 

 

 

セグロシャチホコ(シャチホコガ科)

2014年6月9日 だんぶり池・青森

だんぶり池には、夜間は真っ暗になるので、
このカップルが、光に集まって交尾したのではない。

交尾することにより、体が2倍の長さになって、
より枯れ葉に見えるようになったのだ。



 


 セグロシャチホコ(シャチホコガ科)

2014年6月9日 だんぶり池・青森

今回の3枚の写真を見ると、別に脅かしたわけでもないのに、
交尾したまま、葉っぱの上を移動しているのが分かる。

ぶら下がってる方(多分オス)は、脚を隠しているので、
自力では体を支えていないのだろう。

少なくとも、最初の写真(単独でいる!)よりも、
雌雄2匹が縦に繋がると、もともとの蛾の姿が変化して、
より枯れ葉に見えるようになっているのが分かる【注】

この状況は、単に偶然の結果なのだろうか?

  

【注】雌雄が交尾した状態が、擬態の精度(?)をアップさせる場合の例:
   ↓  ↓  ↓
   http://kamemusi.no-mania.com/Date/20120918/1/
     
      ⇒是非、上記URLをクリックして当該ページをご覧ください。








    

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かなり不思議な虫 ヒゲナガハナノミ

タイトルどおり、初めて見たこの子は、
色々な意味で、かなり不思議な虫だ。

 

まずは、その写真から・・・

 


何これ!!

2014年5月31日 東海村・茨城

何か、ちょっと汚いベニボタルがいる?

そう思って、シャッターを押すのを躊躇した。


こんな色あせたベニボタルもいるんだ!!

写真では、あまり赤色が出ていないが、
実物は、もう少し明るい色だったと思う。

 

 

 

ヒゲナガハナノミ(ナガハナノミ科)

2014年5月31日 東海村・茨城

触角もクシ状なっているので、
十分にベニボタルの雰囲気なのだが・・・


帰宅してから、大学時代からの友人に写真を送り、
この子が、ハナノミの仲間であることが分かった。

 

でも、ハナノミって、私の知るかぎり、
お尻の部分(尾節)が、細く突き出ていたような・・・

だから、ナガハナノミは、ハナノミとは、
基本的に違う仲間のようだ。

 


 


上の写真から、数分後・・・

すぐ近くの葉っぱで、何かおかしな状況が!


 

 


ヒゲナガハナノミ(ナガハナノミ科)

2014年5月31日 東海村・茨城

ん?!


・・・


交尾??


・・・


もしそうなら、雄と雌が違いすぎる!!

しかも、甲虫類は、こんな格好で交尾しないでしょ・・・


ただ単に、全く偶然に2匹の静止位置が、
お尻を突き合わせたようになってるだけ?

 

 


・・・お邪魔です・・・

 

 


ヒゲナガハナノミ(ナガハナノミ科)

2014年5月31日 東海村・茨城

・・・ということで、軽くツンツンしてみた。


予想どおり、
「なんだよ~!」という感じで、
2匹が一緒に、少し動いた。


明らかに、2匹はお尻で繋がっていたのだ。

まるで、カメムシのような状態で、交尾している!!!

 

 

 

ヒゲナガハナノミ(ナガハナノミ科)

2014年5月31日 東海村・茨城

ストロボで1枚。

帰宅後、改めてパソコンで写真をよく見ると、
このような「雌雄の体色の違い」と、
まるで「甲虫らしからぬ交尾姿勢」は、
ちょっとだけではなく、かなり不思議だ。


ネット情報では、雌は確かに黒っぽい??

ということは、ベニボタル類に擬態しているのは、
雄だけということになる。


このような雌雄で明らかに異なる色彩は、
以前このブログでも紹介したツマグロヒョウモンのようだ。
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130319/1/

ただ、ツマグロヒョウモンの場合は、
雌が有毒のカバマダラ類にそっくりで、
雄は、普通のヒョウモンチョウである。

ヒゲナガハナノミの場合は、逆に、
雄だけが、有毒のべのボタル類に擬態しているのだ。

 

     

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再びアリグモ これがミラクル擬態だ!!


以前このブログで、アリに擬態するクモを紹介した。

成体(成虫)は、クロヤマアリにそっくりで、
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130702/1/

幼体(幼虫)は、ムネアカオオアリにそっくりだった。
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20140322/1/

 

タイトルのミラクル擬態とは、このブログだけの用語で、
「そこまで似せなくても、捕食者は騙されてくれるよ!!」
と、いうようなやりすぎ感のある擬態を指す。

一部の虫たちだけが、何故、ミラクル擬態になったのかは、
非常に興味深い問題である。

 

 


アリグモ(ハエトリグモ科)

2014年5月24日 金沢市・石川

この写真が、典型的な生態の姿である。

頭部の上顎の形状が、ちょっとだけ気になる【注】が、
他の部分は、どう見てもアリだ。

 

 


アリグモ(ハエトリグモ科)

2014年5月24日 金沢市・石川

気になる部分を微妙に隠して撮ると、
こんな感じになる。

これは、やや反則攻撃か・・・・

 

 


アリグモ(ハエトリグモ科)

2014年5月24日 金沢市・石川

似ているのは、姿かたちだけではない。

歩いてるのを、遠目に見ると、アリにしか見えない。

前脚の動きが、まるで触角で、もちろん、
本物のアリそっくりの歩き方をするのだ。

 

 


アリグモ(ハエトリグモ科)

2014年5月24日 金沢市・石川

こんな姿と動きのクモがいるのを知っていても、
実際に遭遇した現場では、アリだと思い込んで、
シャッターを押せなかったことが、何度もあるはずだ。

特に、雌の場合には、上顎が発達しないので、
もっともっと、アリに見えるのだが、
残念ながら、まだ写真に撮れていない。

おそらく見逃しているのだろう・・・??

 

 


本物のアリ!!!

2014年5月24日 金沢市・石川

もちろん、すぐ近くの葉っぱには、
アリグモの数よりも多い本物のアリがいた。

おそらくクロヤマアリだろうが、改めて写真で見ても、
笑ってしまうほど、そっくりである。

 


・・・・そして、

撮りたかった写真がようやく・・・

 

 


アリとアリグモのツーショット!!!

2014年5月24日 金沢市・石川

残念ながら、手前の本物のアリのフォーカスが・・・emoji

 

【注】何故、雄の上顎が異常に大きく(長く?)なっているのか?
   これは、考えてみれば、かなり不思議な話である。

   他の部分は、まさにミラクル擬態と呼べるほど、
   完璧に似せているのに、肝心の頭部だけは、
   まるで「私はアリではない!」と主張するように、
   無理やり変化させているからだ。

   多分、交尾行動に関係していて、アリに擬態するより、
   重要な(より適応的な?)機能があるのだろう。


     

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