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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

ハチのようなアブ

下の写真はハナアブの仲間である。

ちょっとだけハチのように見えなくはないが、
このブログを見てくれている人は、間違えることはないだろう。

 

多分キベリアシブトハナアブ(ハナアブ科)

2010年7月18日 だんぶり池・青森

子供のころは、このようなハナアブを見つけると、
すごくハチに似てるけれど、違いが分かっていたので、
そこらにいるもっと小さな子供に、「これは、ハチだ!」と言って、
さりげなく手で捕まえて、自慢してた記憶がある。

よく見ると翅が2枚しかなかったり、目玉の感じが違っていたのである。

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

しかし、これから紹介するアブ君たちは、
そんな子供時代の記憶の「遥か彼方」にいるのだ。

大人になった私でさえ(?)、普通にハチと間違えるような
そんな「ものまねスターたち」なのである。

 

 

ジョウザンナガハナアブ(ハナアブ科)

2011年7月3日 白岩森林公園・青森

普通に見たら、スズメバチである。

上のハナアブより、ずっとハチに似ていると思う。

写真に撮って、冷静に見れば、翅が2枚しかないが・・・

 

 


ニトベナガハナアブ(ハナアブ科)

2011年7月3日 白岩森林公園・青森

この子は、クロスズメバチの仲間と間違えそうだ。

翅の数は、非常に分かりにくい。

複眼と触角の形状で区別する。

 

 


ヨコジマナガハナアブ(ハナアブ科)

2012年8月3日 鉄館林道・福島

この子たちを見つけたときは、何を隠そう、
何で花の上で、スズメバチが交尾してると思っていたのだ。


これは、やっぱり、ミラクル擬態なのか?

 

 


ヒゲナガヒロクチバエ(ヒロクチバエ科)

2010年7月21日 だんぶり池・青森

何を隠そう、私もこの子たちの写真を撮ったとき、
ハチが肉団子を作ってる思っていたのだ。

この子も、複眼と翅の数は??


これは、間違いなく、ミラクル擬態の範疇に入る!!

 


(蛇足)

一度でもハチにひどい目にあった経験がある鳥やカエルなどの捕食者は、
恐ろしい(?)ハチの姿を覚えて(専門用語で学習)いて、
実際には武器を持たないこのようなハチ擬態者たちを、攻撃することはない。

進化的に考えると、初めはハチを思わせる模様が偶然に出来た個体が、
捕食者に食べられにくいために、子孫を残す機会が増えたのだろう。

だから、よりハチに似た個体は、より多くの子供を残すことができるので、
どんどんハチのような姿かたちになっていったと考えられている。


しかし、進化途中にあるのか、擬態の完成度(?)は、少なくとも我々人間には、
かなりバラツキがあるように見えるし、実際にそういうことなんだと思う。

最初の写真のハナアブの仲間のように、
「君は、何となくハチに似てるね?」という場合もあれば、
モデルになった種まで予想できる程(ミラクル擬態!)、精巧に模様を似せている種もある。

例を挙げれば、上のニトベナガハナアブのモデルは、間違いなくこの子だろう。


クロスズメバチ(スズメバチ科)

2011年10月11日 白神・青森

 

一方で、あまり似ていないように見える擬態者は、今まさに進化の過程にあって、
もっと長い時間が経過すれば、もっともっとハチに似ていくのだろうか?

その可能性は、全くゼロではないだろうが、多分そうはならないだろう。

色々なパターンがあるからこそ、生物の世界なんだと思う。


姿かたちは、ある程度似せたところで妥協して、
行動パターン(実際の飛び方、静止姿勢、翅の音など)を総合して、
トータルで、ハチに似せているように見える場合だってあるのだ。

全ての種が同じように、ミラクル擬態に向かって進化していくことは、決してないのである。

 


なかなか、侮れないぞ!! 君たちは!!!!

 

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ダムサイト④ イシサワオニグモ

晩秋の良く晴れた日のダムサイトでは、運が良ければ、
普段あまり見かけない虫を見ることができる。


今回の派手なクモ君、これが有名なカグヤヒメグモか?

そう思って、写真を撮りまくった。


家に帰ってから調べてみると、別種であることがすぐに分かった。

全国の山地に普通に見られるイシサワオニグモのようだ。

この子も、クモの世界では珍しく、非常によく目立つオレンジ色をしている。

 

 


イシサワオニグモ(コガネグモ科)

2012年10月27日 玉川ダム・秋田

玉川ダムの展望台に上がる階段で見つけた。

本当に、ドキッとするような、鮮やかな色である。

 

 

イシサワオニグモ(コガネグモ科)

2012年10月27日 玉川ダム・秋田

この色は、良く目立つ警戒色というより、
むしろ、美しいと表現する方が良いかもしれない。

ただ、ネット情報では、体色に大きな差があり、
黒っぽい子もいるらしいが、メインは、このオレンジ色のようだ。

ついでに(?)、8本の脚も、オレンジと白のまだら模様である。

 

 

イシサワオニグモ(コガネグモ科)

2012年10月27日 玉川ダム・秋田

当日は、久しぶりの快晴になった紅葉が見ごろの土曜日で、
この子を見つけた場所は、沢山の観光客が行き来する階段である。

オニグモの仲間なので、普段は大きな網を張って、
獲物が来るのを待っているはずなのだが、
この時期には、産卵場所を探して地上を歩き回るようだ。

多分偶然に、この子は、ダムサイトまで歩いてきて、
日向ぼっこをしているのだろう。

 

 

イシサワオニグモ(コガネグモ科)

2012年10月27日 玉川ダム・秋田

どうやら階段を必死に登ろうとしている。

お腹の中には、卵がいっぱい詰まっているので、
簡単には垂直の壁を登りきれないようである。

 


しばらく、見ていると・・・

 

 

イシサワオニグモ(コガネグモ科)

2012年10月27日 玉川ダム・秋田

落ちた!!!

この姿は、ちょっとカッコ悪い!!

 

 

イシサワオニグモ(コガネグモ科)

2012年10月27日 玉川ダム・秋田

でも、どうしてこんなに目立つ色をしているのに、
捕食者に見つからないのだろうか?

少なくとも、多くの人(観光客)に、見つかっているのに!!!

 


もしかしたら、今の時期は落ち葉の中にいるので、
この色は、目立たない保護色なのかもしれない。

以前このブログで、よく目立つ警戒色(赤や黄色と黒の縞模様など)なのに、
特に危険でない(味が悪くもなく武器も持たない)虫たちを紹介した。
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110826/1/

この色は、ジョロウグモやオニヤンマも黄色と黒のしま模様とは違って、
背景によっては、保護色にもなる可能性もあるのだ。

 

ちょっとだけ不思議?

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集団擬態?? アオバハゴロモ

アオバハゴロモという素敵な名前を持った虫がいる。
この和名は、美しい天女が身にまとっていた「羽衣」から来ているのだろう。

ついでに、学名にも触れておくと、これは天女とは違う別の趣があり、
名付け親である外国の昆虫学者(Walker氏)は、
この子に Geisha distinctissima という名を与えた。

もちろん、属名は「芸者」から来ているのだろうが、
日本人は「芸者」と「天女」は、明確に区別できるのに・・・

 

そんな美しい虫も、ちょっとだけ不思議な習性をもっているのだ。

 

アオバハゴロモ(アオバハゴロモ科)

2011年10月26日 東海村・茨城

この子が、天女と芸者の姿を持つアオバハゴロモである。

透き通るような薄い青色の翅には、ピンクの縁取りがあり、
まさに、三保の松原に舞う天女のイメージである。
(少なくとも、私がイメージする芸者ではない?)

こんな美しい虫であるが、カメムシと同じ仲間であり、
果樹や庭木の汁を吸う害虫とされることがある。

 

 

アオバハゴロモ(アオバハゴロモ科)

2012年10月2日 東海村・茨城

アオバハゴロモの成虫は、細い木の枝に静止していることが多く、
ときには、数個体が等間隔で整然と並んでいる。

この写真には、何匹写っているかわかりますか?

 

 


もう一度・・・

 

 


アオバハゴロモ(アオバハゴロモ科)

2012年10月2日 東海村・茨城

赤色丸で囲った部分に、少なくとも7匹は確認できる。

ただし、黄色丸の中の子は、ちょっとだけ様子がおかしい。
なんか違うような気もするが・・・・

青色丸の子は、明らかに雰囲気がアオバハゴロモとは違う。

もしかしたら、これがモデルになった本物の芽なのか?

 

 

黄色丸の部分を、別の写真で拡大してみると・・・・

 


アオバハゴロモ(アオバハゴロモ科)

2012年10月2日 東海村・茨城

どうやら、これもアオバハゴロモのようである。

角度を変えると、こんな風に見えるのだ。

 

 

今度は、青色丸の部分を、別の写真で拡大してみると・・・・

 


ベッコウハゴロモ(ハゴロモ科)

2012年10月2日 東海村・茨城

どうやらこれは、閉じた翅の角度と色合いが異なっている。
同じ仲間のベッコウハゴロモのようである。

2種がこのように混在して見つかることは、しばしばある。

ベッコウハゴロモについては、次回、改めて紹介したい。

 

 


アオバハゴロモ(アオバハゴロモ科)

2012年10月2日 東海村・茨城

もう一度、全体の雰囲気を少し引いた写真でみると、
こんなイメージで、完全に植物に中に溶け込んでいる。


もう少し整然と並んでいると、外国のウンカの仲間のように、
集団擬態の範疇になるのだが・・・

 

 

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翅の下は何色? 

本来は夜行性の蛾の仲間は、
昼間は適切な背景を選び、(多分)ほとんど動かない。

いわゆる保護色の効果で、外敵に見つかりにくくなっているからだ。

もし、運悪く捕食者(鳥)に見つかってしまった場合には、
さっと翅を広げて、一目散に現場から飛び去ろうとするだろう。

このとき、翅の下(正確には後翅表面)にある鮮やかな模様が表れる。
その模様は、通常状態では見えないものであり、
捕食者も、それまで見たことがないものだろう。

だから捕食者は、ちょっとビックリして、攻撃を一瞬躊躇するだろう。

このわずかなタイムラグをうまく利用すれば、
蛾はその場から、飛び立って逃げられるかもしれないのだ。

 

今回は、そんな蛾たちの後翅表面の色と模様を、
偶然にも(?)、写真に撮ることができたので、
カトカラ【Catocala】類を中心に、紹介していきたい。

以下の写真で、右下に小さく添付したものは、
それぞれの種の通常の静止状態であるが、
撮影年月日は、本体のものとは異なっている場合がある。

 

 

ゴマシオキシタバ(ヤガ科)

2012年10月11日 城ヶ倉・青森

普通に静止しているときの前翅表面は、典型的な保護色(右下写真)である。

普段見えない後翅表面は、鮮やかなオレンジ色と黒色の模様があり、
そのような蛾の代表格は、マニアからカトカラと呼ばれている種類だろう。

日本には、数十種類のCatocala属の蛾がいるようだが、
多くは、このタイプの色彩だと思う。

 


アケビコノハ(ヤガ科)

2010年11月27日 三春PA・福島

やや漫画チックな目玉模様があるアケビコノハ幼虫が有名であるが、
アケビコノハの成虫の姿かたちは、まるで枯れ葉そのものである。
↓   ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20101224/1/

この枯れ葉擬態だけでも、十分な保護効果はありそうだが、
彼らは、万が一のことを考えているのだ。

飛んで逃げなければならないような状況が発生した場合には、
後翅表面にあるカトカラと同じような模様が表れる。

 

 


ウンモンスズメ(スズメガ科)

2012年7月21日 白岩森林公園・青森

さらに、緑色の美しいスズメガであるウンモンスズメも、
前翅に隠された部分に、赤い模様を持っている。

こんな色の組み合わせでも、鳥のような捕食者の攻撃を、
一瞬でも遅らせる効果はあるのだろう。

写真を撮った私自身も、ちょっとびっくりしたのだから・・・

 

 

ところが・・・・

 


ムラサキシタバ(ヤガ科)

2011年9月29日 城ヶ倉・青森

カトカラの仲間には、後翅表面がこんな色の蛾もいる。

紫と白の組み合わせも、周辺にはない色なので、
捕食者をビックリさせる効果は、おそらくあるのだろう。

 

 

 

フクラスズメ(ヤガ科)

2010年11月27日 城ヶ倉・青森

こちらは、ムラサキシタバと同じ雰囲気を持っている蛾である。

この子は、名前がややこしいが、スズメガの仲間ではない。

ビックリ効果というより、この紫色は、美しいと思う色である。

 

 

しかし・・・・

 

 

シロシタバ(ヤガ科)

2012年10月10日 城ヶ倉・青森

カトカラの仲間には、こんな色の蛾もいる。

黒と白の組み合わせも、周辺にはない色ではある。

しかし、捕食者をビックリさせる効果は、どうだろうか?

現在でも、立派に生き残っているということは、
早朝や夕方の薄暗いとき、目が慣れていない捕食者は、
やはり、ちょっとビックリするのだろう。

 

 

さらに・・・・

 


シロオビドクガ(ドクガ科)

2012年8月22日 十国峠・長野

ドクガの仲間ではあるが、食草が不明なので、
成虫の体液に不味成分が含まれているかどうかは、
現時点では確認できないらしい。

ただ、オスは背中に白線が一本しかないので、
有毒種のホタルガにベイツ型擬態している可能性はある。

一方、やや複雑に白線が交差するメスの場合には、
以前検討したように、分断色のような効果があるかも知れない。

少なくとも、メスの後翅表面は、写真のように、
鮮やかなオレンジ色で、捕食者をビックリさせる効果はありそうである。

 

 

そして・・・・・

 


トラガ(トラガ科)

2010年6月19日 だんぶり池・青森

右下の写真でも、わずかにオレンジ色が見えるが、
普通に静止しているときでも、半分翅を開いていることが多い。

この子は、完全な昼行性で、花にも蜜を吸いに来るが、
このときには、最初からオレンジ色が良く目立っている。

白と黒のよく目立つ模様と、後翅のオレンジ色との組み合わせは、
おそらく、警戒色の範疇に入るだろう。

だから、捕食者は、最初から食べようとしないのでは?

 

 


ついに・・・・・

 

 

ヒトリガ(ヒトリガ科)

2011年8月31日 酸ケ湯温泉・青森

上のシロオビドクガと雰囲気は良く似ているが、
この子は、警戒色を持った有毒種とされており、
おそらく鳥に食べられることはないのだろう。

良く見ると、前翅表面の地色は赤味がかった茶色で、
コントラストのはっきりした白線があり、
それだけで警戒色の範疇に入るだろう。


では、突然見せる後翅表面の鮮やかなオレンジ色の役割は?

 

 


というわけで、ちょっとだけ不思議な蛾の世界でした。

 

 

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ハセモを探せ【上級編】 ハイイロセダカモクメ幼虫

前回の更新(10月9日)で、
だんぶり池で見つけたハイイロセダカモクメ幼虫が、
今年最後の撮影だと書いた。

しかし、幸か不幸か、翌日(10月10日)に、
白岩森林公園で、2匹の幼虫を見つけてしまった。


今回は、「ハセモを探せシリーズ」用に、無理矢理(?)、
ターゲットの位置が、センターにないものも撮影した。

 

北国以外では、まだ、間に合います。
下の写真で、練習して、
是非、ヨモギの花穂を見つけたら、
ハセモ君を探してみてください。

小さな虫が、工夫して生きてるのを感じると、
あなたの人生観が、(多分?)変わります。

 

今回は、回答(赤丸印)を、後半部に添付しましたので、
上級編に、チャレンジしてみてください。

下へ行くほど、難しくなります。
(写真はクリックすると拡大します)

 


ハイイロセダカモクメ幼虫

2012年10月10日 白岩森林公園・青森

 

 

ハイイロセダカモクメ幼虫

2012年10月10日 白岩森林公園・青森

 

 

ハイイロセダカモクメ幼虫

2012年10月10日 白岩森林公園・青森

 

 

ハイイロセダカモクメ幼虫

2012年10月10日 白岩森林公園・青森

 

 

ハイイロセダカモクメ幼虫

2012年10月10日 白岩森林公園・青森

 

 

 

ここから、回答編です。

 

 


ハイイロセダカモクメ幼虫

2012年10月10日 白岩森林公園・青森

 

 

ハイイロセダカモクメ幼虫

2012年10月10日 白岩森林公園・青森

 

 

ハイイロセダカモクメ幼虫

2012年10月10日 白岩森林公園・青森

 

 

ハイイロセダカモクメ幼虫

2012年10月10日 白岩森林公園・青森

 

 

ハイイロセダカモクメ幼虫

2012年10月10日 白岩森林公園・青森

 


今度は、是非、実物でチャレンジしてみてください。

一匹でも見つかると、付近に数匹はいます。

 

 


 

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