ベイツ型擬態を見破る疑似体験② アブ? ハチ??
昔からアブハチ取らずということわざがあるように、
もともとアブとハチは、姿かたちが良く似ています【注】。
この現象は、一般的には、アブの方が、
ハチに擬態しているとみなされています。
ただ、面白いことに、ハチにも色々な種類がおり、
姿かたちのベースが、かなり異なっています。
だから、単にアブがハチに擬態していると言っても、
それぞれの組み合わせがあるのが、ちょっとだけ不思議です。
第3回目の疑似体験シリーズとして、前回①は、
黄色のスズメバチ類に擬態したアブを取り上げました。
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http://kamemusi.no-mania.com/Date/20160220/1/
今回の「ベイツ型擬態を見破る疑似体験」は、
黒色をベースにしたクロスズメバチ類に、
見事に擬態したアブの仲間です。
あなたは、以下の写真の中で、
どの子を手で掴みますか?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・回答です。
まずは、モデルとなったハチは、左上と右下です。
左上: クロスズメバチ(スズメバチ科)
2010年10月21日 白岩森林公園・青森
クロスズメバチの仲間は、いずれも小形で、
全体的に黒っぽく、腹部には白または黄色の縞模様があります。
この仲間は、棲息域は山間地や山地が主で、
住宅街にで営巣することはほとんどありません。
右下: キオビクロスズメバチ(スズメバチ科)
2012年10月22日 蔦温泉・青森
前種クロスズメバチの「腹部の白い縞模様」が、
そのまま「黄色の縞模様」に変わっています。
ちょっとだけ、前回の黄色タイプのイメージもあります。
・・・ということは、右上と左下の2種は、アブです。
⇒前回①よりは、カンタンに見破ることができそうです。
右上: サッポロヒゲナガアブ(ハナアブ科)
2014年8月20日 八島ヶ原湿原・長野
サッポロと名前が付くが、ネット情報では、
北海道の特産種ではないようです。
⇒翅の紋が特徴的であることと、
別写真の正面の顔から、
同定は間違いないはずです。
分かりやすく(!)、クロスズメバチに擬態していますが、
ワレモコウの蜜を舐めているので、
スズメバチではなく、やっぱりハナアブです(?)。
左下: ニトベナガハナアブ(ハナアブ科)
2011年7月3日 白岩森林公園・青森
もともと、クロスズメバチの仲間は、
胸部と腹部の間のくびれが見にくいようです。
ただ、写真のように、腹部の黄色の横線の数が、
本物のクロスズメバチと全く違います。
⇒この程度の違いしか目立たないのならば、
瞬間的に見ると、やはり黒いスズメバチです。
触角の長さは、明らかに違いますが・・・
【注】手持ちの数種の辞書で確認すると、
意味は、「二兎を追うものは一兎をも得ず」と同じで、
『両方得ようとして欲を出すと、両方とも得られなくなる』
ことだそうで、どうやら擬態とは全く関係なさそうだ。
でも、ウサギ2匹と、アブとハチ1匹ずつとでは、
選択するときに、微妙な違いがありそうだが・・・