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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

虫たちの親子-28 キドクガ


虫たちの親子シリーズ、さりげなく再開します。

 

虫達の親子(成虫と幼虫)で、姿が大きく変わるのは、
やはり、完全変態で、途中に蛹の時期がある種類だろう。

だから、このシリーズに登場するのは、
チョウ目とカブトムシ目の虫たちが多い。


 ⇒もちろん、蛹の時期がないトンボやセミも、
  親子でイメージが全く変わるのだが、
  残念ながら、幼虫が水中や土中なので、
  私には、写真を撮る機会が全くない。

 

 

・・・という訳で、まずは蛾!

 

 

キドクガ幼虫(ドクガ科)

2015年9月23日 芝谷地湿原・秋田

このような良く目立つ黒と赤と白の毛虫は、
有毒種に見られる警戒色の典型である。

どっちが前なのかが、ちょっと分かりにくいが、
この子は、長い毛の束がついている方が頭である。


 ⇒実は、この頭部にある長い毛の有無が、
  同じ雰囲気のゴマフリドクガ幼虫との識別点だ。

 

 

 

 

キドクガ幼虫(ドクガ科)

2015年9月21日 酸ヶ湯温泉・青森

横から見ると、赤色の帯が強調される。


ドクガ科の幼虫は、みんな有毒種と思われがちだが、
実際には、毒を持たない(触っても大丈夫!)種の方が多い。


ただ、キドクガ類の幼虫は、毒針毛を持っており、
触ってしまうと、ひどい発疹と痒みが出る【注】

 

 

 


・・・こんな恐ろしげな幼虫の親は???

 

 

 

キドクガ成虫(ドクガ科)

2014年6月5日 矢立峠・秋田

まあ、名前のとおり、黄色いドクガである。

ただし、成虫になっても毒針毛を持っており、
親子共に「触るな! 危険!!」の種類である。


 ⇒成虫の毒針毛は、幼虫時代のものが、
  蛹を経由して付着しているだけである。

  さらには、雌は産んだ卵にも、
  毒針毛をこすりつけると言われている。

 

 


【注】毒針毛は、写真で見えているような、
   長い毛だと思っている人も多いかもしれないが、
   実際には、長さが0.1~0.2mm程度の短い毛で、
   幼虫の背中の一部(毒針毛叢生部)に存在する。

   これらの毒針毛は、幼虫脱皮のたびに新しく作られ、
   古いものは脱皮殻に付いたまま脱ぎ捨てられる。

   だから、蛹や成虫、さらには卵にまで付着するのだ。


   以前紹介したイラガ類には、毒針毛ではなく、
   よく目立つ鋭いトゲ(毒棘)があり、触ると、
   痒みではなく、強い痛みがある(体験談!)。

   【最も危険な昆虫?? イラガ類の幼虫】
    ↓   ↓   ↓
    http://kamemusi.no-mania.com/Date/20151010/1/

 

   

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ダムサイトの虫たち(2015) 浅瀬石ダム


黒石市の浅瀬石ダムには、車で3~40分で行けるので、
毎年シーズン中に数回は訪れる。


ただ、集まるカメムシの種類は、
前回の玉川ダムに比較してかなり少なく、
ほとんどが、チャバネアオ、スコット、ツマジロで、
他にヨツモン、ベニモンツノ、オオトビサシガメくらいである。

 

今回は、そんな感じの近場の浅瀬石ダムで見かけた、
カメムシ以外の虫たちを、さりげなく紹介したい。

 

 


オツネントンボ(アオイトトンバ科)

2015年11月5日 浅瀬石・青森

多くのトンボ類が、幼虫(ヤゴ)越冬なのだが、
この子は、例外的にこのままま成虫越冬する。

名前を漢字で書くと、越年トンボなのだろう。


 ⇒それにしても、夏に羽化した成虫が、
  未成熟のまま越冬して、翌年春に、
  交尾・産卵するという生活史には、
  一体どんな適応的な意味があるのだろうか?

 

 

 


カバエダシャク(シャクガ科)

2015年11月5日 浅瀬石・青森

晩秋の外灯に集まる代表的な蛾だが、
珍しく、ダムサイトで見つかった。

確かに、鮮やかなオレンジ色が、晩秋には良く似合う?


 ⇒ただ、12月頃まで見られるのに、
  成虫では越冬できないようで、
  広葉樹の枝に産み付けられた卵で越冬する。

 

 

 


オナシカワゲラの仲間(オナシカワゲラ科)

2015年11月5日 浅瀬石・青森

カワゲラの仲間には、腹部に2本の尾毛があるが、
オナシカワゲラの仲間の尾毛は短く、
前翅に隠れて見えないので、この名前になったのだろう。


早春に多数発生する普通種とされているが、
晩秋に見られるということは・・・?


 ⇒以前このブログでも紹介したが、
  当然、春先にも成虫が見つかるので、成虫越冬?!

 【越冬した虫たち【2】 寒いのに!!】
  ↓   ↓   ↓
  http://kamemusi.no-mania.com/Date/20120520/1/

 

 

 

そして、今回の目玉!!! ←全然さりげなくない?

 

 

 

エグリヒメカゲロウ(ヒメカゲロウ科)

2015年11月5日 浅瀬石・青森

真上から見ると、頭が隠れているので、
触角も含めて、ゴキブリのように見える。

また、この雰囲気は、普通に見れば蛾の仲間だ。


 ⇒最初は、蛾だと思って調べていたのだが、
  良く似た種類が絵合わせできなかった。

  そして、突然、蛾ではないことに気が付いた。

 

北国でも、早春に見つかるので、
このまま成虫越冬するのだろう。

 

 


・・・と、ここまでは、普通だ!!

 

 

 

エグリヒメカゲロウ(ヒメカゲロウ科)

2015年11月5日 浅瀬石・青森

これは上の写真と同一個体を横から撮ったものだが、
まるで枯れ葉のような色と模様だ。


 ⇒残念ながら、顔を上げて歩き出してしまったので、
  枯れ葉の雰囲気が、ちょっとだけ減少してしまった。

 

このように、見る角度によって、
全く違った印象になる蛾も、少なくない。

代表的な蛾は、もちろんムラサキシャチホコである。


【ついに撮れた ムラサキシャチホコ】
 ↓   ↓   ↓
 http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130626/1/

 


ところで、ヒメカゲロウの仲間は、
幼虫時代、近縁のクサカゲロウ類と同じように、
アブラムシを食べることが知られている【注】

ネット情報では、本種は希少種とされ、
生態も謎が多いとされるが・・・・


 ⇒虫えい掲示板のNabita氏の投稿によると、
  ダケカンバの葉にできたゴール内のアブラムシを、
  エグリヒメカゲロウの幼虫が捕食するようだ。

 

 

【注】ご存知の方も多いと思うが、ただのカゲロウ類は、
   カゲロウ目(蜉蝣目)であり、幼虫は水中で生活する。

   今回のヒメカゲロウの仲間は、名前がややこしいが、
   全く別のアミメカゲロウ目(脈翅目)なので、
   ヘビトンボなどの例外(?)を除いて、
   幼虫は陸生のものが多い。

   昔の蜉蝣目と脈翅目の方が、間違えにくいかも・・・


 
 
  

     

 

 

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ダムサイトの虫たち(2015) 玉川ダム


晩秋の玉川ダムには、カメムシ以外の虫たちも集まる。

カブトムシ目、ハエ目、ハチ目、バッタ目など、
成虫越冬をする普通種の虫たち達が多いのだが、
普段のこころがけと、運が良ければ、
「こんなところに!?」
という珍しい虫たちに出会うことがある。

 

でも、さすがは「ちょっとだけ不思議な虫たちの世界」だ。

成虫越冬ではないのに、ダムサイトに来る種類も少なくない。

 

 

今回は、そんな「??」の虫たちを紹介したい。

 

 

ミドリハガタヨトウ(ヤガ科)

2015年11月4日 玉川ダム・秋田

晩秋にしか見られない蛾なのだが、
どうも、成虫越冬ではないらしい。

翅の模様が、ゴツゴツの白っぽい樹皮だ。
何故か、こんな感じの木肌の樹木は、
北国には多いかもしれない。


 ⇒もし仮に万が一、この子が、
  正しく背景を選択していたら、
  とても、見つけられる気がしない。


ネット上の写真では、名前のとおり、
多少とも緑色の部分があるようだが、
秋になると消えてしまうのだろうか?

それにしても、晩秋のダムサイトで、
しかも、イシハラハサミツノカメのすぐ横に、
さりげなく止まっている不思議な蛾である。

 

 

 


エゾクシヒゲシャチホコ(シャチホコガ科)

2015年11月4日 玉川ダム・秋田

この子も、晩秋にしか見られない蛾だが、
外灯ではなく、ダムサイトで出会うとは!!

もしかしたら、上のミドリハガタヨトウも含めて、
ダムの建物のわずかな灯りに来ていたのかもしれない。

逆に言うと、不審者と疑われるのを覚悟で、
夜中にダムサイトを徘徊すれば、
普通にある常夜灯よりも、もっともっと、
沢山の晩秋の蛾に出会えるかも・・・


 ⇒軽く調べたネット情報では、
  近縁種のクシヒゲシャチホコが卵越冬するようなので、
  本種も、おそらく成虫越冬ではないと思われる。

 

 

 

 

ズキンヨコバイ(ズキンヨコバイ科)

2015年11月4日 玉川ダム・秋田

このような拡大写真にすると、
まるで小さいセミのように見えるが、
実際のサイズは5~7mmほどの小さな虫だ。


かなり黒化している個体だが、ズキンヨコバイだと思う。


 ⇒この子は、残念ながら、夏にも見られる種類だが、
  越冬形態は確認されていないようである【注】

 

 

 


ウロコアシナガグモ(アシナガグモ科)

2015年11月4日 玉川ダム・秋田

背景の青色になじんだ、全身が緑色の美しいクモだ。

晩秋のだんぶり池でも、枯れ葉の中に、
緑色のままで見つかるが、卵でなく、
幼体で越冬するクモのようである。


 ⇒ということは、写真の子は、まだ成体ではない?

 

 

 
【注】イネの害虫として有名なヒメトビウンカや、
   ツマグロヨコバイは、幼虫越冬である。

   ツマグロオオヨコバイは、真冬に成虫が見られる。

   近縁(?)のモンキズキンヨコバイは、
   卵越冬であることが確認されている。






    

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ダムサイトのカメムシ(2015) 玉川ダム②


前回に続いて、玉川ダムのカメムシ。


ダムサイト以外でも普通に見られる種類が、
ツノカメほどの迫力はなく集まってくる。

 


・・・・でも、この際なので!!

 

 

アオクチブトカメムシ(カメムシ科)

2015年11月4日 玉川ダム・秋田

高名な昆虫写真家U氏の真似をして、
ダムサイトの雰囲気が伝わるように、
背景をボカさないで撮ってみた。


この子が、こちらを向いていたらベストなんだろうが、
平気でシャッターを切ってしまうのがアマチュアだ。

多分、プロのUさんなら、向きを変えるまで、
じっと待っているのだと思う。


 ⇒Uさん、ネタにしてゴメンナサイ!
  14日の昆研懇親会には、出席できません。

 

 

 

 

クサギカメムシ(カメムシ科)

2015年11月4日 玉川ダム・秋田

沢山いると、あまり撮りたくないカメムシの代表だが、
今回のように、見つけたのがこの子だけなので、
さりげなく1枚シャッターを切る。


 ⇒近くの森吉ダムで見かけるカメムシは、
  おそらく、ほとんどクサギなのに・・・

  これも、ちょっとだけ不思議だ。

 

 

 

 

スコットカメムシ(カメムシ科)

2015年11月4日 玉川ダム・秋田

上のクサギカメと並ぶ、ダムサイトの常連。

やはり、何故か、玉川ダムでは、あまり多くない。


 ⇒上のクサギカメムシ、近似種のツマジロカメムシとともに、
  人家の中に入り込んで越冬する不快害虫としても知られている。

 

 

 

 

多分ヘラクヌギカメムシ(クヌギカメムシ科)

2015年11月4日 玉川ダム・秋田

クヌギカメムシの仲間は、日本に3種いるが、
外観での識別は困難である。

ただ秋田・青森では、ヘラクヌギが多いようである。


 ⇒夏の個体は、全身が光沢のある緑色だが、
  晩秋には、このように脚や体の縁が赤くなって、
  いわゆる越冬色(?)になる。

  しかも、ちょっとだけ不思議なことに、
  この子は、成虫越冬ではなく、卵越冬なのだ。

 

 

 

 

ハラビロマキバサシガメ(マキバサシガメ科)

2015年11月4日 玉川ダム・秋田

このように、普通は翅が短いのだが、
たまに、長翅型の個体も見られるようだ。

 

 ⇒当然、写真の子は短翅型なので、飛べないはずだが、
  歩いてダムサイトに来るのは、獲物を探すためだろう。





 

    

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ダムサイトのカメムシ(2015) 玉川ダム①

晩秋のダムサイトには、沢山のカメムシが集まる。

おそらく越冬場所を探すための移動途中に、
太陽の熱で温められたコンクリートが、
絶好の休憩場所なのだろう。


 ⇒たかだか100年程度前からの、新しい習性かも?

 

そして、晩秋のダムサイトの魅力は、
何と言っても、普段なかなか出会うことのない、
珍品カメムシが、「えっ、こんなところで!」という感じで、
いとも簡単に、見つけられることだ。


なかでも、玉川ダムは、おそらく東北のダムでは、
ツノカメの種類と数がダントツに多く見られる。

だから、秋になると、快晴の日を見つけて、
毎年、必ず一度は訪れている!!!

 

 


・・・まずは、ツノカメ6種!!

 

 

ミヤマツノカメムシ(ツノカメムシ科)

2015年11月4日 玉川ダム・秋田

赤と緑のコントラストが、素晴らしいツノカメである。

晩秋のダムサイトでは、普通に見かけるのだが、
普段は、なかなか出会うことのない種類だ。

 

・・・と言うか、
弘前に来てからは、ダムサイトでしか見かけない。


ビーティング採集をやらなくたったからかも・・・

 

 

 

 

ツノアカツノカメムシ(ツノカメムシ科)

2015年11月4日 玉川ダム・秋田

上のミヤマツノと良く似ているが、ツノの形状が違う。

より長く突き出していて、後方に少し曲がる。

この赤と緑のコントラストが、なかなか良い雰囲気で、
個人的には、ダムサイトに良く似合うと思う?


ただ、個体数は、ミヤマツノより少ないようで、
年1回出会えれば、良しとするレベルの珍品だ。

 

 

 


イシハラハサミツノカメムシ(ツノカメムシ科)

2015年11月4日 玉川ダム・秋田

今回の目玉商品(?)を、さりげなく・・・

2011年に、新種として記載されたツノカメの仲間で、
カメムシ図鑑3巻によると、本種はブナ帯から採集されているが、
発見される個体数は、かなり少ないようだ【注】


結局は、このツノカメを見たいので、ダムサイトに行くのだ。


 ⇒でも、ちょっとだけ不思議なことに、
  ダムサイトで出会うのは、今回が最初だ。

 

 

 


セアカツノカメムシ(ツノカメムシ科)

2015年11月4日 玉川ダム・秋田

この子は、いつでもどこでも見かけるが、
いわゆる越冬色なので、夏に見るイメージはない。

大型のツノカメの仲間では、おそらく、
最も個体数が多い(よく見かける!!)種だと思う。

 

 

 


ヒメハサミツノカメムシ(ツノカメムシ科)

2015年11月4日 玉川ダム・秋田

この子も、越冬前には、赤~褐色になることが多い。


こうなると、上の普通種セアカツノカメに、
雰囲気が似てしまうが、ツノ(側角)の色が違う。

夏の緑色の綺麗な頃のイメージが多少とも残っている。

 

 

 


多分ベニモンツノカメムシ(ツノカメムシ科)

2015年11月4日 玉川ダム・秋田

腹部背面の膜質部が、黒くないので、
ただのベニモンツノカメムシだと思う。

ダムサイトでは、あまり見かけないようだ。

 

 


【注】過去の記事を、是非ご覧ください。

   【新種イシハラハサミツノカメムシ(仮称)】
    ↓   ↓   ↓
    http://kamemusi.no-mania.com/Date/20121113/1/


   【もう一度 イシハラハサミツノカメムシ】
    ↓   ↓   ↓
    http://kamemusi.no-mania.com/Date/20121204/1/

 

      

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