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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

晩秋の外灯に集まる虫たち


晩秋のダムサイト巡りをするために、
長期間車中泊をしながら移動する場合、
昼間、快晴であることを祈るばかりである。

しかし、今回の信州方面のMMTは、
普段の心がけが良いにも関わらず(?)、
完全に×××だった。


 ⇒詳細な天気予報を確認しながら、
  近場のダムに日帰りで出かけるのであれば、
  そんなことは全く問題ないのだが・・・

 

 

こうなったら、晩秋の外灯めぐりしかない!!

 

 

会津若松と米沢を結ぶ国道(R121)は、
大峠トンネルが開通してから、
まるで高速道路のような雰囲気だ。

トンネル出口のトイレの外灯には、
春夏秋と、結構色々な虫が集まってくる。

 

 


・・・晩秋の今回は、どうだろうか?

 

 


ゴボウトガリヨトウ(ヤガ科)

2015年10月24日 大峠・山形

秋にしか見られないこの蛾は、
それだけで、何となく寂しい雰囲気が漂うが、
翅の模様は、逆に結構派手だと思う。

今回も、たった1匹で、まわりに虫の姿はない。


枯葉の中にいたら、なかなか見つけにくいと思うが・・・


 ⇒ネット情報では、その名のとおり、
  幼虫は、ゴボウの茎の内部を食べるのだが、
  有毒植物のタケニグサの茎の中にも穿孔するようだ。

  幼虫の写真はネットでは見当たらないが・・・

 

 

 

 

カバエダシャク(シャクガ科)

2015年10月24日 大峠・山形

この子も、晩秋にしか見られない蛾で、
全国に分布するようだ。

今回は珍しく、たった1匹だけが見つかった。


 ⇒この時期の外灯には、最も普通に見られ、
  寒いのに、飛び回っていることもある。
  


鮮やかなオレンジ色が、晩秋には良く似合う?


・・・と言うか、

晩秋にしか見られない蛾の体色は、やっぱり、
枯れ葉に似せていることが多いのだろうか?

幼虫を含めて、どんな生活史なのか、ちょっとだけ興味深い。

 


 

 


コブヤハズカミキリ(カミキリムシ科)

2015年10月24日 大峠・山形

この時期には珍しいカミキリがいた。

この地域で見つかるのは、多分、
コブヤハズカミキリで良いだろう【注】


この時期に見つかるが、成虫越冬ではないはずだ

何故ここまで、歩いて来たのだろうか?

追記(20151107)

友人にゃおと氏から、コブヤハズカミキリは、
成虫越冬であるとの指摘があった。
秋に新成虫が出て、枯葉を後食し、そのまま越冬するとのこと。

 
 ⇒でも、いったい何故、無理して晩秋に羽化するのだろうか?
  翌春まで、待っていた方が、ずっと安全だと思うのだが・・・

  
 

 

 

ハラビロマキバサシガメ(マキバサシガメ科)

2015年10月24日 大峠・山形

時期的なこともあるのか、この写真の子は、
あまりハラビロ(腹広)ではないようだが・・・

このように、普通は翅が短いのだが、
たまに、長翅型の個体も見られる。


上のコブヤハズカミキリと同じように、飛べないのだが、
この子の外灯に来る目的は、獲物を探すためだろう。

 

 

 

【注】コブヤハズカミキリは、後翅が退化しており飛べない。
   だから、地理的な亜種(?)が存在する。

   東日本には、ただのコブヤハズカミキリ
   長野・山梨・静岡を中心にした、フジコブヤハズカミキリ
   西日本には、マヤサンコブヤハズカミキリ、イワサキセダカコブヤハズカミキリ
   四国には、セダカコブヤハズカミキリ
   山口には、トキサカミセダカコブヤハズカミキリ
   佐渡島には、サドコブヤハズカミキリ
   中国山地には、ダイセンセダカコブヤハズカミキリ
   さらに、長野近辺には、タニグチコブヤハズカミキリ

   ・・・というように、他にも、沢山の亜種が存在するようだ。






   

   

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ジョウロウグモ徘徊中?


お気に入りの梓川の河川敷にある公園・・・

さすが、晩秋にもなると、ほとんど誰(虫も!)もいない。


こんなときには、普段見られない虫たちの行動を、
さりげなく観察することが出来る。

 

 

まずは、下の写真から・・・・

 

 



2015年10月21日 松本市・長野

真ん中に、黄色と黒の目立つ虫がいる!!

 

最初は、カミキリが歩いていると思った(赤矢印)。

よく見ると、下の方に、クモの糸のようなものが見える(黄矢印)。

ちょっと分かりにくいが、上の方には、
何かの卵のうのようなものが見える(青矢印)。

 

 


そして、この3本の矢が、さりげなく結びつく。

 

 

 

ジョロウグモ徘徊中

2015年10月21日 松本市・長野

真ん中の黄色と黒色の縞模様の虫は、クモだった。

ゆっくり、ヨチヨチと(?)歩き続けて、
上に見えた卵のうまで、ようやくたどり着いた。


まさか、ジョロウグモだったとは???


 ⇒普段は空中に見事な網を張るクモが、
  何故か、木の幹を歩きにくそうに、
  よたよたと登って行く光景は、
  晩秋でなければ見られないのだろう。

 

 

 

 

ジョロウグモ徘徊中

2015年10月21日 松本市・長野

そして、しばらくの間(数10秒)、卵のう付近に静止していた。


このように、ジョロウグモの雌は、
産卵のため網巣を離れて、木の幹などに卵のうを形成する。

また、産卵後しばらくは卵のうのそばにいて、
自分の産んだ卵を守ることがあるようで、
今回は、まさにその行動を見たことになるのだろう。


 ⇒ただ、何故か、この雌グモは、
  まだお腹が大きいのが気になるのだが・・・

 

 

 

 

ジョロウグモ徘徊中

2015年10月21日 松本市・長野

ちょっとだけ不思議なことに、
彼女は、卵のうを通りすぎて、
さらに上の方へ向かって歩き始めたのだ。

どうやら、(多分?!)自分の産んだ卵のうの周りを、
ただウロウロしていただけのようだ。

 

しかし、写真の雌は、まだお腹が膨らんでいるので、
別の産卵場所を探している可能性も捨てきれない。


 ⇒ネット情報によると、特に温暖な地方では、
  数回に分けて産卵することも、観察されているようだ。

  でも、ここは長野!!

 

一体どっちが正解のだろうか?

 

 


そして、・・・・

 

 

話は、「またそこか!」と言われそうだが、
やっぱり、無毒なのに、この目立つ色彩は、
ちょっとだけ気になるし、不思議だ。

特に、この子が、巣を離れたときの、
よく目立つ無防備なヨチヨチ歩きは、
捕食者の格好の餌になってしまいそうだ。


 ⇒まあ、この時期になると、
  野鳥類は子育ては終わっているし、
  カエルやトカゲは越冬準備だろうし、
  カマキリやハチはもういない。


【警戒色の無毒昆虫?】
 ↓   ↓   ↓
 http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110826/1/

 

    

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かろうじてミラクル擬態?? チャイロオオイシアブ


野外で普通に見つけたときには、そうでもないのだが、
写真を撮ってから、忘れた頃にその生態写真だけを見ると、
図鑑に掲載されている写真とは、全く異なって、
例えばその虫が、ハチのなか、アブなのか、
自分の撮った写真でも、判断に迷うことがある。


昔、ある高名な昆虫学者が、講演会で言った
「ハチを見たらアブと思え!」
と言う有名な言葉を思い出す。

 ⇒アブとハチが、逆だったかもしれないが・・・

 


 

・・・例えば、

 

 

 

チャイロオオイシアブ(ムシヒキアブ科)

2011年5月25日 だんぶり池・青森

この写真は、普通に見ればアブだと分かる。

本当は、毛むくじゃらの身体なのだが、
花粉が付いているようにも見える。

 ⇒でも、この子が、アザミの花なんかに止まっていたら、
  ほとんどの人がハチと言うだろう。

 

 

 

それでは、下の写真はどうだろうか?

 ⇒まったく同じ場所で、数分前の撮影である。

 

 


ハチ? アブ??

2011年5月25日 だんぶり池・青森

何を隠そう、過去の写真を整理しているときに、
私自身が「ん!・・・???」となったのだ。


撮影現場では、ハチだと分かっていても、
忘れた頃に写真を見ると、
「あれ! どっちだったかな?」
と思ってしまう典型的な写真である。

 

 


今回の写真に限り、幸か不幸か、
同時に撮った別の写真を、
ハチのホルダーで見つけたのが、
このブログを書くキッカケであった。

 

 

 

マルハナバチの仲間(ミツバチ科)

2011年5月25日 だんぶり池・青森

同一個体の別の写真を見れば、触角の形状からも、
見た目どおりのハチだと分かる。


という訳で、ひとつ上の写真の子は、実は、
モデルとなったマルハナバチの仲間だったのだ。

ネット情報では、青森県には、
以下の5種のハナバチ類が確認されている。

 オオマルハナバチ
 トラマルハナバチ
 ミヤママルハナバチ
 コマルハナバチ
 ヒメマルハナバチ

今回の、写真に写っている子は、
顔の長さや毛の色などから、
トラマルハナバチが一番近いようだ。


いずれにしても、背中の黄色い毛と、脚に付いた花粉が、
チャイロオオイシアブに完全に真似されている。

 

 


そして、もう一度、アブ!!

 

 


チャイロオオイシアブ(ムシヒキアブ科)

2014年5月31日 東海村・茨城

やっぱり、良く似ている。

ムシヒキアブの仲間は、空中で獲物を捕獲することが多く、
獲物の虫が飛び立った直後に、後を追うように、
すぐさま飛び立つのをしばしば目撃する。


この行動の有無でも、アブかハチかは識別可能だ。

捕獲して、翅の数を数えるのが、確実なのだが・・・

 

 


ことわざに、「虻蜂(アブハチ)取らず」というのがある。

意味は、「二兎を追うものは一兎をも得ず」と同じで、
『両方得ようとして欲を出すと、両方とも得られなくなる』
ことだそうで、擬態とは全く関係ないようだ。


このことについての詳細は、是非以下のページをご覧ください。


【君はスズメバチか? ベイツ型擬態】
 ↓   ↓   ↓
 http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130905/1/

 

 

 

    

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サティロス型擬態⑤ イモムシの目玉模様も??


前報④で、蛾の前翅の最初から見えている目玉模様が、
サティロス擬態の範疇であることを紹介した。
 
イモムシにも、目玉模様を持つ種がいて、
近づいてくる捕食者に、突然見せつけるのではないので、
この場合も、サティロス型擬態として良いのだろうか・・・?




特に子育てをしている野鳥類にとって、
イモムシは、質量ともに格好の餌になるはずだ。

【虫を食べる野鳥類① シジュウカラ】
 ↓   ↓   ↓
 http://kamemusi.no-mania.com/Date/20140203/1/


当然、イモムシたちも、黙って食べられているわけではなく、
様々な対抗手段で、餌にならないように工夫(?)をしている。

 

 


ベニスズメ幼虫(スズメガ科)

2010年10月12日 白岩森林公園・青森

普通に葉っぱを食べているときは、
どこにでもいる蛾の幼虫である。

 
ただ、この体色と目玉模様・・・

頭部を上に持ち上げると、
ちょっとヘビに似てくる。

 
さらに、前から見れば、まるでヘビである。


 ⇒体の前方を、ゆっくり振ると、
  サイズとは無関係に、鳥には蛇に見えるだろう。

 

 

 


アケビコノハ幼虫(ヤガ科)

2010年10月8日 弘前市・青森

この写真は、過去の記事で使用したものであるが、
お気に入りのトリミングなので、もう一度・・・ 


アケビコノハの幼虫は、その恐ろしさを非リアル(?)に表現する。

むしろ実物とは、かけ離れたほどの強調と言っても良い。


 ⇒私は、最初にこのブログで紹介したときに、
  漫画チックという言葉を使って表現したが、
  もちろん漫画は、特定の部分を強調する傾向が強い。

 

我々人間も、いきなりこんな虫が目に入ったら、
多少は、ビックリするのかもしれない。

 

 

 


クワコ幼虫(カイコガ科)

2011年6月29日 だんぶり池・青森

野鳥類が、イモムシの目玉模様を見た瞬間に、
本当に攻撃を躊躇するのか、個人的には、
実を言うと、最近まで疑問視していた。

本物のヘビとイモムシでは、サイズが違いすぎるからである。

 

ところが、野鳥類は、必要以上に怖がりであることと、
遠近感とサイズ認識が苦手であるというふたつの理由で、
「小鳥たちは、遠くのフクロウよりも、
 近くのクスサン方が、はるかに怖い」
ということが、ようやく理解できたのである。


【擬態??④/④ サイズの違い】
 ↓   ↓   ↓
 http://kamemusi.no-mania.com/Date/20141214/1/

 

ただ、「鳥類の視覚認知システムが人間と違う」
と言うサティロス型擬態の基本理念には、
これらの模様は、アイコン的な模様と定義されている。

だから、サイズが違いすぎるという問題に関しては、
あまり大きな影響は与えないと考えられている。


 ⇒もちろん、イモムシの目玉模様も、
  サティロス型擬態として良いだろう。

   

 

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虫たちの親子-27 カシワマイマイ

今回も、ちょっとだけ不思議なケムシ。


野鳥類の餌として、質・量ともに最適な蛾の幼虫は、
様々な手段を用いて、捕食を免れているようだ。

 

例えば・・・

カシワマイマイの幼虫が、捕食者を威嚇するときのポーズが凄い。


過去の記事で紹介しているので、もう一度ご覧ください。
2本の毛束が強調されて、日本昔話に出てきそうな雰囲気がある。
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20141214/1/

 

 

カシワマイマイ幼虫(ドクガ科)

2014年7月1日 早来・北海道

少し頭部を持ち上げたこの姿勢でいることが多いのだが、
2本の黒い毛束は、前方に向いて、角(ツノ)のように見える。

この毛束は、カシワマイマイ幼虫に特徴的なものだと思う。


この風貌で、カシワマイマイの幼虫には、毒針毛はなく、
孵化したばかりの一齢幼虫以外は無毒とされている。

 ⇒とは言っても、一部の人には、
  皮膚に炎症を起こすことがあるようで、
  特にアレルギー体質の人は注意が必要だ。


また、軽く調べたネット情報では、
幼虫は、カシワやクヌギ、コナラなどの葉を食べるので、
体液には、不味成分が含まれていないだろう。

 

 

 

 

カシワマイマイ幼虫(ドクガ科)

2014年7月7日 羊蹄山・北海道

この子は、まるで別種のように見えるが、
全体が黒っぽく、前後に長い毛束があるので、
カシワマイマイの幼虫で間違いない。


ネット上の写真をみると、灰色の樹皮にいる幼虫は白っぽく、
茶色の樹皮にいる幼虫は、黒っぽいものが多いようなので、
もしかしたら、彼らは、自分の体色を知って、
背景を選んでいるのかもしれない。


 ⇒ただし、食事中(?)の緑の葉っぱには、
  このように、二つのタイプが見つかる。

 

 

 

こんな幼虫の親は、意外に普通だ!!

 

 

 

カシワマイマイ雌成虫(ドクガ科)

2011年8月8日 裏磐梯・福島

こちらが成虫で、幼虫のようなの迫力はなく、
どこにでもいそうな蛾である。


近似種のマイマイガと同様、雄と雌で色彩に違いがあるが、
残念ながら、変異が大きくて、確定できる写真が少ない。


両種とも、数年に一度大発生するようで、
おそらく、野鳥類の捕食が間に合わないのだろう。

 ⇒このことが、幼虫の防御行動と関係するのかは、
  非常に興味深いところだが・・・


なお、大発生の収束は、ウィルス病によるものとされる。

 

  

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