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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

続・シダの白い泡① コウヤワラビにも!


青森県内で7月になると見かけるようになる、
オシダの葉柄の「不思議な白い泡のかたまり」は、
アワフキ類の仕業ではなく、ヨフシハバチ類の幼虫の泡巣だ。
 ↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20150713/1/


・・・と、言うことが分かってから、
オシダを見かけると、さりげなく観察していたのだが、
約2ヶ月の間に、色々な(私が知らなかった)事実が判明した。

 

 

次回と2回に分けて、不思議な「泡巣」を紹介したい。

 

 


泡巣によって先端部が変色

2015年7月27日 だんぶり池・青森

こんな風に、先端が褐色になったオシダが、ときどき目につく。

単に物理的に折れてしまった場合もあるだろうが、
大抵は、折れた部分(根元側)に、白い泡巣があった。


おそらく、狭い葉柄の部分に幼虫が入り込むので、
それより先の部分に、水分の供給が滞るのだろう。


 ⇒あるいは、単に強度不足になるだけなのかも・・・

 

非常に興味深いことなのだが、
アワフキ類の幼虫が、どんなに立派な泡巣を作っても、
その先が枯れてしまうことはないだろう。

アワフキ類の幼虫は、ヨフシハバチ類の幼虫と違って、
茎の中に潜り込むことはないからだ。


  

 


泡巣が7個??

2015年7月15日 だんぶり池・青森

このシダは、これまで見てきたオシダとは、
ちょっと雰囲気が違っているので、
もしかしたら、別種のシダかもしれない。

シダの種類が異なれば、当然のこととして、、
ヨフシハバチの種類も異なる可能性もあるだろう?


いずれにしても、この株には泡巣の数が多すぎる。


 ⇒産卵するハバチの雌成虫に、何かあったのだろうか?

 

 

 

・・・さらに、

 

 


ヨフシハバチ類の泡巣(コウヤワラビ)

2015年7月30日 白岩森林公園・青森

このシダは、間違いなくコウヤワラビだろう。

当初、このような泡巣は、青森県では、
オシダにしか見られないと思ったのだが・・・


コウヤワラビにも、2連の泡巣が見つかった。

こちらの方は、ヨフシハバチの種類が、
オシダに寄生するものとは、違う可能性がかなり高い??

 

 


そして・・・

 

 

ヨフシハバチ類の泡巣

2015年8月25日 白岩森林公園・青森

この泡巣は、アワフキ類のものようりクリーミーな感じで、
ヨフシハバチ類の泡巣に良く似ている!!!


 ⇒ついに、シダ植物以外にも見つかったのか?

 

 

・・・と思って、写真を撮りまくったのだが、

 

 


ヨフシハバチ類の泡巣

2015年8月25日 白岩森林公園・青森

念のため、付近にある枝を取り去ってみると、
泡が付いていたのは、枯れ枝のようであった。

しかも、その枝は、手前に葉が見える、
コウヤワラビの枯れ枝(葉柄?)だったのだ。


擬態でもないのに、完全に騙された?!?!


 ⇒泡巣はまだ柔らかく、古い感じがしなかったのだが、
  泡を取り除いても、幼虫はいないようであった。

  この頃になると、成熟した幼虫は、
  おそらく、別の場所で蛹化するのだろう。

 


飼育が出来るのかどうかも分からないが、
来年こそは、成虫を確認したいものである。

 

 

次回に続きます。

 

     

拍手[21回]

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ハサミムシとカタツムリとハエ


カメラ片手に林道をブラブラ歩いていると、
ちょっとだけ不思議な光景に出会うことがある。

 

 

例えば・・・

 

 

キバネハサミムシ(クギヌキハサミムシ科)

2015年6月19日 白岩森林公園・青森

挙動不審(?)のハサミムシ発見!!!

おそらく樹上性のキバネハサミムシだろう。


白っぽい塊の上を、ぐるぐる回りながら、
何かを探しているような感じだ。

 


 

 


キバネハサミムシ(クギヌキハサミムシ科)

2015年6月19日 白岩森林公園・青森

近づいて良く見ると、どうやらカタツムリを食べている?

ハサミムシの仲間は、基本的には肉食性であるが、
カタツムシを食べているのは、初めて見た【注】

 



 

 

キバネハサミムシ(クギヌキハサミムシ科)

2015年6月19日 白岩森林公園・青森

ちょっと分かりにくいが、強力な大あごで、
強引に殻を破って、食べているようだ。


犠牲となったカタツムリが、何らかの事情で、
殻の一部が壊れたのだろうか?

多分、偶然出会ったハサミムシが、
その部分から食べ始めたようだ?

 
 

それよりも、葉っぱの裏側に、不気味な影が・・・・


 


不思議なスリーショット

2015年6月19日 白岩森林公園・青森

でも、ちょっと笑ってしまうような不思議な光景だ。

この写真だけを取り出して見れば、
このスリーショットは、十分な「???」効果満載だ。






キバネハサミムシ(クギヌキハサミムシ科)

2015年6月19日 白岩森林公園・青森

下に見えていたのは、正体不明のハエだった。

ハサミムシの方は、食事を中断して、邪魔そうにしていた。

相手が横取りされるような敵ではないことを察知すると、
さりげなく食事を再開したが、ハエの方は何かを狙っている??

この後、しばらく冷戦状態(?)が続いていたが、
私の姿が視界に入ったのか、ハエは、さりげなく飛び去った・・・




以上、カタツムリとハサミムシとハエの、
ちょっとだけ不思議な出会い(?)でした。



 

【注】昔、カメムシの匂いの防御効果を調べている頃、
   ハサミムシも捕食者として実験に使ったことがある。

   そのときに、予想外に上手に尻尾のハサミを使って、
   小昆虫(カメムシの幼虫も含めて)を捕獲するのを観察した。


   余談になるが、お尻で攻撃するハサミムシに対して、
   カメムシの防御物質は、全く防御効果がなかった。

    

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綺麗なゴミムシ? 

ヤホシゴミムシという鮮やかなオレンジ色の体に、
白色の水玉模様があるゴミムシがいる。

こんな色合いならば、ゴミムシと名前が付くのが、
ちょっとだけ可哀そうなほどの美麗種になるだろう【注】

 

 


ヤホシゴミムシ(オサムシ科)

2015年6月6日 だんぶり池・青森

こんなふうに、緑色の葉っぱの上にいると、
オレンジ色のゴミムシは、遠くからでもよく目立つ。

地面や落ち葉の中にいれば、あまり目立たないのだろうが、
実はこの子は、完全な樹上性なのだ。


木の枝や葉の上を歩き回って、蛾の幼虫などを捕食する。


何故か、後ろに、アリがいるのだが・・・

 

 

 


ヤホシゴミムシ(オサムシ科)

2015年6月6日 だんぶり池・青森

一般的な警戒色の虫たちと違って、この子は、
かなり歩行速度が速く、なかなか静止してくれない。

何故か、アリも後を追う!!


アリのこのような行動は、しばしば見られるが、
おそらく、ちょっかいを出せば、
きつい防御物質の一発をくらってしまうだろう。

カメムシの匂い成分の直撃も含めて、
アリは化学物質には、かなり弱いのである。

カメムシの匂いの不思議【02-05】アリに対する防御効果
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20101108/1/

 

 

 


ヤホシゴミムシ(オサムシ科)

2015年6月6日 だんぶり池・青森

そのような強い臭気の防御物質を放出することで、
オレンジ色の体色は、典型的な警戒色ということになる。

ただ、他のゴミムシの仲間の多くは、
体色は黒を基調としており、一般的には保護色とされる。

化学的な防御物質を放出する種は、保護色であることが多い。

そのほうが、捕食者がビックリする程度が高いからである。


この関係は、カメムシの場合と同じと考えられる。

カメムシの匂いの不思議【04-05】: 警戒色と不味成分
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20101110/1/

 

 

 


ヤホシゴミムシ(オサムシ科)

2015年6月6日 だんぶり池・青森

とりあえず、カメラのシャッターを押しながら近づくと、
あっという間に、飛び去ってしまった。

結局4枚の写真が撮れただけだったが・・・

 

上が、飛び立つ寸前の写真!!


樹上性のゴミムシは、何種類かいるようだが、
警戒色なのは、多分ヤホシゴミムシだけだろう。

以前このブログでも紹介したキボシアオゴミムシも、
やや目立つ体色であるが・・・

虫たちの親子-19 多分キボシアオゴミムシ
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20150305/1/


同じような食性で、防御物質も放出するのに、
なぜ、本種だけが、よく目立つ色彩に進化してきたのか、
非常に興味深い現象であると思う。

 

 


【注】まあ、ゴミムシの仲間では、美麗種なのだろうが・・・

   無理を承知で、さらに批判も甘んじて受けるとして例えるならば、
   最近ブームになっている美女と言われる女性アスリートたちが、
   競技場や、巣鴨の地蔵通りを歩くと、みんなが振り返るが、
   例えば六本木や表参道を歩いても、誰も振り返らない?

   これで、すべての女性の虫マニアを、敵に回してしまった。
  

 

 

    

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幻の新種(??) スカシヒロバカゲロウ


だんぶり池の林道で、ササの葉の食痕を探していると、
あまり見かけないヒロバカゲロウの仲間(?)に出会った。


昔は、見つけても捕虫網を振ることもなく、
もちろん写真を撮ることもなかったのに!!


何か枯れたササの葉に、翅の色がそっくりだし、
「ブログネタにも!」と思って、シャッターを切ったのだが・・・

 

 


スカシヒロバカゲロウ(ヒロバカゲロウ科)

2015年6月1日 だんぶり池・青森

家に帰ってから、種名を調べると、
よく目立つ黄色の頭部が特徴的な、
表題のスカシヒロバカゲロウが一番近そうである。


この名前は、翅が広く薄い紋があるから、付いたのだろう。

ただ、翅の薄い斑紋の濃さ(?)には、かなり個体差があるようだ。




 

 

 

スカシヒロバカゲロウ(ヒロバカゲロウ科)

2015年6月1日 だんぶり池・青森

ネット情報では、山地の沢沿いの森で見られるとのことで、
さすが、「水棲昆虫の宝庫 だんぶり池」である。


気になるのが、翅の模様のように見える白い点々だ。



 

 


・・・と思った瞬間、飛んだ!

 



 


スカシヒロバカゲロウ(ヒロバカゲロウ科)

2015年6月1日 だんぶり池・青森

数メートル追いかけてると、ヨモギの葉っぱに着地。

私でも十分追いかけられるほどの、弱々しい飛び方だ。


そして、翅の白い模様は、水滴であることが分かった!

一度飛行したことで、全て水滴は落下したようだ。


 ⇒もし、この写真が撮れなかったら、
  翅に水玉模様のある新種かもししれないと、
  ずっと期待してたかもしれない。

 

 


・・・そして、また飛んだ!!

 

 


スカシヒロバカゲロウ(ヒロバカゲロウ科)

2015年6月1日 だんぶり池・青森

ブログ写真だから、こんなピンボケでも、平気で掲載する(?)。

甲虫やカメムシの場合には、
「もうすぐ飛ぶぞ!」という雰囲気は、
なんとなく分かるのだが・・・

 


というわけで、幻の新種(?)でした。

 

 

    

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アキカラマツオナガアブラムシのマミー


関東以西では山地に咲くカラマツソウ、
昔は、北アルプスの山麓で良く見かけたのだが、
葉っぱの形と付き方が、個人的に好きな植物である。


何故、カラマツソウと言う名前なのか?

 ⇒ネット情報では、花の付き方が、カラマツに似てるから!

 

その仲間に、だんぶり池周辺の林道でも、
春になると良く見かけるアキカラマツという種類があって、
名前がちょっとだけややこしい。

しかも、花のイメージが、カラマツではない。

 

 

そんなアキカラマツで見つけた、ちょっとだけ不思議なアブラムシ。

 

 

アキカラマツオナガアブラムシ(アブラムシ科)

2015年6月24日 だんぶり池・青森

まるで透けているような単黄色のアブラムシだ。

写真のように、尾片が角状管より長いので、
アキカラマツオナガアブラムシという名前が付いたのだろう。

 



 

 

アキカラマツオナガアブラムシ(アブラムシ科)

2015年7月3日 だんぶり池・青森

アブラムシ類の生活史は、ちょっとだけ不思議だ。

普段見られる無翅胎生雌虫は、このように、卵ではなく子供を産む。

 ⇒アブラムシが単為生殖する植物は、
  夏寄生(2次寄生)と呼ばれる。


アキカラマツは、単為生殖する2次寄生の植物なのだ。

 

一方、越冬卵を産むための冬寄生(1次寄生)は、
ハマナスやノイバラなどのバラ科の植物だ。

だから、別名をハマナスオナガアブラムシという。

アブラムシの分類は、これがあるからややこしい。

 ⇒さらに、アブラムシが虫えい(ゴール)を作る種の場合は、
  もっともっと、ゴールの名前がややこしいことになる。


 

 


そんなアブラムシなのだが・・・・


 

 


2015年6月24日 だんぶり池・青森

新鮮なアキカラマツの葉っぱに、
ちょっとだけ不思議な白い塊が見える。

 ⇒この時期になると、新鮮な葉っぱは、
  結構色々な虫に食われて、傷だらけになることが多い。

  さすが、有毒キンポウゲ科のアキカラマツには、
  そんな食痕が、あまり見られない。


しかし、一体、この白い点々は何だ!!

 

 

 

アキカラマツオナガアブラムシのマミー

2015年6月24日 だんぶり池・青森

近づいてよく見ると、葉っぱの真ん中に、
ほとんど一匹ずつ、白いアブラムシがいる。

でも、全く動かないし、身体に穴が開いている個体も見える。


これは、アブラムシの世界では、有名なマミーと呼ばれるものだ。

実は、アブラバチ類が寄生し、羽化脱出したミイラなのだ。

 ⇒ちょっとだけ不思議なことに、最終的には、
  このように、葉の表に点在していることが多い。

 

 

 


アキカラマツオナガアブラムシのマミー

2015年6月24日 だんぶり池・青森

この寄生蜂(多分アブラバチの仲間)の雌成虫は、
1匹のアブラムシに、1個ずつの卵しか生まない。


だから、孵化した幼虫は、だれに邪魔されることなく、
アブラムシの内部を食べつくすのだ。

そして、最終的に、蛹になる時期がくると、
宿主のアブラムシの体は、パンパンに膨張し、
なぜか、白っぽくなって、まさにミイラ(マミー)のよう・・・


大きな穴が見えるのは、アブラバチの成虫が脱出した穴だ!!!

 


そして、7月も中旬を過ぎるころから、かなり不思議なことに、
だんぶり池周辺では、可憐なアキカラマツは、
他のヨモギやススキなどの植物に、覆われたようになって、
我々の視界から姿を消してしまうのだ。

・・・アキカラマツアブラムシも一緒に!

 

    

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