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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

ムネアカオオアリ 同種間の殺し合い


いつものように、白岩森林公園の林道をブラブラ歩いていると、
ちょっとだけ不思議な光景に出会った。


ムネアカオオアリが3匹、道路の真ん中で、
何やら、不審な行動をしているのだ。

 

 

 

ムネアカオオアリ(アリ科)

2015年5月23日 白岩森林公園・青森

最初は、共同で餌でも運んでいるのかと思ったが・・・

 

 

 


ムネアカオオアリ(アリ科)

2015年5月23日 白岩森林公園・青森

左と中の2匹が、互いに齧っているのは、
どうも、第4の個体の頭部のようだ。

 

 

 


ムネアカオオアリ(アリ科)

2015年5月23日 白岩森林公園・青森

この写真で、第4の個体の頭部であることが、
触角があるので、はっきり確認できる。


ただし、真ん中の個体は、他の2匹から、
明らかに攻撃を受けているようだ。

 

 


当然、2:1では、勝負の決着は目に見えている。

 

 

 

ムネアカオオアリ(アリ科)

2015年5月23日 白岩森林公園・青森

最終的には、こんな風になってしまった。


 ⇒写真の詳細データを、改めて確認すると、
  この4枚の写真は、わずか1分間の出来事だった。

  

 

どうやら、違う巣の個体が偶然出会って、
喧嘩(縄張り争い?)になったようだ【注】


しかし、これは、明らかに「同種間の殺し合い」なのだ。


虫たちの世界でも、縄張り争いは少なからず見られる。

多くの場合は、侵入者の方を追い払うだけなのだが、
ちょっとだけ不思議なことに、アリの世界では、
偶然出会った別の巣の(同種の!)ワーカーの間で、
今回の見られたように、相手を殺すまで戦うのだ。


いわゆる食物連鎖弱肉強食とかの世界とは違って、
このような同種間の戦いは、配偶者の争奪や縄張り争いなど、
どちらかが死ぬまで戦うことはないはずなのに・・・

 


【注】おそらく、他の多くのアリの仲間と同様に、
   体表ワックスの微妙な組成の違いによって、
   同じ巣の仲間かどうかを識別しているのだろう。

 

 

    

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不思議なシダの泡 ヨフシハバチ類の泡巣だった


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この記事は、新ブログへの移行に伴い、写真を最新のものに入れ替えて、
サイズも大きくして見やすくし、説明文も加筆・修正を行っています。

お手数ですが、以下のURLをクリックして、新ブログ記事の方をご覧ください。

【不思議な白い泡(改定)】
  ↓   ↓   ↓
 http://sallygenak.livedoor.blog/archives/2019-09-25.html 



もちろん、そのまま下にスクロールしていただければ、
元の記事をご覧になることもできます。
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このブログで、以前2回に分けて紹介したように、
普段目につきやすい葉っぱの「白い泡」には、
微妙に異なる様々な形状や質感のものがあり、
アワフキの仕業ではないものも、予想外に多かった。

良く似てるのに! 葉っぱの白い泡塊【その1】
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20150429/1/


 

今回は、シダの「ちょっとだけ不思議な泡」について、
現在までに分かっていることを、まとめて紹介したい。

 

 

ヨフシハバチ類の泡巣(葉の表面)

2015年7月5日 だんぶり池・青森

こんな感じで、オシダの葉の裏側に見え隠れする白い泡は、
ヨフシハバチ類【注】の幼虫の泡巣であることが分かっている。

 ⇒この時期になると、だんぶり池の林道では、
  本家のアワフキの泡巣は、あまり見られなくなり、
  オシダの泡巣が、結構目立つようになる。


周辺には、他に数種のシダ類があるのだが、
この白い泡は、オシダにしか出現しないようだ。

 

 

 


ヨフシハバチ類の泡巣(葉の裏面)

2015年7月5日 だんぶり池・青森

逆に、本家のアワフキの泡巣が、シダ類にもできるのかどうかは不明だ。

 ⇒ただ、ヨフシハバチの泡は、粒が小さく、
  クリーミー(?)な印象があるので、識別は十分可能だ。


とりあえず、シダの泡の中には、幼虫は見つからない。

ただ、泡で隠れた葉柄の部分には、さりげなく穴が開いていて、
内部に虫が隠れていそうな気配が十分あるのだ。

 

カッターナイフで、穴の周辺を切り取って、
中にいるはずの虫を探してみよう。

 

 

 


ヨフシハバチ類の幼虫

2015年7月5日 だんぶり池・青森

予想どおり、中から小さな幼虫が出てきた。

幼虫の齢は不明だが、良く見かけるハバチ類とは、
全く違う雰囲気で、ウジムシ状(?)である。

 ⇒サイズ的には、葉柄の直径よりも大きくなることはないので、
  成虫は、かなり小さいことが予想される!!!

 

 


・・・可哀そうだが、もう1匹だけ、確認しよう。

 

 


ヨフシハバチ類の幼虫

2015年7月5日 だんぶり池・青森

この子は、ハバチ(葉蜂?)の幼虫なのに、
シダの葉っぱを、食べるわけではなく、
葉柄の中に潜んで、汁を吸っているのだろう。

 ⇒本家のアワフキの幼虫は、口針を道管に差し込み、
  そこを流れる液の中のわずかな栄養分を吸収し、
  残りは全て排泄して、泡巣を形成する。

  
シダ類にも維管束(道管と師管)があるはずで、
ヨフシハバチの幼虫が、葉柄のどの部分にいるのかは不明だが、
アワフキと同じような仕組みで泡が出来るのだろう。

 

 


・・・こんな不思議な泡も見つかる!!!

 

 


ヨフシハバチ類の3連結の泡巣

2015年7月8日 だんぶり池・青森

たまに2連結のものは見つかるのだが、
3連結は、今回が最初の出会いだった。

 ⇒本家のアワフキでは、絶対に見られない現象だ。

 

しかも、かなり不思議なことに、
泡巣の左側の部分に、3ヶ所の穴が確認できる。

脱出した幼虫3匹分の穴なのだろうか?

 ⇒産卵する雌が、思わず(?)3個も、
  同じ葉柄に産卵してしまったのか?

  または、別々の3匹の雌が、
  偶然近くに産卵したのか?

 

とりあえず、マーキングして、
その後の様子を見ることに・・・

 

 


・・・そして、2日後、

 

 

ヨフシハバチ類の泡巣(泡除去)

2015年7月10日 だんぶり池・青森

マーキングしておいた3連の泡巣は、
前々日と全く同じ状態で見つかった。

 ⇒泡のない3個の穴もそのままで、
  内部に幼虫がいる気配は全くなかった。


早速、泡を取り除いてみると、予想どおり、
泡の真下に3ヶ所の穴(赤矢印)が確認された。

写真左の青矢印は、2日前に見つけた、
泡がない部分にあった3個の穴である。


そして、真ん中の赤矢印の先には、幼虫が見える。

他の2個の穴の中にも幼虫がいるはずで、
破壊検査をすれば、見つかるだろう。

 
これは一体、何が起こっているのだろうか??


 ⇒もっとも考えやすいのは、同一の葉柄内に、
  3匹の幼虫がいたのでは、食物不足になって、
  お互いに、場所を移動したかったのだろう・・・???

 

 


・・・そして、さらに2日後の衝撃!!!

 

 

ヨフシハバチ類の泡巣(完全修復!)

2015年7月12日 だんぶり池・青森

まさかと思ったのだが・・・

驚くべきことに、右側の泡3個分が、
さりげなく、完全修復されていたのだ。

見た目も、最初の写真と、ほとんど一緒だ。


 ⇒こんな泡巣が、少なくとも2日で完成してしまうのだ。
  しかも、3個同時に!!!


まだまだ、この葉柄で十分に泡が出来るということは、
最初に見つけた泡のない部分(左側3個)の穴は、
栄養不良で放棄したものではなかったようだ。

 

 

この「ちょっとだけ不思議な現象」を解明するには、
ヨフシハバチ類の生態や生活史について、
まだまだ、知らないことが沢山ありすぎる。


 ⇒残念ながら、成虫の姿を確認することも
  まだ出来ていないし・・・

 

という訳で、もう少し(?)謎のままにしておこう。

 

 

【注】ネット情報では、日本産ヨフシハバチ科には、
   Blasticotoma属が4種、Runaria属が2種知られている。

   また、別の情報では、幼虫がシダを食べるヨフシハバチ科に、
   13種が記載されて、やや分類が混乱してるのかもしれない。

 

 

       

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シダの泡はアワフキの仕業ではない!!


新緑の季節が始まるのとほぼ同時期に、
色々な植物の緑の葉っぱや茎の部分に、
白い泡の塊が見つかるようになる。

この時期に普通に見つかるのは、
ほとんどが、アワフキムシの仕業だと思って良い。

 

 


2015年6月12日 だんぶり池・青森

例えば、ヨシの葉っぱにも、こんな感じの泡が見つかる。

試しに、木の枝で泡を取り除いてみると・・・



 

 

アワフキの仲間の幼虫(アワフキムシ科)

2015年6月12日 だんぶり池・青森

中から、必ずアワフキの幼虫が現れる。

ちょっと可哀そうだが・・・丸裸?

 


 


ところが、7月になると・・・・

 



 


2015年7月3日 だんぶり池・青森

本当に、6月には全く見つからなかったのだが、
弘前周辺では、7月に入るとオシダの葉の裏側に、
アワフキの泡巣と同じような白い泡が見え隠れする。

 ⇒今年は、別件でほぼ毎日だんぶり池に通って、
  比較的真剣に(?)探していたのだが、
  結局、6月中には1個も発見できなかったのだ。

  だんぶり池の林道周辺には、数種類のシダがあるが、
  白い泡が確認できたのは、オシダ【注】だけだ。


【注】
当初はベニシダとしていたが、
   別件でシダの虫えいを調査中に、
   青森には、ベニシダは分布しないことが判明したので、
   同属のオシダに訂正した(20150729)。

   もちろん、私には両種の識別が全く出来ないが・・・




2015年7月3日 だんぶり池・青森

葉をめくってみると、こんな感じで、
普通のアワフキの泡巣よりも、
クリーミーな感じの細かい泡なのだ。

 ⇒製造者のサイズの違いだけなのか?

 


・・・この泡の中から、どんな虫が出てくるのだろう?

 

 


2015年7月3日 だんぶり池・青森

しかし、ちょっとだけ不思議なことに、
この泡をいくらかき回しても、取り除いても、
泡の中には、虫(製造主?)が見つからないのだ。

 


 


・・・そんな馬鹿な!?


 

 



2015年7月3日 だんぶり池・青森

別の泡も、慎重に取り除いてみると、
虫の姿は見えないのだが、葉柄の部分に、
小さな穴があるのが分かる。

この穴の奥に、泡の製造主の虫がいるのだろうか?

 ⇒もしそうだとしたら、穴の中に、
  完全に隠れているのに、何で、
  わざわざ泡を作って、身を隠す必要があるのか?

 

しかも、その泡は、シダの葉っぱの裏側にあるので、
本物のアワフキの泡のように、すぐには見つからないのに・・・

 

 


次回予告!!


この穴の中にいる虫の正体は?

 ・・・ヨフシハバチ類の幼虫!?



 追記(20150710)

以下のページが確定しましたので、是非ご覧ください。

【不思議なシダの泡 ヨフシハバチ類の泡巣だった!!】
 ↓   ↓   ↓
 http://kamemusi.no-mania.com/Date/20150713/1/

   

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ササの葉の不思議な穴【追加】 謎は解けたのか?

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この記事は、新ブログへの移行に伴い、写真を最新のものに入れ替えて、
サイズも大きくして見やすくし、説明文も加筆・修正を行っています。

お手数ですが、以下のURLをクリックして、新ブログ記事の方をご覧ください。

【ササの葉の一列穴(改訂)】
  ↓   ↓   ↓
 http://sallygenak.livedoor.blog/archives/2019-09-28.html

もちろん、そのまま下にスクロールしていただければ、
元の記事をご覧になることもできます。
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前々回のブログ記事【2/3】に、
ササの新葉が、棒状の状態(展開する前の期間)が、
想像以上に短いことを、以下のように記述した。
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20150620/1/


 『私がササの葉の穴を観察して感じる最大の疑問点は、
  昆虫類の幼虫が、成長するために食べる量にしては、
  かなり少ないような気がするのだ。

  棒状の展開前の葉っぱの期間は、おそらく1週間程度で、
  その後1~2日で完全に開いてしまう。』

 

このことが、ミシン穴を開けた虫が、通常の幼虫ではなく、
例えば、カミキリの後食や、バッタやハムシ類の成虫のような、
「一時的に摂食するタイプの虫たち」らしいと考えた理由である。

 

 

・・・・・

 

「本当に、新芽の期間が1週間しかないの?」
という娘の声が、電話の向こうから聞こえてきた。

これから毎日だんぶり池に通って、
証拠写真を撮らなければ、と思ったのだが・・・

 

その証拠は、前回【3/3】の写真の中に既にあったのだ。

お気づきの人もおられるかもしれないが、
処理後8日目の写真の中に、写っている??


 ⇒戻って見ていただくのも手間なので、
  以下に、もう一度掲載します。

 

(25)処理後8日目(再掲)

2015年6月18日 だんぶり池・青森

中央の人工的な2段のミシン穴に目が行ってしまうが・・・

実は、この時点で、もうすでに次の新葉が右側(赤矢印)に、
長さが約5cmほどになって、さりげなく見えているのだ。

 

 


そして、ブログには掲載しなかった下の写真・・・


(27)処理後14日目

2015年6月24日 だんぶり池・青森

上の写真から、わずか6日後(処理後14日目)には、
矢印で「次の新葉」とした葉っぱが、もうすでに、
長さも3倍ほどになって、開きかけているのだ【注】

 ⇒このスピードでは、どんなに成長の速い幼虫でも、
  蛹になるまでの摂食できる日数が短すぎるだろう。

 

 


・・・折角の写真なので、もう1枚!!

 

 

 

(22)処理後8日目

2015年6月18日 だんぶり池・青

この写真も、細い棒状の新芽が見える(赤矢印)。

ミシン穴が見える奥の展開済みの葉っぱは、
8日前には、こんな状態だったのに・・・

 

 

 

(28)処理後14日目

2015年6月24日 だんぶり池・青森

そして、それから6日後には、既に開きかけ!!

 ⇒まあ、クズの蔓の成長速度も凄いが・・・

 

もし仮に万が一、穿孔する幼虫がいたとしても、
中心部分まで食い進むのに、葉っぱの成長につれて、
穴が斜めに開くようなことになってしまうだろう。

 ⇒ということは、現在主流の考え方(仮説?)となっている、
  孵化幼虫が穿孔しながら摂食するタイプの虫たちは、
  この時点で、大きく候補から外れることになるのだ。

 

 

・・・蛇足(候補者の写真)・・・

 

 


(29)ササの葉の齧り痕【本物!!】

2015年6月19日 白岩森林公園・青森

前々回の【2/3】で示した写真(17)では、
上から3番目の食痕で折れ曲がっていた状態だったが、
この写真は、無理矢理に立てて撮影したものである。


こんな感じで、ササの葉の展開前の新葉を、
一時的に齧る虫は、カミキリ類以外にも考えられる。

 ⇒もちろん、このまま葉っぱが展開すれば、
  上2段の穴は完成せず、【1/3】で示したの写真(03)のように、
  ミシン穴の部分で、先端部がなくなってしまうのだが・・・

 

 

 

以下の3種の虫たちは、ササの葉の上で見つけたものだ。

 

(30)多分キリギリス科の仲間の幼虫

2015年6月18日 だんぶり池・青森

何か、自由自在に展開前の新葉を、
渡り歩くことが出来そうである。

当然、数分間の摂食で、齧った痕跡が残りそうだ。

 

 

 

(31)セセリチョウの仲間の幼虫(セセリチョウ科)

2014年10月15日 浅瀬石ダム・青森

このようなやや大型のチョウ目の幼虫は、何故か、
ミシン穴製造の犯人探索の容疑者リストから外れていた。

 ⇒当初は、小さな幼虫が内部に食い進んでいくはず、
  という先入観があったからだろう。


しかし、もしかしたら、普通にササの葉っぱを食べるような、
ジャノメチョウやセセリチョウの仲間の若齢幼虫が、
普段(昼間?)は、ササの葉裏に隠れていて、
夜になると、さりげなく新芽の部分に登って、
柔らかい部分を、外側から1~2か所だけ齧って、
別の場所で、幼虫脱皮した後に、再び今度は別の株に、
登るという可能性も十分考えられる。

 

 

 

ついでに、【タイプB】の食痕の可能性も!!

 

(32)多分クロスジアワフキ(アワフキムシ科)

2013年7月15日 高山稲荷・青森

体色や斑紋に個体変異がかなり多く、この個体は、
クロスジに見えない中途半端な斑紋である。

同定が正しければ、幼虫はササに泡巣を作る。

成虫が展開前の新葉から吸汁すれば、
以前示した【タイプB】の食痕が残るはずである。
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20150623/1/

 ⇒記事の最後の部分で、候補者としたヨツモンカメムシよりは、
  このクロスジアワフキ成虫の方が、可能性が高いように思う。

 

 

【注】これまで単に「ササの葉」としてきたが、   
   ブナ林の林床に密生するササは、多雪の日本海側では、
   チシマザサ(Sasa kurilensis)という種類のようだ。
   
   ただ、近似種が多く、分類学上は多少混乱しているとされる。

   一般的には、山地で普通に見られる大型のササ類を
   クマザサという俗称で呼んでいるようだ。

   だから、新葉の展開までの時間に関しては、
   種間で大きな差はないとみて良さそうだ。

 

       

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ササの葉のミシン穴の謎【3/3】 もうちょっと解明!!

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【ササの葉の一列穴(改訂)】
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この記事をお読みいただく前に、以下のページをご覧ください。

ササの葉のミシン穴の謎【1/3】 製造者は誰?
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20150617/1/


ササの葉のミシン穴の謎【2/3】 ちょっとだけ解明?
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20150620/1/

上記のページについて、誤解のないように、もう一度記述するが、
ササの葉のミシン穴には、同じ【タイプA】でも、
微妙に形状、サイズ、穴の間隔などの異なるものがあり、
前回、製造者の可能性があるとした「カミキリ類」は、
沢山ある候補の中のひとつにすぎない。

少なくとも、【1/3】の写真(05)のように、
両側の穴の方が、大きくなっているのは、
潜孔性の幼虫が、中心部分(写真の右側)まで来て、
ウロウロと追加摂食したようなイメージだ。

 

 

・・・ちょっとだけ弱気になったところで、


それでは、穴の開いていない【タイプB】のミシン目は、
どのようにしたら、再現できるのだろうか?


ホソハマキガの雌成虫の産卵管なども想定して、
色々なことを試したが、最も単純な「つまようじ」を使うと、
かなり雰囲気が似ているものが出来上がった。

 ⇒虫たちの産卵管を想定した虫ピンなどでは、
  ほとんど目立つような痕跡にはならない。

  もちろん、仮に産卵痕だとしたら、
  産まれた卵は、どこへ行ってしまったのだろうか?

 

どちらかというと、産卵痕より、吸汁痕の方が近いと思うのだが・・・

 

 

 

さりげなく、実験開始!!

 

 


(18)つまようじ処理直後

2015年6月10日 だんぶり池・青森

このように、つまようじを使って、
反対側まで突き抜けるように、穴を開ける。


 ⇒つまようじを使用した場合には、
  反対側まで貫通させずに、中心部で止めるのは、
  野外での手作業では、技術的に難しい。

 

 


(19)つまようじ処理(抜いた直後)

2015年6月10日 だんぶり池・青森

約5分程経過してから、静かに引き抜いて、
そのままの状態で放置する。


 ⇒この写真で見る限り、手品ではないのだから、
  この時点では、確実に穴は開いている。

 

 


(20)処理後2日目

2015年6月12日 だんぶり池・青森

処理後2日目で、葉は早くも半分ほど展開している。

中央部分の穴を見ると、すでに塞がっているようだ。

 

 

 

(21)処理後3日目

2015年6月13日 だんぶり池・青森

この3日目の写真の感じは、
まさに【タイプB】のミシン穴である。

ただ、処理時に、つまようじが反対側に突き抜けているので、
穴(の痕跡)の数は、通常のミシン穴の2倍になっている。

 

 

 

(22)処理後8日目

2015年6月18日 だんぶり池・青森

日数が経過して、リアルにクズの新芽の蔓が巻き付いている。

こうなると、穴(?)は、人工的なものとは思えない?

 

 

 

・・・つまようじ2本の実験も!!

 

 

(23)つまようじ処理直後

2015年6月10日 だんぶり池・青森

つまようじを2本使用した場合も、同様である。

 

 


(24)処理後3日目

2015年6月13日 だんぶり池・青森

見事な横一直線の穴(?)ができた。

 ⇒下段の穴は、かろうじて、
  まだ塞がっていないように見える。

 


(25)処理後8日目

2015年6月18日 だんぶり池・青森

まさに【タイプB】のミシン穴である。

 ⇒元穴(?)の変色した周辺部分が、上下に伸びている。
  



・・・・

 


さて、写真(19)のような穴を開ける虫は、
一体どんな種類が考えられるだろうか?


 ⇒穴は細いようで、意外に太いのだ。

 

個人的には、カメムシ類の口吻が、第一候補だと思う。

他にも、ウンカ・ヨコバイなどのカメムシ目の虫たちが、
もしかしたら、柔らかそうな展開前の棒状の葉から、
吸汁する可能性もありそうだ。

 

   


・・・・例えば、


(26)ヨツモンカメムシ(クヌギカメムシ科)

2015年6月21日 梵珠山・青森

カメムシ目の虫たちは、季節や発育ステージによって、
餌植物を変更することが、必須の種類も多い。


 ⇒春先に、ササの葉から吸汁する種類が、
  さりげなく存在するかもしれない。

 

前回紹介した【タイプA】の場合と同様に、
今回の【タイプB】にも、異なる形状・サイズのものがある。

だから、おそらくが製造者がそれぞれ異なる可能性も十分ある。


もちろん、写真のヨツモンカメムシは、
偶然ササの葉にいたので、写真を撮ったのだが、
製造者の可能性は、全く「0」では無いように思う?

 

 

 

 

・・・という訳で、

長々と3回に分けて紹介してきたのに、現時点では、
製造者の実行現場を確認することが出来ていない。

しかも、ササの葉のミシン穴を開けた虫の種類は、
間違いなく1種類ではない。

だから、運よく製造現場を確認できたとしても、
それは、候補者リストの中から、1種類が当選したにすぎない。

当選者は、まだ他にいるかもしれないのだ。


だから、前回の「カミキリ類の後食痕」も、
今回の「カメムシ類の吸汁痕」についても、
製造者のの可能性が、おそらく「最も高い」のではないか、
というだけの話である。

 

ここが、やっぱり、
『ちょっとだけ不思議な昆虫の世界』
なのだろう。

 

 追記(20150702)

ササの新葉が展開するまでの期間の短さに関して、
それを裏付ける証拠写真が撮れたので、追加記事にしました。

また、ササの葉の上で偶然見つけた、
製造者の可能性のある虫たちの写真も追加しました。

是非ご覧ください。
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20150702/1/

        

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