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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

かなりの珍品!? キイロシリブトジョウカイの仲間


キイロシリブトジョウカイという、本州でしか発見されていない、
かなり稀な種類のジョウカイがいる。

しかし、そんな珍品キイロシリブトジョウカイは、
2003年に、高橋和弘氏によって、以下の8種類に分割されたのだ。

 ①ミエシリブトジョウカイ Yukikoa akitai Takahashi  (三重)
 ②ナガノシリブトジョウカイ Y. kamezawai Takahashi  (長野)
 ③ヤマナシシリブトジョウカイ Y. kanekoi Takahashi  (山梨)
 ④サトウシリブトジョウカイ Y. masatakai Takahashi  (長野)
 ⑤ヒラシリブトジョウカイ Y. mizunoi Takahashi  (滋賀)
 ⑥オンズイシリブトジョウカイ Y. onzuiensis Takahashi  (兵庫)
 ⑦カントウシリブトジョウカイ Y. watanabei Takahashi  (群馬,埼玉,東京)
 ⑧キイロシリブトジョウカイ Y. wittmeri (Nakane, 1963)  (北近畿)

ただし、種類は、産地によって、かなり識別が出来そうである。

 


では、下の写真の子はどうなの? 新しい種名は??

 


キイロシリブトジョウカイの仲間(ジョウカイボン科)

2013年6月11日 十石峠・長野

このように、体の幅が広いことが大きな特徴となっている。

確かに、尻太(シリブト)のジョウカイである。


しかし、・・・残念ながら、撮影地の十石峠は、
長野県佐久穂町と、群馬県上野村の間にある峠なのだ。

 

 


キイロシリブトジョウカイの仲間(ジョウカイボン科)

2013年6月11日 十石峠・長野

実際に写真撮影したのは、長野県側にある林道であるが、
運が悪いことに(?)、②、④、⑦の可能性があり、
場合によっては、③も、かなり近い場所なのので、
簡単に切り捨てるわけにもいかない。


・・・なので、種名は「???」のままである。

 

 


キイロシリブトジョウカイの仲間

2013年6月11日 十石峠・長野

本種のもう一つの特徴として、メスの腹部が、
上翅から大きくはみ出していることだ。

何か、あまり飛ぶことが、上手ではなさそうだ。

もしかしたら、それも種分化(生殖隔離)の原因かもしれない。

 

 

 

キイロシリブトジョウカイの仲間

2013年6月11日 十石峠・長野

この子を、林道の下草で、最初に見つけた時には、
何の仲間かさえも、全く分からなかった。

というか、色々な虫の仲間の特徴をみんな持ってる?


ネット情報でも、採集例が極端に少ないようで、
生態的な特性は不明であるが、成虫の出現時期は、
5月から7月初めに限られるようだ。

 

 

 

キイロシリブトジョウカイの仲間

2013年6月11日 十石峠・長野

世の中に(?)、こんな不思議な虫がいるからこそ、
もうちょっと真面目に、探してみようと思う。

もしかしたら、青森県でも見つかるかもしれない??


そんなときのために、採集用具は、いつでも車の中にある。
もちろん、ここ数年は、使ったことはないのだが・・・

 

     

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不思議な出会い!? クロオビカイガラキジラミ


クロオビカイガラキジラミというキジラミがいる。

学名は、Celtisaspis usubai (Miyatake, 1980)というが、
前回紹介した「虫こぶハンドブック」の著者であり、
高校時代の恩師でもある薄葉重先生の名前が種小名となっている。

ネット情報によると、本種のタイプ標本の採集地が、
一度だけ確かお正月に訪問させていただいたご自宅の埼玉の住所であった。

思い起こすと、当時の先生からの年賀状に、
その旨が、書かれていたような気がするが、
まさか、青森県で出会うとは・・・・【注】

 

 


クロオビカイガラキジラミ(キジラミ科)

2013年7月14日 虹の湖・青森

半透明の翅には、かなり特徴的な黒い帯があり、
3本のストライプ(?)のように見える。

比較的大型なのこともあり、他種と間違えることはなさそうだ。

 

 

 

クロオビカイガラキジラミ(キジラミ科)

2013年7月14日 虹の湖・青森

ネット情報によると、分布はかなり局地的であり、
しかも、個々の発見場所でも、年によって、
個体数は大きく変化するとされている。

もともと、大阪府以西での記録がなかったが、最近、
かなり離れた鹿児島県北部でも、見つかっているようだ。

 

 

 

クロオビカイガラキジラミ(キジラミ科)

2013年7月14日 虹の湖・青森

本種は、年1化性で、6月~7月に羽化した後、
エノキの枝に産卵するが、卵はそのまま孵化せずに、
夏・秋・冬を経過し、翌年の春になって、ようやく孵化する。

一方、同属のエノキカイガラキジラミ Celtisaspis.japonica は、
越冬卵からの成虫が、もう1世代経過する2化性である。

 

 

 

クロオビカイガラキジラミ(キジラミ科)

2013年7月14日 虹の湖・青森

本種の幼虫は、エノキの葉表に虫こぶを形成するが、
写真を撮るのも気が引けるほどのもので、
(というのは、完全な言い訳であり、実際には、全部ピンボケ!!)
エノキハクボミイボフシ【注2】という「窪んだ(?)イボ」になる。

この写真は、葉裏から見たもので、貝殻状の分泌物があるが、
普通は、いとも簡単に(?)、見逃してしまうだろう。

 

 

【注1】実は、本種に出会う事ができたのは、偶然ではない。
    黒石市のNabita氏に同行して、酸ヶ湯から十和田方面に出かけた際に、、
    虹の湖付近の発生場所に、ご案内いただいたのである。
    もちろん、Nabita氏は、薄葉先生が私の高校時代の恩師とは、
    知る由もない、ちょっとだけビックリの顛末だったのである。

    ⇒このあたりの事情については、Nabita氏も「虫えい同好会掲示板」に、
     書かれていますので、本種名で検索してみてください。 


【注2】青森付近に自生しているのは、エノキ(Celtis sinensis)ではなく、
    エゾエノキ(Celtis jessoensis)という種類のようなので、
    正式には、エゾエノキハクボミイボフシとされる。

 

    

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ちょっと不思議 ヨモギハエボシフシ


北海道MMT中に、ヨモギの葉っぱに、
ちょっと不思議なものを見つけた。


ヨモギには、何種類かの虫えいが付くのは知っていたが、
今回のものは、初めて見るタイプだったので、
家に帰ってから調べるまで、正体は全く分からなかったのだ。

 

 

何これ?

2014年7月1日 早来・北海道

最初に見つけたとき、遠目に見ると、こんな感じだった。

赤丸印の中に見えるが、この姿かたちは、有り得ない??

 

 

 

ヨモギハエボシフシ

2014年7月1日 早来・北海道

早速、最近購入した「虫こぶハンドブック」【注1】で調べると、
多少雰囲気が違うが、ヨモギハエボシフシで良さそうだ。

ヨモギエボシタマバエによって、ヨモギの葉に形成される虫えいである。

もちろん北海道にも分布する。


ネット情報では、ヨモギの虫えいの中では、
最も普通に見られるものだそうだが、
このような状態になっているのは、私は初めて見た。

普通は、淡緑色であるが、日当たりの良い部分が、
写真のような鮮やかな紫色になるようだ。


⇒全く関係ない話であるが、この縦に並んだ不思議な形状を見ると、
 何故か、紀伊半島先端の潮岬近くにあるにある橋杭岩を連想する。
 ↓   ↓   ↓
 http://kamemusi.no-mania.com/Date/20101103/1/

 

 

 

ヨモギハエボシフシ

2014年7月1日 早来・北海道

右側に写っているのは、アブラムシとアリ。

どうやら、このゴールとは無関係のようだ。

最初の写真にあるように、近くにあるヨモギは、
全くきれいなままなので、何故か、
この株(宿主)だけが、虫にモテモテのようだ。


やはり、雌成虫の産卵習性によるのだろう。
近くの葉っぱに、同種の雌成虫の産卵痕跡がない場合や、
同じハビタットを持つ他種の存在もなさそうなときには、
もう少しバラバラに産卵した方が良かった気がするのだが・・・


⇒目の前一面に広がるヨモギの群落の中で、
 ある一株だけが、タマバエとアブラムシに、
 同時に加害(?)されている状況は、
 やはり、ちょっとだけ不思議である???

 

 

 

ヨモギハエボシフシ

2014年7月1日 早来・北海道

ネット情報では、この烏帽子の中には幼虫室があり、
中にタマバエの幼虫が、1匹だけ入っているようだ。

羽化した成虫は、上部が開口するので、そこから脱出する。

 

⇒緑の葉っぱの中にあっては、かなり目立つ存在である。
 どうしてこんな手の込んだことをするのだろうか?

 奇妙な姿かたちをしてることが多い「虫えい」をみると、
 食べるものと食べられるもの不思議な関係が興味深い。

 当然、虫えいは、虫からの何らかの刺激によって、
 寄生された植物の細胞や組織が、異常に増殖・肥大したものであり、
 それが、何故いつも同じ形状になるのかが、やっぱり不思議である。
 
 


 


【注】この本は、高校時代の恩師である薄葉重先生の著書で、
   全く偶然であるが、そのことを最近になって知った。

   先生、申し訳ありませんでした・・・


   次回、これもひょんなことから知った、先生のお名前の付いている、
   クロオビカイガラキジラミ Celtisaspis usubai を紹介予定です。

 

 

   

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かなり不思議!! ネグロクサアブ


室蘭市の郊外、室蘭山の登山口付近で、
オレンジ色の大きなアブを見つけた。

普通なら「スズメバチに擬態したアブ」と書くところだが、
初めて見たということもあってか、どう見ても、
この子は、不思議というより、むしろ不気味だ・・・

 



2014年7月2日 室蘭山・北海道

確かに、真上から撮ったこの写真では、
一瞬ハチのようにも見えるが、
翅の閉じ方で、すぐにアブだと分かる。

ただし、この色は、今まで見たこともない色だ。

 

 



2014年7月2日 室蘭山・北海道

少し横から撮ると、お腹の部分に白い模様が見える。

これは、かなり目立つ配色だが、こんなハチはいない。
だから、このアブは、擬態してるのではないだろう。


もちろん、その場ではアブの種類の見当さえ付かず、
最初は、北海道の特産種かとも思った。

自宅に帰ってから、図鑑やネットで調べても、
似たような種類さえ、載っていない!!!

 

 


そして・・・・いつもならギブアップ?!


幸運にも・・・確か「オレンジ色のアブ」で、
ネット検索したら、ヒットしたのが「ネグロクサアブ」だ。

 


ネグロクサアブ(クサアブ科)

2014年7月2日 室蘭山・北海道

アブでは珍しく、オスとメスで体色が異なる種類のようで、
図鑑で調べていたときには、見逃していた種だ。

例によって、
どこがネグロなのか?
どうして、クサアブなのか?
全く見当がつかない!


手持ちの図鑑「札幌の昆虫」には、
オスの写真だけが、ちゃんと載っていた。

写真で見る限り、オスは黄色と黒色なので、
まあ普通のハチに擬態したアブ(?)のようだ。

 

 

 

ネグロクサアブ(クサアブ科)

2014年7月2日 室蘭山・北海道

拡大して見ると、背中(胸部背面)が丸く盛り上がり、
まるでボディビルダーのような分厚い体格だ。

この見るからにどっしりした感じは、他のアブには見られない。


ネット情報では、全国各地で発見されているが、
個体数は少なく、詳細な生態が不明な「情報不足種」とされている。

 

それにしても、かなり不思議なアブ・・・・!!



   

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キアシドクガ乱舞

個人的に大好きな樹木であるブナ。

北海道のブナ自生の北限地帯に、
さりげなく立ち寄ってみた。

 


北限のブナ

2014年7月7日 黒松内・北海道

この林が最北限かどうかは不明だが、
間違いなく北海道のブナである。


ちょっと感動・・・・

 


しかし、その後、もっと感動したことが!!

 

すぐ近くで、見たこともない光景が・・・・

 

 


キアシドクガ(ドクガ科)

2014年7月7日 黒松内・北海道

多数の白い蛾が飛翔・乱舞していた。

早速、何回かシャッターを切ったが、
カメラのモニター画面で確認しても、
なかなか、その迫力が伝わらない。

 

 


キアシドクガ(ドクガ科)

2014年7月7日 黒松内・北海道

キャベツ畑の上を飛び回るモンシロチョウのようだが、
その数と迫力は、問題にならない。

⇒写真をクリックして、拡大していただくと、
 白い点々のように見えるのが、全て白い蛾である。

 

 

 

キアシドクガ(ドクガ科)

2014年7月7日 黒松内・北海道

思い切って最大ズームで撮ると、
飛行中の3匹と、葉っぱに静止する5匹が、
うまい具合に写っていた。

 

 


キアシドクガ(ドクガ科)

2014年7月7日 黒松内・北海道

この写真だけでの同定だが、
白い蛾は、多分キアシドクガだろう。

隣に写っている正体不明の飛んでる虫が、
多少のご愛嬌である。

 

 


キアシドクガ(ドクガ科)

2014年7月7日 黒松内・北海道

動画でも撮影したが、動きがあるので、
よりハッキリ、かなりの迫力で記録できたと思う。

ただ、容量の関係か、このブログには、アップできなかった。


このように乱舞する理由は、良く分かっていないようで、
雌の放出する性フェロモンに反応した、雄だけの飛行ではなさそうだ。


ネット情報では、キアシドクガ幼虫は、
日本各地で、(局所的に)大発生しているらしい。

そのときには、幼虫の餌植物であるミズキの葉を、
集団で食べつくしてしまうほどのようだ。

 

でも、北限のブナのおかげで、
めったに見られないものを見せてもらった??

     

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