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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

ちょっとだけ不思議な虫 トビナナフシ


木の枝にそっくりのナナフシを紹介する。

ナナフシの仲間は、コノハムシと同様に、
昔から教科書にも載っているほど有名で、
隠蔽的擬態の代名詞にもなっている。

ただ、今回のトビナナフシは、
確かに木の枝に似せているが、体型が、
ずんぐりむっくり(死語?)なのだ。

しかも、頭部が丸くて大きい・・・

 

 

ヤスマツトビナナフシ(ナナフシ科)

2011年10月17日 東海村・茨城

いつものように、公園の遊歩道を、
キョロキョロしながら、歩いていると、
椿の葉っぱの上に、チラッと動くものが見えた。

 

とりあえず、遠目からパチリ・・・


赤丸の中に、トビナナフシがいる!!!

 

 

ヤスマツトビナナフシ(ナナフシ科)

2011年10月17日 東海村・茨城

この時期なので、おそらく成虫だと思うが、
翅は、申し訳程度にしかなくて、
普通に飛ぶことはできないだろう。


良く見ると、右側の脚が1本しかない??

2本の前脚は、体の前方に伸ばして、
触角と重なっているようだが、
やっぱり・・・・右後脚がないようだ。

 

 


 ニホントビナナフシ(ナナフシ科)

2010年9月24日 東海村・茨城

この子も、前脚を体の前で揃えている。

翅が見えにくく、まだ幼虫のようである。

写真では、左中脚が見えないが?!

 

このように、ナナフシの仲間は、
防御手段の一つとして、敵に襲われた際に、
脚を自ら切り離す「自切」を行う種が多い。

失われた脚は、自切が若齡幼虫期ならば、
脱皮とともに再生していくようだ。

 

 


 シラキトビナナフシ(ナナフシ科)

2013年8月10日 里見野外教育センター・茨城

この子は、左前脚がないし、触角も痛々しい。

一体どれだけの外敵がいるのだ!?

 

 

 

ニホントビナナフシ(ナナフシ科)

2011年10月22日 東海村・茨城

今回のシリーズで、ようやく正常な個体・・・・

トビナナフシの九州以北の個体は、
単為生殖すると言われている。

だから、今回の写真は、すべて雌である。


もともとナナフシの仲間は南方系の昆虫であり、
屋久島以南では、雄も出現するようだ。



何故、こんな習性が進化してきたのか?

新しい環境へ進出していくためには、
雌雄の出会い、交尾という行動は、
できれば、ない方が有利だったのだろう。

 

やっぱり、ちょっとだけ不思議な虫だ・・・・

 

     

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ちょっとだけ不思議な蛾 マイマイガ


(個人的事情で、更新が遅れました・・・・)


今回は、かなり不思議な蛾、マイマイガを紹介したい。


植林地以外の森には、多くの種類の虫たちがいるが、
ある特定の種が、高い密度で発生することは少ない。

森林は、生態系が十分複雑なので、
生息する虫たちの個体数には、
自然制御機構が働きやすい場であるからだろう。


ところが、植林地(?)の害虫とされるマイマイガは、
約10年周期で、局所的だが大発生するのだ。

 

 


マイマイガ雄(ドクガ科)

2013年9月7日 志賀坊森林公園・青森

30年以上も前になるが、会社で、
マイマイガのフェロモンを入手できたので、
雑木林で、誘引試験をしたことがある。

そのとき、トラップ周辺にフワフワと飛んできたのは、
当然のことであるが、こんな色の雄の蛾だけだった。

だから、マイマイガは茶色っぽい蛾だと思っていた。

 

 

 

マイマイガ雌(ドクガ科)

2013年8月31日 矢立峠・秋田

ずいぶん後になって、マイマイガの雌成虫は、
雄とは全く違って、ほぼ真っ白であることを知った。

蛾の仲間で、雄と雌の体色がこんなに異なるのは、
私の少ないい経験から、比較的珍しいことだと思う。


通常の場合、蛾の雌成虫は、
強力な性フェロモンで雄を誘引するので、
あまり飛翔能力が高くないし、
交尾・産卵後は、すぐに死んでしまうとされている。

ただ、マイマイガの場合は、ちょっと違うような気がする。


マイマイガの雌成虫には、驚くべき産卵習性があるのだ。
 

 

 


マイマイガ産卵中(ドクガ科)

2013年8月3日 道の駅喜多の里・福島

道の駅の街灯の下にある木製の看板に、
産卵中のマイマイガを見つけた。

おそらく、夜間、光に誘引されて来たのだろうが、
何と、その場で産卵しているのだ。


産み付けられた卵塊の表面には、
フワフワの毛のようなものが付けられていた。

卵塊は、このままの状態で暑い夏を過ごし、
さらに、寒い冬も越して、翌年の春にふ化するのだ。

⇒卵は、秋までに幼虫となり卵塊の中で越冬し、
 翌年春に卵塊を破って脱出するようだ。

このようなフワフワの毛によって、
おそらく、暑さと寒さから保護されるのだろう。


いや、それ以上に、この付着された「りん毛」は、
重要な役割を果たしていると思う。

もしかしたら、卵寄生蜂の産卵を、物理的に防ぐ・・・?

 

 

 

マイマイガ(ドクガ科)

2013年8月3日 道の駅喜多の里・福島

これは、明らかに、マイマイガの集団産卵!!!

街灯に誘引された雌成虫が、不思議なことに、
飛んできたその場所、壁や電柱などに、
さりげなく、産卵してしまうのだ。


しかし、ふ化幼虫は、とりあえず、
この生みつけられた場所から、餌のある森林まで、
分散していかなければならない。


一体、どうやって!!????

 

 

 

マイマイガ(ドクガ科)

2013年8月3日 道の駅喜多の里・福島

こんなところにも、集団産卵?

幼虫は、孵化直後から糸が吐くことができ、
生まれた場所からその糸でぶらさがって、
風に乗って移動することができるのだ。

・・・ちょっと不思議!!

 

 

 

マイマイガ(ドクガ科)

2013年8月3日 道の駅喜多の里・福島

道の駅にある木の葉にも、沢山の雌成虫がいたが、
落葉の危険性もある葉っぱには、産卵しないようだ。

ふ化幼虫が微妙な移動手段を持っているので、
幼虫の食べものに直接産卵する必要は全くないのだろう。

 

そして、ここが一番不思議なところなのだが・・・

 

この道の駅の光に誘引されてくるのは、
どうも、雌成虫だけのようなのだ。

上の写真の日付でも、お分かりのように、
私はこの道の駅に夕方から、翌日の朝まで滞在したが、
真夜中も含めて、雄成虫の姿を一度も見ていないのだ。

おそらく、交尾は別の場所で、行われているはずだ。

そして、雌成虫だけが、光に誘引され、
しかも集団で、その場に卵を産むのだ。


この不思議な産卵習性が、もしかしたら、
大発生する要因になっているのかもしれない。

     

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ちょっと不思議⑩ クルミハムシの蛹

   
ゾウムシやハムシなどの甲虫類の蛹は、
基本的に、目立たないところに作られる。

以前紹介したように、隠れているというのは、
最も簡単な外敵からの防御法である。
↓   ↓   ↓
【虫たちの防御戦略② 隠れている】
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130203/1/

だから、普通に林道を歩いていたのでは、
ゾウムシやハムシの蛹を目にすることはほとんどない。


ということで、前回のシロスジタコゾウムシの蛹は、
ゆるやかな(?)例外として良いだろう。


今回は、もう一種、手持ちの写真から紹介したい。

 

 

 

何これ!!!

2013年8月7日 安曇野・長野

クルミの葉っぱの下に、変なものがぶら下がっている。

写真の上の方にも見える。

 

 

近づいて、よく見ると・・・

 

 

クルミハムシ蛹(ハムシ科)

2013年8月7日 安曇野・長野

クルミハムシの成虫が、2匹見える。

どうやら、ぶら下がっているのは、
クルミハムシの蛹のようだ。


このように、例外的に「目立つ場所」で蛹になるのは、
防御物質を体内に持っているからだろう。

 

 

全く同じ状況にあるのが、以下の2枚の写真である。

我々が、最も簡単に見つけることができる甲虫類の蛹、
おなじみの「テントウムシの蛹」だ。

 

テントウムシ蛹(テントウムシ科)

2013年6月1日 東海村・茨城

こんな時にしか紹介することのない写真である。

見ての通り、蛹も警戒色でよく目立ち、いかにも不味そうである。

 

 


カメノコテントウ蛹(テントウムシ科)

2011年7月24日 岩木山山麓・青森

こちらのテントウも、緑の葉っぱの表面で、
しかも、真ん中のよく目立つところに、
正々堂々(?)と、蛹になっている。

 


(次回も例外?)





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ちょっと不思議⑨ シロスジタコゾウムシの繭

津軽半島の先端近くの日本海側。

海岸線から少し山手に入った林道(?)で、
ちょっとだけ不思議なものを発見。 




何だ? これは!!

2013年7月15日 中泊町・青森

セリ科植物の葉っぱの中央に、
怪しげに、よく目立つものがくっついている。


近ごろ流行(?)の「虫えい」のようなイメージだが、
なんとなく違う。

 

 

 

シロスジタコゾウムシ(ゾウムシ科)

2013年7月15日 中泊町・青森

近くで、もう1個発見。

この角度から見ると、虫えいではなさそうで、
明らかに、何かの虫の蛹(まゆ)だ。

このようなスカシダワラ状の繭を作る虫は、
大きな蛾のクスサンが、良く知られているのだが・・・


このスカシダワラは、案内していただいたnabita氏によると、
シロスジタコゾウムシという甲虫の蛹のようだ。

 

 

 

シロスジタコゾウムシ(ゾウムシ科)

2013年7月15日 中泊町・青森

さらに、3個目を発見!!!

こっちは、中にまだ幼虫のようなものが見える。

製造元(?)のシロスジタコゾウムシは、
一応、セリ科の作物の害虫ということになっている。

昆虫類の蛹は、基本的に無防備であり、多くの場合、
葉の陰や地中など目立たないところに作られる。

一体なぜ、このゾウムシ君は、
緑色の葉っぱの表側に(しかも、ど真ん中に!)、
かなりエネルギーを使って繭を作るようになったのだろうか?

まさに、「食えるものなら、食ってみろ!!」だ。

 

今回は、とりあえず不思議なものを見たということで・・・

 

 

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ちょっと不思議⑧ フキバッタ集団


前回のニトベミノガに続き、今度はバッタの異常大発生!!


でも、これが異常ではなかったりする?

 

 

ん? 何!!

2013年6月16日 白岩森林公園・青森

黒っぽいバッタが沢山いるぞ!!!

こんな光景は、どこかで見たことがある。

・・・と思ったら、
昔、多摩動物園の展示用ブースで見かけた(?)、
トノサマバッタの群生相を作りだす飼育密度だった。

 

 

近づいて、よく見ると・・・・

 

 

フキバッタの仲間(バッタ科)

2013年6月16日 白岩森林公園・青森

多分フキバッタの仲間の幼虫集団のようだ。

朝早かったせいか、あまり食痕は見られない。


おそらく、フキバッタの仲間には、
相変異は存在しないと思うのだが、
これだけ高密度だと・・・?


通常は、適当に(あるいは適切に?)、
捕食者に食われているに違いないのだが・・・

 

 

 

 

フキバッタの仲間(バッタ科)

2012年6月14日 白岩森林公園・青森

一年前にも、同じ場所で、フキの葉っぱに・・・・

こっちは、間違いなくハネナガフキバッタの幼虫だ。


白岩森林公園のこの場所で、毎年見かける集団だ。

何故いつも、こんなに大発生しているのだろうか?

 


このバッタの集まり方をよく見ると、個々の個体が好適な場所を、
偶然に選択した結果のようで、以前このブログでも紹介した
キバラヘリカメムシ幼虫やジュウジナガカメムシ幼虫の集合とは、
明らかに性質が違うようだ。


 恐るべし ジュウジナガカメムシ幼虫集団
   ↓   ↓   ↓
 http://kamemusi.no-mania.com/Date/20120902/1/


 まさかの場所で、キバラヘリカメムシの大集団
   ↓   ↓   ↓
 http://kamemusi.no-mania.com/Date/20131002/1/

 

   

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