忍者ブログ

ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

外来種???  ウスグモスズ

ウスグモスズ【 Amusurgus genji Furukawa】というかなり不思議な虫がいる。

最近(といっても、40年以上前に!)東京都渋谷区で採れた標本によって、
新属新種として記載されたバッタ目の虫である。

突然、東京の中心部で発見されたこともあり、外来種とされた。

良く知られているように、もともと外来生物というものは、
都市近郊に局在化して、分布を広げていくことが多い。

だからウスグモスズは、その点では典型的パターンなのだろう。


しかし、それ以外のことについては、例外だらけ・・・・

まず、原産地が分からないのだ。

外来種とは、アメリカシロヒトリやセアカゴケグモのように、
すでに海外のどこかの国で知られていた生物が、
日本国内で世代を繰り返すようになった場合に、
そう呼ばれるのだが、ウスグモスズは、違っていた。

何処の国の標本を探しても、該当する虫がいなかったのだ。


⇒何か明確な理由があって、外来種とされたのだろうが、
もしかしたら、かなり個体数の少ない日本特産種が、偶然に、
東京の渋谷で発見された可能性はなかったのだろうか???

 

その他にも、ウスグモスズには、不思議なことがある。


不思議その1: 日本で新発見された、新属・新種の原産地不明の外来種。

不思議その2: 主に市街地で見つかっているが、害虫にはなっていない。

不思議その3: 翅は長いが、鳴かない。(近縁種は鳴く)

不思議その4: 学名(属名)が、Usugumona, Usgmona,  Amusurgusと3種類ある。


その4に関しては、ネット情報によると、最初の記載は Usgmona だったようで、
北隆館の原色昆虫大圖鑑第3巻では、いつのまにか Usugumona になったようである。

ところが、最新の北大出版会「バッタ・コオロギ・キリギリス生態図鑑」では、
何故か Amusurgus genji となっており、前2者の属名は、索引にも出てこない。

詳細な経緯などは分からないが、おそらく再検討されて、
後日、日本にはいない属 Amusurgus に訂正されたようだ。

 

 

前置きが、かなり長くなってしまったが、
ウスグモスズは、こんな虫である。


ウスグモスズ雌(ヒバリモドキ科)

2012年10月2日 東海村・茨城

めっきり秋らしくなってきた市街地の公園で、
あまり見慣れない模様の雌のコオロギ(?)を見つけた。

 

 

ウスグモスズ雌(ヒバリモドキ科)

2012年10月2日 東海村・茨城

近づいても、逃げる様子がない。

このように、前翅は黒色なのだが、
翅脈が淡褐色の網目状で、かなり特徴的な模様だ。

 

その後も、何回か訪れて、さりげなく探してみたが、
この1匹だけしか見つけることはできなかった。

 


そして、半月ほど経ってから、ほぼ同じ場所で、
良く似た種を発見した。

最初は、2匹目のウスグモスズ発見! と思ったのだが・・・・

 

クサヒバリ雌(ヒバリモドキ科)

2012年10月20日 東海村・茨城

図鑑によると、後腿節に2本の黒っぽいスジが入るので、
ウスグモスズとは、簡単に識別できる。

目玉の色が違うのは、識別点にならないのだろうか?


当然であるが、クサヒバリは、外来種ではないし、
もちろん鳴く(当然雄だけだが!!)


こんなに良く似た種がいて、しかも一方は鳴かない!!

ウスグモスズは、いったい、どのような手段で、
雄と雌が出会って、交尾をするのだろうか?

クサヒバリとの交雑は、起こらないのだろうか?


ネット情報によると、ウスグモスズは、
結構日本各地(の公園など)で、見つかっているようだが、
他の外来種のように、害虫とはみなされていないようだ。

雄が鳴かないことが、原因のひとつなのだろうか?

 

というわけで、本文の中に、5か所も?マークが付いた、
ちょっとだけ不思議な虫である。

 


拍手[22回]

PR

ODDITY???

様々な工夫をしながら生きている虫たちの中には、
非常に派手で、奇妙で、目立ちやすい姿かたちをしているのに、
有毒ではなく、何かに擬態してる訳でもない種がいる。

もちろん、我々人間が理解できないだけなのだが・・・


ただ、鳥類のような視覚的に獲物を探す捕食者の多くは、
獲物に対して、サーチングイメージができるので、
直前に食べた虫たちを狙う習性があるようだ。

だから、過去に出会ったことがないような、
奇妙な格好をしている虫たちを見つけても、
一瞬、攻撃を躊躇する可能性があるのだ。


有名なのは、熱帯地方のツノゼミの仲間で、
とても虫とは思えない、変てこりんな、
SF小説に出てくる宇宙人のような風貌をしている種類がいる。

昔読んだ論文では、確か”ODDITY”とか言っていたと思う。


日本国内には、そのような虫たちは、多分いないので、
自分で写真を撮ったことは、もちろんないのだが・・・

比較的良く似た雰囲気をもったものは、少しだがいるのだ。

 

 

ギンモンスズメモドキ(シャチホコガ科)

2012年6月21日 道の駅みしま・福島

もう少しがんばれば、熱帯のツノゼミになるかも・・・

かなり派手な模様で、良く目立つが、
何かに標識的擬態をしているのではないだろう。

 

 

ミミズク(ミミズク科)

2011年7月24日 だんぶり池・青森

多分はじめてこのこを見た人は、
ちょっとだけビックリするかも・・・

迫力は、熱帯ツノゼミ遠く及ばないが、
日本の虫たちの中で、一番近いのは、この仲間だろうか。

 

 

トホシテントウ幼虫(テントウムシ科)

2011年1月15日 渡良瀬遊水地・埼玉

この子を見つけた鳥やカエルは、躊躇するだろう。

というか、まず、虫とは思わないかもしれない。

 

 

アケビコノハ幼虫(ヤガ科)

2010年10月17日 弘前市・青森

目玉模様はさておき、この姿勢でじっとしてると、
とても奇妙な物体にみえるではないか?

さすが、どこにでも出てくるアケビコノハ君!!

 

 

コガネグモの仲間

2012年10月7日 矢立峠・秋田

最初は、何かの脱皮殻かと思った。

でも、よく見るとやっぱりクモか?

 

 

エゾギンモンシャチホコ(シャチホコガ科)

2012年7月18日 城ヶ倉・青森

まあ、蛾であることは、すぐ分かるのだが、
緑の葉っぱの上にいたら、鳥は攻撃をためらうだろうか?


でも、みんな、鳥が、一度でも食べてしまえば、
次回からは、逆に良く目立つので、
サーチングイメージができてしまうと、
全くの逆効果なのかもしれない・・・

 

 

拍手[22回]


テネラル

 全ての虫たちは、硬い外骨格を持っているので、
より大きくなったり、その形状を変えたりるためには、
脱皮をしなければならない。

脱皮をするときには、それまでの硬い皮膚を破いて、
より大きな柔らかい皮膚の状態で、脱出しなければならないのだ。

当然のこととして、脱皮直後は、まだ体が柔らかくて、
飛ぶことも、歩くこともできない。

しかも、皮膚が柔らかいときには、
本来の色彩になっていない場合が多く、
通常は、良く目立つ色をしている。

そのような状態を、テネラルという。


この時期に限って言えば、最も恐ろしい外敵は、
おそらくアリではないかと思うのだが(注)

 


アカスジキンカメムシ(キンカメムシ科)
 
2012年5月24日 ひたちなか市・茨城

鮮やかなオレンジ色が、脱皮を終えたばかりの新成虫。

ななめ上に見えるのは、脱皮前の終令幼虫。


これだけの色変化が、僅か数時間の間に起こるのだ。

脱皮直後のまだ体が柔らかい時期、かろうじて歩くことができる。

 

 


トホシカメムシ終齢幼虫(カメムシ科)
 
2011年9月8日 白岩森林公園・青森

こちらは、脱皮直後ではないようだが、
まるで蛍光塗料がついているように、良く目立つ。

外敵に襲われることはないのだろうか?

 

 

 
ヒグラシ(セミ科)
 
2012年7月11日 だんぶり池・青森

朝の7時前に撮った写真。

もう少しで、飛べるようになるのだろうか?

本来の体色になりつつある。

だんぶり池のこの時間は、結構鳥が鳴いている。
もう少し目立たない場所で脱皮すればよかったのに・・・

 

 

アブラゼミ(セミ科)
 
2011年8月5日 白岩森林公園・青森

このアブラゼミも、本来の色ではない。
しかも、こんなに目立つ草の上である。

よくも、今まで、無事でいたものだ。

 

 

(注)カメムシは、臭腺で作られた防御物質(におい成分)を、
  一時的に貯蔵嚢に蓄えている。物理的な刺激があったときに、
  内部の液体を噴射するが、運良く(?)次の脱皮まで使用しなかった場合には、
  脱皮殻と一緒に、その成分を残しておく。
  特に幼虫脱皮の直後は、その場にとどまっていることが観察されるが、
  もしかすると、脱皮殻の中にある防御物質(におい成分)が、
  アリに対する忌避作用を示すのかもしれない。
 


拍手[24回]


ちょっとだけ不思議な虫たち セマダラハバチの仲間

カメラ片手に、林道をブラブラ歩いていると、
ちょっとだけ不思議な光景に出くわすことがある。

今回もそんな感じで見つけた不思議なハバチである。

 

白岩森林公園の林道で、異常な動きをする2匹のハバチを、
連続して、ほぼ同じ場所で見つけた。

 


セマダラハバチの仲間(ハバチ科)

2012年6月3日 白岩森林公園・青森

最初は、何をしているのか分からなかった。

下になっている子も、かすかに動いているので、
交尾しているようにも見えた。

 

 


セマダラハバチの仲間(ハバチ科)

2012年6月3日 白岩森林公園・青森

近づいて見ると、かなりビックリ!!!

交尾しているのではなく、食べているのだ!!!

食べられている方も、種名までは分からないが、
寄生バチのような雰囲気もある。

 

 


セマダラハバチの仲間(ハバチ科)

2012年6月3日 白岩森林公園・青森

かなり、激しい食べ方をするので、
犠牲者の頭の部分が、切り離されて、下に落ちた。

この仲間は、幼虫時代は葉っぱを食べているのに、
成虫になってからは、肉食になるという、
かなり不思議なハバチなのである。
(逆のパターンは、良くあるのだが・・・)

 

 


セマダラハバチの仲間(ハバチ科)

2012年6月3日 白岩森林公園・青森

そんなビックリしている間もなく、
すぐそばで、別の個体を発見!!

何とこの子も、虫(ヤブキリの幼虫?)を食べている!!!

 

 


セマダラハバチの仲間(ハバチ科)

2012年6月3日 白岩森林公園・青森

それも、まるでカマキリが、獲物を捕食しているイメージだ。
サシガメやクモの摂食場面とは、全く違う雰囲気なのである。


恐るべし、ハバチ(の成虫)君!!!



 


拍手[19回]


かなり不思議な虫たち

このブログ名は「ちょっとだけ不思議な昆虫の世界」である。

今回は、そんな名には、ふさわしくない虫たち、
「かなり不思議な虫たち」を紹介する。


以下の写真は、もちろん自分で撮ったものなのだが、
少し間をおいて、改めて見直してみると、
なんか凄く不思議な写真であることに気付いた。

多分、集合写真の片隅に良く見かけるような、
いわゆる心霊写真に似たところがある???

 

最初の写真は、よく見ると「かなり不思議」な現象が、
さりげなく二つ同時に存在している。

 

トガリハキリバチの仲間(ハキリバチ科)

2010年8月10日 御所湖・岩手

レンゲソウにキタキチョウが止まっていたので、
近寄って、さりげなくシャッターを押した。

家に帰って、パソコンの画面で見ると、
ちょっとビックリ。

もちろん合成写真ではない。

 

 


トガリハキリバチの仲間(ハキリバチ科)

2010年8月10日 御所湖・岩手

拡大してみると、こんな感じで、
かなり不思議なのは、次の2点!!!

①このハチには、翅がない!!!
 どこから、どうやって、
 ここまで来たのだろうか????

②しかも、後ろの写っているキタキチョウの方は、
 翅に、ハチが止まっているにもかかわらず、
 平気で蜜を吸っている。

 


これはかなり不思議だ!!!!

 


最も考えやすいのは、

①本当は翅があるのだが、非常に早く翅を動かしているので、
 写真には写らなかった

②飛んでいる(ホバリング)ので、キタキチョウには触れていない

であるが、そんなことってあるのだろうか?

 

⇒これは、未解決の「かなり不思議」な現象で、
 おそらく永遠の謎である。

 


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

(蛇足)


⇒次は、解決済みの「かなり不思議」な現象で、
 間違いなくカメラアングルの問題である。

 


サトクダマキモドキ(キリギリス科)

2005年11月12日 大橋ダム・高知

この子の脚は、かなり不思議なことに、
右側に4本あり、そのうち1本は顔から生えている。
もちろん、左側には2本しかない。

 


サトクダマキモドキ(キリギリス科)

2005年11月12日 大橋ダム・高知

拡大しても、そのように見える。

 


サトクダマキモドキ(キリギリス科)

2005年11月12日 大橋ダム・高知

これは、カメラアングルを変えた写真である。

何のことはない、全く偶然にも、左前脚が、
クチヒゲ(小顎肢)に重なって写っていたのである。

 

拍手[17回]