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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

ちょっとだけ不思議な虫たち コブヤハズカミキリ黒化型

北日本には、コブヤハズカミキリという、
ちょっとだけ不思議な雰囲気のカミキリがいる。


 

コブヤハズカミキリ(カミキリムシ科)

2010年8月22日 白岩森林公園・青森

背中の目立つ場所に、黒いコブが2つあり、
目玉のようにも見える。

背中一面には、黒いゴミのような点々があり、
この写真では、背景の葉っぱに良く馴染んでいる。

矢尻の羽の形を、ヤハズというらしいが、
お尻の部分が似ているので、この名が付いたようだ。

このように、枯れた植物で見かけることが多いが、
基本的な体の色は茶色で、微妙な白い部分もある。

典型的な保護色タイプのカミキリと言えるだろう。

 

 

コブヤハズカミキリ(カミキリムシ科)

2012年8月8日 白岩森林公園・青森

何故か、コブヤハズカミキリは、前翅がくっついて開かず、
後翅も退化しているため、飛ぶことが出来ないのだ。

だから、移動は、ただただ歩くのみである。

当然の結果として、日本国内の各地域には、
それぞれの環境に適合した個体群が存在することとなり、
いくつかの種や亜種が存在する。

関東以北には、(ただの)コブヤハズカミキリが分布している。

 

 

これだけでも、ちょっとだけ不思議な虫なのであるが・・・

 

 

コブヤハズカミキリ黒化型(カミキリムシ科)

2012年8月6日 乳頭温泉・秋田

最初に写真を撮ったときには、こんなカミキリいたっけ?
という印象だった。

コブヤハズにしては、小さいし、色も黒い!!

 


しかし・・・

 

 

コブヤハズカミキリ黒化型(カミキリムシ科)

2012年8月6日 乳頭温泉・秋田

もっと近寄って、角度を変えて撮ると、
色以外は、まさにコブヤハズカミキリである。


このように、生き物が本来の色を失って、真っ黒になったり、
逆に、真っ白になったりする現象は、自然状態でもときどき見つかって、
新聞記事にもなったりするようだ。

ただ、カミキリに詳しい友人に聞いても、真っ黒なコブヤハズは、
見たことも聞いたこともないようだ。


ちなみに、突然変異で白くなった生き物のことを、アルビノというが、
逆に 突然変異で黒くなった生き物は、何というのだろうか?


まるで、別種に見える突然変異個体は、視覚以外で交尾相手を探す種では、
正常に交尾できるので、その変異は、子孫に伝わる可能性もあるだろう。


今頃、どうしているのだろうか?

 


 


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ちょっとだけ不思議な虫たち ホシナカグロモクメシャチホコ幼虫

シャチホコガの仲間の幼虫は、みんな変なヤツが多い。

この子も、例外ではない!!!
 


ホシナカグロモクメシャチホコ幼虫(シャチホコガ科)
2012年8月22日 十石峠・長野

とりあえず、どっちが頭だか分からない。

端っこを少し持ち上げて、長い触角のように見える突起を広げる。
まるで、こっち側が、頭のように見える。

実は、触角のように見える突起は、尾脚が特殊化したもので、
この子は、お尻を持ち上げているのだ。だ。

 

 

ホシナカグロモクメシャチホコ幼虫(シャチホコガ科)
2012年8月22日 十石峠・長野

少し角度を変えて近づいて見ると、
お尻を、かなり折り曲げているのが分かる。

脚の変形した突起が、まさに触角である。

まあ、この格好をすることで、どれだけの防御効果があるのかは、
今の段階では、全く分からないのであるが・・・

 

 

ホシナカグロモクメシャチホコ幼虫(シャチホコガ科)
2012年8月22日 十石峠・長野

今度は、2本の長い尾脚を、ピッタリそろえると、
持ち上げているし、頭部もちょっと分かりにくいが、
思い切って持ち上げているので、また別の雰囲気になる。

この行動が、捕食者に対して、目立たせようとしているのか、
あるいは、目立たなくしているのか、かなり興味深い。

まさか、枝のついた枯れ葉に擬態しているのだろうか?

 

 

ホシナカグロモクメシャチホコ幼虫(シャチホコガ科)
2012年8月22日 十石峠・長野

角度を変えた写真で見ると、お尻と、本物の頭を持ち上げている。

たぶん、この子の名前の由来となったシャチホコのポーズだろうか?

 

 

ホシナカグロモクメシャチホコ幼虫(シャチホコガ科)
2012年8月22日 十石峠・長野

このように、体の前後を持ち上げる仕草は、
いろいろな種類の蛾の幼虫で、しばしば見られる。
多分、通常のイモムシ型とは全く違う外観になるので、
外敵に対する防御行動であると、言われている。

ただし、実際の防御効果を、実験的に確かめた人はいない(多分)。

 

 

ホシナカグロモクメシャチホコ成虫(シャチホコガ科)
2011年8月8日 裏磐梯・福島

ちなみに、これは、別の場所で撮った成虫である。

白黒の模様が、さりげなく目立つ美しい蛾である。

 

それにしても、何か良く分からない不思議な虫である。

 


 


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ちょっとだけ不思議な虫たち ハネナガフキバッタ

昔(?)は、稲の害虫であったイナゴやバッタは、
当然のごとく、自然状態では、草しか食べないと思っていた。

 

 

ところが!?

 

 

ハネナガフキバッタ(バッタ科)

2012年8月22日 十石峠・長野

長野・群馬県境の十石峠近くの舗装された駐車場で、
奇妙な行動をするバッタを見つけた。

乾燥しているミミズの死体のそばに、バッタがいるのだが、
ときどき、ミミズがまるで生きているように動く。

 

 

どうした!!??

 

 


ハネナガフキバッタ(バッタ科)

2012年8月22日 十石峠・長野

普通は、人が近づくと、一目散に逃げてしまうバッタが、
このときは、全く逃げる気配がないのだ。

かなり、夢中になっている感じで、
まるで魔法にかかったように、その場所から動かない。

 

 

何で!!!!

 

 

ハネナガフキバッタ(バッタ科)

2012年8月22日 十石峠・長野

近付いてしばらく観察していると、どうやら、
干からびたミミズの死体を食べて(舐めて?)いるようだ。

基本的に草食であるはずのバッタが・・・・

 

 

ハネナガフキバッタ(バッタ科)

2012年8月22日 十石峠・長野

昔から良く経験することではあるが、実験室で、
草食のバッタなどを大量に飼育していると、
エサ不足か、飼育密度が高すぎるのか、微量栄養素が足りないのか、
あるいは飼育環境へのストレスか、
何らかの原因で、草食のバッタが、共食いをすることがある。

 

 

ハネナガフキバッタ(バッタ科)

2012年8月22日 十石峠・長野

だから、ちょっとだけ不思議ではあるが、
バッタがミミズを食べるのも、
全くあり得ないことでもないのだろうとは思う??


ただ、まわりに餌となるような植物が沢山あるのに、何故? 


塩分補給でもしているのだろうか?

 

 

以上、バッタがミミズを食べる衝撃シーンでした。

 

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ちょっとだけ不思議な虫たち ザトウムシの仲間

ザトウムシという脚の長さが半端ではないクモの仲間がいる。

たいていは、ちょっと薄暗い林の中にいるが、
私のフィールドである林縁部でも、ときどき見かける。

 

ザトウムシの一種

2010年9月15日 白岩森林公園・青森

こんな感じの多少気味が悪い、ちょっと手が出にくいムシである。

 

 

ザトウムシ捕食中

2012年8月17日 奥入瀬渓流・青森

もちろん彼らは肉食であるが、捕獲する瞬間を見たことがない。

ただ、他の捕食者よりは、遭遇する機会は少ないが、
普通に、食事中の写真も撮らせてくれる。

 

 

ザトウムシ接近中


2010年10月12日 白岩森林公園・青森

これは、全くの多分(?)であるが、雄と雌の出会いである。

これから、どんなふうに交尾するのだろうか?

 

 

ザトウムシ捕食される

2011年9月23日 白岩森林公園・青森

どんな捕食者も、当然のことながら、捕食されることもある。

捕食者と被食者の、この組み合わせも、珍しいのかも知れない。

 

 

多分モエギザトウムシ幼体(マザトウムシ科)

2012年8月2日 芝谷地湿原・秋田

そんな不気味なザトウグモの仲間に、
多分モエギザトウムシという美少女(?)がいる。

人間で言うと、中学生くらいなのか?

長い脚を分断する白い模様が、ちょっとだけ美しい。

 

 

多分モエギザトウムシ幼体(マザトウムシ科)

2012年8月2日 芝谷地湿原・秋田

これだけの長い脚を、巧みに操って移動する姿は、
美しくも、また絶妙である。

この写真でもはっきり分かるが、それぞれの脚(8本!!)が、
独自に(?)、しかも巧みに足場を捕えている。

 

 

多分モエギザトウムシ捕食される

2012年8月2日 芝谷地湿原・秋田

しかし、そこは生物の世界である・・・

イトトンボは、歩いているのを、この子の脚が長過ぎるので、
空中を飛んでいるように見えたのだろうか?

いとも簡単に捕獲されてしまった。

 

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ちょっとだけ不思議な昆虫の世界 キカマキリモドキ

ややこしい話題が続いたので、ちょっと気分転換。

しかも9月は、ブログ開設2年目を、さりげなく迎えた節目の月である。
ビートルズのマジカル・ミステリー・ツアー(Magical Mystery Tour)にちなんで、
私もさりげなくマジカル・ムシトリー・ツアー(MMT)に、暇を見つけては出かける。
(⇒いや、見つけなくても、暇だけは普通にある!!)

MMTで、いつもと違う道を歩くのは、なんだかワクワクする。

そこで、出会ったブログにふさわしい「ちょっとだけ不思議な虫たち」を、
連続で、紹介していきたい。

 

トップバッターは、キカマキリモドキというちょっとだけ不思議な虫である。

この子は、以前も紹介したのだが、
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20111001/1/
今回、新たに3個体の写真が(上手に)撮れたので、
改めて、彼らの不思議さを、カメラを通して見てみよう。

 

 

キカマキリモドキ(カマキリモドキ科)

2012年8月22日 十石峠・長野

獲物を狙って待機中の姿は、本家のカマキリそのものである。

しかし、写真では、ちょっと分かりにくいのだが、
前脚の折りたたみ方と、下半身(翅のイメージ)が微妙に違う。

 

 

キカマキリモドキ(カマキリモドキ科)

2012年8月22日 十石峠・長野

この恰好なので、行動パターンは、カマキリと良く似ている。

じっと待ち伏せの体制をとって、獲物が通るのを待っている。
もちろん、空腹度が増すと、自ら動き出す・・・

残念ながら、捕獲の瞬間は見ることができなかったが、
獲物を食べる姿は、本家カマキリと全く同じだ。

このように、全然違う種類が、良く似ているのを、相似進化【注】と呼ぶ。

 

 

キカマキリモドキ(カマキリモドキ科)

2012年8月23日 十石峠・長野

しかしながら、体のサイズが、全く違う。
背景の葉っぱと比較しても、かなり小さいのが分かる。

 

 

キカマキリモドキ(カマキリモドキ科)

2012年8月23日 十石峠・長野

歩き方はそっくりだ。

細い茎を、上手に昇っていく。

 

 

キカマキリモドキ(カマキリモドキ科)

2012年8月23日 十石峠・長野

先端近くの種子があるところで、獲物を見つけたようだ。

写真の手前に、ピンボケで写っている小さなカメムシだが、
この後、さりげなく取り逃がしてしまった。

 

 

 

【注】相似性・相似進化:
例えば、魚類のサメと哺乳類のイルカは、「海の中をすばやく泳いで獲物を捕らえる」という、
良く似た行動パターンを持っているので、かなり良く似た体型になっている。
水中を泳いでいるときのペンギンも、まるで魚である。

このような共通祖先を持たないが、類似の体型になる進化の方向性を、相似進化と呼ぶ。

ただ、昆虫の場合には、ベイツ型擬態やミュラー型擬態との関係があるので、
多少の注意が必要であると個人的には思っているのだが・・・


 

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