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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

ちょっとだけ不思議な虫たち【5】

このシリーズ、早くも第5回目になった。
でも、やっぱり「不思議」の定義が曖昧である。

 

マダラカマドウマ(カマドウマ科)
 
2011年7月25日 酸ケ湯温泉・青森

お団子に長い足が生えた、異様な雰囲気を持つ、
ちょっとだけ不思議な生き物である。

昔、関東では、俗称として「便所コオロギ」と呼ばれていた。
もちろん、今時の西洋式の水洗トイレには、絶対にいない。

私は子供のころから、虫が好きであったが、
名前のせいもあって、なかなか手で触れることはなかった。

というか、子供には簡単に手で捕まえることはできなかった。
この子は、危険を感じると、強靭な後脚だけで、
1m以上の距離を飛ぶことが出来るからである。

上の写真は、八甲田の公衆トイレの壁で撮ったものだが、
一瞬のうちに跳躍して、視界から消えた。

そして、この子は、独特の縞模様と、グロテスク(?)な風貌で、
今でも、立派な不快害虫として、親しまれている。


 

 
ヘビトンボ(ヘビトンボ科)
 
2011年8月22日 碇ヶ関・青森

体は黄褐色で大きな翅を持った昆虫で、
大き過ぎる翅には、不思議な黄色い斑紋がある。

夜になると灯火に飛来することが多く、
この写真も碇ヶ関の道の駅で撮ったものである。

トンボという名が付いているが、トンボではなく、
むしろウスバカゲロウなどに近い仲間である。

学生のころ、雑木林で、オオクワガタを探しているときに、
ミヤマクワガタの隣で、樹液を吸っているのを見かけ、
「一体君は何組だ?」と思ったのが、最初の出会いであった。

この子の幼虫は、きれいな流れに住む「孫太郎虫」と呼ばれて、
古くから、漢方薬として利用されている。

また、 カワムカデとも呼ばれることもあり、
よく釣りの餌に使われるらしい。


それにしても、ヘビトンボとは、立派な名前である。

 

 

アシグロツユムシ幼虫(キリギリス科)
 
2010年8月10日 東海村・茨城

最初は、葉っぱに付いたゴミのように見えた。
近づいみると、クモのようにも見えた。

少しだけ刺激的な縞模様は、触角にまで及んでいる。

さらに近づいて確認すると、
上で紹介したカマドウマの幼虫に似た雰囲気を持っている。


白状すると、撮影中には、全くこの子の名前が分からなかった。
家に帰って、ようやくアシグロツユムシの幼虫であることが分かった。
それなら、以前紹介したことがある。
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110910/1/

あのときの幼虫が君だったのか?

 

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シャッターチャンス【2】

カメラ片手に、林道をぶらぶら歩いていると、
思いがけないシャッターチャンスにめぐり合うことがある。

今回は、そんな偶然出会った虫たちとの出会い現場を紹介する。

 


脱皮中のイナゴ
 
2011年7月27日 だんぶり池・青森

バッタやキリギリスの仲間は、このように、
昼間堂々と脱皮することが多い。

ただその一部始終をカメラで撮るのは、色々な事情で難しい。

以前紹介したアシグロツユムシの自然状態での羽化写真は、、
今思うと、よほど運が良かった、例外中の例外であると言える。
http://kamemusi.no-mania.com/Entry/4/

 

 

アブラゼミ脱皮直後
 
2011年8月5日 白岩森林公園・青森

この写真も、羽化後の翅が伸びきったときのものである。

セミの羽化の瞬間は、薄明るくなった早朝に林道を歩けば、
ストロボなしで簡単に撮れると思う。

今回の撮影時刻は、06:59であり、ちょっとだけ遅かった(?)。

 

 

ノコギリクワガタの上に蛾が!

2011年8月7日 乳頭温泉・秋田

虫でなくても、自分の頭の上に蛾が止まったら、
一応嫌がるだろう。

しかし、このノコギリクワガタ君は、広い心を持っており、
そんな小さなことは、全く気にしない!

単に、鈍感なだけか?

 

 

エサキオサムシ食事中
 
2011年8月11日 東海村・茨城

アブラゼミが、さりげなく舗装道路上に横たわる
この光景も、確かに異様であるが、
そこにいる一匹だけのオサムシも、何となく寂しい。

 

 

エゾアオカメムシやっぱり同種だ

2011年7月31日 白岩森林公園・青森

このブログの3回目に、「本当に同種なの?」で紹介した。
(アドレス0913)

カメムシ類の色彩変異については、
アオクサカメムシやミナミアオカメムシでは、
良く知られていた現象であるが、
エゾアオカメムシでも、同じことが起こっていた。

これがその証拠写真である。

 

 

オオカマキリ産卵中
 
2011年9月3日 白岩森林公園・青森

これも、「オオカマキリは、本当に積雪量を予測するか?」
で紹介した内容の証拠写真である。
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110611/1/

これを見ると、冬には完全に雪の中に埋もれてしまうクズの茎に、
オオカマキリの雌は、その年の積雪量を、全く予測することなく、
必死に産卵中であった。

 

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ちょっとだけ不思議な虫たち【4】

特に基準があるわけではないが、
ちょっとだけ不思議な雰囲気を持った虫たちを選んで、
これから数回に分けて紹介する。

ちょっと怖いのは、これをテーマに紹介していくと、
全ての虫たちを取り上げなければならないかもしれない・・・・

どんな虫にも、不思議なところが必ずあるからだ。

 


 
ミノウスバ交尾中(マダラガ科)
 
2010年9月26日 乗鞍高原・長野

昼間飛ぶ蛾で、透明な翅をもっているので、
取り合えず、ハチに擬態してるのかな? と思うが・・・・

この蛾は、幼虫の方が有名で、
垣根や庭木などに使われるマサキやマユミなどを、
全て食べ尽くすこともあるほどの大害虫である。

この良く目立つ黄色と黒の幼虫は、手で触ると、
カメムシの良い匂いとは全く違う、
不快な臭いのする粘性の防御物質を出す。

おそらく、幼虫の味はあまり良くなく、
鳥やトカゲなどの外敵に襲われることはないのだろう。

この幼虫は、春までにマサキの柔らかい葉っぱ食べて、
蛹になると、そのままの状態で暑い夏を過ごす。

だから次の世代の幼虫が、マサキの堅い葉っぱを食べることはない。

そして、秋になって涼しくなると、成虫になり、
交尾して、卵を産み、そのまま冬を越すのである。

実にうまい具合に、餌植物の柔らかい葉っぱをを食べている・・・・

 

 

ラクダムシ(ラクダムシ科)
 
2011年6月29日 だんぶり池・青森

普段は、絶対に見かけない虫である。
これは、滅多にやらないビーティングで落ちたものである。

写真では分かりにくいが、背中にこぶがあるわけでもなく、
何で、この名前がついたのか、ちょっとだけ不思議である。

軽く調べてみると、この虫のドイツ語名に由来しているようで、
ラクダの首のような虫ということになるらしい。

こぶではなく、首の形がラクダなのか?

良く見ると、胸の部分が細長く伸びていて、
写真では、そうなっていないが、
静止するときにこの部分から上に傾けて、
頭を持ち上げる性質があるらしい。

このときの格好がラクダに似ているので、
この名前が付いたとのことで、
さすがドイツ人? (何のこっちゃ!)

今度は、自然状態で、もう一度撮りたい虫である。

 

 

アオカメノコハムシ(ハムシ科)
 
2011年7月3日 白岩森林公園・青森

良く見かけるカメノコハムシは、茶色で目立つが、
この子は、全身がくすんだ緑色のカメノコである。

このように、アザミの葉っぱの上に、
頭も脚も引っ込めてじっとしていると、
なかなか虫とは気づかない。

何か、イメージとして、カエルやカナヘビが、
上からパクリとやっても、つるっと滑って、
なかなか食べられそうもない感じである。

普通のハムシの仲間は、葉っぱの上に静止するときに、
脚を体の下に引っ込めることはない。

自分の姿・特徴を、分かった上でやってるのだろうか?

それにしても、ちょっとだけ変な虫である・・・・

 

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飛び立つ瞬間

多くの虫たちは、翅を持っていて、
空中を飛びまわることができる。

ヤンマやスズメガのように、
空中でホバリングする虫たちは、
最近のデジカメならば、以前紹介したように、比較的簡単に撮れる。

http://kamemusi.no-mania.com/Date/20101210/1/
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110804/1/

しかし、普通に虫が飛んでいる姿を撮るのは、
特殊な装置が必要である。

ただ、甲虫類は、飛び立つ直前に、
翅を広げている瞬間が比較的長い。

だから、普通に静止写真を撮ろうとして、
偶然に飛び立つ瞬間を撮れることがある。


今回は、そんな簡単に撮れた写真を紹介する。


アカハネムシ(アカハネムシ科)
 
2010年5月30日 白神・青森

多くの場合、このような写真を撮る前に、
数枚の静止している状態を撮っている。


 

コガネの一種(コガネムシ科)
 
2010年6月29日 十勝・北海道

そして、被写体に、より近づいた瞬間に、
偶然このような写真が撮れるのだ。

 


ベニボタル(ベニボタル科)
 
2011年7月24日 白岩森林公園・青森

甲虫類のこのような写真は、よく見かける。

簡単に撮れる理由のひとつは、
こうしている時間が比較的長いからである。

 


コフキコガネの一種(コガネムシ科)
 
2011年7月24日 志賀坊森林公園・青森

この子は、結構長い時間、ウォーミングアップしていた。
だから、数枚の同じような写真を撮ることができた。

 


ムツモンオトシブミ(オトシブミ科)
 
2011年6月3日 だんぶり池・青森

この子も、飛び立つまでの時間が長い。
だから、甲虫類は、飛び立って逃げるよりも、
地面に落下して、逃げる種類も多いのだ。

 


アトボシハムシ(ハムシ科)
 
2011年10月11日 だんぶり池・青森

秋も深まり、気温が低い午前中には、
ウォーミングアップというより、
太陽の光を全身に受け止めようとしているようだ。

 

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キスジセアカカギバラバチ これがミラクル生活史だ!!

キスジセアカカギバラバチという「ややこしい名前」のハチがいる。

下の写真のように、普通のハチには見られない体の色をしている。

 

キスジセアカカギバラバチ(カギバラバチ科)
2011年8月30日 だんぶり池・青森

この赤黄黒の3色の組み合わせは、
ベルギーやドイツの国旗と同じである。

だんぶり池で初めて出会ったこのハチ、
緑色の葉っぱの上では、よく目立つ。

しかも、色々調べてみると、
なかなかミラクルな生き方をしているのである。

 

 

キスジセアカカギバラバチ(カギバラバチ科)
2011年8月30日 だんぶり池・青森

このハチは、一般的には、2次寄生蜂に分類されるが、
寄生する相手がいる宿主に、直接卵を産みつける訳ではない。
 
チョウや蛾、ハバチなどの幼虫が食べる葉っぱに、
肉眼では見えないほど小さな卵を産みつけ、
それを食べたチョウや蛾の幼虫(イモムシ)の体に、
卵を噛み砕かれることなく入り込むのである。

 


キスジセアカカギバラバチ(カギバラバチ科)
2011年8月30日 だんぶり池・青森

そして、体内でふ化した幼虫は、
そのまま宿主【イモムシ】を食べるのではなく、
宿主に寄生しているハチやハエの幼虫【ウジ】を食べるのである。

当然、最初の宿主【イモムシ】に寄生者【ウジ】がいなければ、
その時点で、彼らの一生が終わるのである。

 


キスジセアカカギバラバチ(カギバラバチ科)
2011年8月30日 だんぶり池・青森

例え話がなかなか思いつかないが・・・・

すごく正義感の強い泥棒がいたとする。
彼は、別の泥棒が狙いそうな大邸宅を探して、
その家に苦労して侵入し、
運よくそこに別の泥棒がいた場合にのみ、
その泥棒から金品を奪うことしかしていないと、
世間に言い訳しているようなものである。

何故、このようなミラクル生活史が進化してきたのか?
何がそうさせたのか?

これは、かなり興味深い問題であるが・・・

 


キスジセアカカギバラバチ(カギバラバチ科)
2011年8月30日 だんぶり池・青森

そして、まずもって、以下の確率を掛け合わせると、
一体どのくらいになるのだろうか?

①植物の葉っぱに海付けられた卵が、宿主【イモ虫】に食べられる確率:
②その卵が噛み砕かれることなく、宿主【イモ虫】の体に入る確率:
③その宿主【イモ虫】に、すでに寄生者【ウジ】がいる確率:
④最後に、何の事故もなく、宿主【イモ虫】から脱出できる確率:

 

実は、その確率がそんなに低くないことは、容易に想像できる。
③だけが、偶然に支配されているが・・・・

つまり、その生活史がすでに完成しているので、
毎年ほぼ同じ数の個体が、だんぶり池周辺に表れるとすると、
雌の産卵数が100個なら約1/100、
1000個ならば1/1000程度になるはずである。

この程度なら、十分現実的な数値であるだろう。

それにしても、不思議だ!!!

 


・・・・(蛇足)・・・・

上の③の確率に関して、
もしかしたら何らかの信号が、最初の宿主【イモムシ】から出ていて、
それをこのハチがキャッチして、
すでに寄生者がいる宿主だと判断している・・・?

でも、こんなことを人間が勝手に想像していると、
カマキリのような間違った結論になってしまうのかも!!

↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110611/1/

?!?!?!?!
 

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