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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

ヤママユの夕べ

まず、下の写真を、じっくりとご覧ください。

この中に、ヤママユが5匹写っていますが、お分かりでしょうか?

(紛らわしいタイトルですが、以下の4枚の写真の撮影時刻は、朝の8時半ころです)



ヤママユ(ヤママユガ科)

2011年8月31日 白岩森林公園・青森

この写真を撮っているとき、昔の愛読書「ファーブル昆虫記」を思い出していた。

今から100年ほど前に出版された「ファーブル昆虫記」には、
個人的に最も感銘を受けた【オオクジャクガの夕べ】という章がある。

長年、性フェロモンを用いた害虫防除の実用化試験を行っていて、
大量の雄蛾が誘引されるのを毎日のように見てきたが、
こんなことを思い出したのは初めてであった。

 

 

ヤママユ(ヤママユガ科)
 
2011年8月31日 白岩森林公園・青森

確認出来ただけでも、20匹以上の蛾は、
触角がクシ状になっており、すべて雄であることがわかる。

おそらく、ファーブルもこのような光景を見たのだろう。

たった一匹の雌蛾の入った網かごの周りに、
20匹以上の雄蛾が集まってくる様を観察したファーブルは、
当時考えられるあらゆる方法で、それが、
匂い(今でいうフェロモン)によるものであることを証明した。


そんなことを、思い出しながら、シャッターを切っていた。

 


ヤママユ(ヤママユガ科)
 
2011年8月31日 白岩森林公園・青森

もう一度、木の周りをぐるっとまわて見ると、このような太い幹や、
細い枝先にも、雄蛾は止まっていた。

今ここに残っている彼らは、(ほぼ間違いなく)、
たった一匹の雌の蛾に誘引されて集まってきたのだろう。

残念ながら、最終目的である交尾は出来なかったが・・・・

 

 

ヤママユ(ヤママユガ科)
 
2011年8月31日 白岩森林公園・青森

4枚の翅には、それぞれ1個ずつの目玉模様を持っているが、
ほとんどの個体は、最初から目玉模様を見せている。

昆虫の持っている目玉模様には、色々な役割がありそうだが、
このヤママユ君の場合には、どれも微妙である。
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110308/1/

 


そして、何故か、周辺の葉っぱにも、沢山の目玉模様がある?

 


このことに気付いたとき、思わずひとりで笑ってしまった。

 

木の葉の目玉模様って、何なんだろうか・・・・・

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これは心霊写真か?

珍しい虫の写真を撮ろうと林道を歩いていると、
 珍しい、こんな人たち(?)に出会うことがある。

 

ちょい悪のヤンキーママ
 
 

人生を悟ったふりをしたお爺さん
 
 

犬のような人? 人のような犬?
 
 

行ったことはないが、マルセーユにいそうな画家のたまご 

 
ちょっとくたびれた歌舞伎役者


 

当然のことであるが、
この模様は、人間が勝手にイメージしたもので、
本人(虫)にとっては、意味なんか全くない。

以前、5回に分けて紹介した昆虫アルファベットと同じジャンルになると思う。
↓   ↓   ↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110217/1/
 


でも、もしかしたら「目玉模様の進化」と関連するような、
偶然にしても、「意味のないものに意味を見出す」ことが、
その進化に繋がっている可能性だってあるのだ。
↓   ↓   ↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110308/1/

 




そして、上の写真は、こんな虫たちである。
 

エゾシモフリスズメ(スズメガ科)
 
2011年7月19日 登別温泉・北海道

今回の北海道旅行では、沢山この蛾を見た。

サングラス模様(?)が、印象的な蛾だ。




ハガタアオヨトウ(ヤガ科)
 
2011年7月19日 登別温泉・青森

この蛾は、緑色が点在して、美しい。

夜行性の蛾は、くすんだ色のものが多いが、
ときどきドキっとするような色彩に出会うことがある。

これは、別に紹介したい。

 


ヒメザザナミスズメ(スズメガ科)
 
2010年8月15日 酸ケ湯温泉・青森

夏は、朝早く駐車場の公衆トイレに行く・・・

何の苦労もせずに、前夜灯りに飛んできた虫たちを、
撮ることが出来るからだ。

とくに、城ヶ倉大橋の駐車場のトイレは、良い!


 

ヒメクロホシフタオ(ツバメガ科)
 
2010年8月21日 だんぶり池・青森

目の前を、ひらひらと飛んで葉っぱに止まった。
何故か、下向きである。

こうすると、人の顔に見えることを知っているのか?

  
 

スジモンヒトリ(ヒトリガ科)

2011年7月16日 遠軽・北海道

遠軽のJRの駅で午前3時頃に撮った。

この時間の撮影は、今回が初めてであるが、
やっぱりちょっと怖い。

 
こんな虫たちが持つ翅の「怖い怖い模様」は、
心霊擬態とでも言えるのだろうか?





追記(2015年9月13日)

チョウや蛾の翅にある動物の不思議な模様について、
最近日本でも紹介された「サティロス型擬態」という概念で、
統一的に解釈できるようになった。

以下の記事をご覧ください。

【古くて新しい擬態 サティロス型擬態】
 ↓   ↓   ↓
 http://kamemusi.no-mania.com/Date/20150913/1/






 

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ちょっとだけ不思議な虫たち【3】

今回は、名前が分かららないものも含めて、
ちょっとだけ不思議な幼虫たちを紹介する。

どんな場合でも、昆虫の幼虫は、
特に完全変態の幼虫は、不思議である。


高校時代の生物部のテーマで、
モンシロチョウの幼虫が、歩く筋肉から、
成虫の飛ぶ筋肉になるのは、蛹ステージの何時ごろか?
というのがあって、
毎日、染色しながら、切片を切っていた頃をふと思い出す。




クロマドボタル幼虫(ホタル科)
 
2011年6月2日 だんぶり池・青森

成虫は、普通のホタルの恰好をしているが、
頭部は赤くなく、昼間活動する。

写真の幼虫は、不思議なことに、水の中にはいない。

ご覧のように、葉っぱの上で見かけるが、
夜は多少発光するらしい。




多分ヒメウスベニトガリバ幼虫(カギバガ科)
 
2010年8月25日 だんぶり池・青森

かなりグロテスクな感じの幼虫であるが、
形はともかく、ピンク色が不気味である。

葉っぱの上で、良く目立つが、
鳥も不気味さがあって、何となく近づかないのか?




多分ハバチ幼虫
 
2010年10月20日 白岩森林公園・青森

この子は、容姿は全く普通のイモムシであるが、
静止状態がやや異常である。

これで外敵が、イモムシと思わないで、近づかないと、
この姿勢の意味が出てくるのだが・・・・

(友人ニャオト氏の指摘により、ハバチ幼虫に訂正しました)



種不明の蛾の幼虫
 
2010年9月8日 白岩森林公園・青森

3番目の蛾の幼虫も、種名がわからない。

しかし、君は、枯れ枝ポーズを決めたつもりだろうが、
完全に場所を間違ってるぞ!!!

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ちょっとだけ不思議な虫たち【2】

今回は、ハムシ類に良く見られる「ラージポンポン」である。

このブログを開始してから2番目のタイトルが、クルミハムシだった。

薄暗くなった北海道の道の駅で、偶然出会ったこのハムシのお腹は、
まるでチョウチンがぼんやり光っているように見えた。

http://kamemusi.no-mania.com/Entry/2/

このときは、初めて見たその異様さに、軽く衝撃を受けた。


そして、それから半年ほどの間に、
連続して他の3種のハムシでも、ラーポン個体を見つけた。

 
 

ヨモギハムシ(ハムシ科)
 
2010年10月10日 弘前市・青森

クルミハムシに近い膨らみ方であるが、
もともとの体型が平べったくないので、迫力はない。

背景のヨモギの花穂は、ハイイロセダカモクメ幼虫を思い出す。

http://kamemusi.no-mania.com/Entry/27/

 


アザミオオハムシ(ハムシ科)
 
2010年9月29日 戦場ヶ原・栃木

写真の撮り方が下手くそなので、
あまり迫力は感じられないが、結構大きなお腹である。

(⇒もちろん、アングルを変えようとしたが逃げられた?)

 

 

ルリハムシ(ハムシ科)
 
2010年7月5日 室蘭市・北海道

前2種ほどではないが、ラーポンである。

子孫を残すという生物界の宿命の中で、
人間の場合も含めて、母親に感謝である。

 


ここで、もう一度、あの衝撃のクルミハムシの、
ぼんやり提灯を、さりげなくご覧ください。

 クルミハムシ(ハムシ科)
 
2010年7月4日 伊達市・北海道

やっぱり、女性はちょっとだけ不思議だ・・・・

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ちょっとだけ不思議な虫たち【1】

これから、3回に分けて、
ちょっとだけ不思議な虫たちを紹介する。

ある現象が、「不思議」か、「不思議でない」かは、
それを見る人の考え方や、過去の経験などによって、
感じ方が微妙に違ってくると思う。

しかし、これは、
ブログのタイトルにもなっている重要なテーマである。
ちょっとだけ、言い訳をさせてください。


昆虫を、採るのではなく、撮るようになってから、
特に、その不思議さ(?)を、感じるようになった。

昔のように、採集品の標本を作っているだけでは、
決して見ることの出来なかった世界を、
気楽に、取り合えずシャッターを押すことができるデジカメは、
さりげなく作り出した。

そして、被写体となった虫たちは、そのありのままの姿を、
全く演出なし(当然?)で、表現してくれた。

これが、「ちょっとだけ不思議な昆虫の世界」だと思う。

 

 

エサキヒメコシボソガガンボ(コシボソガガンボ科)
2011年6月29日 白岩森林公園・青森

目の前を、白い点々が数個、よろよろっと通り過ぎて、
近くの葉っぱの下に静止した。

近づいてみると、白っぽく見えたのは、脚の先端部分で、
何か見慣れないガガンボだった。


 

エサキヒメコシボソガガンボ(コシボソガガンボ科)
2011年6月29日 白岩森林公園・青森

家に帰って、図鑑やネットで調べると、
どうやら「エサキヒメコシボソガガンボ」という
比較的珍しい種類のようであった。

軽く葉っぱに触れて、再び飛んでいる姿をみたが、
今度は見慣れたせいか、はっきりガガンボの飛び方をしていた。


 

リンゴコフキハムシ(ハムシ科)
 
2011年6月26日 白岩森林公園・青森

体中に白い粉を付けているハムシ。
一体何のために!!!!

もともとの地肌(?)は黒っぽいようであるが、
何故か、舞妓さんのように、真っ白なお化粧をしているのだ。

しかも、その化粧は、舞妓さんと違って(!)、
直ぐに剥がれてしまうらしく、まるで別種のようになる。


本当に、何のために???

 
 

キリウジガガンボ交尾中(ガガンボ科)
 
2011年5月29日 だんぶり池・青森

こっちのガガンボは、だんぶり池周辺を飛び回っている普通種である。

ある日、交尾中のカップルの写真を撮っていると、
別のオスがが飛んできて、何やら叫んでいるようであった(?)。

まあ、強力な性フェロモンを利用する昆虫の世界では、
よく見かける不思議な光景ではあるが・・・

 

 

モモスズメガボ交尾中(スズメガ科)
 
2010年6月25日 洞爺湖・北海道

交尾つながりで、もう一種。

こちらは、大型のスズメガである。
最初に見つけたときには、生物のように見えなかった。

この正方形は、無生物に見せることで、
天敵に対する防御効果があるのか?

数学的にも、直角三角形がふたつ合わさると、
正方形になるという見事な例である???

 

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