それは君! 食べすぎだよ!!
クモのような捕食者は、獲物に出会うという千載一遇のチャンスを、
えり好みなどしてる場合ではない。
もちろん好き嫌いなんかあるわけがない。
網を張って獲物を捕えるクモたちは、自分の体長の数倍もある獲物を、
自らの糸で、グルグル巻きにしてからゆっくりと体液を吸うことができる。
しかし、網を張らない徘徊性のクモは、獲物をさがすときに、
そのサイズを、どんな基準で選んでいるのだろうか?
逆に言うと、どの大きさまでが、捕獲可能と判断しているのだろうか?
実際に捕食現場を見かけることがしばしばあるが、
獲物のサイズは、自分の体の大きさ程度が限界で、
普通は、それ以下である。
しかし、今回紹介するのは、
「それ、ちょっと大きすぎるんじゃないの?」
というような獲物を捕えた「至福の瞬間のクモ君たち」である。
カニグモの一種がハバチの仲間を捕獲
2012年6月28日 燕岳山麓・長野
クモが獲物を丸かじりするわけではなく、
体液を吸うだけだとしても、この獲物は大きすぎないか?
クモの体長の2倍はあるぞ!!
ワカバグモがガガンボを捕獲
2011年6月2日 だんぶり池・青森
このように、ワカバグモがガガンボのお尻の先を捕まえている光景を、
だんぶり池で、何度も見たことがある。
そっと背後から接近して、捕獲するのだろうか?
これも、大きい!!
ワカバグモがトゲカメムシを捕獲
2010年9月4日 だんぶり池・青森
良く見ると、このカメムシはクモに捕獲されている。
最初は分からなかったのだが・・・・・
以前紹介したように、カメムシの持つ強烈な匂いは、
アリ以外の捕食者に対しては、防御効果はほとんどない。
↓ ↓ ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20101107/1/
だから、このように簡単に捕獲されてしまう。
この写真は、少なくともクモに対しては、
「匂いの防御効果はない」という証拠でもあるのだ。
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
そして、極めつけの大きさの獲物は、下の写真である。
今までの写真は、単なる「前置き」でしかないくらい・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
(長い!!!)
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
ハシリグモの一種がセミを捕獲
2012年8月2日 芝谷地湿原・秋田
これはどう見ても、サイズが違いすぎるだろう!!!!!
どうやったら、こんな獲物を捕まえられるのだろうか?
さらに、このクモ君にとっては、セミを捕獲するのは、
ラッキーだったのだろうか?
ハシリグモの一種がセミを捕獲
2012年8月2日 芝谷地湿原・秋田
しかし、「いらぬ心配」は、無用である。
クモの仲間は、消化液を獲物の体内に注入して、
いわゆるエキスだけを飲み込むので、サイズ的には全く問題ない。
しかもご存じのように、セミの体の中は、ほとんど空洞であり、
我々が食べるスカスカの「カッパエビセン」のようなものである。
なるほど、ちょっとだけ納得・・・