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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

君は働かないの? ハラアカヤドリハキリバチ

ひたちなか市内の前方後円墳のある史跡公園で、
日光浴(?)をしているお腹の赤いハチを見つけた。

 

こんな雰囲気の腹が赤い特徴的なハチの名前は、
図鑑で調べれば、すぐ分かる・・・・・・?

 


何か、いろいろ面白そうなハチだった!?

 


ハラアカヤドリハキリバチ(ハキリバチ科)

2013年9月17日 ひたちなか市・茨城

撮影時刻は10時30分、かすかに翅を震わせて、
飛行のウォーミングアップをしているようだ。

白い壁に、赤と黒の色彩は、かなりよく目立つ。

 

 


ハラアカ(!)ヤドリ(?)ハキリ(?)バチ(!)

・・・・名前の由来を調べてみよう(注)

 

 

ハラアカヤドリハキリバチ(ハキリバチ科)

2013年9月17日 ひたちなか市・茨城

近づくと、この一枚を撮った直後に、
飛び立って、あっという間に視界から消えた。

 

(ハキリ?)
多くのハキリバチの仲間は、その名前のとおり、
植物の葉を丸く切り取って、巣の材料にする。

普通は、丸く切り取った葉っぱを円筒状(葉巻?)にして、
その巣の中に、花粉と蜜を混ぜた花粉団子を蓄えて、
幼虫を育てるのだ。

 

 


ハラアカヤドリハキリバチ(ハキリバチ科)

2013年9月17日 ひたちなか市・茨城

少し歩くと、すぐ近くの葉っぱの上で、
やはり翅を震わせている(おそらく)別個体を発見。

 

(ヤドリ?)
ところが、このハラアカヤドリハキリバチは、
お腹が赤いのに(?)腹黒いやつで、
同じハキリバチ科のオオハキリバチが作った巣の中に、
自分の卵を産みつけるのだ。

ただし、オオハキリバチは、葉っぱを丸く切り取ることはなく、
 天然あるいは人工的な孔などに、針葉樹の樹脂を入れて巣を作るようだ。

 

 

ハラアカヤドリハキリバチ(ハキリバチ科)

2013年9月17日 ひたちなか市・茨城

だからこの子は、巣作りの苦労も、花粉団子作りの苦労も、
自分では全くしないで、みんなオオハキリバチにさせるのだ。

このような宿主の労働の成果を奪い取る行動は、
専門用語で「労働寄生」と呼ばれる。

 

 


ハラアカヤドリハキリバチ(ハキリバチ科)

2013年9月17日 ひたちなか市・茨城

ハラアカヤドリハキリバチの体には、短い毛は生えているだけ。

他のハキリバチのように、目立つ毛はない。 
花粉を毛にくっつけて集める必要が無くなったからだろう。

 

(ハラアカ?)
でも、何故、ハラアカなのだろうか?
よく目立つので、何かに擬態してるのだろうか?


まさか、翅を震わせて、見えにくくして、
ベニボタルに擬態している????


 

(注)以前は、ハラアカハキリバチヤドリという和名だったようで、
   確かに、手元の古い昆虫図鑑には、その名前で掲載されていた。

   多分、古い和名は、多少誤解を招く恐れがあったので、
   タイトルの新しい名前に、変更されたものだと思う。
   (順番を変えただけ!)
   

     

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真夏の昼の夢? ヤブキリとエゾゼミ

今回の写真は、かなり刺激的である。

現場を目撃し撮影した私でさえ、
ちょっとだけ戦慄を覚えるような写真である。


決して、小さなお子様には、見せないように!!

 


⇒(いや、もしかしたら、見せた方が良いのかも・・・後述)

 

 

ヤブキリ(キリギリス科)

2013年9月4日 志賀坊森林公園・青森

普段見慣れない場所にいるヤブキリ。

ちょっとだけ殺気!!!
(いつから? ⇒○○○から!) 

 

 

エゾゼミ(セミ科)

2013年9月4日 志賀坊森林公園・青森

こちらは、もっと見慣れない場所いるエゾゼミ。

ちょっとだけ、疲れている(?)ような・・・

 

 

ヤブキリとエゾゼミ

2013年9月4日 志賀坊森林公園・青森

このツーショットから、予想外の展開が?!


 

 

ヤブキリとエゾゼミ

2013年9月4日 志賀坊森林公園・青森

いきなりのあびせ倒し!!!!

ヤブキリは、基本的に肉食性なので、
動物性タンパクを摂らないと生きていけない。

 



ヤブキリとエゾゼミ

2013年9月4日 志賀坊森林公園・青森

翅が写らないほど、必死にもがくエゾゼミ・・・

 

 


ヤブキリとエゾゼミ

2013年9月4日 志賀坊森林公園・青森

ちょっとだけ身震いするような戦慄!!

 

 

ヤブキリとエゾゼミ

2013年9月4日 志賀坊森林公園・青森

プロレスのスリーカウントを、
かろうじて逃れるような雰囲気。

 

 

ヤブキリとエゾゼミ

2013年9月4日 志賀坊森林公園・青森

まだ、かすかに翅を震わせて抵抗するエゾゼミ。

 

 


ヤブキリとエゾゼミ

2013年9月4日 志賀坊森林公園・青森

これが、現実なのだ!!!!

まさか、ヤブキリがセミを襲って食べるなんて!!!

 


最初に書いたように、この写真を、
子供に見せるかどうかについては、
いろいろな状況が考えられる。

今の子供たちは、ゲームの世界で戦争ゴッコをやり、
その中で、何のためらいもなく人や動物を殺し、
うまくいかなくなると、簡単にリセットボタンを押す。


だから、子供のときから、
「生きるということ」
「生きるためにしなければいけないこと」
「生き物とは、こういうもの」
こんなことを、分かってもらうために、
命の大切さを、まだ理解できない子供たちに、
さりげなく見せるような写真なのかもしれない。

      

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秋(越冬前)のタテハチョウ類3種

普段は、あまりチョウの写真を撮ることはないのだが、
この日(9・11)の酸ヶ湯温泉では、
タテハチョウ科の美麗種3種を、ほぼ同時に見かけた。

 


最初は、北国を代表するキベリタテハである。


まずは、ちょっとだけアート(?)な写真から・・・

 


キベリタテハ(タテハチョウ科) 

2013年9月11日 酸ヶ湯温泉・青森

道路からは見えにくいナナカマドの葉っぱの奥の方で、
さりげなく日光浴してるキベリタテハを発見!!

写真撮影は、どうしても、この位置からしかできない。

そこで、周囲がぼやけた「珍しい写真」が撮れた。

 

 


キベリタテハ(タテハチョウ科) 

2013年9月11日 酸ヶ湯温泉・青森

拡大してみると、この子は、予想以上に美麗種である。

表現が下手くそで、うまく言い表せないが、
中心部の上品なこげ茶色と、薄い黄色の縁取りの間には、
黒帯の中に、薄紫色の模様が、まるで首飾りのようだ。

 

 


キベリタテハ(タテハチョウ科) 

2013年9月11日 酸ヶ湯温泉・青森

こんな感じで、ダケカンバの白い樹皮の上にいると、
薄黄色の縁取りが、背景に溶け込んで、姿が見えにくくなる。

キベリタテハは、北海道と本州中部以北の山岳地帯に分布する。
やっぱり、ダケカンバやナナカマドがよく似合うチョウだ。

実は、この子は、夏の終わりに羽化して、そのまま成虫で越冬し、
翌年は、初夏まで生き延びる年1化のチョウなのである。

 

 

 

クジャクチョウ(タテハチョウ科) 

2013年9月11日 酸ヶ湯温泉・青森

クジャクチョウは、キベリタテハとは違う「あでやかな美麗種」で、
実は、子供の頃からのあこがれのチョウであった。

東京や徳島に住んでいたころは、あまり見る機会がなかったが、
弘前では、比較的普通種で、その美しい姿をたびたび見ることができる。

この子も、やっぱり北国のチョウなのである。

 

 


クジャクチョウ(タテハチョウ科) 

2013年9月11日 酸ヶ湯温泉・青森

春先によく見かけるボロボロ(?)の個体とは違って、
成虫越冬するこの時期のチョウは、翅に破損がなく、
その美しさも倍増する。

クジャクチョウの学名は、Inacjis io geisha であり、
以前紹介したアオバハゴロモと同じ「芸者」である。

やっぱり、異国の人たちにとって、geisha は、
日本を代表するような、美しい文化(?)なのだろうか?

 

 


アカタテハ(タテハチョウ科) 

2013年9月11日 酸ヶ湯温泉・青森

前2種とは、かなり異なるが、このチョウも今の時期は美しい。
前翅の表側に、鮮やかな橙色の模様は、飛んでいてもよく目立つ。

おそらく弘前では、年2回の発生のようであるが、
西南日本の暖地では、年3~4回も発生を繰り返す。

 

 


アカタテハ(タテハチョウ科) 

2013年9月11日 酸ヶ湯温泉・青森

今回の3種のタテハチョウは、表面はかなり派手な色彩であるが、
翅の裏面は、いずれも枯葉のようで、隠蔽的な色彩である。

このように、翅の表と裏の色彩が極端に違っている理由は、
以前紹介したルリタテハの場合と同じだろう。
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130926/1/


翅を開いた状態のアカタテハを見つけた捕食者が、
捕獲しようと近づいて来たとき、突然、翅を閉じたらどうだろうか?

枯葉模様のアケビコノハ成虫が、目玉模様を突然見せて、
捕食者をビックリさせるのとは、全く逆の状況である。

おそらく、それまで見せていた派手な色の表面が、
目の前から突然消えて、裏面の枯葉模様の隠蔽的な効果が、
そのコントラストの大きさによって、より強調されることになる。

近づいてきた捕食者は、目の前の獲物を捕まえようとしたとき、
一瞬のうちに消えてしまったように感じだろう。

 

       

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何これ?? ちょっとだけ不気味?!

 
 
2013年9月13日 だんぶり池・青森

気持ち悪いブヨブヨのかたまりが、
アメリカセンダングサの葉っぱの上に・・・


鳥の糞?

なんかの幼虫?

ナメクジ?

両生類か貝類のたまご?

 

 


 何だ??  これは!!

2013年9月13日 だんぶり池・青森

エグリトビケラ(多分)の卵塊・・・

この日は、結構な頻度で見つかった。

 

 

エグリトビケラ卵

2013年9月13日 だんぶり池・青森

さりげなく、ネット検索してみると、
葉っぱの表面に産み付けられた卵塊が、
雨が降ると水分を吸って膨らんで、
このようなゼラチン状になるらしい。

 

 


エグリトビケラ卵

2013年9月13日 だんぶり池・青森

トビケラ類は、幼虫時代を水中で過ごす。

だから、葉っぱの上でふ化した幼虫は、
水面に落下しなければ、生きていけない。

他のトビケラ類の種類は、水中に潜って産卵したり、
流れの中から飛び出した小石の表面や植物など、
ふ化幼虫が水に入りやすいように産卵するのだが・・・

 

 


エグリトビケラ卵

2013年9月13日 だんぶり池・青森

エグリトビケラだけが、モリアオガエルと同じように、
水面から離れた植物上に、卵塊で産卵するようだ。

そういえば、卵を見つけた付近を、引いた画面で見ると、
下の方には、水面(だんぶり池の一部)が見える。


この写真では、ちょっとだけ分かりにくいが、
3か所の黄色の丸印の中に、卵塊が同時に写っている。

 

 


そして、これが成虫・・・・


 

エグリトビケラ(エグリトビケラ科)

2011年9月15日 酸ヶ湯温泉・青森

成虫は、光に集まる性質がある。

このように、沢山の蛾の仲間に交じって、
常夜灯のある建物の壁に、明け方まで止まっている。

 

 


 

エグリトビケラ(エグリトビケラ科)

2011年10月4日 だんぶり池・青森

もちろん、だんぶり池でも、成虫は見つかる。

トビケラの仲間は、その生活様式から、
カゲロウやカワゲラに近いと思われがちだが、
完全変態(蛹の時期がある)のチョウや蛾に近いのだ。

 

       

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君も自然淘汰の結果なの???  ウスベニアヤトガリバ

かなり不思議な、しかも神秘的(?)な蛾を見つけた。

まずは下の写真を!!!

 

 


ウスベニアヤトガリバ(カギバガ科)

2013年7月27日 城ヶ倉・青森

その名のとおり、静止していると、前翅が、
濃淡のある薄紅(うすべに)色の非常に美しい蛾だ。

しかも、背中の部分が、大きな穴が開いているように見える。

その穴の奥には、不思議な杖のような
得体のしれないものがある(ように見える)。

 

 

穴の(ような)部分を拡大してみると、

 

何かヘビ(コブラ?)の守り神を、連想させる。


この模様は、どこかで見たことがある!!!

クレオパトラか? 

ピラミッドか?

 

 


ウスベニアヤトガリバ(カギバガ科)

2013年7月27日 城ヶ倉・青森

少し角度を変えて撮っても、
やはり、周辺部の濃淡によって、
背中に、大きな穴が開いているように見える。


でも、これは、前回のムラサキシャチホコと同じように、
鱗粉の微妙な色合いと、濃淡によって、
前翅に描かれた模様なのである。

 

 


ウスベニアヤトガリバ(カギバガ科) 

2013年7月27日 城ヶ倉・青森

よく見ると、中に見えるヘビ(?)は、
下の方が、蛾の胴体とピッタリ繋がっている。

一体何故、こんな模様になったのだろうか?


ムラサキシャチホコの場合は、明らかに、
枯れ葉に似せることで、捕食者の目を欺いているが、
ウスベニアヤトガリバには、その目的がよく分からない。

いずれにしても、切り裂かれた(破られた?)穴の奥に、
蛇がいるだけで、それはもう神秘的な、
この世のものではない世界だ!!!


記事タイトルにあるように、この模様は、
本当に、自然淘汰の結果、出来たものなのだろうか?

 


捕食者との関係から考えるのが普通だろうが、
はたして、この模様を、本能的に嫌う外敵がいるのか?

あるいは、交尾行動に関係する可能性もあるのだろうか?


いずれにしても、この神秘的な模様を、
単なる偶然の産物(結果)としてしまうには、
あまりにも、良く出来過ぎているように思えるのだが・・・



⇒ ⇒ ⇒ かなり不思議な昆虫の世界!!!

 

追記(2015年9月13日)

チョウや蛾の翅にある動物の不思議な模様について、
最近日本でも紹介された「サティロス型擬態」という概念で、
統一的に解釈できるようになった。

以下の記事をご覧ください。

【古くて新しい擬態 サティロス型擬態】
 ↓   ↓   ↓
 http://kamemusi.no-mania.com/Date/20150913/1/

 

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