忍者ブログ

ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

ちょっと不思議⑦ ニトベミノガ集団


わざわざ、遠くに出かけなくても、
さりげなく不思議な虫はいる。

 

自宅のい小さな庭で・・・・

 


ん? どうした!!

2013年10月24日 弘前市・青森

庭のハマナスが、枯れそうになっている。

枝に、何かいる・・・

どうやら、集団で加害しているようだ。

 


近づいて、よく見ると、

 


ニトベミノガ幼虫(ミノガ科)

2013年10月24日 弘前市・青森

これは、かなりの大集団である。

ハマナスは、バラ科なので(?)、
沢山のミノムシが、バラの棘のようにも見える。


ミノに覆われているので、捕食者が見つけにくいか、
あるいは、見つけても手を出せないのだろう。

天敵が、ハチやハエのような寄生者であっても、
全く同じことが言えるのかもしれない。

 

 

 

ニトベミノガ幼虫(ミノガ科)

2013年10月28日 弘前市・青森

ハマナスには、いろいろな毛虫やイモムシがいる。

でも、こんなに大発生することはない。

普通は、適当に(あるいは適切に?)、
捕食者に食われているからだ。

 

 

 

ニトベミノガ幼虫(ミノガ科)

2013年10月28日 弘前市・青森

ミノムシのように、外敵に対する防御効果が完璧だと、
こんな大変なことになってしまうことがあるのだ。


本当に・・・???

    

 

拍手[20回]

PR

ちょっと不思議⑥ 多分ハモグリバエ幼虫の食痕


(昨年末からのちょっと不思議シリーズ、再開します)

 


多分ハモグリバエ食痕!!

2013年7月22日 白岩森林公園・青森

緑の葉っぱに、真っ白な波線の模様が見える。

このように、葉っぱに食痕を残す虫は、
ハモグリガ幼虫(チョウ目)と、
ハモグリバエ幼虫(ハエ目)が知られている。

おそらく、これはハモグリバエの食痕だろう。

幼虫が、葉の内部をトンネル状に食い進んでいくので、
緑色の葉に、あたかも白い線を描いたように見えるのである。


どんだけ平べったいのだ!!!

 

 


しかし・・・・

 

軽く調べたネット情報では、
白い食痕は、一筆書きのように線が重ならないはずだが、
この写真は、そんなことはない。

中央部右側に見えるラインは、明らかにクロスしている。

 

 

そして・・・・

 


多分ハモグリバエ食痕!!
 
2012年9月25日 東海村・茨城

これは、また凄いことになっている。

一枚の葉に、何匹の幼虫がいるのだろうか?


こんな状態の食痕は、あまり見かけることはない。

というか、私は初めて見た。

ちょっと不思議!!!

 

  

拍手[21回]


一瞬の攻防 ハチとクモの戦い

津軽半島の西側の海岸線、ベンセ沼の遊歩道で、
ようやく気温が下がりはじめた頃、
黄色と黒色のベッコウハチを見つけた。

 



2013年7月15日 ベンセ沼・青森

この色合い(組み合わせ)は、
教科書に載っているような警戒色の典型・・・

でも、このハチの正確な種名が分からない。

この仲間は、ベッコウバチと呼ばれていたが、
最近になって、ベッコウクモバチという呼称に変わったようだ。

 

 

 

キスジベッコウ(ベッコウバチ科)

2013年7月15日 ベンセ沼・青森

手持ちの図鑑には、翅の黄色いベッコウバチは載っていないし、
ネットで検索しても、よく似た種はヒットしなかった。


12月になって、弘前市の山田雅輝氏とお会いする機会があり、
この写真を見ていただいて、写真だけの同定をお願いした。

山田氏は、キスジベッコウだと思うが、
詳細は「写真を持ち帰って調べてから」と即答を避けられた。

後日、「これは、やはりキスジベッコウであり、
私も、津軽半島西岸で見かけている種であるが、
青森県では、稀な種である」とのご連絡をいただいた。

 

 

話は、これでは終わらない・・・・・?

 

 

上のハチを見かけた後、全く偶然に、
ハチとクモの瞬間的な戦い(バトル?)を見かけた。

 

 

キスジベッコウ(ベッコウバチ科)

2013年7月15日 ベンセ沼・青森

この写真を撮ったのは、バトル直後の状態である。

本当に、一瞬の接触で終わってしまった。
無理やり例えて言うなら、
昔、映画で見た「座頭市の居合い抜き」のようであった。


あまり大きくない捕食者が、どのような種であっても、
クモを捕獲するという行動は、かなりの危険を伴うだろう。
一歩間違えば、逆に餌にされてしまう可能性があるからだ。

ここが、通常の捕食者と被食者の関係とは、大きく異なるところだ。
⇒カマキリがバッタを捕まえるのとはわけが違う!!

 

 

 


キスジベッコウ(ベッコウバチ科)

2013年7月15日 ベンセ沼・青森

もちろん、クモを狩るのは、幼虫のエサにするためだ。

通常は、自分よりも体重が重い麻痺したクモを、
砂地に作った巣穴に運んで、卵を1個だけ産むのだ。

成虫は何を食べているのか、ちょっと不思議だが、
捕えたクモを、そのまま食べることは多分ないのだろう。

 

 

 

キスジベッコウ(ベッコウバチ科)

2013年7月15日 ベンセ沼・青森

どうやってクモを運ぶ様子を見たくて、
しばらく観察を続けることにした。

しかし、その後、数分間は、両者ともほとんど動かなかった。

もちろん、クモは、動けなかったのかもしれないが・・・

 

 

 

キスジベッコウ(ベッコウバチ科)

2013年7月15日 ベンセ沼・青森

ハチだけが、ときどき付近を歩いていたが、
全く動かないクモに触れることはなかった。

それとも、あまりの大物に運ぶのを、躊躇したのだろうか。

 

・・・・・・・・・

 

すぐ近くで、アオクチブトカメムシの食事中の写真を撮って、
数分後、戻ってみると、両方とも姿が見えなくなっていた。

・・・・・・・残念!!!

      

 

 

拍手[17回]


ちょっと不思議⑤ ニシキギの枝

カメラ片手に、林道をブラブラ歩いていると、
何か、得体のしれないものに出会うことがある。

その場では、なんだか全く分からないこともあり、
さりげなく写真だけは撮っておいたりする。

 


何だ!! これは??

2013年8月4日 ひたちなか市・茨城

木の枝に、虫の卵のようなものが見える。
少なくとも、カマキリの卵のうではなさそうだ。

仮に何らかの卵(卵のう)だとしても、
ちょっと数が多すぎる?


前回に続いて、また「虫えい」なのか?

 

 

 

ニシキギ(ニシキギ科)

2013年8月4日 ひたちなか市・茨城

近づいてよく見ると、虫の卵ではなさそうだし、
虫が関係する「虫えい」でもないようだ。

 

例によって、家に帰ってから調べてみると・・・


どうやら、この不思議な平べったいものは、
ニシキギの枝にしか見られない「コルク質の翼」のようだ(注)

 


 

 

ニシキギ(ニシキギ科)

2013年9月29日 国見SA・福島

キバラヘリカメムシの集団が邪魔で見にくいのだが
寄主植物のニシキギには、ほとんどの枝に、
コルク質の翼が認められることが分かった。

まさか、このブログで、こんな発言が飛び出すとは、
全く信じられないことなのであるが・・・




 

 

ニシキギ(ニシキギ科)

2013年9月29日 国見SA・福島

本当に見事な翼だ!!!

もちろん、コルクそのものは、
細胞壁が厚くなった死んだ細胞である。

ここが、前回までの「虫えい」とは違うのだ。

 

 

 

ニシキギ(ニシキギ科)

2013年9月29日 国見SA・福島

なぜ、エネルギーを無駄に使ってまで、翼を作るのだろうか?

⇒素人がちょっとだけ考えてみると・・・・

 1)コルクで 補強することにより、枝の強度を増す。
 2)バラのとげのように、草食動物から食べられるのを防ぐ。
 3)毛虫やイモムシが枝を歩きにくくする。
 4)太陽の熱を受けやすくする。
 5)逆に、放熱板の役割もする。 ⇒植物も体温(?)調節するのか?

こんことしか、思い浮かばない。


もちろん、コルクの翼を持つことが、ニシキギの生存にとって、
何の意味もない可能性だって、十分ありうるのである。

ニシキギの枝から、この翼を取ってしまっても、
その枝の成長が衰えたり、枯れてしまうようなこともないようだ。


⇒かなり不思議????

 

 

(注)ニシキギ Euonymus alatus の種内変異では、
   ケコマユミ、ケニシキギ、オオコマユミなどが知られている。
   ただし、これらのほとんどは、ニシキギのようなコルクの翼は持たない。
   
   また、ニシキギの中でも、コルク層の著しく発達するものから、
   それほどでもないものまで、変異が見られるので、
   ニシキギの翼は、一種の奇形と位置づけられるようだ。

   さらに、この翼は、鑑賞的価値が高いので、
   人為的に繁殖を助けられたこともあり、
   世の中に、広く分布するようになったとされる。

   

拍手[18回]


ちょっと不思議④ ヤナギの虫えい

カメラ片手に、林道をブラブラ歩いていると、
何か、得体のしれないものに出会うことがある。

その場では、なんだか全く分からないこともあり、
さりげなく写真だけは撮っておいたりする。

 

 

果実?

2013年7月20日 弘前市・青森

弘前市内の自宅から、歩いて1分ほどの雑草地で、
何かおいしそうな果実を見つけた。

でも、植物は、ヤナギ???



 

 


果実??

2013年7月20日 弘前市・青森

近づいて、よく見ると、
一枚の葉っぱを挟み込むような「不思議な果実」?



 

 


果実? 違う!!

2013年7月20日 弘前市・青森

しかし、これは、果実の付き方ではない。

前回紹介した桜の葉っぱと同じように、
植物の方が、虫によって、
異常に反応を起こした「虫えい」のようだ。

葉っぱの裏側と表側の両方にふくれているので、
ヤナギハアカコブフシというのが、
図鑑の絵合わせでは、一番近いような気がする(注)





 


ヤナギハアカコブフシ(コブハバチ幼虫)

2013年7月20日 弘前市・青森

割ってみると、かなり広い部屋の中に、
多分コブハバチの幼虫が一匹だけいた。

葉っぱの内部に、ハバチの1種が卵を産み付け、
植物組織が異常な発達を起こして、このように形になるのだ。

このような見た目の変化は、実に興味深い現象であると思う。

虫と植物の関係の中で、植物を食べる虫の方が、
餌である植物に働きかけて、その組織を変更させ、
自分の住む隠れ家を作らせているのだ。

 

 


(注)この名前は、初めての人には何の事だか分からないかもしれない。
    手持ちの図鑑によると、虫えいの命名法は、
   
寄主植物名形成される部分形態的特徴フシ
   の順で名付けられることが多いようだ。
   だから、この名前は、柳(ヤナギ)の葉()に作られた、
   瘤状(コブ)の虫えい(フシ)ということになる。
   

      
   

 


 

拍手[18回]